優等生の姉を持つ弟ー。
彼はいつも、姉に対して強い劣等感を感じていたー。
そんなある日、彼は姉を洗脳して”不真面目”な
性格に変えてしまうー。
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「うるせぇなぁ…」
神田 直哉(かんだ なおや)は
不満そうな表情を浮かべながら
そう言葉を口にしたー。
「ーーも~……ホントに大丈夫なの?」
そんな”弟”の直哉を心配そうに見つめるのは、
直哉の姉・神田 愛優美(かんだ あゆみ)ー。
愛優美は、学校で生徒会会長も務めている
真面目な子で、
見た目も、中身も、全てを兼ね備えたー、
そんな感じの優等生だー、
が、弟の直哉は愛優美とは違い、
不真面目でいい加減な性格ー、
今日も腕に怪我をして帰宅して、
姉の愛優美に心配されていたのだー。
「ー大丈夫って言ってるだろー。
ちょっと悪ふざけして怪我しただけだから」
直哉が言うと、愛優美は「あんまり危ないことしちゃだめだよー」と、
そう言葉を口にするー。
「はいはいー。真面目で優等生な姉さんに
心配かけて申し訳ありませんでした~」
直哉は、不貞腐れた態度でそう言葉を口にすると、
愛優美は「ーそういう言い方も、良くないよ!」と、
困惑した表情を浮かべながら言うー。
「ーーーあ~はいはいはいはい」
直哉はそれだけ言うと、そのまま部屋の中に戻っていくー。
「ケッ!」
部屋に戻ると、直哉は不満を露わにしながらそう呟くー。
「ーーいちいちうるさいんだよー」
直哉はそう言葉を口にしながら、自分の勉強机を見つめるー。
現在、直哉は高1で、姉の愛優美は高3ー。
以前は、”姉さんを見習って”とー、
自分も勉強を頑張ったり、真面目にやろうとしたこともあったー。
が、どんなに頑張っても、どんなに勉強してもー
”優秀すぎる”姉の愛優美に勝つことはできなかったー。
愛優美は、そんな弟の直哉を前に
”ー直哉は十分頑張ってるからー”とか、
”あまり、わたしと比べたりしなくてもいいんだからねー”とか、
直哉の頑張りを認めて、励ましてくれたし、
愛優美の性格上、それは嫌味でも、遠回しの自慢でもなく、
本当に直哉のことを気遣ってくれている言葉であることも
直哉には分かっているー。
でも、”愛優美じゃないほう”と言わんばかりに
いつも比べられて、両親からも比べられた直哉は
挫折してしまったー。
”優秀過ぎる姉”を前に挫折して、
勉強を諦め、不真面目に過ごすようになったー。
「ーーーふんー。姉さんには分からないさー
俺の気持ちなんてー」
すっかり不貞腐れた性格になってしまった直哉は、
そんな言葉を口にしながら、ベッドの上に寝転んで、
大きくため息を吐き出したー。
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数日後ー
姉の愛優美の進路相談のために、
三者面談が学校で行われて、
母親の郁恵(いくえ)が、愛優美と共に帰宅したー。
先生に成績のことを褒められたらしく、
母・郁恵は上機嫌な様子だー。
穏やかに笑う愛優美ー。
そんなやり取りをリビングの端で見ていた直哉は
さらに不満を膨らませていくー。
「あ、直哉~おかえりー」
先に帰宅していた直哉に気付いた愛優美が
いつものように優しい笑顔を浮かべながらそう言葉を口にするー。
挫折して、不貞腐れてしまった直哉にも、
愛優美は変わらず接してくれたー。
どんなに嫌な態度を取っても、それでも愛優美は
直哉のことを常に気にかけていたー。
けれど、そんな”優しさ”が余計に直哉を苛立たせたー。
「ーーふんー”優等生様”はいいよなー
いつも褒められて」
そんな態度を取る直哉ー。
愛優美は苦笑いしながらも、
「そんなこと言わないでよ~」と、
なおも直哉のことを嫌がる素振りは全く見せないー。
「ーーーー」
直哉は”ふん”と、今一度顔を背けると
そのまま自分の部屋に戻って、
不満そうな表情を浮かべながらスマホを見つめるー。
姉への劣等感と挫折ー
そして、思春期の難しい時期が重なって
すっかりと不貞腐れてしまった直哉ー。
がーーー
”このまま”なら、いつか直哉も、
姉の愛優美と和解して、また昔のように
仲良しに戻ることができる時期もー
”来るかもしれない”、そんなはずだった。
しかしー
直哉はこの日、不満そうな顔でスマホを
操作している最中に見つけてしまったー。
”見つけるべきではなかった”
それを見つけてしまったのだったー。
もう、後戻りをすることはできない”禁断”のそれをー。
