<他者変身>変身した状態って妊娠できるの?③~出産~(完)

②にもどる!

”男でも、変身した状態なら妊娠できるのか?”

そんな疑問を抱いた変身能力を持つ男は、
親友と共にそれを実際に試していくー。

そして、その先に待っていたのはー…

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーー!?」
菜月美に変身している敏也が、表情を歪めるー。

”女に変身した状態なら、男であっても妊娠することができる”

ようやく、そんな結果を知ることができた
敏也は”満足”して、菜月美の姿から、
自分自身のー、敏也の姿に戻ろうとしていた。

そんな様子を、安堵の表情を浮かべながら
見つめていた親友の隆司。

しかし、ホッとしていた隆司も、
たった今、変身を解除しようとしていた
菜月美姿の敏也の反応に、一気に不安そうな表情を浮かべたー。

「ど、どうした?」
隆司が、嫌な予感を覚えながら
そう言葉を吐き出すと、
菜月美の姿をした敏也は、困惑の表情を浮かべたまま言う。

「ー…お、俺の姿に戻れない」
とー。

「ーは?なんでだよー?
 まだ気になることでもあるのか?」
隆司がそう言葉を口にするも、
菜月美に変身している敏也は口を閉ざす。

「ーーおいおい、さすがにずっとその姿のまま生きていくわけにも行かないだろー?
 今でさえ、なんとか”湯沢 敏也”が行方不明扱いにならないように
 上手くやってるだけで、これ以上は無理があるし、
 お前も色々困るだろ?」

隆司がうんざりした様子で言う。

「いやーーそうじゃない」
菜月美の姿をした敏也がそう言葉を吐き出すと、
隆司は不満そうな表情を浮かべたまま首を傾げる。

「そうじゃないって?」
隆司が確認のためにそう言葉を繰り返すと、
菜月美に変身している隆司は、
戸惑いの表情を浮かべながら、
言葉を口にした。

「ー変身…解除できないー」
とー。

「ーーはぁ???
 いやいやいやいや、そうやって嘘をついて
 そのままの姿でいるつもりなんだろうけど、
 そうはいかなーー」

隆司は心底うんざりとした表情を浮かべながら
そこまで言葉を吐き出すも、
菜月美に変身している敏也の表情を見て
言葉を止めると、
「お…お前、まさか、本当にー?」と、
戸惑いの表情を浮かべるー。

今回の”変身の件”よりも前から付き合いのある相手
だからこそ、分かってしまうー。

”嘘はついていない”
とー。

「ー…本当に、解除できねぇんだー
 今まで、この感じで変身を解除できたのにー」
菜月美の姿をした敏也は、
”変身を解除して元の姿に戻ることができない”
という状況を前に、さすがに焦りを感じ始めたのか、
動揺したような表情を浮かべるー。

「ーーま、待て。いったん落ち着け。
 俺は変身能力なんて持ってないから、
 どういう感じで変身を解除するのか
 俺には分からないけど、
 とにかく落ち着いてもう一度やってみろ」

隆司がそう言うと、
菜月美の姿をした敏也は静かに頷いてから、
深呼吸をして、もう一度変身を解除しようとする。

しかしー…

「できないー」
菜月美の姿をした敏也は、そう言葉を口にすると、
戸惑いの表情を浮かべたー。

しばらく沈黙する二人ー。

が、やがて、菜月美に変身している敏也は
「ー男が妊娠することはできないー
 けど、女に変身したまま俺は妊娠しちまったー 
 このまま変身を解除すると、男に戻っちまって
 決定的な矛盾が生じてしまうから、
 変身を解除できなくなっちまったー…ってことかー?」と、
一人でボソボソと呟き始めたー。

「お、おい、大丈夫かー?」
ボソボソ呟き始めた菜月美の姿をした敏也を前に、
心底心配そうな表情を浮かべる隆司ー。

が、菜月美の姿のまま敏也はニヤッと笑うと、
「隆司ー。これも新しい発見だぞー」と、そう言葉を口にすると
「いいじゃねぇかー。へへ。こうなったらこのまま出産してやらぁ」と、
そんな言葉を口にするー。

「は…はぁ!?!?い、いやいやいやいやー
 それは流石にダメだろ?
 どこで出産するつもりなんだよ!?
 それに、前も言ったけど、産まれてきた子供はどうなる?
 お前の変な好奇心に付き合わせられて
 産まれて来る子供は、おもちゃじゃないんだぞ!?」

隆司はうんざりした様子でそう繰り返したー。

その上で
「その子供、産むのは流石にまずいだろー?
 なんか、あったよなー?妊娠が判明したあとに
 子供を産まずに済むやつー…なんだったっけー?」と、
そう言葉を口にするー。

