<入れ替わり>英雄なんかじゃないんですけど!①~侵略~

エイリアンの侵略を受けた地球ー。

”英雄”と呼ばれる男が決死の反撃作戦に出ようとしている最中、
避難所にいた女子高生と”英雄”が
入れ替わってしまいー…?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2XXX年ー。
地球はエイリアンの侵略を受けていたー。

エイリアンとの戦闘開始から3年ー。
地球は甚大な被害を受け、これまでの社会システムは崩壊ー。
死と隣り合わせの日々が続いている…。

しかしー、人類もそのまま滅びの時を待っているわけではなかったー。

エイリアンの侵略が開始された後に設立させた、
”地球連合軍”は、エイリアンに対して決死の戦闘を展開、
何とか地球自体を守り抜いているー…そんな状態が続いていた。

そして、エイリアンとの戦闘開始から
3年の年月が流れた現在ー。

”地球連合軍”は
エイリアンの敵母船を破壊する作戦を練っていたー。

エイリアンの敵母船は地球周辺を徘徊、
そこから地球に対してエイリアンの先兵を送り込んでいる他、
作戦系統の指示を下しているー。

が、宇宙への攻撃は技術的にもなかなか難しく
人類側は”地球にやってきたエイリアンの先兵”をその都度撃退することしか
出来ていない状況だった。

しかし、それでは戦闘は永遠に終わらない。
この3年で人類は急ピッチで地球から直接宇宙に飛び立ち、
宇宙空間での戦闘を可能にする最新鋭の戦闘機の開発に成功した。

さらには、地球上に投下され、戦闘の末に破壊に成功した
エイリアンの殺戮兵器を分析することで、
エイリアンの”技術”を転用ー、
敵の母船を内側から腐食させて一気に破壊することのできる
最新鋭のミサイルの開発にも成功したー。

「ーーーこれが、噂の”ヴェロス”ですかー」
地下格納庫にやってきた男が言うー。

「ーはい。宇宙に直接飛び立つことが可能で
 宇宙空間での戦闘も可能ですー。
 ここに、エイリアンの母船を腐食させる
 通称”エイリアン・デストロイヤー”を搭載する予定です」

技術者風の男がそう言葉を口にすると、
「なるほど」と、男はそう言葉を口にしたー。

彼は、地球連合軍でこの3年間、多大な戦果を挙げている
”英雄”と呼ばれる男、霧島 拓斗(きりしま たくと)ー。
40代の渋い雰囲気を持つ男だー。

そしてー、霧島 拓斗の他にも10数名の男女が
その場に集められていたー。

今日は、最新鋭の戦闘機”ヴェロス”ー
”矢”を意味する名前が名付けられたその戦闘機の
”訓練”が行われる日だったー。

あまりにも、多くの最新技術を使っているため、
並大抵のパイロットでは操ることはできない。

そこで、英雄・霧島拓斗をはじめ、
この3年間で多大な戦果を挙げた面々が集められて、
訓練が開始されたのだー。

がーーー…
それから数か月後ー。
”訓練”を耐え抜いたのは
霧島 拓斗ただ一人だったー。

エイリアンの”母船”攻撃作戦ー。
人類の命運がかかったその作戦は、
最新鋭の戦闘機・ヴェロスを唯一操ることができる
拓斗に託されたのだったー。

「ーいよいよ、明日ですねー」
拓斗の仲間がそう言葉を口にするー。

「ーそうだなー…」
元々口数が多いタイプではない拓斗は、
そう言葉を口にしながら、明日の準備を整えるー。

「いやぁ…でも、自分には真似できないですよー。
 生きて帰って来れるか分からないミッションに
 向かうなんてー」

拓斗の同僚である地球連合軍の隊員・島野 一真(しまの かずま)が
苦笑いしながら言うと、
「ーーー必ず生きて帰って来るー
 そのつもりで任務に向かえば、どんなミッションだって生き延びれる」と、
拓斗はそう言葉を口にしたー。

「ーほぇ~…どこからそんな自信が出て来るんですか?」
一真のそんな言葉に、拓斗は少しだけ笑うと、
「ーーさてとー」と、立ち上がって、部屋の外に出て行こうとするー。

「あれ?霧島さんーどこへ?」
一真が言うと、拓斗は「ーー明日の任務を前に、行っておきたい場所が
あるんでなー」と、それだけ言葉を口にして、
そのまま歩き出したー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーーーーー」

