<憑依>あの子の家庭を壊したい①~不満~

何でもできて、人気もあるー
そんなクラスメイトに不満を抱くカップルがいたー。

ある日、カップルは”憑依薬”を手に入れて
嫌いなクラスメイトの両親に憑依、家庭を壊すことを
決断するー。

※リクエスト作品デス

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「---矢向(やこう)はさすがだな」

担任の教師が言う。

「ありがとうございます」
高校1年の矢向 奈代(やこう なよ)は
何でもできて、成績優秀、
先生からも常に褒められるような、そんな生徒だったー

「---…ねぇ、あいつ、うざくない?」
おしゃれ好きで気が強いクラスメイト・常本 睦美(つねもと むつみ)が
不満そうに呟く。

「---だよな~」
睦美の彼氏、田所 清一(たどころ きよいち)も呟く。

ふたりは、優秀な奈代のことを
”うざい”と常々思っていたー

が、”うざい”とは言っても、
何かをすることはできないし、
奈代は明るい性格で友達も多い。

下手に奈代に手を出せば
自分たちが孤立してしまうことになるし、
清一も睦美も自分たちが逆恨みのような
状態であることはよく理解していたから、
何か手を出すようなことはしなかったー

だがー、
ある日のデート中。

「なぁなぁ、やべぇモン見つけたんだけど」
清一が笑いながら言う。

「--え?なになに?」
睦美が、清一のスマホを見つめる。

そこにはー
”憑依薬”と呼ばれるものが映し出されていた。

「は?なにこれ~!」
笑う睦美。

憑依薬という謎の薬が
ネットオークションサイトにこっそりと出品されていたー
このサイトではいたずら出品などもあるほか、
民度が低い、などと言われるようなこともあり、
多くの人はそれが偽物だと思っていて
相手にされていない。

だがー
出品者の”愛染 亮(あいぜん りょう)”という
人物は、ふざけたものを出品しているのにも
関わらず、高評価を得ていた。

「これ本物じゃね?」
清一が言う

「じゃあ買ってみれば~?」
睦美がふざけて言う。

「-ちょっと考えてみるわ」
清一は、本気で考えていたー

普通に考えれば
”憑依薬”なんてものが存在するはずはない。

しかし、清一はなんだか
この愛染なる人物が出品している憑依薬が
本物に思えて仕方がなかったー。

清一は、貯めていたお金や
親からもらったお金を合わせて、
憑依薬を購入したー。

そして、憑依薬が届くー。

「--マジで買ったの?」
睦美が苦笑いするー

「あぁ。マジだぜ」
清一がどや顔をすると
睦美が失笑した。

「-あんたバカでしょ~!
 他人に憑依なんてできるわけないじゃん!」

「やってみなきゃ、わかんないだろ」
清一が憑依薬2本を持ちながら笑う。

「わ、わたしに憑依したら許さないからね!」
睦美が言う。

確かに、それもおいしそうではあったが
本当に憑依できるか分からないし
憑依された人間がどうなってしまうかもわからない。

「--俺に面白いアイデアがあるんだ」
清一が笑う。

そして、睦美に耳打ちをした。

その話を聞いた睦美の表情に、悪い笑みが浮かぶ。

「確かにそれは面白いかもー」
とー。

清一はー
清一と睦美が嫌いなクラスメイト、
奈代の母親と父親にそれぞれ憑依することを提案したー

清一が奈代の母親に
睦美が奈代の父親にそれぞれ憑依して
両親におかしな行動させて
奈代を困らせてやろうー、と
あいつの家庭を壊してやろう、とー。

「でも、まぁ、そんなことできっこないけどね」
睦美が失笑する。

「--だからぁ、やってみないとわかんないだろ」
清一が憑依薬を1本、睦美に手渡した。

「--…これ、毒とかじゃないよね?」

睦美が言う。
もっともな疑問だ。

清一は憑依薬を見つめる。

確かに、その可能性も0ではない。
だがー
愛染という出品者に評価がついていたということは、
少なくとも、購入者は生きているということだー。
評価をつけている人間が、サクラでもない限りー。

