<入れ替わり>もう自分の人生が分からなくて①~自分~

二人は、10歳の時に入れ替わったー。

そして、20歳の時に元に戻ったー…。

そんな二人の物語ー…。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーへへへへ~
 間宮(まみや)、いつも何読んでるんだよ~」

学校の校舎内ー…

お調子者で、悪戯好きの男子・
小倉 秀太(おぐら しゅうた)は、
揶揄うような口調で、大人しくて真面目な女子生徒・
間宮 架純(まみや かすみ)に絡んでいたー。

悪戯好きのお調子者・秀太と、
真面目で大人しい架純ー。

正反対の性格の二人は、
同じクラスながら特に親しくはなくー、
こうして、秀太が架純を揶揄う時以外、
話をするようなこともほとんどなかったー。

そんな中ー、秀太が架純の読んでいた本を取り上げるー。

「あ!ちょっと!返して!」
架純が困り果てたような表情を浮かべるー。

「へへ~!返して欲しけりゃ、取り返してみな!」
ニヤニヤしながら、秀太はそう言葉を口にすると、。
そのまま教室の外に走り去っていくー。

「ーーーか、返してよ!」
困惑した様子で、秀太を追いかける架純ー。

ようやく階段付近で秀太に追い付いた架純は
「その本は大事な本なの!返して!」と、そう言葉を口にするー。

架純に手を掴まれる秀太ー。

秀太はニヤニヤしながら、
「えへへ~ちょっと読ませてくれたっていいじゃんか~」と、
そう言葉を口にするー。

がー、架純は何とか本を取り戻そうと必死だー。
秀太も、”このままじゃ、本を取り返されてしまうー”と、
そう思ったのか、「へへー」と、笑みを浮かべると、
本を、階段の下に向かって、ポイッと投げ捨てたー。

「ーーあっ!!」

その時だったー。
架純が、慌てて階段の下の方に落下していく本を追いかけて
バランスを崩すー。

「ーーお、おいっ!」
架純がそこまで必死に本を取りに行くとは思っていなかった秀太は、
慌てて、架純が階段から転落しないように手を掴むーー

がー、架純を助けようとした秀太は、
架純を助けるどころか、架純と一緒にバランスを崩してしまい、
そのまま二人で階段を転がり落ちてしまうのだったー

そしてーーー

「ーーーえ……」

「ーーーー…何で俺がー…?」

階段から転落した二人はー、
入れ替わってしまったー。

「ーー…な…な、な、なんで俺が間宮に!?」
架純になってしまった秀太が声を上げるー。

秀太になってしまった架純は、困り果てた様子で
「なにこれ…」と、呆然としているー。

二人はーー
”10歳”の時に入れ替わってしまったー。

お互いに、周囲に言い出すこともできず、
”元に戻るまでの間”と、秀太と架純は
入れ替わった状態のまま、相手のフリをして過ごすことにしたー。

架純になった秀太は、何度も何度も架純に謝罪したー。

”ーこんなことになるなんて、思わなかったんだー”
”そんな大切な本だと思わなかったー”
”俺が責任を取って、元に戻る方法を探すからー”と、
そんな言葉を繰り返し口にしたー。

架純(秀太)は、一生懸命、元に戻る方法を探したー。

でも、見つからなかったー。

やがてー…
二人は”入れ替わった状態のまま生きていく”ことを
決意するしかなくなってしまったー。

最初は戸惑いも色々あったし、
辛いことも色々あったー。

けれど、1年ー、また1年と時が流れてー、
中学、高校と、思春期を”入れ替わった相手の身体”で過ごした二人はー、
今はすっかりー、”相手の身体”での生活に慣れていたー。

あれから10年ー。
20歳になり、大学生になった二人は、
遊園地に遊びに来ていたー。

「ーーあ~~これ欲しかったやつ~!」
架純(秀太)が、おみやげコーナーで嬉しそうにキーホルダーを
見つめているー。

「ねぇねぇ!これ可愛くない?可愛いよね?」
架純(秀太)の言葉に、秀太(架純)は
「ーーははー…いいんじゃないかなー」と、そう言葉を口にするー。

入れ替わって10年ー。
架純になった秀太は、すっかりおしゃれになって、
今は可愛いモノとおしゃれが大好きな女子大生になっていたー。

元々の”大人しい架純”のイメージはまるでなくなり、
もはや別人のようになっているー。

一方の秀太(架純)は、真面目に勉強を続けてー、
中学、高校と優等生として過ごして来たー。
友達はほどほどの人数だったものの、
それなりの学生生活をこれまで送って来ているー。

