男性嫌いの女性ー。
女性嫌いの男性ー。
お互いに相手のことを理解せず
ただただ叩き続ける2人。
けれど、入れ替わった二人は…?
※男性嫌いの女性と女性嫌いの男性の入れ替わりのお話のため
異性を嫌悪するような発言や、敵視するような発言が
作中に存在します。苦手な方は注意して下さい!
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幸則の家に到着したふたり。
幸則(里恵)は声をあげた。
「うわ~!性犯罪者予備軍!」
幸則(里恵)は、幸則の家に並ぶ
美少女キャラのフィギュアを見てそう叫んだ。
ずらりと並ぶ美少女フィギュア。
中には強烈なポーズのものや
姿のものもある。
「はぁ?あんたバカじゃないのか?
美少女フィギュア持ってたら
性犯罪者になるのかよ?」
里恵(幸則)が怒りをあらわにして言う。
「--そうよ。
こういうやつらってどうせいつかやらかすのよね」
幸則(里恵)の言葉に
里恵(幸則)は髪をイライラした様子で
掻き毟りながら答えた。
「あのなぁ…
そんなわけないだろ…
こういうフィギュア持ってるやつ全員が
性犯罪者になったら今頃
大変なことになってるぞ?」
「--ちょっと!わたしの髪を勝手に触らないで!変態!」
幸則(里恵)が話を変える。
ヒステリックにわめく幸則(里恵)を見ながら
里恵(幸則)は呟く。
「あんただって、俺の髪触ってるじゃないか」
「-わたしはいいのよ」
幸則(里恵)は幸則の髪を触りながら言う。
「--わかんないなぁ…
あんたみたいな
女はOKで男はダメみたいなルール…」
呆れ果てたようにして言う里恵(幸則)
二人は再びにらみ合って
「ふん!」と大声で叫んだ。
がに股で部屋を歩きながら、
パソコンを起動する里恵(幸則)。
美少女キャラのデスクトップ画面が
表示されて、
それを見ていた幸則(里恵)が「うっわ!」と叫ぶ。
「ーー好き嫌いはあるから
何も言わないけどさ…
あんたがこういうキャラ嫌いなのも自由だけど
俺がこういうキャラ好きなのだって自由だろ」
「--あるだけで不快なのよ。わかんない?」
「--じゃあ、俺はあんたみたいのがいるだけで不快だよ」
家の中に
ブツブツと小言が飛び交っている。
この小言は、当分、止みそうにない。
ツイッターを開いた里恵(幸則)はツイートする。
”結婚なんて人生の墓場だろ”
”生涯独身万歳!全員独身でいるべき”
”女にATMにされて楽しいかぁ~?”
幸則のツイートを見て
幸則(里恵)は呟く。
「あらら…あんただって、わたしと同じようなものじゃない」
幸則(里恵)の言葉に
里恵(幸則)は「あん?」と呟いた。
「--全員独身でいるべきって…
結婚を嫌うのも自由だけど、するのだって自由でしょ?」
そう言われて里恵(幸則)は
うるさい!と叫んだ。
「結婚なんてするやつがおかしいし
女は男をATMとしてしか見ていない!」
大声で叫ぶ里恵(幸則)。
二人の間柄はさらに悪化していく。
その後、二人は一言も口を聞くことなく、
過ごしていく。
幸則(里恵)は
ツイッターで男性批判を
繰り広げながら
いつものように、男女不平等を訴え
美少女キャラを叩いたりして
自分のストレスを発散していた。
一方で、里恵(幸則)も
男性批判をする女性に暴言を送ったり
結婚報告ツイートに
悪口を送ったりしてストレスを発散しつつ、
美少女ゲームをプレイしていた。
「---……」
「---……」
しばらくすると2人は顔を見合わせた。
「--…明日、大学なんだけど」
「--…明日、仕事なんだけど」
このままじゃまずい。
二人はようやくそう思い始めたのだった。
明日までに元に戻ることができなければー
幸則は里恵として会社に
里恵は幸則として大学に行くことになってしまう。
「--くそっ!どうやって元に戻ればいいんだ…?
