とある大企業の跡取り息子ー。
彼の父親は”息子に、視野を広く持ってほしい”との願いから、
高校入学時に息子を女体化させて、高校に通わせていたー。
やがて、その3年間は終わりを迎えようとしていて、
”男に戻るとき”が近付きつつあったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーえ~?ホントに?」
間もなく高校生活3年間を終える女子高生ー、
神宮寺 遥香(じんぐうじ はるか)が、
嬉しそうに笑うー。
「うんうん!遥香は絶対、そっちの方が可愛いよー」
お店で、小物を見つめながら、友達の星奈(せいな)が、
そう言葉を口にするー。
「ーじゃあこっちにしよっかな~」
卒業間近ということもあり、
既に高校卒業後の進路もそれぞれ決まっていて、
学校の授業時間も少なく、
大学進学か、人によっては就職を控えている中ー、
束の間の”自由時間の多い日常”を過ごしていたー。
休日の今日、
遥香も、友達の星奈も楽しいひと時を過ごしているーー
はずだったー。
「ーーーーーー」
しかし、フードコートで昼食を食べている最中にー、
遥香は急に元気がなくなり、考え込むような表情を見せ始めたー。
「ーー…」
そんな遥香の様子を、心配そうに見つめる友達の星奈ー。
それもそのはずー。
最近の遥香は深刻そうな表情で”何かを悩んでいる”ような素振りを
見せることが時々あるのだー。
星奈も心配になって、何度か遥香に
”悩み事でもあるの?大丈夫?”と、確認したことがあるー。
しかし、遥香は「大丈夫だよー」と、答えるだけで、
”何に悩んでいるのか”を答えてくれることはなかったー。
「ーーーー……遥香ー」
星奈は、フードコートでの昼食中に
険しい表情で悩んでいる様子の遥香に言葉を掛けるー。
すると、遥香はハッとした様子で、
「あ、あぁ、ごめんごめんー」と、そう言葉を口にすると、
笑顔を浮かべながら「それでー何を話してたっけ?」と、
話題を変えようとし始めるー。
「ーーー……」
星奈は心配そうにしながらも、
”大丈夫?”と聞いても、きっと今日も何も答えてくれないー、と、
そう思ったのか、それ以上何も聞くことはせずに、
「ーーあ、うんー大学に行ったら~、の話ー」と、
それまでしていた話題を口にするー。
「ーーあ、そうだったねー。
星奈は大学に行ったら、一人暮らしするんだったっけー?」
気を取り直して、友達の星奈と話をし始める遥香ー。
けれどー、会話をしながら遥香はこんなことを考えていたー
”わたしはー…大学生にはなれないからー”
とー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
帰宅した遥香は、小さくため息を吐き出すー。
遥香の部屋はーー…
どこか、”男子”と”女子”が混ざったかのような不思議な光景が
広がっていて、部屋の隅には”男子”の部屋のような雰囲気が
漂いつつも、女子らしいモノも揃っているなど、
どこかアンバランスな、不思議な雰囲気の部屋だったー。
そしてー、遥香は机の上に飾られている”男”の写真を見つめたー。
遥香より、少し年下に見えるあどけなさの残る男子生徒らしき写真ー。
「ーーーー」
遥香は、その写真をどこか寂しそうな表情で見つめるー。
しかし、その写真に写っている男子は
”彼氏”ではないー。
そして”弟”でもないー。
”幼馴染の男子”でもないー。
その写真に写っている男子生徒はーー
”遥香”自身ーーーー…。
「ーーー…もうすぐ”わたし”は、”俺”に戻るー」
遥香は、そんな言葉を口にするー。
そうー…
ここにいる神宮司 遥香は、今でこそ”女子”であるものの、
元々は女ではなかったー。
本当の名前は、”神宮寺 春樹”ー。
代々、ある会社を経営している神宮司家に生まれた長男でー、
春樹自身も、”跡取り”として、父・神宮寺 龍平(じんぐうじ りゅうへい)の
会社を継ぐことが決まっていたー。
がー
その春樹は、
今からおよそ3年前ー。
中学を卒業して高校生になる直前に、
父・龍平から告げられたのだー。
”春樹ー。お前は女子として3年間、高校に通うんだー”
とー。
「ーーーーー」
”遥香”は、その時のことを思い出しながら、静かに目を閉じたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
約3年前ー。
中学を卒業し、名門高校への入学が既に決まっていた春樹は、
春休みのひとときを過ごしていたー。
が、そんなある日ー。
父・神宮寺 龍平から呼び出しを受けた春樹は
”改めて呼び出されるなんて、何だろう?”と、
少し不思議に思いながら、父・龍平の元を訪れたー。
「父さんー話って?」
そう言葉を口にしながら父・龍平が待つ部屋にやってきた春樹ー。
すると、龍平はピンク色の不思議な液体の入ったコップを手に、
それを机の上に置くと、
「ーー春樹、それを飲むんだー」と、そう言葉を口にしたー。
「ーーー…これは??
