憑依して、”寒さ”を楽しむ男ー。
その欲望はさらに高まっていき、
彼は”ある姿”で外を歩くことを夢見始めるー…。
・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーひっ!?!?!?」
自宅で、スマホをいじっていた女子大生・山西 真奈美が、
哲昭に憑依されて、声を上げるー。
手に持っていたスマホをその場に落としてしまい、
蹲る真奈美ー。
「ーーへへーー…この憑依する瞬間もやめられねぇー」
すぐに、真奈美はニヤニヤしながら立ち上がると、
「ーお~~…彼氏とメッセージのやり取り中だったのかぁ」と、
ニヤニヤしながら落としたスマホを見つめるー。
「ま、別に俺には彼氏がいようと、いなかろうと関係ねぇからな」
真奈美に憑依した哲昭はそう言葉を口にするー。
哲昭は、別に”好きな子”に憑依しているわけではない。
好きな子に憑依して、欲望を満たそうとしていた人間であれば、
憑依したその子に”彼氏”がいればショックを受けるかもしれない。
けれど、哲昭は別に”好きな子”に憑依しているわけではないし、
乗っ取った相手に彼氏がいようと、いなかろうと、
彼には関係のないことだー。
「むしろ、他人の女を”好きにできる”んだからー
”いる”方が興奮するかもなー」
真奈美は邪悪な笑みを浮かべながら
彼氏と連絡を取り合っていたスマホを手にすると
”急用できちゃったからごめん”と、だけ適当に送って
そのままスマホの電源を切ったー。
「ーへへ これからお前の彼女は
バニーガール姿で外を歩くんだぜ?へへー」
真奈美はスマホに向かってそう言葉を口にすると、
そのまま既にコンビニに到着している荷物ー
バニーガールの衣装を受け取るために、
そのまま外に向かって出かける準備をするー。
「ーーーとー」
が、玄関の前までやってくると、
”せっかくなんだから、受け取りに行くまでも楽しまないとなー”
と、元々、真奈美が履いていた長いスカートを脱ぎ捨てて、
見つけ出したミニスカートに履き替えるー。
「ぐふふふふふふ…寒そうだなぁ~…」
外に出る前から既に興奮した様子で笑みを浮かべると、
今度こそ、と、そのまま真奈美は外に向かって歩き始めたー。
「ーはぁぁぁ♡ やっぱこの寒さ…たまんねぇ」
真奈美はゾクゾクしながら、コンビニを目指すー。
バニーガールの”寒さ”を堪能するためにー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
”憑依されていた”紗枝は、
友達でギャルな真桜から、意識がなかった時のことを
聞かされて困惑していたー。
「なんかさー生足で興奮するとか、女の特権とかー
訳の分からないこと言ってて、
変だと思ったんだよねー」
真桜のその言葉に、紗枝はさらに困惑した表情を浮かべるー。
「ーー……ーそんなこと思ってもないしー
言った覚えもー……
でもー、それってどういうことなんだろうー?
何で記憶がないんだろうー…?」
紗枝が不思議そうに呟くー。
「ーーーー…夢遊病とか?」
ギャルの真桜がそう言うと、
紗枝は「え…で、でも、寝てるとき以外に夢遊病ってあるのー?
しかも、夢遊病ってそんなにハッキリ喋るんだったっけー?」と、
そう答えるー。
真桜も「違うかぁ…」と、呟くと、
「じゃあ、あれじゃない?二重人格だっけー?
