不登校気味の妹ー。
彼女は卒業式を前に
”卒業式には出たくないけど、欠席して集合写真の右上に載るのはイヤだ”と、
そう言い始めたー。
そして、兄に”わたしの代わりに卒業式に行って”と、
無茶を言い始めてー…?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「卒業式…行きたくないなぁ…」
不登校気味の妹、丸岡 彩智(まるおか さち)が、
そんな言葉を口にするー。
「ーーははー、じゃあ、いつも通り休めばいいじゃないかー
どうせいつも休んでるんだしー」
大学生の兄・丸岡 祐樹(まるおか ゆうき)が
そう言葉を返すと、
「でも、行かないと卒業式の後の写真撮影にも参加できなくなって、
集合写真の右上に幽霊みたいな感じで載ることになっちゃうから
イヤだなぁ…」と、だるそうにしながら彩智はそう言葉を口にするー。
「ははー、そんなの気にしなくていいじゃないかー」
祐樹は笑いながら言うー。
彩智は、いじめを受けているわけでもないし、
身体が悪い訳でもないー。
ただ、異様なまでに”面倒臭がり屋”で、
学校も”卒業できるギリギリの出席日数”を維持しつつ、
不登校気味な生活を送っているー
ただ、彩智自身、何故か勉強だけは滅茶苦茶できるため、
そんな状況であっても成績は超優秀ー、
それもあって無事に卒業だけは出来る、
そんな状態になっていたー。
「ーーえ~、嫌だ~…
だって、なんか、雲の上の人になっちゃってるみたいで
嫌だしー」
彩智がそう言うと、
祐樹は苦笑いして首を横に振るー。
妹の彩智は面倒臭がり屋の癖に
一度変なことにを気にし始めると、
それに異様なまでに執着してしまう一面を持っているー。
”卒業式の写真の右上に載りたくない”と、彩智が言い始めたら
もう、そのことで頭がいっぱいになってしまうような、
そんな子だった。
「ーあ~~~卒業式行きたくない~!
でも、集合写真の右上にも載りたくない~!」
そんな言葉を繰り返す彩智。
祐樹は戸惑いつつも、
「まぁ、ほら、右上じゃなくて左上かもしれないだろ?」と
欠席した場合に集合写真に付け足される顔の位置が
左上かもしれない、と、そう言葉を口にして
話を逸らそうとするー。
しかし、「そんなのはどっちでもいいし!」と、彩智に
一蹴されてしまうと、
「あ~~~どうしようかな~」と、彩智は
そのことをずっと考え込みながら、
自分の部屋へと戻っていくー。
「ーあ~あ…
ま~た、卒業式の当日まであんな感じだろうな」
祐樹は”やれやれ”という様子でそう言葉を口にすると、
「まぁでも、どうせ卒業式も休むだろうな」と、
これまでの妹との付き合いから、そんな予想を口にするのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
数日後ー
卒業式の前日ー。
「ねぇ、お兄ちゃんー。明日、ヒマ?」
彩智がそんな質問を投げかけて来るー。
「ん~~?明日は大学もバイトもないけどー
ヒマかどうかはー」
祐樹がそう言いかけると、
「ヒマなんだね!よかった!」と、彩智は
強引に話を進めようとするー。
「おいっ!ヒマとは言ってないぞー」
祐樹は慌ててそう言葉を口にするも、
彩智は既にその話を聞いておらず、
「じゃあ、お兄ちゃんー。お願いがあるんだけどー」と、
そんな言葉を続けたー。
「ーーーー」
イヤな予感を覚えながら祐樹が表情を曇らせると、
彩智は笑顔で言葉を続けたー。
「ーーこの前、卒業式の後に撮影する集合写真の話したでしょ?
やっぱりわたし、どうしてもあの写真の右上に載るのはイヤだからーー
いい方法を思いついたの!」
満面の笑みの彩智。
そんな彩智を見つめながら、祐樹は
「ー卒業式に行けば済むことだもんな」と、そう呟くもー、
彩智は「それじゃ、わたしが面倒臭いでしょ!」と、
あっさりとそれを否定して見せるー。
「ーーー…じゃ、じゃあ、どうするんだよ?
まさか、写真撮影の時だけ学校に行く気か?」
祐樹が、今度はそんな指摘をする。
彩智のことだから、どうせロクなことではない。
がー、彩智は
それすらも「だ~か~ら~、わたしが学校に行くのは
面倒臭いでしょ?」と、再度そう言葉を繰り返すと、
「お兄ちゃんが、わたしになって卒業式に出ればいいの!
