<融合>喧嘩してたら融合しちゃった!?(前編)

いつも喧嘩が絶えない兄と妹ー。

ある日、いつものように喧嘩をしていた二人は
勢いよくぶつかってしまって、
”融合”してしまいー…?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「あ~~!も~~~!!!
 ホントにウザい!
 わたしの視界に入らないで!」

高校生の妹、福山 理穂(ふくやま りほ)が
不満そうにそう言葉を口にするー。

その言葉に、兄の大学生・福山 龍平(ふくやま りゅうへい)も
不満そうに「はぁ?俺はただ、部屋に向かって歩いてただけだろ?
お前の視界に入るとか、入らないとか考えてないし」と、
そう返事を返すー。

そのまま、二人は喧嘩をし始めるー。

兄・龍平と、妹・理穂の最近の”いつもの日常”だー。
思春期真っ最中の理穂が、兄・龍平を毛嫌いし始めて、
兄・龍平も理穂から色々言われ続けているうちに
だんだんと理穂に対する接し方が悪くなっていき、
互いに喧嘩ばかりするようになってしまったー。

お互いに昔は仲良しではあったものの、
一度こうなってしまうとなかなか元に戻ることはできないー。
そんな、状態だったー。

今日も言い合いが続く龍平と理穂。

ようやく喧嘩が終わり、
”ふん!”と、二人がそれぞれ反対方向を向いて
立ち去ろうとするー。

しかし、二人とも”まだ文句を言い足りなかった”のか、
くるっと振り返って、再び相手の方に向かおうとするー。

がーーー
あまりにも同じタイミングで振り返り、
お互いに、”相手も同じ行動をとる”とは夢にも
思っていなかったために、
お互いに勢いよく正面衝突してしまったー。

しかもー…
正面衝突した二人は、”吹き飛ばされる”のではなく、
そのまま液体のようにくっついてしまいー、
”混ざり”始めたー

「うぉぉ!?なんだこれ!?」
兄の龍平が思わぬ出来事を前に声を上げると、
妹の理穂も「ちょ!?うわっ!キモッ!離れなさいよ!」と、
そう叫ぶー。

しかし、龍平も理穂も”自分の意思”で
身体を相手の身体にぐいぐいと押し付けているわけではないー。
自分たちではどうすることもできない”力”によって
吸い込まれるようにしてぐいぐいと引き込まれていたー。

「ぐえぇえええええ…」
「ーーちょ…やめ… ぁ…」

二人とも”無理矢理捻じ込まれる形”で融合していくー。

今までに感じたことのないあまりに不気味な感触に、
気色悪い、言葉に言い表しがたい状況ー。

二人とも、何とか苦痛に耐えていたものの、
二人はそのまま意識を失い、
そして”融合”してしまったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーーーーーーー!?」

目を覚ました理穂は困惑した表情を浮かべながら
周囲を見渡すー。

「ーーり、理穂ー?」
そう言葉を口にする理穂ー。

なんだか、様子がおかしいー。
理穂が、まるで”自分を探すかのような”
そんな言葉を口にしているー。

「え…な、なんだこの声ー…」
理穂はそう言葉を口にして、
自分の身体を見下ろすと、心底驚いた様子で
「うわっ!?な、なんだこれ!?」と、
そう叫ぶー。

それもそのはずー。
今、”理穂”の姿をしている身体を動かしているのは
兄の龍平のほうだからだー。

「ーな、な、なんで、お、俺が、理穂にー!?」
理穂の姿でそう叫ぶ龍平ー。

それと同時に、”自分の身体”が周囲には倒れていないこと、
そして、意識を失う直前、
自分が理穂の身体に吸い込まれて”合体”してしまうかのようなー、
そんな状況になったことを思い出すー。

「ーーお、俺、いったい、どうなってー…?」
呆然としながら自分の身体を見つめる理穂の姿をした龍平ー。

すると、
”ちょ、ちょっと!?これ、どうなってるのー!?”
と、頭の中に理穂の声が響き渡ったー。

「り、理穂ー!?」
理穂の姿をした龍平が、頭の中から響く妹・理穂の言葉に
困惑しながらそう言葉を口にすると、
「お、お、お前…お前が何かしたのか?!」と、怒りの形相で
言葉を口にする。

しかし、妹の理穂にも心当たりがなく、
”はぁ???あんたが何かしたんでしょ!?”と、
融合してしまったこの状況を兄・龍平のせいだと決めつけて
そう言葉を口にするー。

”だ、大体、これどうなってるの?
 なんでアンタがわたしの身体を!?!?”

