大学生になって一人暮らしを始めた男ー。
しかし、彼は近所に住む
”妙に親切なお姉さん”に翻弄されていくことにー。
そして、そのお姉さんの正体はー…?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今年の春から大学生デビューを果たした
北山 陽太(きたやま ようた)は、
大学デビューを機に、一人暮らしを始めていたー。
まだ、慣れないことばかりで、
一人暮らしをして初めて”親の力ってすごかったんだなー”と、
そんな風に実感しつつ、
大学生活に、バイトに、忙しい日々を送っていたー。
一人暮らしに慣れていないのはもちろん、
大学にもまだ慣れていないし、
バイト自体も、住む場所が変わったために
大学の近くの新しいバイトをスタートしたー。
プライベートも、大学も、バイトも、
全てが不慣れな状況に、
楽しく思いつつも、陽太は疲れてもいたー。
「ーあ~やべっ…今夜の食うもん、何も買ってないやー…」
そう言葉を口にしながら、陽太はため息を吐き出すと、
そのまま近くのコンビニに向かおうと準備をし始めるー。
「ー”兄貴”がいたら、色々言われただろうなぁ…」
陽太はコンビニに向かう準備をしながら
自虐的に笑いながらそう言葉を口にするー。
陽太には4歳離れた”兄”がいたー。
北山 凌馬(きたやま りょうま)ー。
凌馬は陽太のことをとても大切にしていて、
いつも陽太のことを何かと心配していたー。
心配性でおせっかいなところもあって、
きっと、今、兄の凌馬がこの場にいたら
”コンビニ弁当ばっかになってないかー?
もうちょっと栄養バランスを考えた方がいいぞ”とか
そんなことを言い出したに違いない。
そんな兄のことを口うるさくは思ったこともあったけれど、
ただ、兄・凌馬が自分のために色々してくれたことは
今でも忘れていないし、
兄の言っていることは、面倒であっても大体は正しいことが多かったー。
「ーーーーー」
ただー、その”兄”・凌馬はもういないー。
数年前に兄の凌馬は”事故”で命を落としたからだー。
凌馬が乗っていたバイクが停車していた際に、
背後から車が突っ込んで来て、そのまま帰らぬ人になってしまったのだー。
ふと、そんな”兄”のことを思い出していた陽太は、
どこか寂しそうに笑うと、
「兄貴が生きてたら一人暮らしを始める~!なんて言ったら
すごく騒いだだろうな」と、そう言葉を口にして、
ようやくコンビニに向かって出発しようと玄関の方に向かって歩き出したー。
がー、その時だったー
♪~~~
ちょうど、誰か来たのかインターホンが鳴ったことに気付いた陽太は
「ん?こんな時間に誰だー?」と、そう言葉を口にしながら
来客の姿をインターホン越しに確認するー。
すると、そこには
穏やかそうな雰囲気の優しそうなお姉さんが立っていたー。
ちょうど、自分と同じぐらいの年齢だろうかー。
かなり可愛い雰囲気で、
いきなり見ず知らずの可愛い子が家にやってきたという状況に
陽太は少し困惑の表情を浮かべるー。
”ーーい、いきなり美人が家に来るとかー、
ラノベとかそういうのでしか起きない事態だぞー?”
