<他者変身>バイト先にわたしがもう一人!?②~調査~

①にもどる!

バイト先から、突如として”横領”の疑いを掛けられてしまった
女子大生アルバイト。

”いったいどうしてー?”
そう思っていた彼女は、バイト先に”もう一人のわたし”が
いることに気付くー。

その正体とは…?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ま、待ってください!」

絵梨がシフトに入っていないその日ー、
バイト先に姿を現した”絵梨のそっくりさん”ー

絵梨がレジからお金を抜き取って、
店の外に出て来たその人物に声をかけると、
絵梨のそっくりさんは慌てた様子で逃亡を始めたー。

たまらず、絵梨もその相手を追いかけるー。

絵梨は決して、走るのが早い方ではなかったし、
運動はむしろ苦手だったー。

しかし、相手との距離は徐々に縮んでいき、
やがて、絵梨が”絵梨のそっくりさん”に追い付くと、
その腕を掴んだー

絵梨はまだ知らないものの、
”絵梨のそっくりさん”は、ある力を使って
絵梨に変身している別人ー。

”絵梨”として歩くことや走ることに
そんなに慣れていないために、
走り方がどこかぎこちない走り方になってしまい、
”絵梨本来の走る速さ”よりも遅くなってしまっていたー。

それ故に、追い付かれてしまったー。

「逃がしません!」
絵梨が少し怒りを込めた口調でそう言い放つと、
絵梨のそっくりさんは表情を歪めるー。

「ーい、今、お店からお金、盗みましたよね!?
 どういうつもりですかー!?」
絵梨はそう続けながらも、
”あまりにもわたしそっくり”な相手を見て、
戸惑いを覚えるー。

”そっくりさん”というレベルではないー。
どう見ても”そのもの”だー。
これでは、絵梨が横領の犯人だと思われてしまっても
仕方がないー。

「ーーあ、あなたは一体誰ですかー?」
”どういうつもりですか?”の質問に答えない相手に
不満を覚えながら、
絵梨は、”もう一人の自分”とも言うべきその相手に、
そう確認したー。

すると、絵梨のそっくりさんは言ったー。

「絵梨ー」
とー。

「ーーえ?」
絵梨が心底不愉快そうな表情を浮かべると
「わたしは、永坂 絵梨」と、そう言葉を口にしたー。

「そ、そんなわけないです!
 いい加減にして下さい!
 永坂 絵梨はわたしです!
 同じ人間が二人いるわけなんてないんですから!!」

絵梨が怒りの形相でそう言葉を口にすると、
絵梨のそっくりさんは「ドッペルゲンガー」と、
そう言葉を口にしたー。

あくまでも、”自分が何者か”答えるつもりはないようだー。

絵梨は「ふざけないで!」と、不満を口にするー。

「とにかく、盗んだお金を返して。」
さらにそう言葉を付け加えると、
”絵梨のそっくりさん”は、少しだけ表情を曇らせながらも、
レジの中から抜き取ったお札を、そのまま絵梨に手渡すー。