「--じゃあ、同時に飲もうぜ」
清一が言う。
睦美は、最初は乗り気ではなかったものの
清一の熱意に押されるかたちで、
憑依薬を飲むことにした。

「--3,2,1、0!」
清一の合図で二人は同時に憑依薬を飲むー

しかし、何も起こらない。

「ほーら!やっぱり騙されてる!ばっかじゃないの!」
睦美が叫ぶー

しかしー
目の前にいる清一の目が、ぐるんぐるんと回っているー

こんな目の動き方は見たことがない。
明らかにおかしいー

「き、清一…!?だ、だいじょう…」

そこまで言いかけたところで、睦美は
激しいめまいのようなものを感じたー

”え…うそ…?”
睦美は、憑依薬と言われているものが
何らかの毒だったのではないかと
心の中で激しい焦りを感じたー

だが、どうすることもできずに
そのまま倒れてしまったー

・・・・・・・・・

「おい睦美!」

気が付くとー
そこは上空だった。

目の前には、清一ーーー
の、霊体がいた。

「--え?な、ナニコレ!?」
目を覚ました睦美が叫ぶ。

「--幽体離脱だよ。
 憑依薬飲んだだろ、俺たち」
清一が笑いながら言う。

「--ただ、死んだだけじゃなくて?」
睦美が苦笑いしながら言うと、
清一は、「いやいや、憑依だよ憑依」と
笑いながら言う。

奈代の家は知っている。

清一に案内されて、奈代の家に向かうふたり。

「こんな風に空を飛ぶことになるなんて」
睦美が呟くと、
清一は「ひみつ道具を使った気分だな!」と
ニヤニヤしながら言ったー。

奈代の家にたどり着くー

そこにはー
奈代の母親・一美(かずみ)と
奈代の父親・大吾(だいご)がいたー。

「じゃあ…予定通り、憑依しようぜ。
 俺はあいつの母親に、
 お前は父親に」

「--なんで逆なの?」
睦美が言う。

睦美的には、
睦美が奈代の母親に、
清一が、奈代の父親に
憑依するべきだと考えていた。

「--いやぁ、せっかく憑依するんだから
 普段自分が味わないほう、味わってみたくね?」
笑いながら言う清一。

「ふ、ふ~ん、まぁいいけど…

 で、どうやって憑依するの?」
睦美の言葉に
清一はほほ笑んだ。

「あぁ、憑依は相手の身体に
 自分の霊体を重ねれば完了だって
 説明書に書いてあったぜ」
清一の言葉に
睦美は、「あ、そう」と呟きながら
そのまま、奈代の父親の身体のほうに向かった。

「-よ~し、初憑依!楽しみだぜ」
清一は、奈代の母親の身体のほうに向かうー

そしてー

「--ひぅっ!?!?」
奈代の母・一美が持っていたお皿を落として
声を上げた。

「--どうした?」
夫である大吾が叫ぶ。

「--うっ…」
直後、大吾も声をあげるー。

「-----」
しばらく沈黙するふたりー

やがて、一美のほうがニヤニヤして
胸を触り始めた。

「んへへへへへ~!
 これが女の身体かぁ~!」
落としたお皿に目もくれず
自分の胸を触りまくる一美。

「…やっぱりねぇ…」
父親の大吾のほうも、
睦美に乗っ取られていたが
その表情はあきれている。

「--エッチなことしたいから、
 お母さんのほうに憑依したがってたんでしょ?」
睦美に憑依された大吾が、睦美の口調でしゃべる。

「--…ぎくっ!」
一美が笑いながらそう叫ぶ。

「まぁ、いいけど」

ふたりはニヤニヤしながら見つめ合う。

そしてー

「ただいま~」

奈代が帰ってきたー

奈代は、いつものように帰宅して手を洗ったり
していたが、やがて、母親の一美と
父親の大吾の様子がおかしいことに気づいたのか
不思議そうな表情を浮かべて
「どうかした…?」と呟いた。

