男性を嫌悪し、何かと叩く女性ー。
逆に、女性を嫌悪し、女性叩きを続ける男性。
そんな二人がもしも
入れ替わってしまったら…?
※作中で、男性嫌いの女性と、女性嫌いの男性が
登場するため、お互いに異性に対する悪口の描写などがあります
苦手な方はご注意ください。
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「ほんっと最低。
あり得ないんだけど?」
里恵(りえ)は激怒していた。
20代後半の女性だ。
彼女は、
とある会社の新商品紹介の
宣伝を見て、彼女は怒り心頭だ。
宣伝のポスターに使われた女性が
女性の部分を強調していて、
女性を性欲を満たす道具かのように
描かれていたことが
彼女には気に入らなかった。
ツイッター上で激怒する里恵。
問題となっているポスターの
キャラデザインを”ふさわしくない”として
問題提起し、それをツイートする。
ポスターを使用した会社や
使われたキャラの原作者にも
クレームを入れる里恵。
里恵はー、
男性のことが嫌いだった。
だからー
こういったことがあると
徹底的にそれを叩くー。
今回のポスターの件もそうだ。
里恵が出したツイートに
反対意見が多く集まる。
それを見つめながら里恵はムキに
なって反論する。
「--萌え絵なんて、使うな!」
里恵はパソコンの前で
怒りの声をあげたー。
彼女は、大学時代から
男を敵視している。
男なんて
どいつもこいつも
女を性欲の足しにしか見ていない。
そんな男たちが、
里恵は大っ嫌いだった。
容姿端麗の里恵に
一度も彼氏が出来たことがないのは、
そういう部分が原因なのかもしれないー。
里恵は、ツイッターで
反論してきた男どもを
ブロックしながら、呟いた。
「あ~いらつく。
こういう絵も、こういう男たちも
大嫌いだ!」
里恵はそう叫ぶと
不機嫌そうにパソコンを閉じて
立ち上がった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「あ~あ、女ってウゼェな」
男子大学生の幸則(ゆきのりは
そう呟いた。
彼はー
”女嫌い”だった。
とにかく、女子が嫌い。
キャーキャーうるさいだけの
面倒くさいやつら。
幸則は心底、女子が嫌いだった。
「俺は生涯童貞を貫く」
大学でも友人たちにそう豪語していた幸則。
変わりモノだと周囲は騒いでいたが、
幸則は自分こそが正しいと思っていたし、
二次元の女にしか全く持って興味がなかった。
三次元に手を出すなんて
イカれているー。
そんな風にさえ、彼は思う。
今日も彼は、大学に向かうために、電車に乗る。
駅のホームで友達たちと騒いでいる女子高生を
見つめて、幸則は失笑した。
「IQの低そうなやつらだな…」
呟く幸則。
そして、そのまま彼は電車に乗り込む。
その女子高生たちがたまたま近くに
乗り込んできて
幸則は思わず舌打ちをする。
”痴漢冤罪という名の暴力”で
社会的に殺される可能性があるからだ。
”おいおいふざけんなよ”
幸則はそう思いながら両手をあげて
つり革に手をやる。
”男性専用車両も作ってくれよ”
そんな風に思いながら
幸則は苦痛の時間を耐えたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・
電車が目的地の駅に到着するー
女性専用車両から出てきた里恵は
ため息をつく。
人ごみを歩いていると、
男たちがわたしの方を見る。
わたしの足を見ている。
お前たちに見せるために
足を出してるわけじゃないんだけど?と
里恵はイライラしながら駅を歩いていく。
彼女は、女性専用車両を
もっと増やすべきだと考えているし、
何なら、車両の中にお化粧できる
コーナーを設置するべきだと思う。
それこそ、男女平等だと
彼女は信じて疑わないー。
「は?」
駅でとある漫画の広告を見かける。
萌え絵の広告だ。
「ほんっと最低」
彼女は、そのキャラクターの顔を見ながら
怒りをあらわにした。
怒りの形相で、駅から出て、
目的地に向かう里恵。
今日は仕事は休みだから
買い物をするために
外に出てきたのだー。
しかしー
「遅刻しちまう!」
背後から声が聞こえたー
男子大学生の幸則。
女性を毛嫌いする彼が、
大学に遅刻しそうになっていて
猛ダッシュしていた。
そしてー
駅で見た広告に腹を立てて
怒りのあまり周囲が見えていなかった里恵は
そのまま走ってきた幸則と激突してー
ふたり、階段から転げ落ちてしまったー…。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「う…」
目を覚ます里恵。
「---あ…」
目を覚ます幸則。
周囲にはギャラリーが出来ている。
”だいじょうぶですか?”