そうすればわたしは家にいられるし、
卒業式の後の集合写真にも参加できる!」と、
嬉しそうにそう言い放って見せたー。
「ーお、俺が、彩智にー?
いやいや、なに言ってんだー」
あまりにもおかしな提案に、祐樹は呆れ顔で
そう呟くー。
兄である祐樹が、彩智の代わりに
彩智として卒業式に参加できるわけがない。
双子の姉妹であれば、もしかしたら
そんなこともできるかもしれないけれど、
祐樹と彩智は兄と妹だ。
そんなこと、できるはずもない。
が、そう思っていると
彩智は「これを使えば、お兄ちゃん、わたしになれるから」と、
紫色のいかにもヤバそうな雰囲気の液体を取り出したー。
「おいおいおい、何だよそれ!?
俺に何をさせるつもりだー?」
いかにもヤバそうな液体の登場に、
祐樹は心底戸惑った表情を浮かべると、
慌ててそう声を上げた。
しかし、彩智は「これはね~変身薬って言う薬で、
相手のことを見つめながら飲むと、その姿に変身できるの!」とp、
そう説明したー。
「ーは、はぁ!?変身!?
そ、そんなことできるわけー…!?
そ、それに、もし本物だとしても、
その薬、健康的な意味でもヤバいだろ!?」
祐樹が必死にそう叫ぶー。
それでも彩智は「大丈夫だってば~!」と
笑いながらそう呟くと、
変身薬の入った容器を手に、
それを兄・祐樹に近づけたー
「ーーほらほら飲んで!」
「ど、どこで手に入れたんだよ!そんな怪しいもの!」
祐樹は、すぐにそんな言葉を返すー。
「え~?海外のサイトだよ!
そこそこ評価良かったし、大丈夫!」
ほとんど根拠なしで”大丈夫”だと言い放つ彩智を前に
「さ、彩智の大丈夫は大丈夫じゃねぇ!」と、
祐樹は”いつも適当な彩智”に向かって
そう叫んだー。
がー
「えいっ!」
彩智は有無を言わさず、
祐樹の口に無理矢理、変身薬が入った容器を押し付けると、
不意打ちに対応しきれなかった祐樹は、
そのまま変身薬を飲み込んでしまったー。
「ーーー!?!?!?」
すぐに、身体に変化が起き始めるー。
祐樹は慌てた様子で「おい!身体中が変な感じするんだけどー!!?
ヤバいだろこれ!?」と、自分が死んでしまうのではないかという
不安にも襲われながら、そんな言葉を口にするー。
しかし、彩智は「大丈夫大丈夫ー」の一点張りで、
そうこうしているうちに、祐樹の身体は
次々と色々な部分が変化していきー、
やがて、妹である”彩智”と全く同じ姿になってしまったー。
「ーーう、嘘だろ…?」
自分の手を見つめながら、
自分が妹の彩智と完全に同じ姿になってしまったことを
確信する祐樹ー。
「ーほら!どこからどう見ても、お兄ちゃんもわたしになったよ!」
彩智に変身した兄を見て、彩智は嬉しそうにそう言葉を口にすると、
彩智に変身させられてしまった祐樹は、
「わたしになったよ!じゃねぇよ!」と、彩智の声で
そうツッコミを入れると、
「ーこれ、本当に元に戻れるんだろうな?