陽太は内心でそんなことを思いつつ、
”まぁ、どうせ何かの勧誘か何かだろうけど”と、
美人を、男子大学生の家の訪問セールスに使ったんだろう、と、
そんな風に考えるー。
「ーーはいー」
少し面倒臭そうにしながら陽太が、やってきた美人女性に対して
そう返事をすると、
”あ、陽太ーーー元気にやってる?”と、その女は突然そう言葉を口にしたー。
「ーーえ???はい???」
陽太は、突然の言葉に戸惑いながらそう返事をするー。
見ず知らずの相手にいきなり”陽太”と呼ばれた気がして、
戸惑う陽太ー。
「え?ど、どこかで会いましたかー?」
陽太がそう言葉を口にしながら、
内心で”あぁ…知り合いのフリして騙すやつだよな、これ”と、
そう自分の中で納得しながら応対を続けると、
やがて相手の女はー、
”あ、ご、ごめんなさいー。わたし、近所に住んでいる水無月(みなづき)ですー”
と、そう自己紹介をすると、
”ー覚えてませんかー?”と、そう言葉を続けたー。
「水無月ー…?」
相手のことを何かの勧誘だと思っていた陽太は
その名前を少しだけ頭の中で考えるー。
そうだー、
確かにこの近所に”水無月”という人はいたし、
一人暮らしの女子大生が住んでいる一軒家があった気がするー。
女子大生なのにそこそこ大きな家に住んでいることー、
そして、そこまで頻繁に見る名字ではないことから、
直接会ったことも話したこともなかったけれど、
陽太は思い出すことができたー。
「ーーあ、あぁ、み、水無月さんー。
確かにご近所さんでしたねー。
突然、どうしたんですかー?」
陽太は少し戸惑いながらそう返事をすると、
苦笑いしながら話を続けるー。
相手が近所に住んでいる女子大生、というところまでは
分かったものの、
まだ、どうしてこの人が自分の家にやってくるのかを
理解できなかったー。
”ーーえ、えっとー、あのー…
料理を作ったんですけどー、余ってしまって良かったら、とー”
近隣住民の女子大生・水無月 愛梨沙(みなづき ありさ)は
そう言葉を口にすると、料理が入っていると思われる鍋を
インターホン越しに見せ付けるー。
「ーーえっ…あ~~~…
ーーえっと、ありがたいんですけどー
そのー…どうして急に?」
警戒心が昔からそこそこ強い陽太は、そう言葉を口にすると、
愛梨沙は”えっ!?もしかして、疑ってます!?”と、
少し慌てた様子を見せたー。
が、すぐに”あぁ、そうかーまぁそりゃそうだよなー”と、
ブツブツとそう呟くと、
”ど、毒とか爆弾とか入ってませんから!”と、
インターホン越しに見えるように、
鍋の蓋を開けて、中身のカレーらしきものを見せて来たー。
「ーた、確かにカレーですね」
陽太はそう答えると、ハッとした表情を浮かべてから
「まさか、毒入りカレー!?」と、そう声を上げるー。
”そんなわけあるかっ!”
突然、愛梨沙がツッコミを入れるかのような反応を見せると、
”陽太は昔から警戒心が強すぎるー”と、ブツブツとそう呟くー。
「ーーあ、あのー」
陽太は、また呼び捨てにされたように聞こえたことに
戸惑いながらそう言葉を発すると、
「ーーど、どうして俺にー?その理由を聞かせてほしいのですけどー」と、
そう言葉を続けたー。
「ーほら、水無月さんのことはー
まぁ…一応、近所にそういう人がいるってことぐらいは
覚えてますけどー、
直接話したのはたぶんー…すれ違う時に挨拶したっけなぁ…?ぐらいしか
ないですし、
俺と特に…その、接点とかないじゃないですかー?
なのでー、すみませんがちょっと警戒してしまってー
ほら、最近物騒ですしー」
陽太は申し訳なさそうにしながらそう言葉を口にすると、
愛梨沙も”ま、まぁ…それもそうですよねー”と、そう言葉を口にしつつー、
”ーーわたしも大学生になって一人暮らしをして、色々大変だったので
近くで大学生が一人暮らしをはじめたって知ってー、
そのー、なんだか親近感がわいてー。”
と、そう理由を説明するー。
「~~~~」
陽太は”そんなことあるのかなー?”と、内心で思いつつ
”でも、いきなりこんな可愛い人が一人暮らしの男に接近してくるなんて
やっぱなんか怪しくね?”と、内心で警戒してしまうー。
”ーと、とにかく!わたしは怪しい人じゃありませんから
信じて下さい!”
カレーを手にしたままそう叫ぶ愛梨沙ー。
重そうな鍋を、華奢な感じの子に持たせたまま
玄関前に立たせている状況を
流石に不憫に思った陽太は
「わ、わかりましたー…ひとまず信じます」と、
ようやくそう言葉を口にすると、
渋々と玄関の扉を警戒しながら開けたー。
すると、近所に住む女子大生・愛梨沙は
「ーちょ、ちょっと、お邪魔していいですかー
もう、”この身体だと”限界ー」と、
そう言葉を口にして、
陽太の家の中へと入ってしまったー。
「ーえっ!?あ、はいー?」
陽太は、”男の家にそんな自然に入っていいのか?”と、
そう思いつつも、
「ーじ、じゃあ、そこのテーブルにどうぞ」と、
カレーの入った鍋を置いてほしい場所を指差すと、
「っていうか、玄関で俺に渡してくれれば、俺が運びましたけどー!?」と、
陽太は今更ながらにツッコミを入れるー。
「ーあ、あぁーそれもそうでしたねー」
愛梨沙は少しだけ笑うと、
カレーの入った鍋を置きながら、そう言葉を口にするー。
そして、部屋の中を見回し始める愛梨沙ー。
”ーーーなんか、部屋をジロジロ見られてるようなー…?”
