他人に変身する力を手に入れて、
その力で、変身を繰り返して来た男ー。
しかし、やがて彼は、
”自分のこと”を思い出せなくなってしまいー…?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーー俺は、誰だー…?」
ふと、道端を歩いていた
ツインテールの女が、そう言葉を口にしたー。
「ーーー……」
彼女ー、近くの高校に通う
住原 麻紀(すみはら まき)は、戸惑いの表情を浮かべながら
「ーー……分からないー」と、呟くー。
”彼女”はー、
住原 麻紀は、別に記憶喪失にはなっていないー。
今も”別の場所”で、まさか自分と同じ姿の人間が
もう一人いる、などとは夢にも思わないまま、
生活を続けている。
ここにいる”住原 麻紀”は、偽物ー。
住原 麻紀と全く同じ姿に変身した”男”ー。
が、麻紀の姿に変身した男は今、
あることに戸惑っていたー。
それはー
”元の自分が誰なのか”を、思い出すことができなくなってしまったのだー。
「ーー俺は…誰だー?」
麻紀の姿をしながら、そう呟くー。
自分が誰なのかも分からずー、他人の姿でしばらく街を歩く
麻紀の姿をした男ー。
通りがかった家電量販店では、
”行方不明”になってからちょうど1年が経過した逃亡犯・
小野沢 和哉(おのざわ かずや)の
”事件発生から1年”を伝える報道がテレビで流れているー。
そんなことを気にすることなく、
麻紀に変身した男が、道を歩いていると、
「ーあ、麻紀~、どうしたの?こんなところに一人でー」
と、そんな声を掛けられたー。
「ー!」
麻紀の姿をした男は「あ、いやー…ちょっと、散歩ー」と、
それだけ言葉を口にして、足早に立ち去るー。
誰に変身しても、
その”変身相手の記憶”を読み取ることはできないー。
憑依とか、入れ替わりとか、
そのあたりで他人の身体を手に入れれば
記憶も読めるのかもしれないー。
ただ、”男”の使っている変身能力は
残念ながら、記憶を読み取ることは出来なかったー。
だから、今のように急に”変身対象の知り合い”から
声を掛けられても、まともに相手をすることができないのだ。
男は、これまで、たくさんの人間に変身してきたー。
理由は単純明快ー…
たぶん”己の欲望”を満たすためだー。
自分のことを忘れてしまった今、この瞬間ではー、
元々の自分がどうやって”変身能力”を手に入れたのか
そして、どうして”変身したい”などと思ったのか、
それらは思い出すことができなかったものの、
麻紀に変身している今、この状態にドキドキしているしー、
きっと、”欲望を満たすため”に変身を始めたのだろうー。
そう思いつつ、トイレにやってくると、
トイレの個室で麻紀の身体を堪能し始めるー。
この身体で、どこを触ると気持ちよくなるのかを
色々試しながら、嬉しそうに声を上げるー。
ふと、麻紀の姿で、存分に気持ち良さを味わいながら
”別に、この子本人の身体を使ってるわけじゃないしー
誰にも気づかれなきゃ、誰にも迷惑かけてないよなー?”と、
そんな風に思いつつ、お楽しみを続けるー。
”憑依”や”入れ替わり”とは違い、
男は今、麻紀の姿をしていて、
見た目だけではなく、体内の組織に至るまでー
記憶以外の部分は完全に変身対象の”麻紀”になっているー。
が、そうは言っても、男の能力はあくまでも変身ー
今、麻紀がトイレで気持ちよさそうな声を出しているこの瞬間も
”本物の麻紀”は、どこかで普通に生活していて、
少なくとも、本人の人生を奪ったりはしていないー。
この姿のままで、悪事を働くならともかく、
単に個人的に誰にも見られない場所で遊んでいるだけならー、
”本人がそれを知りさえしなければ”
誰にも迷惑は掛からないー、と、男はそう思ったー。
本人が”わたしの姿でHなことを楽しんでるー”と知ってしまったら
それは当然、イヤだと思うし、恐怖も感じるとは思うー。
がー、それはあくまでも”知ってしまったら”の話だー。
そんなことを考えながら、麻紀の姿で
トイレの個室から出ると、
まだ興奮が冷めやらない様子で、少し顔を赤らめながら
笑みを浮かべるー。
「ーーーーーに、しても、俺は一体誰なんだー?」
麻紀の姿のまま、そう呟く男ー。