”妙に素直だなぁ”と、思いつつ
絵梨が「じゃあ、このまま店に戻って店長にー」と、
大滝店長に”絵梨のそっくりさん”を突きだそうと、
そんな言葉を口にするー。

しかしー
突然、絵梨のそっくりさんは絵梨とは反対側に向かって走り出したー。

「あ!ちょっと!待ちなさい!」
絵梨がそう叫びながら、自分のそっくりさんを再び追いかけ始めるー。

絵梨を惑わすかのように裏路地に逃げ込むと、
裏路地の中で複雑なルートを通り、
”絵梨のそっくりさん”は絵梨から逃れようとするー。

がー、
絵梨も執念深く、”絵梨のそっくりさん”を探し回りー、
ついに、その姿を裏路地の中で見つけたー。

しかしー

”絵梨から逃げきった”と、思ったのだろうかー。
絵梨に変身していた人物の姿が”ちょうど変わる”タイミングを
絵梨ははっきりとこの目で見てしまったー。

「ーーーえ…」
バッと、壁に身を隠す絵梨。

”絵梨のそっくりさん”が、絵梨の姿ではなくなりー…
同じバイト先の後輩ー…岡林 歩花の姿になったのだー。

「ーーお、岡林さんー…!?」
絵梨は心底混乱しながら、
身を隠しつつ、その様子を見つめるー

すると、後輩の歩花は
周囲をキョロキョロしながら、
スマホを手にして、どこかへと連絡を始めるー。

「ーーあ…すみませんー
 岡林ですー。お疲れ様ですー」
後輩の歩花がそう言葉を口にするー。

その様子を見つめながら、
絵梨は”だ、誰に電話してるのー?”と、
そんなことを考えていると、
歩花は邪悪な笑みを浮かべながら言葉を口にしたー。

「ーー今、先輩がー
 永坂先輩が、お店からお金を持ち出したみたいでー」
歩花は電話をしながらそう言葉を口にするー。

歩花が連絡している先はー
絵梨や歩花たちのバイト先ー。

絵梨に変身していた歩花が、
あっさりと絵梨に盗んだお金を返したのは、
”絵梨に罪をなすりつけるため”だったー。

「ーーー!」
絵梨もそれに気づくー。

”絵梨の姿をしていた歩花”が、
お店のレジからお金を持ち出したー。

そして、そのお金は今、絵梨本人の手に
渡ってしまうー

これではーー…

「ーーお、岡林さん!」
絵梨はたまらず物陰から飛び出すと、
「ーーどうやったのか分からないけど、
 わたしの姿でお金を盗んだりしてー…!
 いったい、どういうつもり!?」と、そう声を上げるー。

すると、歩花は少し驚いた表情を浮かべながらも
慌てて逃げ出すー。

すぐに追いかける絵梨ー。

しかし、大通りの方に逃げ込んだ歩花の姿は
いくら探しても見つからなかったー。

「ーせ、説明しなくちゃー…」
絵梨は”わたしの姿で盗まれたお金”が、自分の手にあるこの状況を
非常にまずいと思いながら、
慌てて自分のバイト先の方に向かって走り出すー。

そして、店の中に駆け込むと、
先程”偽物”の絵梨に話しかけられていた
今日、シフトに入っている1歳年上のバイト・美智子の姿が見えたー。

大人しい性格の美智子は、絵梨の姿に驚いた表情を浮かべるー。
常連客の男も、少し驚いた様子で「ーんん?」と、困惑した表情を浮かべるー。

そんな中、
すぐに大滝店長も奥から出て来たー。

既に後輩バイト・歩花からの連絡を受けて
絵梨が”また”金を盗んだ、と、そういう扱いに
なってしまっているのかもしれないー。

「て、店長ー」
絵梨がそう言葉を口にすると、
大滝店長は「ガッカリだよー」と、そう言葉を口にするー。

”今度こそ”
絵梨に愛想を尽かしたかのような表情を浮かべるー。

絵梨は”偽物”から手渡されてしまったレジから盗まれたお金を
これ以上隠しても余計に立場が悪くなると思い、
それを取り出すと、
大滝店長にそれを差し出しながら
”事実”を口にしたー。

「ーー岡林さんが、君に変身していたー?」
大滝店長は呆れ顔でそう言葉を口にすると、
「本当なんです!」と、そう言葉を口にするー。

「ー変身なんて、そんなー」
大滝店長は首を横に振るー。

「ーさっき、お店に来たわたしは偽物でー!」
先輩の美智子に対してもそう言葉を口にするも、
美智子も苦笑いしながら
「ーー永坂さんー…その言い訳はちょっとー」と、
そう言葉を返して来たー。

大滝店長は
「ー悪いねー。これ以上は…守れないー」と、
そう言葉を口にすると、
「警察を呼ばせてもらうよ」と、
店の電話で警察に電話をしようとし始めるー。

”絶体絶命”ー
恐怖を感じると同時に、身体の底から
背筋が凍るような、そんな思いを覚える絵梨ー。

自分が本当にお金を盗んだのであれば
それは因果応報だ。
しかし、絵梨自身が全くそんな覚えがないし、
お店からお金を盗もうとなどと、考えたこともないー。

それなのに、下手をしたらこのまま捕まってしまうという
状況に絵梨は、あまりにも強い恐怖を感じたー。

がー、その時だったー

「店長!」
店の入り口の方から声が聞こえたー。

店長と先輩バイトの美智子、そして絵梨が振り返ると、
そこには絵梨の同い年の男子大学生バイト・紀之の姿があったー。

紀之は今日、午後からシフトに入っていて、
ちょうど店にやって来たタイミングだったー。

「木田くんー」
大滝店長がそう反応すると、
紀之は絵梨の方を少し見つめてから言葉を口にしたー。

「ーーちょうど話を聞いてしまいましたー。
 ーーー…ただ、永坂さんの反応を見ると
 嘘をついているとは思えないんですー」
紀之がそう言葉を口にするー。

「ー…!
 ーー…自分の偽物がいるって話を信じるというのかい?」
大滝店長はそう言葉を口にすると、
紀之は「ー嘘をつくならもっとマシな嘘をつくと思いませんか?」
と、大滝店長にそう指摘するー。