二人とも、”性別”を強く意識し始めるころに
入れ替わったためか、
”自分の元々の性別”よりも”今の性別”の方が、
自分自身の性別としてしっくりくるー…
そんな状態になっているー。

「ーーあははーわたしが可愛すぎて、照れちゃってるー?」
架純(秀太)の揶揄うような口調に、
秀太(架純)は「照れてないし!」と、そう言い放つー。

二人とも”恋人同士”の間柄ではないー。
が、入れ替わった者同士でしか分からない何かがあるのか、
これまで、協力してきた二人には、固い絆があったー。

「ーーーそれにしてもー…
 入れ替わらなかったら、今頃、”俺”どうなってたのかな」

秀太(架純)が言うー。

最初の頃は”わたし”と言っていたこともあったものの、
今ではすっかり”俺”しか使わないー。

架純になった秀太もそうで、
今では一人称は「わたし」か、ふざけている時にたまに、
自分の名前…「架純」を一人称にしていて、
元々使っていた”俺”を使うことはなくなったー。

「ーーん~~?
 あ~、そうだよねー
 もしあの時のことがなかったら、
 わたしが秀くんで、秀くんがわたしなんだもんねー」

架純(秀太)は笑うと、
「ーやっぱり、真面目そうな感じだったんじゃないー?」
と、そう言いながら
茶色の自分の髪を指差しながら、
「まず、髪は黒な気がするしー…」と、そう言葉を口にして、
次に目を指差すー。

「ーコンタクトじゃなくて、たぶん眼鏡だよねー?

 あとー…
 服装は、落ち着いた感じー?」

架純(秀太)が、そう言うと、
爪を見つめながら「ネイルとかもしそうにないよねー」と、
そう言葉を口にするー。

秀太(架純)は「あ~…しないと思うー」と、それだけ言いながら
「っていうか、俺、”ほぼ”男みたいなもんだから、
 ネイルとか、全然分かんないんだけどー」
と、秀太(架純)は笑いながら言ったー。

「ーーまぁ…それもそうだよねー
 わたしも、ほぼ女みたいなものだしー…
 だって、わたし、男の時にオナッたりしたこともないからー、
 男だったのに、男のそういうの分かんないしー」

架純(秀太)の言葉に、秀太(架純)は
「おいおいー急に生々しい話するなよー」と、笑うー。

「ーーそんなこと言ったら俺だってー」と、
秀太(架純)は、架純(秀太)の胸を見つめるー。

今でこそ、服の上からでも分かる立派な膨らみー。
しかし、入れ替わった10歳の時には、
まだ、全然だったために、
秀太(架純)からすれば、女に生まれたのに、
自分の身体にそういう膨らみがある、と言う感触が
分からなかったー。

「ーーー揉みたい?」
架純(秀太)が揶揄うように言うと、
「ーーこんなところで揉むわけないじゃん!」と、
秀太(架純)は、呆れ顔で言い返したー。

「ーーまったくー。小さい頃から
 そういうところは変わってないんだもんなー」

秀太(架純)はそう呟くー。

”架純になった秀太”は、人を揶揄うお調子者になったー。
元の真面目で大人しい架純のイメージからの”豹変”に
最初は周囲も戸惑ってはいたものの、
中学、高校と進むうちに、次第に違和感を持つ人間はいなくなったー。

”それが普通”になったからだー。

架純はお調子者の騒がしい子で、
秀太は真面目で優しい子ー。
そういうイメージに塗り替わったのだー。

「ーそれは、秀くんもでしょー。
 真面目で優しいところー、入れ替わる前からずっとそのままー」

架純(秀太)がそう言いながら笑うー。

その言葉に、秀太(架純)は、
「ーーそ、そうかなぁー」と、そんな言葉を口にするー。

”元々の自分”のことを、今ではすっかりと
”秀くん”と呼んでいる架純(秀太)ー。

入れ替わったばかりの頃は”俺の身体”という意識が
強かったものの、今はもう、そうは思えないー。

10歳というタイミングで入れ替わったからだろうかー。
0歳~10歳の時を過ごした自分の本来の身体よりも、
10歳~20歳の時を過ごした”本来は他人だったはずの身体”の方が、
二人にとって”自分の身体”と、そう言えるような状態になっていたー。