自分の中に別の人格が出来ちゃう!みたいなやつ!」と、
そう言い放つー。
その言葉に、心底不安そうな表情を浮かべる紗枝ー。
「それかー、幽霊に乗り移られて悪さされてたとか!」
真桜がなおも続けると、
紗枝は「ーーちょ、ちょっと…あんまり怖いこと言わないでよー」
と、困惑した表情を浮かべるー。
「ーーご、ごめんごめんー」
苦笑いする真桜ー。
「ーーでもーー…
今、思い出してみるとー
なんか、”誰かが紗枝に成りすましてたような”気がするー…
だって、紗枝が紗枝じゃなかったみたいに思えるしー」
真桜がそう言うと、
紗枝は「ーー…それって、やっぱり幽霊ってことー?」と、
不安そうに言葉を吐き出したー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーあ、山西ですー」
コンビニで、受け取るための手続きをして、
”バニーガールの服”が入った段ボールを受け取るー。
”山西 真奈美”を勝手に名乗るのも興奮したし、
店員も、まさか”こんなに可愛い子”が受け取りに来た荷物の中身が
バニーガールの衣装だとは思っていないだろうなぁ、と、
そう想像するだけで、何だか興奮したー。
「う~~~…さむぅ」
ミニスカートから大胆に晒された生足をこすりながら、
けれどもニヤニヤしながら道を歩く真奈美ー。
このあとは、いったん家に戻って
バニーガールの衣装を開封ー、
そのまま着替えるつもりだー。
真奈美の身体の”サイズ”を把握しているわけではないため、
サイズが合わない可能性もあったものの、
”多分大丈夫だろう”と思えるようなものを選んだつもりだー。
と、言うのも、
これまで色々な人間に憑依を繰り返して来た経験上から
”このぐらいのサイズだろう”と言うのは何となく
分かるようになったのだー。
「ーえへへーさてさて…バニーガールの格好で外を
歩くのは、どんな感じなのかなぁ」
真奈美は下品な笑みを浮かべながら
そう言葉を口にすると、嬉しそうにダンボールを解放して、
その中からバニーガールの衣装を取り出したー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーねぇ…これー」
憑依されていた紗枝は友達のギャル・真桜に対して
スマホの画面を見せたー。
「ん?なになに?」
真桜もその画面を見つめるー。
するとそこには”記憶が飛んでいる”と書かれた
SNSの書き込みが表示されていたー。
そのSNSは、紗枝の前に哲昭に憑依されていた
”島井 天音”のSNSー。
名前は本名ではないものの、
”急に寒い格好で、外にいてー”と、
そんな内容が書かれていたー。
「ーー…紗枝と同じじゃんー」
ギャルの真桜がそう言葉を口にすると、
「ーー…この人に、直接話、聞いてみようかなー」と、
紗枝は不安そうに言葉を口にするー。
「ーーーー」
ギャルの真桜は、心配そうに紗枝の方を見つめると、
「ーーあたしも、力になれることがあれば
何でもするから、いつでも相談してねー」と、
改めてそんな言葉を口にしたー。
「ーうん。ありがとうー
今日は、急に変な相談しちゃってごめんねー
とりあえずわたし、この人にメッセージ送って
話が聞けそうなら聞いてみることにするからー」
紗枝が少しだけ明るい笑顔を浮かべながらそう言うと、
真桜は「うんー。それがいいと思うよ」と、
静かに頷いたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーう…うぉぉぉぉぉぉぉ…」
バニーガールの服に着替えた
真奈美に憑依している哲昭は、
嬉しそうに鏡を見つめるー
「やっべぇぇ…こりゃー…エロすぎるー…
ってか、こういう格好して”映える”のって
女の特権だよなー
仮に俺が全く同じ服着ても、キモいだけだしー」
真奈美の身体で、哲昭はそんな言葉を口にすると、
一瞬、このまま部屋の中で滅茶苦茶に欲望を楽しもうかとも
思ってしまったものの、
”いや、やっぱり俺はー”と、
そのまま外に出ることを決めて、
バニーガールの格好のまま、真奈美の身体で外に出たー。
「ーーふぁ…やべぇ…肩も足もさみぃぃぃい…
それにー」
真奈美は、バニーガールの格好のまま街を歩き始めると
”数多くの視線”を感じながら、ゾクゾクとした気分を味わうー。
「ーーすっげぇ注目度ー…
たっぷり視線を浴びると、
こうー…もっともっと興奮しちまうぜー」
下品な笑みを浮かべながら、街中をゆっくりと歩く真奈美ー。
寒さと、視線ー
色々な寒気を感じながら、真奈美は顔を赤らめ始めるー
「ーーあぁぁ…やっぱーこの寒さはー……
へへー…興奮しちまうぜー」
しかもー
自分がバニーガール姿で歩いていると考えると、
その興奮はさらに高まっていくー。
「ーーあぁ…寒いー寒いけどー…
へへっ…へへへへへへへっ♡」
寒さと興奮で顔を真っ赤にしながら、
ニヤニヤと笑う真奈美ー。
周囲の事情を知らない人間からすれば、
バニーガールの格好をして、
しかも顔を赤らめながらニヤニヤしている
おかしな人間にしか見えないー。
周囲の視線をより一層集める真奈美ー。
もし、真奈美本人が今の状態を知ったら、
きっと正気ではいられないぐらい、恥ずかしがるだろうし、
戸惑うだろうー。
しかし、哲昭に憑依されて
完全に支配されてしまっている真奈美が
今、この瞬間にそのことを知ることはないー。
「ーーへへへへ…へへへへへー」
自分の冷え切った身体を触る真奈美ー
「こんなに冷たくなっちゃってー
寒いのにこんな格好してるからだぞー?」
寒さと興奮に、声を震わせながらそう呟く真奈美。
「ーーへへへへー…さ~て…もっともっと寒さを楽しまなくちゃなー」
真奈美はニヤニヤしながら、街を歩き出すー。
いつも以上に寒さを堪能する真奈美ー
バニーガール姿で最初に街を歩きだした時には、
今まで感じたことのない興奮と、ちょっとだけ恥ずかしさのようなものを
感じたものの、街中を歩いているうちに
そんな感情も消え失せて来たー。
どんな格好でもだんだんと慣れて来てしまうのは不思議だー
「ーそういや、このあと、もっと風が強くなる予報だったっけなー…
北風に晒されてーへへーもっと寒くなったらー興奮するんだろうな」
真奈美はニヤッと笑いながら、
そのまま、街中を再び歩き出すー。
「ーーへへー…やっぱ冬の憑依は”これ”が楽しめるから最ーー
ーーーーーーーーえっ…?」
ニヤニヤしていた真奈美が、突然、表情を歪めるー。
そしてーー
真奈美はその場で悲鳴を上げたー。
どうして、わたしがこんなところにー?