理穂の意識が、怒りが収まらないという様子で叫ぶと、
理穂の姿をしている龍平は心底戸惑った様子で、

「わ、分からないよー。俺だって何が何だかサッパリ」と、
自分にもこの状況は心当たりがない、と、
そうハッキリ断言したー。

”ーーーーー”
理穂の意識はあまりにも異常な状況を前に、
”っていうか、アンタの身体は?”と、不満そうに呟くー。

理穂の姿をした龍平はキョロキョロと周囲を見渡すも、
”龍平の身体”が見当たらないー。

「ーーい、いやー…お、俺の身体はー」
理穂になった龍平が”融合”してしまう前の状況を
今一度頭の中で思い浮かべるー。

しかし、やはりと言うべきかー、
自分の身体がどうなったのかは分からないー。

そうこうしているうちに、
”いいから、わたしの身体を返してよ!”と、
そんな不満そうな言葉を口にする理穂の意識ー。

「か、か、返すって言ってもー…
 え…ど、どうすりゃいいんだー?」
理穂の姿のまま、困惑の表情を浮かべる龍平ー。

すると、”いいから、返しなさいよ!”と、
内側から理穂が強い口調で叫ぶと同時に、
急激に龍平が”何かに引っ張られるような”不気味な感触を覚えたー。

それと同時にー、
内側にいた理穂が”吹き飛ばされる”ような感覚に陥りー、
身体がぐねぐねと変化するような、不気味な違和感を感じる。

「ーー!?!?!?!?」
そして、次の瞬間ー

「ーあっ…わ、わたしが…動けるようにー」
理穂が、そう言葉を発するー。

さっきまでの”内側から”声を発しているような不気味な感覚ではなく、
ちゃんといつものように”外”で声を発しているような、
そんな状態ー。

が、それとは別のことで理穂は表情を歪めたー。

「は…?何この声ー?」
理穂が嫌悪の表情を浮かべるー。

それもそのはずー。
意識が”表”に出て来ることはできたものの、
何故か口から発されている声は、兄の龍平のもの。

それだけではないー。
声だけではなく、姿まで、兄の龍平の姿になってしまっていたー。

「うわっ!?何なのこれ!?
 はっ…?あ、あり得ないんだけどー…」
呆然とした様子で、龍平の姿になってしまった自分の身体を
見つめる理穂ー。

理穂の意識が表に出て来ると同時に、
”龍平”の姿に変わってしまったのだー。

「い、一体何なの!?どうなってるのよ!?」
龍平の姿・声でそう叫ぶ理穂ー。

今度は立場が逆転して”奥”に追いやられてしまう形になった
龍平は、”わ、分からないよー俺に言われても”と、
戸惑いの言葉を返すー。

さっきは、理穂の姿で龍平が身体の主導権を握っている状態だったー。
けれど、理穂が表に出たら今度は、
龍平の姿で理穂が身体の主導権を握っているー。
そんな状態になっているー。

”ーやっぱ、俺とお前の身体が混ざってー…”
龍平が、理穂の中から戸惑いながら言うー。

さっき、意識を失う直前に”融合”するような、
そんな、今まで感じたことのない得体の知れない感覚があったー。

龍平の身体は消えてしまったのではなく、
理穂の身体と一体化…”融合”してしまった様子だったー。

”ーーーーー”
理穂が龍平の姿でギャーギャーと騒いでいる状態の中、
色々な考えを頭の中で巡らせていた龍平は
ふと口を開く。

”なぁ、もう1回俺が表に出てもいいか?”
龍平のその言葉に、
龍平の姿で騒いでいる理穂が「は???ふ、ふざけないで!あんたなんかにー」と、
心底不満そうに言葉を口にするー。

けれど、”どうしても確認したいこと”があった龍平は
”頼むー。今の状況がどうなっているか、理穂も知りたいだろ?”と、
そう言葉を続けるー。

龍平の姿になってしまっている理穂は、
なおも不満そうな表情を浮かべたものの、
やがて「分かったー」と、だけそう言葉を口にすると、
「でも、どうやって、表に出るの?
 わたしもさっき、あんたがキモイって思ってたら急に
 こうなっただけで方法とか分からないけど」
と、龍平の声でそう言葉を続けるー。

”それはまぁー…理穂と同じことすりゃ、どうにかなるだろ”
少し笑いながら、龍平がそう言葉を口にすると、
”理穂はうざい 理穂はうざい 理穂はうざいうざい”と、
理穂に対する怒りを口にしながら、
理穂を押しのけて無理矢理”表”に出ようと念じ始めるー。