自分が変身能力を使って、他人の姿に変身を繰り返して来た人間で
あることは分かっているー。
そして、つい最近まで”ちゃんと記憶があった”と、いうこともー。
「ーーーくそっー。これじゃ、家も分からんー」
麻紀の姿のまま、男はそう呟くと、
「ーーそうだー」と、”元の姿に戻ればいい”と、
そんな言葉を口にするー。
しかしー…
”元の姿”に戻ろうとして、
麻紀の”変身”を解除するー。
がー…
「ーはぁ…!?」
自分の手を見つめながら、自分がスカートを履いていることに気付くと、
慌ててさっきまでいた女子トイレに戻っていくー。
鏡で、改めて自分の姿を確認すると、
そこには”眼鏡かけた可愛らしい女”の姿があったー
「ーい、いやいやいやー
え…俺、”男”だと思っていただけで女なのかー?」
変身能力を駆使する男ー
いやー、男かどうかも自信がなくなってしまった彼は
戸惑いながらそう言葉を口にするとー、
「い、いやー、待てー」と、途端に女子トイレにいることを
不安に思い始めるー
何故なら、他人に変身してHなことを
楽しんでいるぐらいだからー、
もしかしたら、元々の自分も女装を楽しむようなー
そんな”変身願望”があったのかもしれないー。
もし、これが女装ならー、
女子トイレに入っている現在の状況はまずい、と、
そう思ったのだー
思わず、スカートの中に手を触れて、
アレがついていないかどうかを確認してしまう
変身能力の持ち主である彼(?)ー。
「つ、ついてないー」
”ついていない”ことを確認した彼は、
呆然とした表情を浮かべながら、
改めて鏡のほうを見つめると、
「お、俺ー…女だったのかー?」と、
そう言葉を口にするー。
記憶を失った状態ながらも、
何となく、自分は男であると、
そんな風に、普通に思い込んでいた彼。
しかし、変身を解除した状態でも、
”女”となるとー……
「ーーー……いやいやいやー、でも待てー
どう考えても、気持ち的には俺は男だー
”これ”が俺の姿とも限らないー」
眼鏡をかけた可愛らしい姿を
鏡で見つめながら彼はそう呟くと、
「とにかく、この辺をもう少しウロウロしてみよう」と、
そう言葉を口にするー。
この辺りをウロウロしていれば、自分が何者なのか
思い出すかもしれないー。
そう思ったのだー
「ーーーーー」
がー、歩いているうちに
”スカートを履いた状態で歩く”ということ自体に
妙にドキドキしていることに気付いた彼は
”やっぱり、俺は男だったのではー?”と、
そんな風に考えるー。
”何か俺の能力にエラーが起きて、
俺じゃない姿に戻ったのかもしれない”と、
駅の前の建物のガラスに反射した、
”眼鏡をかけた美少女”の姿を見つめながらため息を吐き出すー。
”これが俺”であれば、
今の彼自身にとってはとても嬉しいことだー。
しかし、どうしても”この姿”が、自分自身の姿だとは思えず、
もう少しだけ色々と試してみよう、と、そんな風に思い始めるー。
「ーーうん、それでね~部長がー」
「ーあはは、何それ~」
ふと、OL二人組が、楽しそうにオフィスビルから
出て来る姿が見えたー。
”へへー…あの二人のどっちかに変身するかー”
そう思いつつ、物陰に身を潜める彼ー。
「に、してもコイツ、捕まらないよなぁ~」
「もう死んでたりしてなー」
ふと、そんな声も聞こえて、
そちらの方を向くと、中年のおじさん二人が
1年前に事件を起こして現在も逃亡中の犯人・小野沢 和哉の
事件について、新聞の記事を指差しながら
何やら話をしているのが見えたー。
「ーー」
が、彼は何故だか男に変身する気は沸かず、
男を見ても、変身対象にしようとは思えなかったー。
「ーーーーーー」
眼鏡をかけた美少女の姿をしている彼は
少し戸惑いながら、
”やっぱ俺、元々は男なんじゃー?”と、
そんな風に考えるー。
”そもそも、記憶がないのに当たり前のように自分のことを
俺って言ってる時点で、たぶん俺は男だよなー”
そんなことも考えながら
二人組のOLの一人を見つめると、
”変身”するための力を使うー。
「あっちの子にするかー」
そう思いつつ、ターゲットの子を見つめたあとに、
物陰に身を隠すと、その子の姿に変身してみせる彼ー。
OLの姿になった彼は、