荒れ果てた地上を歩きー、
拓斗は、墓地にやってきたー。

幸い、この辺りはあまりエイリアンの攻撃には
晒されておらず、今のところ、墓地は無事だー。

「ーーー」
拓斗は、墓の一つの前で立ち止まると、
その墓に向かって手を合わせるー。

「ーーー雅美(まさみ)、雄太(ゆうた)ー」

その墓にはー、拓斗の妻と息子が眠っていたー。
3年前…エイリアンが出現したころ、
拓斗たちは”エイリアンに真っ先に狙われた都市”に住んでいたー。

そして、その際に雅美と雄太を失ったのだー。

「ー明日、戦闘機に乗って宇宙に行くんだー」
拓斗は穏やかな口調で墓に眠る二人に語り掛けるー。

「ーー宇宙なんて初めてだから緊張するよ」
そう言葉を口にしながらも、拓斗は
「でも、ようやくー…お前たちの仇を取れるかもしれない」と、
満足そうに呟くと、
しばらく、墓の前で黙祷を捧げながら、決心したような表情で
言葉を口にしたー。

「また必ずここに来るーー」

そう言葉を口にすると、
真っすぐ歩き始める拓斗ー。

”明日で死ぬかもしれない”とは、絶対に言わないー。

”またここに来る”
それは、明日の任務も生きて終えるという決意の証ー。

拓斗は、そのまま”最後になるかもしれない”
地球での最後の一夜を過ごしたー。

そして、翌日ー。

「ーーー」
最新鋭の戦闘機”ヴェロス”が、保管されている
地下施設に向かう拓斗ー。

まずは、避難している市民たちがいる
巨大地下施設へと入るー。

エイリアンの侵攻以降ー、
各地で元々存在していた地下の施設を改造ー、
そこを巨大避難施設として利用し、
そこを中心に生活を続けているー。

地下格納庫には、そこを通って行かなくてはいけないー。

地下に存在する長い階段を上る拓斗ー。
がー
その時だったー。

「…やばいやばいやばい遅刻しちゃうー」
階段の上から降りて来た女子高生らしき子ー。

相当慌てた様子の彼女がーー、
足を階段の段差に引っ掛けて、そのままバランスを崩したのが見えたー。

「ーー!?」
転倒したその子が転がり落ちて来るのを見て、
咄嗟に拓斗は、その子を助けようとするー。

がー…

「ーうぉっ!?」
拓斗も、その子に巻き込まれる形で、
一緒に階段から転落してしまったー。

「ーーー……」
「ーーーーー……」

「ーーー………す、すみませんー…だ、大丈夫ですかー!?
すぐに、そう言葉を口にする少女ー。

しかしー…

「ーーーえ…?」
”大丈夫か?”と聞いたはずの自分自身が、
表情を歪めながら、戸惑うような仕草をし始めるー。

それもそのはずー。
自分の口から出た声が妙に低いー。
いや、男のような声が出たのだからー。

そしてー…

「ーー…えっ」

彼女は、驚きの表情を浮かべたー。

”目の前に、自分がいるー”

そうー
目の前に倒れたままになっているのは、
”自分自身”だったー。

「ーーー……え…ど、どうなってー」

そう呟きながら、自分の身体を見下ろすと、
そこにあったのは見慣れた自分の身体ではなく、
男の身体ー。

そう、二人は階段から転落した際に
入れ替わってしまっていたー。

「ーーー…え…っ!? えっ…!?えっ…!?」
拓斗になってしまった女子高生が戸惑いの表情を浮かべる中、
意識を取り戻さない自分自身を見て、
必死に呼びかけるー。

幸い、息はあるー。

拓斗になってしまった少女は慌てて
助けを呼ぶと、地下の巨大避難所の中にある医務室に
少女になった拓斗をひとまず運び込むことに成功したー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

地下施設の一角にある
医務室ー。

医務室、と言ってもそこまで立派なものではないものの、
エイリアンの侵攻開始以降、地下での生活を中心としている
一般人たちにとっては病院のようなものだー。

「ーーー肉体的には、問題はありませんー
 いつ目を覚ますかどうかは分かりませんがー、
 命に別状はない、と言ってよいでしょうー」

70代近い医師がそう言葉を口にするー。

「ーーそ、そうですかー
 そ、それで、わ、わたしはー」

拓斗(少女)がそう言葉を口にするー。

彼女は村野 晴美(むらの はるみ)ー。
地下の巨大避難施設内に作られた
”学校”に向かう最中で、遅刻しそうだったため
慌てていたところ、階段で躓いてしまい、このような
結果になってしまったー。