「ふふ…別にどうもしないぜ」
母親の一美が笑みを浮かべながら言う。

父親の大吾が一美の手を叩く。

「--ってぇ!何するんだよ!」
一美が小声で乱暴な言葉を吐く。

「言葉遣い!」
父親の大吾が言う。

一美に憑依している清一ははっとする。
「そっか、俺、今、女なんだった」

そこまで言うと
小声で会話するのをやめて、奈代のほうを見て
ニヤニヤし始めた。

「---そ、そう」
奈代は不安げな表情を浮かべたー。

奈代が、自分の部屋に学校の荷物を持って
片付けに向かう。

「ねぇねぇ、すごくない?」
大吾が言う。

大吾に憑依している睦美はあることに気づいた。

「このおっさんの記憶、読み取れるんだけど?」
大吾が笑いながら頭をつついた。

「え?マジ?どうやって?」
一美が、奈代が自分の部屋に向かったことを
確認すると、ソファーに腰かけて、足を開いた状態で
座ったー。

「--どうやって…って言われても
 感覚的なことだから難しいなぁ…

 ほら…え~っと、なんか忘れちゃったことを
 思い出すような感じで!」

大吾の言葉に、
一美に憑依している清一もその方法を
試してみるー。

すると、奈代の母親・一美の記憶が
自分の中に流れ込んできたー

「--おっ…おおおお!マジだ…!」
一美がニヤニヤしながら言う。

「---へぇ…このお母さん、17の時に
 子供を産んだのかぁ~早いなぁ…

 できちゃったって感じじゃなくて
 計画的だったみたいだけど~」

一美が自分の記憶を読み取りながら
ニヤニヤしている。

「おっ!出産の記憶~
 うえぇ…俺には無理だ~」
女性でしか味わえない記憶を
読み取って清一は、ニヤニヤしている。

「--あんた、ずいぶん嬉しそうね」
大吾に憑依している睦美は少し
あきれたような口調でそう呟いた。

そして、ため息をつくと、
「--あいつ、晩御飯で呼ばれるまでは
 部屋にいることが多いみたいだから、
 晩御飯のとき、滅茶苦茶にしてやりましょ」
大吾が自分の記憶を読み取りながら
そう呟くと、
一美が悪い笑みを浮かべて答えた。

「へへっ…いいね。どうしてやろうか?」

ふたりは悪だくみをする子供かのように
ニヤニヤしながら話し合いを始めるのだったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・

晩御飯ー

「--!」
呼ばれて降りてきた奈代が、
一瞬、表情を歪めたー

奈代が苦手なものばかりを
食卓に用意したのだ。

「さぁ、餌よ」
母親の一美が言う。

「え、、餌…?
 お母さん…?どうかしたの?」
奈代が不安そうに言う。

「別に?
 好き嫌いなんかせずに、ちゃ~んと食べなくちゃ」
一美は嫌味っぽくそう答えた。

「う、、うん…」
奈代が着席する。

父親の大吾が少しニヤニヤしながら
奈代のほうを見つめている。

「--お、お父さん…?」
奈代は不安そうに大吾のほうを見て言う。

大吾は笑いながら口を開いた。

「--奈代って、まじめな感じだけどさ、
 男受けもよさそうだよなぁ~?
 その身体使って、男誘惑したりしてんの?」

父親の大吾が絶対に言わないようなことを言うー。

奈代は露骨に嫌そうな顔をしたが
「そ、そういうのはいいから」と答えたー

「--なんなら、父さんと練習するか?」
笑いながらズボンを下す大吾。

「--ちょっと、やめてよ!」
奈代が、困り果てた様子で言う。

「--……ふふふ…」
母の一美がニヤニヤしているのを見て
奈代は「ふたりともなんか今日、変じゃない?」と
不安そうに呟いたー

少ししてから、奈代は困った表情を浮かべなが
食事を口にしたー。

そんな様子を見つめながら
一美と大吾はニヤニヤと、不気味な笑みを浮かべ続けていたー

②へ続く

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リクエストによる作品デス!

明日も続きがあるので
お楽しみにー!

リクエストの原文も明日のあとがきで
ご紹介しますネ!

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