色々な話をしながら、遊園地を歩く二人ー。

”恋人”とも”家族”とも”親友”とも違うー、
入れ替わった二人だからこその特別な関係ー。

ただ、今のところ、二人とも
恋愛感情とはまた違う、なんとも言えない感情を抱いているー。

もう、”元自分”という認識はあまりないけれど、
それでも何か”完全な他人”とはちょっと違う、
そんな、複雑な関係だったー。

「ーーあ!お化け屋敷ー」
秀太(架純)が、笑いながらお化け屋敷を指差すと、
「ーーひっ!?」
と、架純(秀太)が表情を歪めるー。

「ーーあはは、やっぱりまだ怖いんだー?
 大丈夫だよー。俺が一緒にいるしー」
秀太(架純)が笑いながらそう言うと、
架純(秀太)は「わ、わ、わたし、怖いのは苦手で~…」と、
目を逸らしながらお化け屋敷の前を通り過ぎようとするー。

これは、”入れ替わる前から”で、
秀太は小さい頃から、悪戯好きでお調子者だった割に、
オバケとか、そういう話題は苦手だったー。

「ーーーあ!逃げるつもりだなー」
秀太(架純)が笑いながらそう呟くと、
架純(秀太)は「ーーお化け屋敷には入らないもんね~!」と、
そう言葉を口にしながら、逃げ始めるー。

苦笑いしながらそれを追いかける秀太(架純)ー

「仕方ないなぁ」
ようやく追いつくと、気を取り直して
遊園地を回り始める二人ー。

「そういえば、ちょうど入れ替わってから10年ぐらいだったよなー。
 入れ替わったのが10歳の時だから、
 これから先は、”この身体”で過ごす時間の方が長くなるってことか~」

秀太(架純)がそう言うと、
架純(秀太)は「まぁ、赤ちゃんの頃の記憶とかはないから、
実際、女でいる時間の方が長い気がするけど」と、
架純(秀太)は髪を触りながら歩くー。

「ーははー。でも、架純っておしゃれ滅茶苦茶好きだしー、
 入れ替わってなかったらどうしてたんだろうなー?」
秀太(架純)のその言葉に、
架純(秀太)は「たしかにー…男のままだったらー……どうしてたんだろ?」と、笑うー。

”女としてのおしゃれ”を楽しめない人生なんて、
今の架純(秀太)には想像できなかったー。

遊園地内の階段を上っていく二人ー。

その時だったー。

階段を駆け下りながら、鬼ごっこのようなことをしていた子供の
兄弟が、架純(秀太)に思いっきりぶつかってきたー

「ー!?」
ぐらっとバランスを崩す架純(秀太)ー

「架純!!!!」
咄嗟に手を掴む秀太(架純)ー

がーーー
”あの時”と同じようにー、
バランスを崩したまま、そこから立て直すことは出来ずーー

二人とも階段から転がり落ちてしまったー。

10歳の時ー
入れ替わったあとも、
”それ”は試したことがあったー。

けれど、その時は元に戻ることはできなかったー。

だからこそ、
”諦めて”入れ替わった状態のまま生きていくことにしたー。

しかしーーーーー
20歳になった二人は、今日ーー
遊園地で転落してー…

再びー
入れ替わってしまったー。

「ーーー…う、嘘……な、なにこれー…?」
病院で目を覚ました”秀太”は驚くー。

10年ぶりに自分の身体に戻った秀太は、
只々呆然として、鏡に映る自分の姿を見つめるー。

「ーー…か、架純ー…!?」
同じく、目を覚ましたばかりの”架純”が、
秀太の元にやってきて、”自分の名”を呼ぶー。

「ーーわ、わたしたちー…またー?」
自分の身体に戻った秀太ー。
けれど、10歳から20歳を女として過ごした秀太は、
すぐに、秀太として振る舞うことなどできないー。

それは、架純も同じー。

「お、お、俺が女にー…?」
自分の身体に戻っただけー…
自分は元々女だったのに、そんな言葉を口にするー。

10歳の時に入れ替わった二人はー、
20歳の時にー、元に戻ってしまったのだったー。

②へ続く

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コメント

入れ替わって、元に戻って…を描くお話デス~!

”10年も入れ替わっていて、元に戻ったあと”の部分を
中心に描くお話ですネ~!

もちろん、入れ替わっている途中のお話も出て来るので
そっちも楽しんでくださいネ~!☆!

コメント

  1. 匿名 より:

    元に戻らなくていいのに笑