何でもできて、人気もあるー
そんなクラスメイトに不満を抱くカップルがいたー。
ある日、カップルは”憑依薬”を手に入れて
嫌いなクラスメイトの両親に憑依、家庭を壊すことを
決断するー。
※リクエスト作品デス
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「---矢向(やこう)はさすがだな」
担任の教師が言う。
「ありがとうございます」
高校1年の矢向 奈代(やこう なよ)は
何でもできて、成績優秀、
先生からも常に褒められるような、そんな生徒だったー
「---…ねぇ、あいつ、うざくない?」
おしゃれ好きで気が強いクラスメイト・常本 睦美(つねもと むつみ)が
不満そうに呟く。
「---だよな~」
睦美の彼氏、田所 清一(たどころ きよいち)も呟く。
ふたりは、優秀な奈代のことを
”うざい”と常々思っていたー
が、”うざい”とは言っても、
何かをすることはできないし、
奈代は明るい性格で友達も多い。
下手に奈代に手を出せば
自分たちが孤立してしまうことになるし、
清一も睦美も自分たちが逆恨みのような
状態であることはよく理解していたから、
何か手を出すようなことはしなかったー
だがー、
ある日のデート中。
「なぁなぁ、やべぇモン見つけたんだけど」
清一が笑いながら言う。
「--え?なになに?」
睦美が、清一のスマホを見つめる。
そこにはー
”憑依薬”と呼ばれるものが映し出されていた。
「は?なにこれ~!」
笑う睦美。
憑依薬という謎の薬が
ネットオークションサイトにこっそりと出品されていたー
このサイトではいたずら出品などもあるほか、
民度が低い、などと言われるようなこともあり、
多くの人はそれが偽物だと思っていて
相手にされていない。
だがー
出品者の”愛染 亮(あいぜん りょう)”という
人物は、ふざけたものを出品しているのにも
関わらず、高評価を得ていた。
「これ本物じゃね?」
清一が言う
「じゃあ買ってみれば~?」
睦美がふざけて言う。
「-ちょっと考えてみるわ」
清一は、本気で考えていたー
普通に考えれば
”憑依薬”なんてものが存在するはずはない。
しかし、清一はなんだか
この愛染なる人物が出品している憑依薬が
本物に思えて仕方がなかったー。
清一は、貯めていたお金や
親からもらったお金を合わせて、
憑依薬を購入したー。
そして、憑依薬が届くー。
「--マジで買ったの?」
睦美が苦笑いするー
「あぁ。マジだぜ」
清一がどや顔をすると
睦美が失笑した。
「-あんたバカでしょ~!
他人に憑依なんてできるわけないじゃん!」
「やってみなきゃ、わかんないだろ」
清一が憑依薬2本を持ちながら笑う。
「わ、わたしに憑依したら許さないからね!」
睦美が言う。
確かに、それもおいしそうではあったが
本当に憑依できるか分からないし
憑依された人間がどうなってしまうかもわからない。
「--俺に面白いアイデアがあるんだ」
清一が笑う。
そして、睦美に耳打ちをした。
その話を聞いた睦美の表情に、悪い笑みが浮かぶ。
「確かにそれは面白いかもー」
とー。
清一はー
清一と睦美が嫌いなクラスメイト、
奈代の母親と父親にそれぞれ憑依することを提案したー
清一が奈代の母親に
睦美が奈代の父親にそれぞれ憑依して
両親におかしな行動させて
奈代を困らせてやろうー、と
あいつの家庭を壊してやろう、とー。
「でも、まぁ、そんなことできっこないけどね」
睦美が失笑する。
「--だからぁ、やってみないとわかんないだろ」
清一が憑依薬を1本、睦美に手渡した。
「--…これ、毒とかじゃないよね?」
睦美が言う。
もっともな疑問だ。
清一は憑依薬を見つめる。
確かに、その可能性も0ではない。
だがー
愛染という出品者に評価がついていたということは、
少なくとも、購入者は生きているということだー。
評価をつけている人間が、サクラでもない限りー。
「--じゃあ、同時に飲もうぜ」
清一が言う。
睦美は、最初は乗り気ではなかったものの
清一の熱意に押されるかたちで、
憑依薬を飲むことにした。
「--3,2,1、0!」
清一の合図で二人は同時に憑依薬を飲むー
しかし、何も起こらない。
「ほーら!やっぱり騙されてる!ばっかじゃないの!」
睦美が叫ぶー
しかしー
目の前にいる清一の目が、ぐるんぐるんと回っているー
こんな目の動き方は見たことがない。
明らかにおかしいー
「き、清一…!?だ、だいじょう…」
そこまで言いかけたところで、睦美は
激しいめまいのようなものを感じたー
”え…うそ…?”
