<憑依>浮気彼氏②~豹変~

浮気していた彼氏に復讐するため、
彼氏の浮気相手の後輩に憑依しようとした彼女ー。

しかし、事態は思わぬ方向に進みつつあったー

・・・・・・・・・・・・・

「ーーーーーーー」
愛梨沙は大学へと向かいながら
”昨日”のことを思い出していたー。

彼氏の俊丞に浮気された愛梨沙ー。
浮気相手は、俊丞が所属しているサークルの後輩・里菜。

里菜は大人しい感じの子だったが、
今まで彼氏ができたことがなかったこともあり、
俊丞の好青年的な振る舞いにすっかり騙されてしまい、
自分が浮気相手と知りながらも、
俊丞の女として、有頂天になり、コスプレ姿まで
俊丞に披露してしまっている始末だったー。

そんな彼氏にー、
自分から彼氏を奪った後輩の里菜に復讐するため、
愛梨沙は憑依薬をネットで手に入れて、
里菜に憑依しー、俊丞に復讐するつもりでいたー。

だが、俊丞の家に駆け付けた愛梨沙はー
直前で俊丞に憑依薬を奪われてしまいー、
俊丞が浮気相手の後輩・里菜に憑依してしまったのだー。

「ーー美味しいラーメンを見つけたらー
ラーメン屋ごと乗っ取ってしまえばいいーってか?へへへ」

俊丞は、そんなふざけたことも言っていたー。

大学に到着した愛梨沙ー。
大学の正門前で、俊丞に憑依された里菜が待ち構えていたー。

肩を見せびらかして、
大胆に生足を晒したショートパンツ姿の里菜が近づいてくるー。

「ーーー先輩、おはようございますー」
里菜がクスッと笑うー。

「ーー……あんたなんでしょ?俊丞ー」
小声でそう呟くと、愛梨沙は里菜を睨むー。

昨日、俊丞の家で高校の制服姿ー…
コスプレ姿を披露していた里菜だったが、
大学ではいつも落ちついた雰囲気の格好をしていた里菜が
こんな格好をするはずがないー。

昨日から、里菜はずっと俊丞に憑依されているのだろうー。

「ーーふふふ まぁな」
里菜はそれだけ言うと、
自分の肩を触りながら微笑むー。

「ーーへへへ どうだ?エロいだろ?」
里菜の言葉に、愛梨沙は険しい表情を浮かべるー。

「ー行きつけのラーメン屋の美味しいラーメン…
 もし、自分がそのラーメン屋を乗っ取ることに成功したら、どうする?」
里菜が笑いながら言うー。

周囲の学生何人かが、通りすがりに里菜の姿を二度見していくー。
里菜が肩や生足を晒した格好をしていることに、
周囲も驚いているのだー。

「ー何でもラーメンに例えるの、やめなさいー」
愛梨沙が、里菜を睨みつけると、
里菜はニヤニヤしながら言ったー

「ー好きなラーメン屋を乗っ取ることに成功したら、
 そのお店のラーメンも、やっぱり、自分好みにアレンジ
 したくなっちゃうよなぁ?」
里菜はそれだけ言うと、
「ー里菜ちゃんも、俺流にアレンジしたのさ」と、笑みを浮かべるー

「ーだってさぁ、里菜ちゃん、こんなスタイルいいのに、
 見せないとかもったいなくね?

 ほら、さっきから、里菜ちゃんの肩とか足をチラ見してる
 やつ、結構いるだろ?」

里菜の言葉に、愛梨沙は「あんた…何が目的なの?」と、里菜を睨みつけるー。

愛梨沙が調べた感じではー
愛梨沙以外にも過去に彼女がいて、やはり、同じように
浮気を繰り返していたようだー。

そして、今回、愛梨沙から憑依薬を奪った俊丞は、
愛梨沙ではなく、浮気相手の里菜の方に憑依したー。
里菜に憑依して、いったい何を企んでいるのかー。

「ーあんたに憑依しようとしてたわたしを、どうするつもりー?」
愛梨沙は恐怖を感じながら呟くー。

てっきり、憑依薬を奪われたあの時、
憑依されるのは”自分”だと思っていたー。
だが、俊丞が憑依したのは、
”自分に夢中になっている後輩の女子”=里菜の方だったー。
その意図も、よくわからないー。

「なんだ?愛梨沙、もしかして俺に憑依されたかったのか?」
里菜の声で”俺”と言われるとどうしても違和感を感じてしまうー。

「ーーそんなわけないでしょ!
 あんたの浮気に、わたしは今も腹が立って仕方ないんだから」
愛梨沙が言うと、
里菜は「”劇的な変化”の方が興奮するだろ?」と笑うー。