女の身体なんてもううんざりだ!」
「--わたしだって!
男の身体とか超最悪!」
叫ぶふたり。
感情的になりすぎていて
元に戻るためにはどうすればいいのか?という
冷静な話し合いをすることすら出来ていない。
そんな状況では、問題が
解決するはずもなかった。
「--わたし、ここで寝るから」
幸則(里恵)は幸則が普段使っている部屋を
指さして、カギをかけて、内側から
モノで扉が開かないようにして寝てしまった。
「くそっ!」
里恵(幸則)は叫ぶと、
そのまま美少女キャラの抱き枕を
抱きかかえたまま眠りについた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌朝ー。
幸則(里恵)が目を覚ます。
やっぱり、入れ替わったままだ。
もしかしたら寝て起きれば
変わっているかもと
少し期待をしていたが
その期待は完全に
裏切られてしまったー。
「はぁぁ…男なんていなければいいのに」
幸則(里恵)は
男の声でそう呟く。
鏡を見て、幸則(里恵)は
はっとする。
ズボンが、膨らんでいたー。
寝起きに勃起していたのだー
「はぁ!?」
幸則(里恵)は驚く。
「わ、わたし、何も…!?」
幸則(里恵)はそこまで言うと
はっとしたー。
これまでの人生で何度か
里恵は、勃起していた男子に
暴言を吐いたり、
社会人になってからは
一度通報したこともある。
相手がどういう理由で勃起
していたのかは知らないが
里恵が変態だと罵倒すると
相手の男は”違う!”などと
否定していた。
「-----…」
幸則(里恵)は複雑な表情を
浮かべながら
「案外、制御は難しいのかも…」
とボソッと呟いた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
里恵(幸則)も目を覚ましていた。
結局、元の身体に
戻ることはできなかった。
しかも、なんだか朝から頭痛に吐き気に
全体的に気分が悪い。
腹痛もある。
「風邪でも引いたのか…?」
そう呟きながら里恵(幸則)は立ち上がる。
二人は朝もむすっとした表情で
口も利かず、時間だけが過ぎて行く。
やがてー
大学と会社に行かなくてはいけない時間になると
ようやく2人は注意点を話しはじめた。
こうなってしまった以上は
仕方がない。
元に戻れるまで、お互いに成りすますしかない。
情報交換を終えると、里恵(幸則)が
先に立ち上がる。
「あ、ちょっと!」
「あ?」
「すっぴんで会社行かれたら困るんだけど?」
幸則(里恵)が言うと、
里恵(幸則)が失笑しながら返事をする
「俺嫌いなんだよな
化粧とかで男に媚売ってるの」
里恵(幸則)の言葉に
幸則(里恵)は反論しそうになったが
昨日から反論続きでもう疲れていた
「あっそ…じゃあ、そのまま行けば?
何で女が化粧するか、分かると思うよ」
幸則(里恵)が言うと
里恵(幸則)はそのまま立ち去った。
”戸締りちゃんとしろよ!”と言い残して。
玄関から出た
里恵(幸則)はOLの格好を自分がしていることに
違和感を感じながら
そのまま職場に向かう。
”あの女、家のもの勝手に捨てたりしないだろうなぁ…”
そう心配しながら…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「まさか…また学生やることになるなんてね」
幸則(里恵)が大学に向かって
歩きながら呟く。
ふと、アニメキャラを使った
人材募集のポスターが目に入る。
「はぁ…ホント最悪」
吐き捨てるように呟く。
やがてー
幸則が通っている大学に
到着した幸則(里恵)は
大学の中に入っていく。
幸則が作った地図を見ながら
とりあえず受けるべき授業を確認する。
そして、ふと大学内に
貼られていた掲示物に目が行く。
”サークルのメンバー募集”
だがー
その募集の紙には
里恵から見て胸を強調した美少女キャラが
描かれていた
「は…?大学のレベルも落ちたものね」
幸則(里恵)は怒りをあらわにする
「おっはよ~!」
背後から声がした。
幸則(里恵)が振り返ると、
そこには同年代の女子大生がいた。
幸則が見せてくれた”よく話す人”リストに
いた子だ。
確か、一美(かずみ)だったか…。
彼女ではないらしいけれど、普通に喋るのだとか。
「あ、お、おはよう」
幸則(里恵)はその子との関係性が
分からずに困惑する。
「--どうしたの?そのポスター睨んでたけど?」
その子が言う。
「--え?あぁ、この絵って
女性を性の対象にしか見てなくて
嫌な絵だなって…」
幸則(里恵)が言うと、
一美は笑った。
「え~?