責任を感じながらも、身体が入れ替わってしまったことにも
強い不安を感じる拓斗(晴美)ー。

「ーーーこの子が目を覚まさないと、何が
 起きているのかは、何とも言えないね」

医師は、そう言葉を口にするー。

”拓斗”になってしまった晴美は、
”わたしは村野晴美なんです”と、そう繰り返したー。

しかし、医師はそう簡単には信じてはくれなかったー。

”もう片方”もそう言っているのであればともかく、
拓斗(晴美)がそう言っているだけでは、
判断しがたいのだろうー。

しかも、外から見れば
”40代のおじさんが中身は女子高生だと主張している状況”

仮に、先に目を覚ましたのが晴美(拓斗)の方だったら
もう少し信じてもらえる可能性が高かったかもしれないー。

「ーーーーー」
そして、医師は少し戸惑いながら言葉を口にしたー。

「それにあなたは、英雄ー…
 ”霧島さん”ですよねー。

 今日、エイリアンの母船に攻撃を仕掛ける予定だと
 噂で聞きましたが?」

医師がそう言葉を口にするー。

”機密”も、もはやこの世界では守るのは難しいー。

地下施設の中では、一般人もそうでない人間も
顔を合わせる機会が多くー、
そこで情報の漏洩を防ぐのは難しいー。

かと言って、最高機密を守れるような施設は
もう、エイリアンによって破壊されているー。

「ーーーーー…え…」
拓斗(晴美)は戸惑うー。

「わ、わたし、英雄なんかじゃないんですけど??」
拓斗(晴美)が戸惑いの中、そんな言葉を発すると、
医師の男は笑ったー。

「ーー分かりますよ。霧島さんー
 誰だって、命懸けのミッションなんかに行きたくはないー。

 けれどー…そのー」

医師は、申し訳なさそうに言うー。

どうやら、今日、エイリアンの母船を破壊するミッションに向かう
霧島拓斗が、”任務から逃げ出そうとして”
「わたし、中身は高校生なんです!」と嘘を言っていると
解釈されたようだー。

そしてーー

「ー失礼します」

医務室のある場所に、地球連合軍の隊員らしき男三名が入って来たー。

「ー霧島さん、ここにいらっしゃいましたかー
 間もなく任務開始時刻です」

その言葉に、拓斗(晴美)は
「えっ…い、いえ、わたしはー!?」
と、そう言葉を口にするー。

「ーー時間がありません。さぁ」
隊員の一人に促される拓斗(晴美)ー

「ーーーーーー…で、でもー…えっ」
拓斗(晴美)は戸惑うー。

元々、どちらかと言うと奥手な方で
”エイリアンの侵攻前”は、
友達から”あまり好きじゃないお店”に一緒に食べに行こうと
誘われた際にも”それ、あまり好きじゃなくて…”と言えず
そのまま押し切られてしまい、
嫌いなものを無理にニコニコしながら食べてしまうようなー、
そんなタイプの子だったー。

「ーーー英雄殿ー。
 我々も全力でミッションをサポートします」

地球連合軍の三人のうちの一人がそう言い放つー。

「え……あ、は…はいー」
拓斗(晴美)は、ついにその三人に押し切られてしまうと、
そのまま三人の隊員に連れられて、
作戦本部ーー…そして、最新鋭の戦闘機・ヴェロスが
準備されている場所に向かって歩き始めたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーーーー」
「ーーーーーーー」

「ーーーーーーーーーーー!!!!!」

1時間後ー

晴美(拓斗)が目を覚ましたー。

「ーーーー…!?」
”俺は、意識を失ってたのか!?”

階段から転落したときのことを思い出しながら
ハッとする晴美(拓斗)ー

慌てて立ち上がって、作戦指令室へ
向かおうとする晴美(拓斗)ー

しかしーー

「ーーー!?」
自分がスカートを履いてー…
いやー、高校の制服のようなものを着ていることに気付くー。

”こ、これはー…第3地下高校の制服ー!?”

晴美(拓斗)が、意味も分からず
困惑の表情を浮かべていると、
そこに、医師が姿を現したー。

「よかったー。お目覚めですか」

その言葉に、晴美(拓斗)は
「こ、これは一体どういう状況ですかー?」
と、そう言葉を口にしたー。

②へ続く

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コメント

入れ替わってしまった英雄と女子高生…!

大変なことになりそうですネ~!☆!

続きはまた明日デス~!☆!

コメント

  1. TSマニア より:

    地球がエイリアンに侵略されてヤバいのに大変な…大変な状況になりましたネ~!!

    自分も無名さんのカラダでオシャレバトルしてる場合じゃないですネ(*´艸`)笑

    地球の運命は…