愛梨沙は元々、明るいタイプである程度おしゃれなタイプー
一方の里菜は大人しく控えめなタイプー

「ー控えめな女が、エロくなったほうがー
 興奮するだろ?」
里菜が囁くー

「ーーこの…変態!」
愛梨沙が言うと、里菜は喜んだ様子で愛梨沙から離れたー。

「ーーまぁあれだよ。俺に目的なんかないから、安心しなって」
里菜が髪をいじりながら言うー。

「俺はその、”飽きっぽい性格”なだけだよー。
 浮気っていうか、その飽きただけ?
 愛梨沙に飽きちゃったから、里菜ちゃんに乗り換えただけだよ」

開き直って浮気を正当化する里菜に対し、愛梨沙は
「それを浮気って言うんでしょ!」と叫ぶー。

「ははは、まぁなぁ…
 でもほら、俺、行きつけのラーメン屋も
 昨日まで美味しいと思ってたのに、ある日急に飽きちゃうこともあるしさ。」

自分の飽きっぽい性格を語ると、里菜は笑みを浮かべたー

「俺は、その時したいことをしてー
 その時食いたいものを食べるー。
 それだけさー

 昨日は里菜ちゃんを食いたかったから、里菜ちゃんに憑依したー
 それだけのことだよ」

里菜はそこまで言うと、ニヤニヤしながら言うー。

「ーまぁ、俺は里菜ちゃんで存分に楽しませてもらうぜー。
 憑依薬なんてすげぇものを持ってきてくれて、ありがとうなー」

クスッと笑いながら立ち去っていく里菜ー。

周囲の男子の視線を感じながら
里菜は笑みを浮かべるー。

「醬油ラーメンの味が変わるよりー
 醤油ラーメンが急に塩ラーメンになったほうがインパクトがあるだろ?」

里菜という”大人しい子”がいきなり
”エッチな女子大生”になったらー。

そのギャップに激しく興奮できるー
愛梨沙のように”普通な子”が”エッチになる”よりもー
そのギャップは強まり、より強く、興奮できるー。

「ーくくく…濡れてきちまったぜ」
里菜はそう呟くと、そのまま大学の中に姿を消したー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

それからは、特に接点がないまま、時間が流れたー。
里菜は、色々な男とヤリまくっているらしく、
大学内では”少し前まで大人しかったのに、急にどうしちゃったんだろう?”
という疑問が良く聞かれるようになったー。

髪型も変わり、メイクも変わり、服装は男を誘うような恰好になりー、
時々遠くから里菜を見かけるが、
もはや、身体は里菜でも、完全に里菜の面影すらないような、
そんな、存在に変わり果ててしまっていたー。

けれどー
愛梨沙は特にそれに介入しなかったー。

何故ならー
愛梨沙に里菜を助ける理由なんて「ない」からだー。

確かに、俊丞に憑依された里菜は、被害者と言えば被害者なのかもしれないー。
男性経験のなかった里菜が、俊丞のように、
実は女遊びに慣れている優しい男にターゲットにされてしまった以上ー、
浮かれてしまうのは仕方がなかったのかもしれないー。

けれど、それでも里菜は、
俊丞に愛梨沙という彼女がいることを知りながら、
愛梨沙から俊丞を奪ったのだー。
そして、憑依薬を手に、復讐しにいったあの日ー、
憑依される前に、里菜は自分の意志で愛梨沙のことを
見下すような発言をしていたのだー。

