妹に”憑依”のことを問い詰められた兄ー。
大事な妹からの追及に、
兄は戸惑い、困惑するー。
そんな中、信じられない出来事が起きてしまい…?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「お前の妹の身体は頂いたー」
信じられない言葉を口にする妹の麻里奈ー。
「ーなっ……ま、ま、麻里奈…?」
呆然とする兄の竜聖ー。
「ーーへへー何を驚いてるー?
”お前”だって、他人に憑依して
好き勝手やってるんだろー?
それと同じことをしたまでのことさー」
麻里奈が、いつもとは違う表情で
そう言葉を口にするー。
穏やかなその雰囲気は消えー、
強気な笑みを浮かべている麻里奈ー。
「…は、ははー
ま、麻里奈ー…ど、ドッキリにしちゃー
す、すごいこと言うなぁー…
で、でも、俺は憑依なんて知らないしー
そ、そんなことー」
竜聖は、なおもそんな言葉を口にするー。
”憑依”のことは、あくまでも隠したい様子だったー。
がーー
「ーードッキリ?」
麻里奈は少しだけ表情を歪めると、
突然、自分の胸を両手で揉み始めたー。
「ーーなっ…!?」
青ざめる竜聖ー。
「ーお前の妹が、自分の意思でこんなことするのかぁ??」
麻里奈はそう言いながら、顔を赤らめて、笑みを浮かべるー。
「ふふっーお前の妹は、お兄ちゃんの前で
こんなことする変態なのかぁ~?」
胸を揉みながら言う麻里奈を前に、
竜聖は青ざめると、「ま、ま、ま、麻里奈!や、やめろ!」と、
そう叫ぶー。
「ーだったら”俺”の質問に答えろー
憑依薬、”お前も”買ったんだろー?」
麻里奈がそう言い放つー。
竜聖は「ひ、ひ、憑依薬なんてー」と、
また”知らない”と、言おうとするー。
しかしー、麻里奈は
「ーじゃあ、次はスカートでも脱がせるか?」と、
不気味な笑みを浮かべ始めるー。
竜聖は震えながら
「や、や、やめろー分かったー……
麻里奈に手を出すなー」と、そう言葉を口にすると、
「ひ、憑依薬は確かに、買ったー」と、それだけ言葉を口にしたー。
「ーーー…ふんー最初から素直にそう言えばいいものを」
スカートを脱ごうとしていた麻里奈が手を止めると、
「ーーお前の妹の身体と、”憑依薬”を交換だー」
と、麻里奈はそう言葉を口にしたー
「なんだと…?」
竜聖が表情を歪めるー。
すると、麻里奈は言ったー。
「ー俺の買った憑依薬は、もう”残りあとわずか”でねー。
でも、まだまだ色々なやつに憑依したいー。
だから、お前の憑依薬を貰おうと思ってなー」
とー。
「ーーぐ…」
竜聖は表情を歪めるー。
「お前の持つ憑依薬と、お前の妹を交換しようじゃないかー」
麻里奈は邪悪な笑みを浮かべながら、竜聖にそう迫るー。
竜聖は震えながら、
どう返事をしようか必死に頭の中で考えるー。
が、”憑依”でしか味わえない快感を頭の中に思い浮かべて
なかなかすぐに返事はできなかったー。
「へぇ~…じゃあ、仕方ないなー
俺の憑依薬はもうこれで最後だしー、
憑依薬を貰えないっていうんならー
この女の身体で、たっぷり遊びまくるしかー」
麻里奈はそう言いながら、家の外に向かって
歩き始めるー。
「ーーーー…ま、待って!待ってくれ!
ま、麻里奈の身体を返してくれ!