「本当に永坂さんがやっていたとして、
 言い逃れをしようとして
 ”お店に来たわたしは偽物でー!”って言うのは
 あまりにも嘘としてはクソです」

紀之はそう指摘すると、
先輩バイトの美智子も「それは確かにー…」と頷くー。

「ー永坂さんは、店長も先輩も知っての通りー、
 仕事ぶりも優秀だと思いますしー、
 そんな人が金を盗んだとして、
 こんなゴミみたいな言い訳をすると思いますか?」

紀之がそう続けると、
大滝店長は「それは、確かにー」と、困惑の表情を浮かべるー。

「ー店長ー
 永坂さんは”岡林さんがわたしに変身していた”と
 そう言ったんですよねー?

 なら、連絡してみましょう」

紀之がそう言葉を口にすると、
店の接客は美智子に任せて、
絵梨・大滝店長・紀之の三人は、そのまま事務所の方へと向かう。

「ーー…」
一人、店内に残された美智子は心配そうな表情を浮かべると、
「何やら大変そうだね…」と、常連客もそう言葉を口にしながら
小さくため息を吐き出したー。

そして、事務所の方に向かった店長たち三人ー。

紀之はスマホを操作して
後輩の岡林 歩花に連絡を入れると、
そのまま言葉を口にしたー

”はいー。木田さんー?どうかしましたか?”
後輩の歩花が不思議そうにそう言葉を口にするー。

普段、紀之と歩花は”バイト仲間”という間柄でしかなく、
バイト先以外で特別連絡を取り合ったりしている関係ではないー。

そのため、急に紀之から連絡があったことで、
少し驚いた様子が、声にも滲み出ていたー。

あるいはー……
”お金を盗んだ件”で、連絡が来たのかもしれない、と、
動揺しているのかもしれない。

そんな中、紀之が静かに言葉を口にするー。

「ーさっき、お店に連絡してくれたようだけどーー
 そのことについて確認させてもらえるかなー?」
とー。

歩花に向かってそう言葉を口にする紀之。
歩花は先ほど、絵梨がお金を盗んだみたいで、とバイト先に
連絡をしているー。
そのことをまず、紀之は確認したー。

がーー

”はい?何のことですか?
 わたし、そっちに連絡なんてしてませんけど??”

歩花はそう言葉を口にしたー。

電話を受けた店長は、困惑の表情を浮かべるー。

すかさず、店長が口を挟むー。

「岡林さんー忙しいところごめんねー。
 さっき、”岡林さんを名乗る電話”があったんだけどー、
 岡林さん、連絡してない?」
と、そう確認するー。

すると、絵梨の後輩バイトの歩花は
”してませんよー。今、わたし、学校ですしー”と、
少し不快そうな口調でそう言葉を口にすると、
それをスマホ越しに聞いた絵梨も、
口を挟んだー

「今日は、朝からずっと学校?」
とー。

”ーーそうですー。それが何か?”
歩花のそんな返事に、絵梨は店長と紀之の方を見つめる。

紀之は歩花に謝罪をした上で、お礼を口にすると
そのまま電話を終えて、ため息を吐き出したー。

「ーーずっと、学校にいたってー…」
大滝店長がそう言葉を口にすると、
”じゃあ、さっき電話をかけてきたのはー?”と、首を傾げるー。

それと同時に、絵梨も
”さっきわたしに変身していた岡林さんはー…?”と、
困惑の表情を浮かべるー。

紀之はそんな二人を見つめると、
「ーー永坂さんが会った”永坂さんに変身していた岡林さん”も
 偽物ってことでしょうね」と、そう呟くー。

「ーつまり、本当に人の姿に変身して悪さをしている
 ヤバい奴がいるってことですー」
紀之や大滝店長の方を見つめながらそう言うと、
大滝店長は「まさかー…」と言いながらも、
「それじゃ、一体どうすればー…?」と、そんな言葉を
口にするのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーチッー」

絵梨に変身してお金を盗みー、
そして絵梨に追いかけられた際に
後輩バイトの歩花の姿に変身して、
店に連絡を入れた人物は
舌打ちをすると、
また、絵梨の姿に変身すると、
不気味な笑みを浮かべるのだったー…

③へ続く

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コメント

次回が最終回デス~!!

自分の姿で勝手に悪さをされちゃっているなんて、
大変な状態ですネ~!!

結末は明日のお楽しみデス~!!

続けて③をみる!

「バイト先にわたしがもう一人!?」目次

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