が、菜月美に変身している敏也は
その言葉を聞かずに、己の好奇心を優先したー。

「ー俺は産む」
菜月美の姿をした敏也の言葉に、
隆司は呆然としながら「お前…マジかよー」と
やっとの思いでそう言葉を吐き出すのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

結局、敏也が変身を解除できない理由は、
”女に変身したまま、妊娠してしまったから”なのか、
”菜月美に変身してから、変身を一度も解除することなく半年以上経過したから”なのか
それはハッキリとは分からなかったー。

とは言え、”妊娠”したのはやはり事実なようでー、
次第に、菜月美に変身した敏也のお腹は大きくなりつつあったー。

「~~~~~~…」
隆司は、明らかに妊娠しているのが分かる状態になった
菜月美姿の敏也を見て、
「ーくそっ、頭がおかしくなりそうだ」と、困惑の表情を浮かべる。

今でも大学に通っている隆司は、
”本物の菜月美”とも顔を合わせる機会があるー。

本物の菜月美は当然妊娠などしていないし、
今でも普通に大学生活を送っているものの、
帰宅をすると、妊娠をしている菜月美がいるー。

そんな状況に頭がおかしくなりそうだった。

しかも、”菜月美に変身した敏也”は、
男でありながら、そのまま妊娠した子供を出産しようとしているー。

もはや、生物として何か甚大な間違いを犯そうとしているような
そんな気持ちになりながらも、
隆司にはもう、どうすることもできなかったー。

「っていうか、どうするんだよこの先!
 病院も行ける状況じゃないのに!」
隆司が真っ青になりながら言うー。

”勝手に菜月美の姿を使っている”状態の
敏也が、病院に行くのは難しいー。

当然、”あなたは誰ですか?”ということになるだろうし、
森内 菜月美を名乗って、無理に病院の診察を受けても、
別の場所にちゃんと”本物の菜月美”がいるわけで、
出産を無事にクリアしたとしても、
その先に問題が生じてしまう可能性も高いー。

「ーやっぱり、今からでもー」
隆司がそう言うと、
菜月美に変身している敏也は
「もうここまで来たらどうすることもできないだろ?
 産むしかねぇよ」と、笑みを浮かべながら言葉を口にしたー。

”に、しても、まさか俺がこんな風に妊娠するなんてなぁ”
”俺が産む側になるなんて、全く想像してなかったぜ”
”なんか、こうしてお腹を見ていると、母性が膨らんでくるなぁ”

などなど、そんな言葉を口にしながら、
妊娠した状態での生活を送っていく、菜月美に変身している敏也。

隆司は呆れた表情でそんな様子を見つめながらも、
やがて、親友の敏也ー…
菜月美に変身している敏也が、一人で何かをするには
色々支障が出てくるようになったため、
隆司がサポートしながら生活を続けるー

「ーーーーっ…大体なんで俺が
 妻でも彼女でもないお前をこんな風にサポートして、
 まるで夫みたいなことをしないといけないんだよー?」
隆司が不満そうに言葉を口にすると、
菜月美に変身している隆司は、少しだけ笑いながら
「へへー将来の予行練習だと思って、な?」と、
そう言葉を口にする。

「ーに、しても、そろそろ”どうするか”は考えておけよー?
 もし、このまま出産するとなったら、その時はどこで出産するのかー」

隆司が心配そうに呟くー。

「ーーへへへ 分かってるよ どうにかするって」
菜月美に変身している敏也はニヤニヤしながら
そう言葉を口にすると、
そのまま”へへーそういや、病院も行けてないから男が産まれるのか、
女が産まれるかも分からねぇな”と、
嬉しそうに笑うー。

「~~~~…」
”本当に大丈夫なのだろうか”
隆司はそんなことを思いつつ、険しい表情を浮かべたー。

やがてーー

”その日”はやってきたー。

菜月美に変身している敏也が
苦しそうにしながら
「そ、そろそろー…産まれそうだー」と呟くー。

「ーーっっ、ど、どうするんだよ!?」
隆司がそう言葉を口にすると、
「ーこ、ここでーー産むー」と、
菜月美に変身している敏也がそう言葉を口にしたー

「は…はぁ!?!?」
隆司は困惑した様子で声を上げるー。

てっきり、菜月美に変身している敏也は
”ちゃんと”このあとどうするのかを考えているのだと
そう思っていたものの、
そんなことはなかったー。

敏也は”何も”考えておらず、
もしも産まれそうになったら、
隆司に手伝って貰えばいい、と、そう考えていたー。

「ふ、ふ、ふざけるなよー!?
 お、俺に出産のサポートなんてできねぇぞ!?」
隆司は動揺しながらそう言葉を口にするも、
菜月美に変身した敏也は苦しそうにしながら、
それ以上返事はしなかったー。