「ーーーなんだこれー…」
驚きながら、表情を浮かべる直哉ー。
そこには”イヤホン”が表示されていたー。
がー、そのイヤホンは普通のイヤホンではないー。
”人を洗脳することができる”
そんな、恐ろしい力を持つイヤホンだった。
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数日後ー
直哉はバイトで貯めたお金を使って
”人を洗脳する力を持つイヤホン”を購入ー、
それが到着していたー。
付属されていた説明書を読みながら
事前に”設定”を進めていくー。
このイヤホンは事前に”相手をどんな風にしたいのか”を、
設定しておいて、その状態で対象者に”音”を聞かせることにより、
対象者の脳に直接作用ー、
脳の深部にまで食い込み、その相手を洗脳するという恐ろしいものだったー。
「ーへへ…姉さんを滅茶苦茶にしてやるー」
劣等感に支配されていた直哉は、そんな言葉を口にすると、
”とにかく不真面目”に、そして”攻撃的”になるように、
添付されていた設定ソフトウェアを使って設定、
それをイヤホン内のチップに保存するー。
「ーできたー」
設定を終えた直哉は、満足そうにイヤホンを見つめるー。
「ホントに、これで姉さんを変えることができるんだよなー?」
ニヤニヤしながら、直哉はそう呟くー。
勿論、本当に人を洗脳できるなどと、100パーセント
信じ込んでいるわけではないー。
しかし、万が一失敗したとしても、
”ただのイヤホン”だと思わせておけば問題にはならないし、と、
直哉は軽い気持ちでそのイヤホンを手に、
部屋にいる姉・愛優美の元へと向かうー。
愛優美の部屋をノックする直哉ー。
愛優美から”入っていいよ~”と返事が返って来て
直哉が中に入ると、愛優美はちょうどスマホを触って何かを見ている最中だったー。
「ーーーなんだよー。いつも勉強してるのかと思ったー」
直哉が皮肉っぽくそう言うと、
「ーふふー、勉強ばかりじゃ疲れちゃうし、息抜きも必要でしょ?」と、
愛優美はそう笑うー。
愛優美は”常に勉強”してるわけではないー。
友達と遊んだりもしているし、趣味も堪能しているー。
そんなことは、直哉も知っているー。
「ーーそれで、どうかしたのー?」
愛優美が、”直哉が部屋に来るなんて珍しいから”と、笑いながら
そう言うと、直哉は意を決して
”人を洗脳する”そんな悪魔の力を持つイヤホンを手に、
「ーー姉さんに聞いてほしい曲があるんだー」と、そう言葉を口にしたー
「え~?わたしにー?」
愛優美は驚いたような表情を浮かべながらも、
「え、どんな曲だろ~?」と、すぐに興味を示すー。
”お人好しすぎて好都合だぜー”と、直哉は内心で思いながらも、
「ははー姉さんも気に入ってくれると思うよ」と、それだけ言うと、
イヤホンを手渡したー。
姉の愛優美は何も疑うことなく、
そのイヤホンを身に着けて、音楽を再生するー。
「ーー……」
直哉は、姉・愛優美の様子を見つめるー。
すると、愛優美が少し表情を歪めたー。
「えー…?なんか、変な音が聞こえて来るんだけどー」
そう言葉を口にする愛優美ー。
が、次の瞬間ー
愛優美は突然、ビクッと震えて、
瞳を震わせたまま、
「がー…がー… ががっ…がー」と、奇妙な言葉を口にし始めたー
「ーー!」
直哉は、笑顔で音楽を聞こうとしていた愛優美から
表情が消えて、無表情のまま、ピクピクと震えだしたのを見て
「ま、まさか、本当にー」と、嬉しそうに笑みを浮かべるー。
「ーがが… がーー がが… が…が…」
愛優美がまるでロボットのように奇妙な言葉を口にしながら
何度か震えると、
やがて、口を開いたー
「ー脳の”調整”が完了しましたー」
とー
「ーー…!」
機械的な愛優美の言葉に、思わずゾクッとしてしまう直哉ー。
愛優美は無表情のまま、ガクッと首を垂らすと、
その長い髪がふわっと揺れるー。
「ーー…ね、姉さんー?」
失神したのだろうかー。
そんな風に思いつつ、直哉は少しだけ不安を覚えるー。
がー、すぐに愛優美は顔を上げてー、
そのままイヤホンを外すと、言葉を口にしたー
「ーーーーなんで”あんたが”わたしの部屋にいるの?」
とー。
「ーーえ…あ、いやー、へへー」
直哉は少し戸惑いながら、どう会話していいのか分からずー、
そして、”洗脳”とやらは成功したのかも分からず、
適当な言葉を口にしたー。
すると、愛優美はイヤホンを雑に外して
それを床に放り投げると、
「出てってー。邪魔だから」と、淡々と言葉を口にしたー。
「ーー…ははー、いきなりなんだよ~!