陽太は内心でそんなことを思うと、
”もしかして、泥棒の下見ー?”と、
再び警戒心の強さを内心で発揮してしまうー。
そんな風に思われているとは夢にも思っていない愛梨沙は、
周囲を見渡しながら
「ー相変わらず、陽太の部屋は綺麗に整理整頓されてるなぁ」と、
静かにそう呟いたー。
「ーーはい???」
その言葉に、陽太は頭の上に「?」をたくさん浮かべながら
首を傾げるー
それもそのはずー。
いくら近所に住んでるとは言え、
ほぼ初対面のはずの愛梨沙から
”相変わらず、陽太の部屋は綺麗に~”と、意味不明なことを
言われたからだー。
まるで、過去に陽太の部屋を見たことがあるような発言ー。
しかも、またいつの間にか下の名前で呼び捨てになっているー。
「ーーえ、えっと、あのー
俺の部屋、見たことあるんですか?
もしかして、勝手に侵入したりしてます?」
陽太が戸惑いの表情を浮かべながら、
愛梨沙にそう確認の言葉を口にすると、
愛梨沙はハッとしたような表情を浮かべながら
「あ!い、いえ、そ、そ、そういうわけじゃなくてー
昔のことを思い出して!」と、そう言い訳をしたー。
「ーむ、昔!?
お、俺が実家にいたころって話ですか?」
陽太は戸惑うー。
確かに、陽太の部屋は昔から整理整頓されているー。
しかし、どうしてこの愛梨沙がそれを知っているのだろうかー。
「~~~~~~~」
愛梨沙は少し青ざめたような表情を浮かべながら
陽太の方を見つめるー。
愛梨沙が、陽太の”昔”を知っているかのような発言をする理由ーー
それはーー…
愛梨沙には、数年前に死んだ”凌馬”が憑依しているからー。
今の愛梨沙は、陽太の兄・凌馬によって憑依されている状態ー。
そのため、陽太の兄・凌馬や、家族しか知らないようなことを
愛梨沙が知っているのだー。
陽太のことを気に掛けて、突然カレーを持ってきてくれたのも
”陽太のやつ、どうせコンビニ弁当ばっか食べてるんだろうな”と、
そう思ったからこその行動ー。
「ーーもしかしてー…」
陽太は、そんな愛梨沙の方を見つめると、
疑いの視線を向けながら、そう言葉を口にするー。
「ギ、ギクゥ…」
愛梨沙は気まずそうな表情を浮かべながら
”お、俺だって、もうバレちまったかー?”と、
昔から警戒心が強い弟・陽太の方を見つめ返しながら
気まずそうな表情を浮かべるー。
すると、陽太はそのまま言葉を続けたー。
「ーーー……小さい頃、俺と知り合いだったりします?」
とー。
「ーホッー」
兄である自分が憑依していることがバレたのではないと
察した愛梨沙は安心した様子で息を吐き出すと、
「えっ!?今の反応は何ですかー!?」と、
陽太は戸惑いながら言葉を口にするー。
愛梨沙は「あ、あぁ、気にしないで下さいー」と、
それだけ言葉を口にすると、
「ーじゃあ、カレー、良ければ食べて下さいねー
どうせ、コンビニ弁当ばかり食べてるんだと思いますし、
栄養もー」
と、そう言葉を続けるー。
がー、
陽太は「ど、ど、どうしてコンビニ弁当ばかりって
知ってるんですか!?」と青ざめると、
愛梨沙は「あ、あ、あっ、それはー勘です!」と、
それだけ言葉を口にして、立ち去ろうとしたー。
「ーーーー~~~」
しかし、陽太は少し間を置くと
「ーあの……そういえば、カレーを頂いても、
ご飯もパンも家になくてー」と、苦笑いしながら
愛梨沙の方を見つめるー。
その言葉に立ち去ろうとしていた愛梨沙は
少しだけ笑うと、
「ーあ、じゃあ、わたしの家からご飯も持ってきます!」と、
そう言葉を口にして、そのまま玄関の方に向かったー。
「ーーー~~何だあの人ー…」
一人残された陽太は首を傾げながらも
「まぁ…悪い人じゃ…ないのかなー?」と、
妙に親切な謎のお姉さんのことを考えながら
不思議そうな表情を浮かべるのだったー…
②へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
死んだお兄ちゃんが、
近所のお姉さんに憑依していて…?
そんなお話デス~!!
でも、まだまだ弟くんは
そのことに気付いていませんネ~!!
続きはまた明日~!☆!

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