「はぁ!?!?なんかムカつくんだけど!?!?」
龍平の姿になってしまっている理穂が
怒りを露わにすると、
その直後ー…理穂が”後ろに引っ張られる”ような感触を覚えて
声を上げるー。

それと同時に、龍平の姿をしていた身体が”理穂”の姿に変化して、
龍平の意識が表に出て、
理穂の身体を動かせるようになったー

「ーマジかー…やっぱりそうだー」
理穂の姿、理穂の声でそう呟く龍平ー。

”な~にがマジか…、よ!?どういうこと?”
再び奥底に追いやられてしまった理穂の意識が
心底不満そうにそう言葉を口にすると、
龍平は、理穂の姿のまま言葉を口にしたー。

「ーん~と、何ていうかー…
 たぶん、俺とお前の身体が”ひとつ”になっちゃって
 身体も精神も混ざり合った状態になってるんだと思うー。

 で、どういうわけか
 俺が表に出てると身体は理穂の姿に、
 で、理穂が表に出てると俺の姿になるってー
 そういう状況なんだと思うー。

 だから、また理穂が表に出れば
 今度は俺の姿になってー…ってことだなー」

龍平は理穂の声でそう説明すると、
”わたしの声でペラペラしゃべらないでーキモイから”
と、不満そうにそう言葉を口にしたー。

その上で、
”こんなキモい状況、いつまでも続いたら困るんだけど”
と、心底不満そうに言い放つー

「そりゃ、俺だって同じだよー!
 口うるさいお前といつも一緒とか、
 この世の終わりに等しいだろ」
龍平も、とても不満そうに理穂の身体で
そう言葉を口にすると、
”とにかく、どうにかしないと”と、そう言葉を付け加えたー。

”どうにかってー…どうするのー?”
理穂の意識がそう言うと、
理穂の姿をしたまま、龍平は「…」と、数秒間沈黙するー。

しかし、ようやく意を決すると「病院に行くしかないだろ」と、
理穂の姿でそう言葉を口にしたー。

”び、び、び、病院…?そんな大げさなー…!”
理穂の意識がそう言葉を口にすると、
「いやいや、お前だってこの状況のままじゃ困るだろ?
 俺も困る。だったら病院に行くしかないって」
と、理穂の身体で龍平は改めてそう言葉を口にするー。

理穂の意識は
なおも不満そうに”でもー”と、そう言葉を口にするも、
「ーーじゃあ、他に方法があるのか?」と、龍平に言われてしまい、
黙り込むことしかできなかったー。

”ーーで、お父さんとお母さんには言うの?”
やがて、理穂の意識がそう言葉を口にすると、
龍平は「ーーまぁ…言うしかないよな…」と、
気まずそうに呟いたー。

二人は”理穂”が表に出ると龍平の姿に、
”龍平”が表に出ると理穂の姿になってしまうという
異常な状況に置かれてしまい、
困惑しながらも、元に戻るために行動を開始するのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーちょ、ちょっと…な、何なのー!?」

「だ、だ、大丈夫なのかー!?」

両親が心底驚いたような表情を浮かべるー。

「ーわ、分からないけどー、でもー
 とりあえず苦しいとか痛いとかはないから、
 病院に行って診察を受けようと思ってー」
理穂の姿のまま、龍平がそう言葉を口にすると、
両親もすぐにそれに納得したー。

”入れ替わっちゃってーーー!!!!”とかだったら、
両親にすぐに信じてもらうことは難しかったかもしれないし、
二人が混ざり合って”別人の容姿”みたいになってしまっていた場合も
”どちら様ですか?”になってしまって、信じてもらうのは
難しかったはずだー。

けれど、二人の場合は違うー。

目の前で”理穂から龍平の姿に”
あるいは、その逆を見せ付けることで
相手に信じてもらうことはたやすいー。

何とか、融合を両親に信じて貰った二人は
そのまま、近所の大病院へと向かうのだったー。

<後編>へ続く

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コメント

そこそこ久しぶりの融合モノデス~!

今回は、ちょっぴり変わった状況に
陥る融合を描いて見ました~!!

毎週土曜日の更新は予約投稿な都合上、
続きはまた来週ですが、楽しみにしていて下さいネ~!

今日もありがとうございました~~!

続けて後編をみる!

「喧嘩してたら融合しちゃった!?」目次

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