ひ、憑依薬なら、渡すから!」
竜聖が泣きそうになりながら叫ぶー。
立ち止まった麻里奈は少しだけ笑うと、
「ーへぇー。なら、憑依薬を全部よこしなー」と、
そう言葉を口にしながら、戻って来るーー。
竜聖はまだ名残惜しそうにしていたものの、
妹の麻里奈の顔を見て、悔しそうに
「ー麻里奈を見捨てることは、俺にはできないー」と、
一人呟くと、そのまま部屋に憑依薬を取りに向かうー。
やがて、部屋に入ると、
麻里奈も一緒に後から部屋に入ってきて
「全部出せ」と、そう言葉を口にしたー。
「ーー……」
竜聖は表情を歪めながらも、
抵抗すれば麻里奈がどんな目に遭わされるか分からない、と
そう震えながら、大人しく憑依薬を取り出すー。
「ーこれで、本当に全部かー?」
麻里奈が、表情を歪めながら言うー。
「ぜ、全部ー…全部だよ!」
竜聖はそう言い放つと、麻里奈は
笑みを浮かべながら憑依薬を見つめるー。
「ーー”もしも嘘”だったらー、
この女はーー」
麻里奈はそう言うと、部屋の中のはさみを手に、
それを自分の首筋に突き付けて見せるー。
「ーや!やめろ!やめてくれ!!」
竜聖は泣き叫ぶようにして声を上げるー。
「ーー嘘だったら、この女は”処刑”だー。
本当に、これで全部なんだな?」
ハサミを自分につきつけながら言う麻里奈に対して
「う、嘘なんかじゃない!本当だ!」と、竜聖は涙目で叫ぶー
「妹の命がかかってるのに、嘘なんかつくわけないだろ!!」
竜聖が涙目で叫ぶと、麻里奈は笑みを浮かべながら
ハサミをその場に投げ捨てたー。
麻里奈はすぐに、1階に向かうと、
そのまま玄関の方に向かったー
「ま、ま、待て!麻里奈を返せ!」
竜聖がそう叫ぶー。
が、麻里奈は言ったー
「おいおいー、俺が憑依薬を回収するには、
これを一旦、どこかに持って行かないといけないだろ?」
憑依薬を手にしながら言う麻里奈ー。
麻里奈の身体のまま、憑依薬を飲むわけにはいかないし、
かと言って、”俺”がここに回収しに来るわけにもいかないー、と。
あとで、自分の身体で回収するためにいったんこれを
駅のコインロッカーにでも入れて来るから、
そこで待っていろ、と、麻里奈はそう言葉を口にしたー。
「ーーー…麻里奈の身体で、変なことしないだろうなー…?」
竜聖がそう言葉を口にすると、
麻里奈は「しないさー。恨まれても面倒だしなー」と、
そう言い放ちながら、玄関に向かうー。
「ー俺がコインロッカーにこれを預けたら
この女は解放するー。
それでいいだろう?
ただしー…後をつけてきたら
俺が気付いた時点で、この女は”処刑”するから
絶対についてくるなよー?」
麻里奈の脅すような口調に、竜聖は震えるー。
「つ、ついていかないー
け、けどー、どのぐらいで解放するつもりなのか教えろ!」
竜聖が言うと、麻里奈は「1時間以内には帰らせるー」と、
それだけ言い放ったー。
玄関の扉に手を掛ける麻里奈ー。
麻里奈は去り際に、竜聖に向かって言ったー。
「ー”誰かの大事な人に憑依する”ってことはー、
”自分の大事な人も憑依されるかもしれない”ってことだー
よく覚えておくんだなー」
とー。
「~~~~~…」
竜聖は身体を震わせながら「あ、あんたは誰だー…!?」と、
そう言い放つー。
が、麻里奈は少しだけ笑うと、
「ーー答えるわけないだろ」と、それだけ言葉を口にして、
外へと歩いて行ったー。
竜聖は、麻里奈を尾行するかどうか迷ったー。
がー、もしもそれに気づかれれば、麻里奈は”処刑”されてしまうかもしれないー。
竜聖は、相手が”交渉”に乗ることを信じて、
そのまま”待つ”ことしかできなかったー。
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最高の時間だったー。
クラスメイトに憑依して、
いつもは言わないようなセリフを言わせたりー、
いつもしないような表情をしたりー、
胸を触ったり、鏡にキスをしたりー。
バイト先の先輩に憑依して、
色っぽいポーズを取ったり、
”好き”と言ってみたりー、
時には先生の身体でHなことをしたりー
とにかく、最高だったー
けれどー…
「ー麻里奈の命がかかっちゃったらー…
ー手放すしかないよなー」
竜聖は、名残惜しそうにそう言葉を口にするー。
今はただ、麻里奈が無事であってほしいと、
それだけを願いながら、竜聖は麻里奈が解放されて帰って来るのを待つー。
そしてーー
玄関の扉が開くとー、
そこにはー、”麻里奈”の姿があったー
「ーーお兄ちゃんー…」
怯えた表情の麻里奈ー。
竜聖は、そんな麻里奈を見て
「ごめんなー…ごめんなー俺のせいでー。
もう2度と、憑依薬なんて使わないし、買わないからー
巻き込んで、本当にごめんー」と、
謝罪の言葉を口にしたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
数日後ー
妹の麻里奈を救うために、残る憑依薬の全てを
渡した竜聖は、物足りない日々を感じながらも、
”麻里奈が無事でよかった”と、麻里奈の無事を
心の底から喜んでいたー。
学校にやってくると、
かつて憑依した天坂 麗香や、克美のことを
見つめながら、”自分が憑依していた時”のことを
思い出して、少しだけドキドキしてしまうー。
けれど、もう憑依することはできないー。
憑依薬を手にすることで
妹の麻里奈が狙われてしまうのであればー…
名残惜しいけれど、もう憑依薬を手にすることはできないー。
麻里奈の存在は、竜聖にとって
それほど大事な存在だからー。
「ーーー…」
それにー
麻里奈が憑依されて、初めて分かったー。
自分の身の周りの人間が”憑依”されてしまうということが、
どれほど恐ろしいことで、どれほど辛いことかー、
と、いうことがー。
「ーー…忘れようー…憑依薬のことはー」
竜聖はそう言葉を口にしながら、小さくため息を吐き出すと、
今日も勉強に集中するために、
黒板の方を見つめるのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
文化祭の準備が終わり、
麻里奈は自分の所属する部活の出し物の
最終確認をしていたー。
「ーー宮内さん、どう~?