里菜が憑依されて、俊丞に好き放題されているのは
自業自得ー。
助ける義理なんてないし、助ける気すら起きなかったー。

俊丞に対する”復讐”は考えながらも、
憑依薬を失った今、方法も思いつかず、
愛梨沙はそのまま普通に大学生活を送っていたー。

やがてー
里菜が俊丞に憑依されてから、1年近くが経過したー。

愛梨沙には、新しい彼氏ができて、
もう、俊丞に対する思いや、俊丞に対する復讐心も消えていたー。

今度の彼氏は、穏やかな性格の持ち主で、
俊丞のような遊び人ではなく、表向きも内側も誠実な
人柄だったー。

「ーー最近、綺麗になったよね」
友達の一人・璃子(りこ)が言うー。

愛梨沙は照れくさそうに「そうかなぁ…」と呟くー。

「ーうん!絶対きれいになったよ!
 やっぱり、南条くんのおかげかな!」

南条くんとは、愛梨沙の新しい彼氏のことだー。

「ーーう~ん…璃子がそういうなら、そうなのかも!」
愛梨沙が笑いながら言うと、
璃子は「あ、そういえばさ…」と、小声で呟くー。

「ーー愛梨沙の元カレと浮気してた子ー…」
璃子の言葉に、
里菜のことを思い浮かべる愛梨沙ー。

「ーーあの子、妊娠して、大学にも来なくなったって」
璃子の言葉に、
愛梨沙は「ふ~ん…そうなんだ」と呟くー。

「ーーあんたの元カレと付き合い始めてから、
 あの子、おかしくなっちゃったよねー。
 わたしの友達の一人が、あの子と仲良くしてたけど、
 ホントに別人みたくなっちゃったって」

璃子の言葉を聞きながら、
憎むべき浮気相手とは言え、里菜に少しだけ愛梨沙は同情したー。

男性との恋愛経験がなく、
俊丞の甘い振る舞いに騙されて、
有頂天になって、
挙句の果てに俊丞に憑依されて、この1年近く
ずっと乗っ取られたまま、妊娠して大学にも来なくなったー。
もう、里菜の人生は滅茶苦茶だろうー。

もちろん、浮気であると知りながら浮気していた里菜の
自業自得とも言えるし、
普段は大人しかった里菜も、愛梨沙に対してバカにするような
発言をしていたし、里菜の性格にも問題がなかったわけではないー

それでも、一番悪いのは俊丞だと愛梨沙は思ったー。

「ーーーまぁ、でも、もう終わったことだからー」
愛梨沙はそう呟くー。

俊丞のことも、里菜のことも、もう愛梨沙にとっては
関係のないことー。

憑依薬を使って、里菜に憑依して、俊丞にちょっとした
復讐をするつもりだった愛梨沙ー。
ちょっとした復讐と言っても、犯罪レベルの内容ではなく、
少し懲らしめて、里菜の身体からは出るつもりだったー。

まさか、その憑依薬を俊丞に奪われて、
里菜の人生が滅茶苦茶になるような事態になるとは思わなかったし、
その点は、自分にも責任があるとは思うー。
それでも、もう、俊丞や里菜に関わるつもりはなかったー。

「いまのわたしには、南条くんがいるからー」
愛梨沙が、今の彼氏のことを口にすると、
璃子は「うん。そうだね」と、笑顔で愛梨沙のほうを見つめたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

雨が降っているー。

今日の晩御飯や、明日のことなどを考えながら
傘をさして歩いていた愛梨沙は、足を止めたー。

目の前に、笑みを浮かべた女が姿を現したのだーー。

「ーー久しぶりぃ…」
その女は、1年近くも乗っ取られ続けた里菜だったー

髪は乱れ、ずぶ濡れのワンピース姿で、
愛梨沙のほうを見つめているー。

人通りの少ない通りに、突然姿を現した里菜ー。
里菜は傘もささずに、髪からポタポタと水を流しているー

「ーーへへへへ…男とヤリまくってたらさ、妊娠しちまってさ」
里菜は笑いながら言うー。

「ーずっと遊び続けてたから、もう身体もボロボロー。
 まるで、閉店直前のラーメン屋みたいだ」

ニヤニヤとする里菜に、
愛梨沙は「今更なんの用なの?」と、険しい表情を浮かべるー。

「ーー俺さ、行きつけのラーメン屋、よく変えてたの知ってるだろ?
 俺、飽き性だからさ」

里菜はニヤニヤしながら近づいてくるー。

愛梨沙はあきれた様子で
「ーあんたはラーメン屋も、彼女も飽きたらすぐポイ、だもんね。
 ホント最低」
と、呟くー

「ーーへへへへ そう。飽きたらポイ!さ」
里菜はそれだけ言うと、
「ーわたしもポイされちゃう!」と、里菜風の口調で笑ったー。

「ーーー”里菜”ってラーメンはスープまで飲みつくして
 もう飽きちゃったからさー

 今度はー”愛梨沙”って名のラーメンを堪能しようと思って…さ」

里菜の言葉に、愛梨沙が表情を歪めたその直後ー
里菜は愛梨沙にキスをしたー。

雨が降る中ー
愛梨沙の持っていた傘が、音を立てて道路の上に横たわったー。

③へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

次回が最終回デス~!
どのような結末を迎えるのか、ぜひ楽しみにしていてくださいネ~!

今日もありがとうございました~!

PR
憑依<浮気彼氏>

コメント