「くそっ…ーー肝心なところでどこか適当なんだよなお前はー」
隆司はそう言葉を口にするも、
菜月美に変身した敏也は、苦しそうにしていて、
まともに会話が成立しない状態ー。

そんな状態を見ていて、さすがに不安になってきてしまったのか
「ーい、今、救急車呼ぶから」と、
そう言葉を口にしながら、隆司はスマホを手にするー。

しかし、その言葉に苦しんでいる様子だった菜月美に変身した敏也は
うめき声を上げながら、叫んだー

「病院はーーーやめろー」
とー。

自分は”森内 菜月美”ではない。
救急車を呼ばれても、森内 菜月美としての身分証明証はないし、
身元を調べられてしまったら、”本物”にもこのことが
知られてしまう可能性があるー。

それに、仮に本物の耳に届かなかったとしても、
いつかは”子供を産んだ記憶がないのに、子供がいることになってる”と、
本人が気付くことになるはずー。

「病院はーー…」
菜月美の姿をした隆司がなおも必死に叫ぶー。

がーー

「うるせぇ!このままじゃ危険だ!」
隆司はそう反論すると、
スマホを手に、救急車を呼び始めるー

「くそっ…や、やめー う…うぁああああ…」
菜月美の姿をした敏也は、隆司を止めようとするも、
この状態ではそれも叶わず、
救急車を呼ばれてしまい、やがて救急車が到着、
菜月美の姿をした敏也は、そのまま病院へと
搬送されていくのだったー。

もう、どうすることもできないー。

”女に変身したままなら、男でも出産できるのかー”と、
痛みの中、そんなことを感じつつ、
病院の人たちに言われるがままに、子供をなんとか
産み出そうとするー。

”ーまさか、俺がこんなことをすることになるなんてなー”
今、必死に赤ちゃんを出産しようとしている自分自身に
自虐的に笑いがこみあげて来る状況の中
”この先、どうすりゃいいんだろうなー?”と戸惑うー。

隆司が”森内 菜月美”だと敏也のことを説明してしまったー。
が、”本物”は今も普通に大学に通っているー、
本物にバレるのも時間の問題で、
それが原因で”トラブル”に発展するのももはや
時間の問題だー。

ただー、今はそんなことよりも、
早く出産を終えたい、というそういう気持ちも強かったー。

どのぐらい時間が経過しただろうかー。
無限にこの時間が続くのではないか、とさえ思えてしまうような
状況の中、ようやく赤ちゃんの泣き声が聞こえて、無事に
出産は終わるー。

”俺みたいな変身能力があれば、男でも出産できるってことだなー”
出産を終えた菜月美の姿をした敏也はそんな風に思うー。

が、周囲がどよめき始めた。

「ーーー…???」
菜月美の姿をした敏也は
戸惑いながら周囲の様子を伺っていると、
やがて、たった今、自分が出産した赤ちゃんの”顔”が見えたー。

その顔はー、”敏也”の顔そのものー。
赤ちゃんなのに、”大学生の敏也の顔”そのもので、
泣き声も、よく聞くと敏也の声そのものだったー

「ーな… ひっ…!?!?」
思わず悲鳴に似た声を上げる菜月美に変身している敏也ー。

”変身能力で女に変身した状態で出産した赤ちゃん”はーー
”本来生まれるはずのない赤ちゃん”

”普通ではあり得ない”
敏也の顔そのものという状況で生まれた赤ん坊を前に、
菜月美の姿をしたままの敏也は、恐怖を感じることしかできなかったー。

そしてーー
数日後、隆司は敏也と縁を切って逃亡ー、
二度と敏也の前に姿を現すこともなく、
敏也は変身を解除することもできないまま、
大変な目に遭うのだったー…

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

恐ろしい(?)結末になってしまいました~…!

もしもこの先、産むことになったら(現時点で予定なしデス)
この話を思い出しちゃいそうで、少し怖くなりました~笑

お読み下さりありがとうございました~~!★

「変身した状態って妊娠できるの?」目次

作品一覧

コメント

  1. 匿名 より:

    う~ん、何ともホラーで不気味な結末になってしまいましたね。

    確か皮モノとかでは普通に妊娠出産してるような物が多かったですが、少なくともこの作品では普通に産むのは無理だったようですね。

    あと、ふと思ったんですが、妊娠状態の女性をもし皮にしたらお腹の赤ん坊はどうなるんでしょうね?
    一緒に皮の一部になるのか、それとも?

    • 無名 より:

      感想ありがとうございます~~~!★

      皮とか、憑依の場合は、
      相手の身体を乗っ取っているので、ちゃんと出産できる感じですネ~~!

      妊娠状態から皮……!
      大変なことになりそうデス…!