なんか、まずそうな色してるけどー…」
春樹は戸惑いながら、机の上に置かれたピンク色の液体が入ったコップを見つめるー。
すると、父・龍平は言ったー。
「ー”女体化薬”ー。
簡単に言えば、女になるための薬だー」
とー。
「ーーーは…?????」
予期せぬ父の言葉に、春樹は心底困惑したような声を出すと、
「ーー女になるって、誰がー?」と、そう言葉を口にしたー。
すると、父・龍平は少しため息を吐き出してから、
「神宮寺グループのトップに立つ人間は、
何事にも視野を広く持たなければならないー」と、
そう言葉を口にするー。
「ーー男としての視点、女としての視点ー
その両方を経験することで、
より多くのことを学び、感じることができるー」
父・龍平はそこまで言うと、
春樹のほうを真剣な眼差しで見つめながら、こう言葉を口にしたー。
「ー春樹ー。お前は女子として3年間、高校に通うんだー」
とー。
「ーーーえっ!?!?!?!?」
あまりの驚きに、口から心臓が飛び出そうなほどの衝撃を受けるー。
「ーーーーーーー」
父・龍平と春樹は、無言でお互いを見つめていると、
やがて、春樹が口を開いたー
「いやいやいやいやいや、父さんー。何を言ってるんだよー?
俺に女装でもして高校に行けってことー?
男が女になることなんてできるわけないし、それにー」
春樹がそこまで言いかけると、
父・龍平は「いや」と、言葉を遮るー。
「ー!?」
春樹が少し驚いた表情で、父・龍平のほうを見つめると、
龍平は「ーできるんだー」と、そう自信満々に言い放つー。
目の前の机に置かれている”ピンク色の液体”
それを飲むと、女体化できるのだと龍平は語ったー。
「ーー社会的に色々問題が起きるからー、
その薬の使用は厳しく制限されているし、
その存在も内々の者しか知らないー。
が、それを飲めば、見た目だけではなく
生物学的にも完全に”女”になることができるー」
父・龍平の言葉に、春樹は戸惑いながら、
「ーこ、これを飲んで俺に女になれってー!?」と、
表情を歪めるー。
「ーーー簡単に言えば、そういうことだ」
龍平は静かに頷くー。
それでも、納得いかない様子の春樹は
「いやいや、イヤだよー!何か健康への影響があったらやだし、
それに、男に戻ることはできるのかー?」と、
そう言葉を口にすると、
「大丈夫だー」と、父・龍平は、息子である春樹の”心配”を
一蹴したー。
「健康被害がその薬で出ることはないし、
男に戻ることも可能だー」
龍平はそれだけ言うと、もう一つ、”青い液体”が入ったコップを
用意すると、「それは男体化薬ー。簡単に言えば、男になることができる薬だ」と、
そう言葉を口にするー。
「ーう…嘘だろ…そんなものまでー」
春樹は呆然としながらも、一瞬、父・龍平が”ふざけている”のかと思い、
父の顔を見つめたー。
が、父はいたって真剣な表情を浮かべていて、
そもそも、父・龍平はそういう”嘘”をつくような人間ではないことは、
息子である春樹が一番よく分かっているー。
「ーーー」
”健康被害はない”
そして、”男に戻ることもできる”
そう断言されてしまい、春樹は女体化したくない言い訳が
浮かばなくなってしまい、困り果てたような表情を浮かべるー。
「ーーーーーー……い、いや…いやいやいや、
そ、そんなことできるはずがー」
春樹がそう言うと、
「ならば、私が実際に飲んで見せてやることもできるが?」
と、父・龍平はそう言い放つー。
「ー~~~~~~~い…わ、わかったー」
父・龍平が目の前で女体化する姿など見たくない、と
そう思った春樹は少し慌てた様子でそう言うと、
父・龍平は「そうかー…分かってくれたか。ならよかったー」と、
そう言葉を口にしてから、
女体化薬を春樹の方に差し出すー。
「ーーー…で、でも待ってくれ父さんー。
法律的に色々問題があるんじゃないのかー?