睦美は、憑依薬と言われているものが
何らかの毒だったのではないかと
心の中で激しい焦りを感じたー
だが、どうすることもできずに
そのまま倒れてしまったー
・・・・・・・・・
「おい睦美!」
気が付くとー
そこは上空だった。
目の前には、清一ーーー
の、霊体がいた。
「--え?な、ナニコレ!?」
目を覚ました睦美が叫ぶ。
「--幽体離脱だよ。
憑依薬飲んだだろ、俺たち」
清一が笑いながら言う。
「--ただ、死んだだけじゃなくて?」
睦美が苦笑いしながら言うと、
清一は、「いやいや、憑依だよ憑依」と
笑いながら言う。
奈代の家は知っている。
清一に案内されて、奈代の家に向かうふたり。
「こんな風に空を飛ぶことになるなんて」
睦美が呟くと、
清一は「ひみつ道具を使った気分だな!」と
ニヤニヤしながら言ったー。
奈代の家にたどり着くー
そこにはー
奈代の母親・一美(かずみ)と
奈代の父親・大吾(だいご)がいたー。
「じゃあ…予定通り、憑依しようぜ。
俺はあいつの母親に、
お前は父親に」
「--なんで逆なの?」
睦美が言う。
睦美的には、
睦美が奈代の母親に、
清一が、奈代の父親に
憑依するべきだと考えていた。
「--いやぁ、せっかく憑依するんだから
普段自分が味わないほう、味わってみたくね?」
笑いながら言う清一。
「ふ、ふ~ん、まぁいいけど…
で、どうやって憑依するの?」
睦美の言葉に
清一はほほ笑んだ。
「あぁ、憑依は相手の身体に
自分の霊体を重ねれば完了だって
説明書に書いてあったぜ」
清一の言葉に
睦美は、「あ、そう」と呟きながら
そのまま、奈代の父親の身体のほうに向かった。
「-よ~し、初憑依!楽しみだぜ」
清一は、奈代の母親の身体のほうに向かうー
そしてー
「--ひぅっ!?!?」
奈代の母・一美が持っていたお皿を落として
声を上げた。
「--どうした?」
夫である大吾が叫ぶ。
「--うっ…」
直後、大吾も声をあげるー。
「-----」
しばらく沈黙するふたりー
やがて、一美のほうがニヤニヤして
胸を触り始めた。
「んへへへへへ~!