いつも俺に口うるさいこと色々言ってくるくせにー」
直哉はいつものように、揶揄うような口調で
そこまで言葉を口にするとー、
愛優美が突然、大きな声を出したー
「出てけ!!」
とー。
ビクッとしてしまう直哉ー。
「ーーー…何回言わせるの?
出てっけって言ってるでしょ」
舌打ちをして、直哉を睨みつける愛優美ー
それを見て、直哉は驚くと同時に
ゾクゾクしながら”す、すげぇ…ホントに効果があったー”と、
笑みを浮かべると、
「わ、分かったよー言われなくても出て行くからー」と、
それだけ言葉を口にしたー。
部屋に戻った直哉は、”キレた姉”の姿を思い出しながら
ひとり、ニヤニヤと笑みを浮かべると、
「ーすげぇ…このイヤホン、本物だったー」と、
”洗脳”が成功したことを確信して、笑みを浮かべたー。
そして、その日の夜ー。
晩御飯の時間になると、愛優美は露骨に不機嫌そうに降りてきて、
そのまま自分の座席に向かうー。
ちょうど、愛優美の座席の近くに立っていた直哉を見つめると
「ねぇ、邪魔なんだけどー。どいて」と、愛優美は
キツイ口調で言葉を口にしたー。
「ーーあ、わ、悪い悪いー」
直哉はニヤニヤしながらその場からどくと、
愛優美は不満そうにイスに座って、ため息を吐き出すー。
「ーあら、どうしたのー?」
母親の郁恵が、そんな愛優美の異変に気付くも、
愛優美は「ー別にー。何でもない」と、不愉快そうに
そう言葉を口にしたー。
父は仕事で帰宅が遅いことが多いため、
家族三人での晩御飯がスタートするー。
が、その日の食卓はいつもとは違い、
ピリピリとした空気が漂っていたー。
愛優美の機嫌が露骨に悪かったからだー。
”ーーー…す、すげぇ効き目ー…”
直哉は少しだけ、あまりの効き目に驚きながら、
「ーなぁ、姉さんー」と、
あんまりピリついた空気すぎるためか、
我慢できずにそう言葉を口にしたー。
がー
「ーーーなに?」
愛優美は面倒臭そうに直哉を見つめると、
直哉は「あ、いや~…今日”機嫌悪そうだな”って思ってー」と、
そう言葉を口にするー。
「ーーーーで?」
愛優美が、不快感をむき出しにそれだけ返してくるー。
あまりの不機嫌っぷりに、委縮してしまう直哉ー。
母親の郁恵も戸惑いの様子を見せているー。
「ーー」
そのまま、それ以上会話がないまま、食事は終わり、
直哉は「すっげぇ~…」と思うと同時に、
少しだけ不安も感じ始めていたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー
朝になっても愛優美はそのままで、
不機嫌そうなまま学校に向かっていくー。
”あのままじゃ、学校で問題とか起こしそうだよなー”
そんな風に思いながら、自分も、学校に向かうために
外に出る直哉ー。
そしてーー
その日ー、帰宅した愛優美は、
「あぁ~~~~…うっぜぇえ…」と、一人で髪を掻きむしりながら、
友達の名前を口にしていたー。
確か、姉の愛優美と仲良しな子の名前だー
何かトラブルを起こしたのかもしれないー。
そう思っていると、姉の愛優美が
リビングで、不満そうにスマホを手にすると、
「ーうるさいって言ってるでしょ!いちいちうざいんだよ!!」と、
誰かに向かってそんな怒鳴り声を上げたー。
「~~~~~~~」
直哉や”やばっ…”と、姉・愛優美のあまりの豹変ぶりに驚くと同時に、
”ちょっと、やりすぎたかもしれないなー”と、
姉を元に戻すべく、部屋に向かって歩き出すのだったー
②へ続く
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洗脳を仕掛けた側の弟も、戸惑う結果に…!★
このまま無事に元に戻すことができれば…
いいですネ~笑
続きはまた明日デス~!☆

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