「ーーへへへーいい感じだぜー」と、
服の上から身体を触ると、
「”確かめる”前に、この身体で少し遊ぶとするかなー」と、
路地裏に入り込んでから、身体のあちらこちらを触りながら、
欲望を堪能していくー。
「へへー…♡ へへへへへへー」
OLに変身している彼は、
満足そうに笑みを浮かべると、
「同性でも、人によってやっぱ全然違うよなー」
と、胸を揉みながら笑うー。
同じ男でも、同じ女でも、
違う人に変身すれば、色々な感覚が変わるー。
身体つきも、髪も、手も、足も、声も、
女の身体であれば胸も、何もかもが違うー。
あらゆることの感じ方も人によって異なるために、
色々な人間に変身していると、
そういった違いにまでドキドキできるようになってくるー。
「へへへー…」
十分に、変身したOLの身体を堪能すると
満足そうに笑みを浮かべながら彼は
”さて…変身を解除するかー”と、そう言葉を口にしつつ、
自分自身が元々誰だったのかも分からなくなってしまった状態でも
忘れていない、”変身”の解除を試みるー。
がーーー
変身を解除すると、OLの姿から
また、先ほどの眼鏡の美少女の姿へと戻るのだったー。
「ーマジかー…?やっぱり、これが俺なのかー?」
彼は自分の姿を見つめながら、困惑した様子を浮かべるー。
自分の顔とは思えないほど可愛い顔に、
綺麗な肌ーー
「俺、こんな美少女だったのかー?」
変身を繰り返し過ぎたことで、自分のことが分からなくなってしまった
彼は、不思議そうにそう呟きながら、
その顔を見つめるー。
「ーでも、”これ”が自分の姿だとすると、
自分にドキドキしてるってことになるし、
それはそれで変な気分だなー」
思わず、自虐的に笑う彼ー。
がー、見れば見るほど、やはりこの姿は自分の姿だとは
思えないー。
悲しいことにー
”こんな美少女が俺であるはずがない”と、
そう思ってしまうー。
「ーーいや、待てよー、女に変身しているから、
解除したときに”女版の俺”みたいな感じに
なっちゃうのかもしれないなー」
眼鏡の美少女姿でそう言葉を口にすると、
「仕方ねぇーなんか気乗りしないけど、男に変身してみるか」と、
そう呟くー。
男への変身に乗り気ではない状態と、
自分の一人称、
女に変身しているとドキドキする感覚から
”やっぱ俺は男だろ???”と、そう思ってしまう彼ー。
そうこうしているうちに、彼は
家電量販店の近くまでやってくると、
店先のテレビで流れている
逃亡中の犯人・小野沢 和哉のニュースを見つめている青年を見て、
「あいつでいいかー。男に変身する趣味はないしー」と、
そう思いながら、眼鏡の美少女の姿をしている彼は、
その青年にこっそりと変身したー。
”よしー、これで、さっさと変身を解除しよう”
男に変身すれば、変身を解除した時に
自分本来の姿に戻れるのではないかー。
そう考えた彼は、早速それを実行に移したー。
がー、やはり、
変身を解除すると、先ほどまでと同じ、
眼鏡の美少女に戻ってしまったー。
「ーーーー」
眼鏡の美少女の姿に戻った彼は
しばらくの間、ガラスに反射する自分の姿を見つめていたものの
”やっぱ、これが俺なのかー?”と、
そう言葉を口にしてから
「ーーか、可愛くて最高じゃんー」と、ニヤニヤと笑みを浮かべたー。
そういえばー、自分の家も分からないー。
そんな風に思いつつ、困惑の表情を浮かべた彼は
”なんとか、俺の名前ー、調べられねぇかなー”と、
そう思い、行動を起こすー。
そして、必死に調べ回った結果ー、
”眼鏡の美少女”の名前は、
千代田 美咲(ちよだ みさき)であることが分かったー。
「ーへ…へへーってことは、俺は千代田 美咲ってことだなー」
美咲の姿をした彼は、そう言葉を口にすると、
静かに笑みを浮かべたー。
②へ続く
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コメント
変身を繰り返しすぎて、自分を見失ってしまった彼(?)の
物語デス~!!
彼は一体何者なのか、
明日の②で見届けて下さいネ~!
今日もありがとうございました~~!

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