これが女の身体かぁ~!」
落としたお皿に目もくれず
自分の胸を触りまくる一美。
「…やっぱりねぇ…」
父親の大吾のほうも、
睦美に乗っ取られていたが
その表情はあきれている。
「--エッチなことしたいから、
お母さんのほうに憑依したがってたんでしょ?」
睦美に憑依された大吾が、睦美の口調でしゃべる。
「--…ぎくっ!」
一美が笑いながらそう叫ぶ。
「まぁ、いいけど」
ふたりはニヤニヤしながら見つめ合う。
そしてー
「ただいま~」
奈代が帰ってきたー
奈代は、いつものように帰宅して手を洗ったり
していたが、やがて、母親の一美と
父親の大吾の様子がおかしいことに気づいたのか
不思議そうな表情を浮かべて
「どうかした…?」と呟いた。
「ふふ…別にどうもしないぜ」
母親の一美が笑みを浮かべながら言う。
父親の大吾が一美の手を叩く。
「--ってぇ!何するんだよ!」
一美が小声で乱暴な言葉を吐く。
「言葉遣い!」
父親の大吾が言う。
一美に憑依している清一ははっとする。
「そっか、俺、今、女なんだった」
そこまで言うと
小声で会話するのをやめて、奈代のほうを見て
ニヤニヤし始めた。
「---そ、そう」
奈代は不安げな表情を浮かべたー。
奈代が、自分の部屋に学校の荷物を持って
片付けに向かう。
「ねぇねぇ、すごくない?」
大吾が言う。
大吾に憑依している睦美はあることに気づいた。
「このおっさんの記憶、読み取れるんだけど?」
大吾が笑いながら頭をつついた。
「え?マジ?どうやって?」
一美が、奈代が自分の部屋に向かったことを
確認すると、ソファーに腰かけて、足を開いた状態で
座ったー。
「--どうやって…って言われても
感覚的なことだから難しいなぁ…
ほら…え~っと、なんか忘れちゃったことを
思い出すような感じで!」
大吾の言葉に、
一美に憑依している清一もその方法を
試してみるー。
すると、奈代の母親・一美の記憶が
自分の中に流れ込んできたー
「--おっ…おおおお!マジだ…!」
一美がニヤニヤしながら言う。
「---へぇ…このお母さん、17の時に
子供を産んだのかぁ~早いなぁ…
できちゃったって感じじゃなくて
計画的だったみたいだけど~」
一美が自分の記憶を読み取りながら
ニヤニヤしている。
「おっ!出産の記憶~
うえぇ…俺には無理だ~」
女性でしか味わえない記憶を
読み取って清一は、ニヤニヤしている。
「--あんた、ずいぶん嬉しそうね」
大吾に憑依している睦美は少し
あきれたような口調でそう呟いた。
そして、ため息をつくと、
「--あいつ、晩御飯で呼ばれるまでは
部屋にいることが多いみたいだから、
晩御飯のとき、滅茶苦茶にしてやりましょ」
大吾が自分の記憶を読み取りながら
そう呟くと、
一美が悪い笑みを浮かべて答えた。
「へへっ…いいね。どうしてやろうか?」
ふたりは悪だくみをする子供かのように
ニヤニヤしながら話し合いを始めるのだったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・
晩御飯ー
「--!」
呼ばれて降りてきた奈代が、
一瞬、表情を歪めたー
奈代が苦手なものばかりを
食卓に用意したのだ。
「さぁ、餌よ」
母親の一美が言う。
「え、、餌…?
お母さん…?どうかしたの?」
奈代が不安そうに言う。
「別に?
好き嫌いなんかせずに、ちゃ~んと食べなくちゃ」
一美は嫌味っぽくそう答えた。
「う、、うん…」
奈代が着席する。
父親の大吾が少しニヤニヤしながら
奈代のほうを見つめている。
「--お、お父さん…?」
奈代は不安そうに大吾のほうを見て言う。
大吾は笑いながら口を開いた。
「--奈代って、まじめな感じだけどさ、
男受けもよさそうだよなぁ~?
その身体使って、男誘惑したりしてんの?」
父親の大吾が絶対に言わないようなことを言うー。
奈代は露骨に嫌そうな顔をしたが
「そ、そういうのはいいから」と答えたー
「--なんなら、父さんと練習するか?」
笑いながらズボンを下す大吾。
「--ちょっと、やめてよ!」
奈代が、困り果てた様子で言う。
「--……ふふふ…」
母の一美がニヤニヤしているのを見て
奈代は「ふたりともなんか今日、変じゃない?」と
不安そうに呟いたー
少ししてから、奈代は困った表情を浮かべなが
食事を口にしたー。
そんな様子を見つめながら
一美と大吾はニヤニヤと、不気味な笑みを浮かべ続けていたー
②へ続く
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リクエストによる作品デス!
明日も続きがあるので
お楽しみにー!
リクエストの原文も明日のあとがきで
ご紹介しますネ!
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