準備は順調~?」
同じ文化祭実行委員で、
兄・竜聖が”憑依薬を購入した”ということを麻里奈が知るきっかけを作った
佳代がやって来るー。
「あ、太宰さんー
うん、もう最後の打ち合わせは終わったよ」
麻里奈が微笑みながら言うと、佳代が「そっか~」と、
そう言葉を口にしながら、その教室内に作られた”舞台”を見つめるー。
「ー明日はわたしも、見に来るからねー。
宮内さんの”演技”すっごいんだもんー
何かが乗り移ってるみたいで興奮するしー」
オカルト系の話が好きな佳代がニヤニヤしながら言うと、
「ーーこ、興奮はしないでよー」と、麻里奈が苦笑いするー。
麻里奈は、演劇部に所属していて、
高い演技力で、先輩部員たちからも褒められて
”将来は部長だね!”などと、そんなことを言われているほどー。
「ーーあははー…まぁ、明日、がんばって!」
佳代はそれだけ言うと、そのまま立ち去っていくー。
一人残された麻里奈は、
明日の準備の最終確認を終えると、
少しだけ溜息を吐き出したー。
”ーお兄ちゃんが、憑依をやめてくれて本当によかったー”
そう思う麻里奈ー。
大好きな兄・竜聖が憑依で他人の身体を勝手に使っていると知った麻里奈は
何とかそれを止めようと考えたー。
そして、麻里奈は
”憑依された演技”をしたー。
”お兄ちゃん”が自分のことを大切に思ってくれているのは、
麻里奈もよく分かっているー。
だから、”憑依された演技”をして、憑依薬を要求すればー、
”わたしを助けるために憑依薬を全部渡してくれるー”
そう、思ったー。
”お兄ちゃん”を騙すようなことは本当はしたくなかったし、
憑依された演技なんて恥ずかしかったし、
もしも、お兄ちゃんが”憑依薬はそれでも渡せない”と言って来たらー?という
不安もあったー。
でも、それでも麻里奈は”他人に憑依するお兄ちゃん”を止めたかったー。
だから、憑依された演技をして
”妹を助けたければ憑依薬を全てよこせ”と、そう言ったー。
結果、兄の竜聖は麻里奈が本気で憑依されたと思い、
麻里奈に憑依薬を全て手渡したー。
麻里奈はそのまま”憑依薬をコインロッカーに入れる”と言って
家を出て、尾行されていないことを確認し、
憑依薬を全て外のトイレに破棄ー、
そのまま処分したー。
「ーーー…お兄ちゃんが誰かを傷つけてるなんてー…
絶対、ダメだもんー…」
麻里奈はそれだけ言葉を口にすると、
文化祭の準備を終えて、そのままその部屋から立ち去って行ったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーただいま~」
翌日ー
文化祭1日目を終えた麻里奈が帰宅すると、
兄の竜聖は「おかえり」と、穏やかに麻里奈を出迎えたー。
”もう、憑依はしないー”
そう心に誓った竜聖ー。
「ーー文化祭、どうだったー?」
竜聖がそう言うと、麻里奈は穏やかな表情を浮かべながら
「すっごく楽しかったー」と、笑うー。
一度は道を踏み外した”お兄ちゃん”
けれどー、あれ以降、もう憑依はしておらずー、
心を入れ替えてくれた兄・竜聖ー。
そんな竜聖の方を見つめながら、
麻里奈はふと思うー。
”もう、2度と、あんな恥ずかしい演技はしたくないなぁ~…”
憑依された演技をしている自分のことを思い出しながら
麻里奈は少しだけ、顔を赤らめるのだったー。
おわり
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コメント
お兄ちゃんの暴走を止めることができる
結末でした~!☆★!
エスカレートしてしまう前に
憑依に気付くことができて、
良かったですネ~!
お読み下さりありがとうございました~~!☆!

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