高校だって、俺は男子としてー
”神宮寺 春樹”として合格したんだからー、
それでいきなり女子として…は、まずくないかー?」
春樹はそう言い放つと、
父・龍平は感心した様子で頷くー。
「確かにー。そういうところに気が回るのも
神宮寺家の跡取りとして大事なことだなー」
そんな言葉に、春樹は一瞬”女体化しなくて済むのでは?”という
希望を頭の中に思い浮かべてしまうー。
がー
その希望はすぐに打ち砕かれたー。
「ーーその心配はないー。
既に高校側とは打ち合わせ済みだー。
春樹ー、お前は3年間、
神宮寺 春樹ではなく、
神宮寺 遥香として3年間、高校に通うことになるー。
そのことを知るのは校長だけでー、
校長は口の堅い男だから、心配はいらない」
父・龍平がそう言い放つと、
春樹は、希望から絶望に転落したかのような表情を浮かべながら
「ーーー…もう、やるしかないってことかー」と、
そう言葉を口にするー。
「簡単に言えば、そういうことだー」
龍平は静かに頷くと、
春樹は「ーーー他の誰かにこのことを言うのはー?」と、
そう確認すると、龍平は「誰にも言ってはいけない」としたうえで、
「まぁ、このようなこと、誰かに話したところで
信じる人間はいないと思うがな」と、そう言葉を付け加えた。
確かに、こんなこと信じる人間はそうそうはいないだろう。
そう思いつつ、春樹は「卒業した時、絶対に男に戻れるんだな?」と、
再度確認するー。
その言葉に、父・龍平は少しだけ笑うと、
「あぁ、必ず元に戻す。私も高校生活3年間だけだったし、
それが神宮寺家の決まりだ」と、そう言葉を口にすると、
春樹は「と、父さんも3年間女子だったのかー」と、苦笑いしながら
女体化薬を口に近付けるー。
「ホントに、ホントに元に戻れるんだな?」
不安になって、再確認する春樹ー。
「安心しろ。絶対だー。
たとえばー、そう、3年後、卒業するときに
もしもお前が”男に戻りたくない!”と言ったとしても、
必ず口に男体化薬を捻じ込んで元に戻すー。
だから、安心しろー」
父・龍平のその言葉に、
春樹は苦笑いすると、「戻りたくないなんて言うわけないじゃないかー」と
そう言葉を口にしながら、嫌々ではあったものの、
意を決して”女体化薬”を口に運ぶのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
それから3年ー
”卒業”を間近に控えていた女体化した春樹=遥香は、
大きくため息を吐き出すと、
3年前までの自分の写真を見つめながら
自虐的に笑うー。
”戻りたくないなんて言うわけじゃないじゃないかー”
3年前の自分が口にした言葉を思い出すー。
「ーー…ーーー戻りたくなくてもー、戻されるんだよね」
”遥香”はそう言葉を口にすると、
鏡で自分の姿を見つめるー。
最初は”嫌”だったー。
でも、女体化した状態で3年間を過ごしてー、
今度は”それ”を失うのが怖くなったー。
女子としてのおしゃれも、もうできなくなるしー、
何より高校時代3年間を共に過ごした仲間たちとは、もう会えないに等しいー。
”神宮寺 春樹”に戻れば、仲間たちからすれば、
それは”知らない人”なのだからー。
「ーーーーー”俺”に戻りたくないなー…」
遥香は寂しそうにそう呟くと、
もうすぐ訪れる”男に戻る時”を頭の中に浮かべて大きくため息を吐き出したー。
②へ続く
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コメント
女体化して3年間高校に通って、
そのあと男に戻される…そんなお話デス~~!★!
どうなっていくのかは、また明日以降のお楽しみデス!!

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