どうして、わたしはこんな格好をしてるのー?
え?なに?なんでー?
”家にいたはずなのにー”
突然、正気を取り戻した真奈美は
自分の置かれた状況を理解することが出来ずに
パニックになってしまい、
その場から逃げるように走り去っていくのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1か月後ー
「ーーーー…ここ…かなー?」
”自分の記憶が飛んでいる”
そのことを、執念深く調べ続けた紗枝は、
友達のギャル・真桜、そして同じく憑依された経験を持つ天音と共に
”その場所”にたどり着いていたー。
同じく、哲昭に憑依されていた島井 天音と連絡を取ることに成功した紗枝は、
二人で、”憑依”の存在にたどり着き、
やがて、時間をかけて、”哲昭”のことを突き止めたのだー。
天音よりも”前”に哲昭がある人物に憑依した際に、
哲昭は自分の名字である”小山田”を、その子の身体で名乗ったことがあり、
そこから、紗枝と天音、そして紗枝の友人の真桜は、
”哲昭”にたどり着いていたー。
「ーーーー…また”憑依”されたりしないかなー…?」
紗枝が不安そうに言うと、天音が「ー大丈夫。3人いるからー」と、頷くー。
「そうそうー3人いれば、もしも誰かが憑依されても止められるよ」
ギャルの真桜もそう言うと、意を決して、紗枝は
寒さを快感に変える憑依人ー、小山田 哲昭が住んでいると思われる場所を
訪れたー。
がーー
そこは”空き家”だったー。
「ーーー…!?」
紗枝が表情を歪めるー。
小山田哲昭はこの場所に住んでいるー…
そのはずなのに、彼はそこにはいなかったのだー
「ーーーあらー?小山田さんの知り合いー?」
紗枝たちが戸惑っていると、ふと、近所に住むおばさんが声をかけて来たー
「えっ…あ、はいー」
紗枝は”知り合いっていうかー…そうじゃないけどー”と思いながらも、
そう答えるー。
すると、そのおばさんは少し気まずそうに言葉を口にしたー
「小山田さんー、先月だったかなー
亡くなられたのよー」
「ーーえっ…???」
紗枝も、天音も、真桜も驚くー。
「ーーーなんかねー、部屋でストーブずっとつけたまま
換気もしてなかったみたいでー…
一酸化炭素中毒になっちゃったみたいなのよー」
おばさんがそう言葉を口にするー。
「ーーーーーーーじ、じゃあー…」
紗枝が言うと、おばさんは「もう、小山田さんはいないわー」と、
それだけ言葉を口にしたー。
寒さを快感に変える男、
小山田 哲昭ー。
彼はあの日、真奈美という子に憑依してバニーガール姿で寒さを楽しむ中ー、
自分の身体を放置した部屋で、ガスストーブをつけっぱなしにしていた結果ー、
一酸化炭素中毒を自分の身体が引き起こして死亡ー、
真奈美に憑依していた彼の魂も本体の死亡と共に消滅してしまったのだったー。
あの日はー、
バニーガールの衣装を受け取りに行ったり、
その後もバニーガールの衣装で”いつもより長く”外を歩いていたため
身体を放置している時間が長くなってしまっていたー。
その結果が、これだー。
寒さに快感を感じ、欲望を楽しんでいた彼はー、
欲望に飲み込まれて最期を遂げたのだったー。
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
最終回でした~!☆
ストーブ(ガスとか石油とか…)を使う時は
ちゃんと換気しましょうネ~!
お読み下さりありがとうございました~!☆!

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