別に普通の絵じゃない?
わたしはいいと思うよ」
一美は、当たり前のことを言うかのように
そう呟いた。
「へ?」
幸則(里恵)はあっけに取られる。
「で、、でも、、わたしたち、、いえ、、
女性から見てこういう絵ってなんだか…」
幸則(里恵)がそこまで言うと、
一美は笑う。
「--ふふ、なんだか今日は変ね…?
でも、絵なんて好き嫌いがあって当然だし、
誰にだって好き嫌いはあるし、
…というか、幸則くんって
こういうの好きじゃなかった?」
一美がそう言うと、
幸則(里恵)は、
「……」と不満そうに一美の方を見ている。
「あ、幸則くんが、この絵嫌いなら
別にそれはそれで自由だと思うよ!
でも、ホラ、こういう絵好きな人もいるわけだし!」
そこまで一美が言うと
幸則(里恵)は一美の言葉を遮った。
「--最低っ!
萌えキャラなんて嫌いだ!」
幸則(里恵)は吐き捨てるようにして立ち去った。
「---?」
一美は、”なにあれ”と苦笑いしながら
幸則(里恵)の背中を見送った。
幸則として大学生活を送る里恵。
里恵は、絶望した。
男子だけではない。
女子も、普通に
里恵が嫌うようなキャラクターの話をしているし、
幸則が所属しているサークルには
特にそういう女子たちが多かった。
巨乳のキャラを見て「かわいい~」なんて言っているし
女性軽視も甚だしいと里恵は怒りを爆発
させかけていた。
「--女性を軽視してるだろ。こういうキャラ」
幸則(里恵)が怒りの形相で呟く。
しかし、周囲の女子生徒が、苦笑いしながら言った。
「軽視…?
う~ん…考えたこともなかったなぁ…」
考えたこともない?
どう見ても軽視だ!
里恵は心の中で叫ぶ。
けれどー。
「--世の中には色々な絵があるんだし、
いちいちかみついてたら
誰も絵なんか書けなくなっちゃうよ?
真面目な絵だって不快に思う人は思うんだし」
幸則(里恵)は
反論しようとするも、
言葉が浮かばなくなってきて、
イライラし始めた。
ツイッターでもよくこういうやつは現れるが、
里恵はその都度ブロックしている。
都合の悪い意見は、シャットアウトしている。
けれどー。
現実では、それは、できない。
「いいじゃないか。
そんなイライラばっかしてても
何もいいことないぜ?
自分の嫌いなものに噛みついて
イライラするぐらいなら
俺は好きな筋トレに時間を使うぜ」
幸則の友人の一人が言う。
幸則の身体になっている里恵は”この筋肉野郎が”が
と頭の中で呟く。
「俺だって、イケメン特集とか見たり
美男子キャラみたりすると、モテない俺達への挑戦か?お?
って思うケドさ、噛みついても時間の無駄だし
それが好きなやつらもいるわけだし」
幸則(里恵)は、
今にも噛みつきそうな目でその友人を見つめたー
”わたしが嫌いなんだから、撤去しなさいよ!”と
心の中で叫ぶー
それが、自己中心的な考えだと
彼女もどこかで分かっている。
それでもー
そう叫ばずにはいられなかったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
里恵(幸則)は
里恵として会社に出社した。
”はぁ~どうせ女なんて
チヤホヤされてれば
いいだけだからな”
女嫌いの幸則は
そんな偏見を抱きつつ、
仕事を始める。
”今日は簡単な仕事だけしていればいいから”と
里恵本人に言われた幸則は、
言われた通りの簡単な仕事を続ける。
上司にもチヤホヤされて、
女ってのは楽だぜ。
里恵(幸則)は内心でそう思いながら笑う。
結婚すれば退職ー
生理で早退ー?