元に戻る方法は?」と、そんな言葉を口にするー。
当然の疑問と言えば当然の疑問だ。
しかしー…
彩智は少しだけ苦笑いすると、
「も、元に戻る方法はー……う~ん」と、
少しとぼけるような表情を浮かべながら目を逸らすー。
「おいおいおいおいおいおいおいおい」
彩智になってしまった祐樹は、心底困惑した表情を浮かべながら
悲痛な声を上げると、
彩智は「だ、大丈夫だってば!なんとかなるよ!」と、
そんな言葉を発するー。
「ーーだ、大丈夫じゃないだろ!?」
彩智になってしまった祐樹は、妹・彩智の方を見つめながら
そう叫ぶと、彩智は「そ、そんなことよりもー」と、
話を変えようとするー。
「そ、そんなことより!?」
彩智の姿で祐樹はなおも叫ぶー。
”もしかしたら元に戻る方法がないかもしれない”状況を
”そんなことよりも”と、言われてしまうと、
変身させられた側としては気分の良いものではないー。
が、彩智はお構いなしで
「ーーいいから聞いて!」と、強引に話を変えると、
「ーとにかく、お兄ちゃんはこれでわたしの姿になることができたから、
わたしとして、明日、卒業式に参加することができるようになったわけ!」と、
どこか得意気な表情でそう言葉を口にするー。
「何でそんな得意気な表情なんだよー…
で?俺が元に戻る方法をそろそろ教えてくれてもー…」
彩智の姿のまま、祐樹はそう言葉を口にするー。
自分の口から”彩智”の声が出ているという状況には
少なからず不思議な感じもしたし、
声は結構可愛いこともあって、少しドキドキもするー。
が、それよりもやっぱり、
妹・彩智のあまりにも強引な振る舞いを前に
振り回されている気持ちの方が強いのも確かだった。
「ーーえ~っと、それはまぁ、それとしてー」
彩智はなおも”元に戻る方法”を答えずに、
「それで、明日の話の続きだけどー」と、
そう言葉を口にすると、
「お兄ちゃんはまず、明日の朝になったら
わたしとして学校に行くために、
わたしが普段着ている制服に着替えてー
それからー」と、
卒業式当日である明日のことを説明し始めるー。
「ーえっ、いや、ちょっと待てー
俺が彩智の制服を着ていくのか?」
彩智の姿で、祐樹は思わずそう言葉を口にするー。
「ーえ?うんー。そうだよ。
だってわたしのフリして卒業式に行くんだから
わたしが普段着ている制服を着るしかないでしょ?」
彩智が不思議そうにそう返してくるー。
「いやいや、そうだけどさー
でも、え?兄が妹の制服を着るとか変態じゃんー」
彩智の姿のまま、祐樹はそんな言葉を口にするー。
自分が彩智の制服を着るなど、ただの変態だと。
しかし、彩智は
「それは大丈夫だよー
だってお兄ちゃんは今、わたしの姿なんだし。
もちろん、お兄ちゃんが普段の状態で
わたしの制服を着てたら変態だし死刑だけど、
今なら大丈夫!
ほら、わたしもこうして許可出してるんだからー」と、
笑いながら明日、制服を着ていくように促すー。
「ー~~~~~~~」
流石に妹の制服を着るとなると、戸惑ってしまうし、
女子高生の制服を着るなんて、変な意味でドキドキしてしまうーー
そんな状態で妹のフリをして卒業式に出席するなど、
かなり無茶だ、と、そんな風に思いつつ
彩智の姿をした祐樹は
「ーーというか、嫌じゃないのかよー…?
いくら、彩智の姿をしてるからって、一応、兄の俺が
彩智の制服を着るんだぞー?」と、
どこか心配そうにそんな言葉を口にする。
「ーー別にいいよ。わたし、気にしないし
それとも、変身してない状態の時にわたしの制服着たいの?」
またもや、とんでもないことを言い始める彩智ー。
「おいおいおい、そんなこと言ってないぞ!」
彩智の姿で祐樹は顔を赤らめながらそう叫ぶと
「あははー、まぁ、そういうことにしておいてあげるー」と、
彩智は含みのある返事をするー。
「おいおい、俺を変態扱いしないでくれよー」
彩智の姿のまま、祐樹は困惑の表情を浮かべると、
彩智は気を取り直して”明日のこと”を説明し始めるー。
「それで、学校に到着したら
あまり周囲の子とは喋らなくていいから、
無難に卒業式をこなしてー。
話しかけられたら眠そうにあくびしたり
咳き込んだりして誤魔化せばいいから!」
彩智のその説明に、
彩智の姿をしている祐樹は
「普段、学校に行ってるときどんな学校生活を送ってるんだよー…」と、
ツッコミを入れるも、
彩智はお構いなしで「じゃ、説明も面倒臭いし、あとはよろしく!」と、
そう言葉を口にして部屋に戻っていくー。
「お、おい!明日の朝まで元に戻してくれよ!
父さんと母さんにもこの姿見られたらビックリするだろ!?」
彩智の姿で祐樹がそう叫ぶー。
が、彩智は「部屋にいれば大丈夫だよ!」と、
それだけ言うと、そのまま立ち去ってしまったー
「~~~~~~」
あまりにも強引に、卒業式に代わりに出ることをー、
そして、彩智に変身させられてしまった祐樹は、
ひたすら困惑の表情を浮かべることしかできなかったー。
②へ続く
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コメント
この時期になると、ついつい卒業式モノを
書きたくなっちゃいます~★笑
とんでもないお願いをされてしまったお兄ちゃんの運命は、
明日のお楽しみ…★!
今日もお読み下さり、ありがとうございました~!★!

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