”救急車呼びましょうか?”
そんな風に人々が言葉を発している。
「--ちょっと!ふざけないでよ!
前方不注意とかありえないんだけど!」
「--ふざけんなよ!
俺のせいにするのか!?」
二人はほぼ同時に声を発してー
そしてー
違和感に気付いた
「--!?!?!?」
二人は、自分の身体と、相手の身体を見合わせる。
「きゃあああああああああああ!」
「うわあああああああああああ!」
二人はほぼ同時に悲鳴を上げた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
二人は、ギャラリーが集まっていた場所から
移動しー、
近くの裏路地に来ていた。
「ちょっと!どういうこと!
わたしの身体を奪って何をするつもり!?」
ふたりはーー
階段から落ちたはずみで、
入れ替わってしまっていた。
幸則になった里恵は激怒している。
「最悪!早くわたしの身体を返してよ!」
叫ぶ幸則(里恵)。
しかし、里恵になってしまった幸則も反論した。
「は?俺、三次元の女になんて
興味ねぇし、そっちが何かしたから
入れ替わったんじゃないのか?」
「なんですって?」
睨みあう二人。
「--ちょっと!どこ見てんのよ!」
視線を少し下げた里恵(幸則)を見て
幸則(里恵)は怒りの声をあげた。
「は?下向いただけだろ?」
里恵(幸則)は乱暴な口調で言う。
「ちょっと!わたしの身体でそんな
汚い言葉吐かせないで!」
「じゃあ俺の口でも、そんな女言葉
喋るんじゃねーよ!」
二人の口論は終わらない。
里恵(幸則)が口を開く
「だいたい、さっきも言ったけど
俺、三次元の女に興味ないから
あんたの身体にも全く興味ないんだけど?」
「はぁ?さっき胸みたでしょ?変態!」
「は~~?見てねーよ!
下向いただけだろうが!
それとも女のほうを見たら
無条件で胸を見つめてることになるのかよ?」
里恵(幸則)が叫ぶ。
「そうよ!男は女のほうをエッチな目で見るな!」
「だから見てないって!」
激しい口論は、まったく終わる気配がない。
「だいたいお前らだって
金のある男とかイケメンには
ホイホイついていって
股開くんだろ?
俺は女のそういうところが嫌いなんだよ」
「何よそれ!差別よ!」
「お前も男は胸を見るって決めつけてるじゃねぇか!」
にらみ合うふたりー
「ぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬ」
「むむむむむむむむむむむ」
今にも相手に噛みつきそうな
恐ろしい形相で、にらみ合う。
そしてー
「ふん!」
二人はそっぽを向いた。
「--で、、どうするのよこれから
早く元に戻しなさいよ!」
幸則(里恵)が叫ぶ。
「それは俺のセリフだ!
俺は二次元にしか興味ねぇ」
里恵(幸則)が叫ぶ。
「--うわっ、キモオタとか
ほんとむり」
「うるせー!差別的発言すんじゃねー!」
「あんたもしてたでしょ!」
二人は喧嘩をしながら
歩き続ける。
幸則(里恵)は言う。
漫画やアニメのキャラクターは
女性を性の対象としてしか
見ておらず不愉快だと。
巨乳である必要はないし、
服装はきっちりとしたものを身に着けて、
公共の場には姿を見せないべきだと。
里恵(幸則)は言う。
女性専用車両は不公平だと。
男性専用車両は必要だし、
女はイケメンと金にしか興味ないから
俺たちに関わらないでくれ。と。
アニメ云々だとかそういうのにも
突っかかるな、とにかく黙ってろ、と。
「うぬぬぬぬぬぬぬぬ」
二人は再びにらみ合って
そっぽを向いた。
「--もう知らない」
「--俺だって!」
二人は別々の方向に歩いていく。
しかしー
すぐに、二人とも方向を変えて
戻ってきた。
「--…ど、どうすればいいの?」
「お、、俺、トイレ行きたいんだけど?」
入れ替わってしまったふたりは、
”嫌悪対象”とになってしまったー。
1秒でも早く元に戻りたいし
こんなやつと別れたい。
けどー
できなかった。
”入れ替わり”を理解しているのは
自分たちだけなのだから。
「トイレぇ?」
幸則(里恵)が声をあげた。
「--そ、、そうだよ…どうすりゃいいんだよ?」
里恵(幸則)が言う。
女のトイレなんて知らない。
いや、知る必要もなかった。
女は、自分とは無縁の生き物だし、
関わるつもりもなかったからだ。
「---ふ、ふざけないで!この変態!」
幸則(里恵)が顔を真っ赤にして言う。
「--そう言って、わたしの身体を見るつもりでしょ?」
「ちげーよ!本当にトイレ行きたいんだよ!」
「嘘つかないで!」
口論になる2人。
だが、幸則(里恵)は入れ替わる前のことを
思い出す。
そういえばー
なんとなくトイレに行きたかったような…
「--…じゃあしょうがないな」
里恵(幸則)がイライラした様子で言う。
「ここで出すしか…」
「ま、待って!そんなことしたら許さない!