「ははっ、ずるいよな女って」
里恵(幸則)が失笑しながら呟く。
「性格も悪いし、
二次元こそ最高だぜ」
里恵(幸則)は笑う。
男女入れ替わって
エッチなことをするような話はよく見かけるが、
幸則にとって、それは二次元だからこそ面白い。
実際に自分が経験しても、
エッチなことをするつもりにはならない。
ましてや、アニメキャラがどうこうだとか
そんなこと言ってるような、
そんな女の身体になんて全く興味がない。
とにかく早く戻りてぇ。
それが、幸則の思いだった。
「--はは~!どうだ?仕事の進み具合は」
部長が突然肩を揉んでくる。
「--!?」
里恵(幸則)はビクンとする。
「--な、なんですか急に?」
里恵(幸則)の言葉に、笑いながら部長は
里恵のお尻をさりげなく触った。
「--ちょ!?おい?」
里恵(幸則)は思わず声を荒げた。
「なんだなんだ?わしにおいとは?」
笑いながら部長が言う。
「いいじゃないか。どうせ君は結婚したら
辞めるんだし、
それまでの間だから」
部長が問題発言をしながら
ニヤニヤしている。
(こういうセクハラのおっさんは困るよな)
里恵(幸則)は内心でそう思いながら
「今は結婚が当たり前の時代じゃありませんよ?」と
嫌味をチクリと言ってやった。
古臭い考えのやつは困る。
結婚するのが当たり前だと思っている。
まぁ、幸則も女は結婚したら退職して
逃げられるしー、なんて考えを持っているものの、
こういう、みんな絶対結婚するだろマンは
気に入らなかった。
そろそろ、幸則自身も結婚する気が無いし。
「--お~い!里恵ちゃん!お茶~!」
男性社員が言う。
「お茶?」
里恵(幸則)が首をかしげる。
「は、は~い」
里恵(幸則)は
”自分で入れろよ、いつの時代だよ”と
思いながらお茶を入れる。
(はぁ~あ、こういうやつがいるからなぁ)
「そういえば、里恵ちゃん、今日はなんか汚らしいな~」
「化粧忘れちゃったの?」
「メイクぐらいしろよ~身だしなみだろ?」
里恵(幸則)はそういった言葉に腹を立てる。
”なんだこいつらは”とー。
だが、面倒なので特に反論はしなかった。
ようやく仕事が終わり、
帰路につく里恵(幸則)。
帰り際に、里恵に良くしてくれているという
同期の男性社員と会話になった。
その男性社員はもうすぐ、結婚するのだという。
「結婚なんて、人生の墓場ですよ」
里恵(幸則)は呟く。
幸則は結婚が嫌いだ。
男は全員童貞でいるべきだと思うし
結婚などするべきではないと心から思っている。
「---…確かに墓場になる人もいるけど
そうじゃない人もいるさ」
男性社員は言う。
幸せになれるー?
バカなことを。
幸則はそう思った。
両親も不仲だった。
結婚なんて、するべきではないんだ。
「ま、結婚しないのは自由だし、
趣味に生きるのもいいと思うケド、
周囲にまで結婚するべきじゃない!
結婚するやつなんてバカだ!ってのは
言わない方がいいと思うよ。
自由なんだし」
男性社員はそう言うと、
じゃ、と言って
里恵(幸則)と別れた。
「---……はぁ」
なんだかとっても疲れた。
女なんて、チヤホヤされてー
と思っていたが
案外そうじゃなかった。
身体の調子も悪いし、
触ってくる上司もいたし、
案外、雑用させられるし
陰口も叩かれていたしー
「……」
里恵(幸則)は疲れ果てた様子で
幸則の自宅へと向かうのだった。
③へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
自分が嫌悪する異性と入れ替わってしまったふたり…!
長年の考えはそう簡単に変わるものじゃないですネ…!
明日の最終回では、
どんな結末になるのでしょうか~?
明日もぜひお楽しみ下さい!
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