トイレに行きなさい」
幸則(里恵)が言う。
「-ただ、済むまで目を開けることは
絶対許さないから。」
「--見ねーよ!
3次元の女になんて興味ないし
汚いだけだろ」
「--はぁ?問題発言よ」
ガミガミ言い合いながら
トイレへと向かう2人。
「--きみ!」
公衆トイレの近くにたまたまいた
警備員に声をかけられる。
「---え?」
幸則(里恵)が顔を反応すると
警備員の男は言った。
「-そこ、女性用のトイレだろ?
何、どうどうと入ろうとしてるんだ?」
警備員の言葉に幸則(里恵)が
戸惑う。
「いや、これは、、あの…」
そんな様子を見て
里恵(幸則)は、「おい!俺の身体で
堂々と女子トイレに入ろうとするな!」と
呟いて、そのまま一人でトイレに
入っていってしまった。
「--絶対目を開けるんじゃないわよ!
開けたら…
セクハラで訴えるから!」
トイレに付き添いに行くことのできない
幸則(里恵)は大声でそう叫んだ。
・・・・・・・・・・・・
「……何それ?」
トイレから出てきた里恵(幸則)を見て
幸則(里恵)不快そうに表情を歪めた。
「--あ、、あんたが目を開くなって言うから」
里恵(幸則)はスカートや服を汚してしまっていた。
男性が、目を瞑ったまま
女性として初めてのトイレを
ちゃんとできるわけがないのだ。
男性と女性では、トイレの感覚もずいずん違う。
女性は立ったままトイレはしないし、
男性は、女性としてトイレを利用する経験はないから、
出かたも違うし、色々な部分が違う。
そして、同性同士であっても身体によって
感覚は違う。
ずっと使っていた自転車を新しいものに
乗り換えたとき、同じタイプの自転車でも
随分感覚が違う。
それと同じで、仮に同性であっても
トイレをするときの感覚とは、違って感じるものだ。
そんな、違いだらけのトイレを
目を瞑ったまま綺麗に済ませることは
困難なのだ。
「---…最低!変態!セクハラ男!」
幸則(里恵)が大声で叫び始める。
「お、、おい!やめろ!」
里恵(幸則)が呟く。
周囲の視線が集まる。
幸則(里恵)もそれに気付いて、
どうにかしないと、と考え始めた。
こんな状態じゃ
幸則が大学に行くのも無理だし
里恵が買い物を済ませるのも無理だ。
「いったん、家に行って
戻る方法を考えるしかないわね」
幸則(里恵)が言う。
そして、続けた。
「あんたの家は、どこ?」
とー。
「ど、どうして俺の家なんだ?」
里恵(幸則)が男言葉で反論すると
幸則(里恵)は答えた。
「女性の家に入るなんてセクハラよ。
だからあんたの家に行くの」
「はぁ?」
里恵(幸則)はその物言いに腹を立てた。
「男の家ならいいのかよ?」
「いいのよ」
「言ってることおかしくね?」
文句を言い合いながら
里恵(幸則)はこれ以上何か言っても
無駄そうだと判断しながら
自分の家に向かうことにした。
「はぁ、男ってホント、わたしたちのこと
エッチな目でしか見ないよね。
アニメのキャラとかもそういうのばっかり」
「--生理って甘えだよな。
すぐ何かあると生理が~生理が~ってさ。
気合で乗り切れっての」
二人の言い合いは続く。
差別的な言葉を口にし続けながら
喧嘩のような状態が続いているー。
女性の生理は甘えなどではないし
男性が女性を見る時に必ずエッチな目で見るわけではない。
けどー
この2人はそう思い込んでいた。
そしてー
幸則の家に到着した。
男性を嫌悪する里恵は幸則の身体のまま
女性を嫌悪する幸則は里恵の身体のままー
色々なことを知ることになるー。
②へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
今日からは入れ替わりものデス!
この2人が、嫌悪する存在に入れ替わってしまったことで
どうなっていくのかは、明日以降をお楽しみ下さい~
コメント
SECRET: 0
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ちょうどタイムリーな話で面白そう…!
続きに期待です~
SECRET: 0
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> ちょうどタイムリーな話で面白そう…!
> 続きに期待です~
コメントありがとうございます~☆
今は罵り合ってますが、最後は~…!
ふふふ