自分の家族を奪った男の家族に
娘に憑依した亮介。
亮介の壮絶な復讐が始まる…
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「ま…真理佳…!?」
堂上部長はうろたえている。
そんな堂上部長の胸倉をつかみ、
真理佳は父を睨みつけた。
「部長…分かりますよね?
加賀見です。」
真理佳は今、加賀見亮介に憑依されているー
家族を奪われて、復讐に燃える亮介に。
「---な!」
堂上部長は驚いて瞳を震わせた。
亮介は思う。
まさか、自分の娘を奪われることになるとは
思わなかっただろうー
と。
当然、この子に罪はない。
だが、それでも、亮介は、
この子に憑依した。
手段など択ばない-
何があっても、復讐するー
どんなことをしようともー
「--ど、どういうことだ…!?ま、、真理佳!」
堂上部長が叫ぶ。
「--とぼけるんじゃねぇよ」
自分の口から出る女の声ー
亮介はそのことに気付けないほど、
復讐心に囚われていたー。
低く、冷たい声で出す真理佳。
「な、、なんのことだ!?」
あくまでとぼける堂上部長。
「ーー妻と娘の仇は取らせてもらうからな」
真理佳が憎しみを込めた言葉を
吐き出し、そのまま堂上部長を床に叩きつけた。
「---可愛らしい娘さんですねぇ。
でも…」
真理佳は、キッチンの包丁を手にすると、
自分の首筋にそれを突きつけた。
「--今は、俺の意思ひとつで、
笑いながら命を絶つことだってできるんですよ。
あんたがそうしたように」
真理佳はそう言いながら
目から涙をこぼす。
「---…ま、、まて…
か、、加賀見くん…!落ち着きたまえ!」
堂上部長が叫ぶ。
「---落ちつく?
娘と妻を奪われて落ち着いてなんていられるか!」
真理佳が大声で怒鳴り声をあげた。
「----お父さん…
わたしを助けたかったら、
今からわたしの言うとおりにしてね…?」
真理佳は耳元でそう囁くと、
震える父親に向かって、小声で何かを呟いた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー
「----と、、、と、、、突然ですが…」
堂上部長は会社の上層部に
辞表を提出していた。
「---」
上層部の人間は不思議そうにしながらも
辞表届を受理した。
”まずは、会社から消えてもらおうか”
娘の真理佳にそう脅された堂上部長は
言われる通りにした。
「--部長…急に退職って、どういうことです?」
亮介からプロジェクトリーダーを引き継いだ橋本が
堂上部長に声をかける。
「あ…あぁ…すまんな」
堂上部長は理由を語ることもできず、
足早に会社から立ち去って行く。
「どうしたんでしょうね…?」
後輩女性社員の瑠美も不思議そうにしている。
「さぁ…?」
橋本はそう言いながらも、少しだけ嬉しそうだった。
・・・・・・・・・・・・・・・
「---あ、お帰りなさい~」
娘の真理佳がミニスカート姿で足を組んで
煙草を吸っている。
「---き、、、貴様…!」
堂上部長は身体を震わせている。
「--会社、辞めた?」
笑う真理佳。
「---や、、、辞めたよ…
か、、加賀見くん…
もう十分だろ?
娘を、解放してくれ…」
頭を下げる堂上。
しかしー
「---寝惚けてんのか?」
真理佳が低い声で呟いた。
「--俺はあんたに娘と妻をうばわれたんだ。
こんなもんじゃ、おわらねぇ」
真理佳はそう言うと、
父親の肩に手を置いて静かに囁いた。
「--次はさ、離婚してもらおうかな?
お母さんと」
この世のものとは思えないぐらいに
冷徹な娘の声。
堂上部長は震えあがった。
「--き…きみは、私に何の恨みが…」
堂上部長は震えながらそう呟くー
しかしー
真理佳は返事もせずに離婚届を
机に叩きつけた。
「--お父さん…
お母さんに離婚を告げて離婚して…?」
真理佳の冷たい目ー
堂上部長は、何も言い返すことができない。
「---離婚しないなら、わたし、
服を全部脱いで家から飛び出してもいいんだよ?」
脅す口調の真理佳。
堂上部長は「や、、やめてくれ…か、、、書くから!」と
慌てて妻との離婚届に記入をし始めた。
そしてー
堂上部長は言われるがままに妻に離婚したいと告げた。
「ど…どうして!?」
妻は驚いている。
「---り、、理由は…」
堂上部長は、背後に立っている真理佳の方をちらっと見る。
真理佳は腕を組んで、その様子をじっと見つめていたー
「---お、、、お前のことが…嫌いになったんだ…
と、、とっとと出てってくれ…!」
堂上部長がそう吐き捨てると、
妻は泣きながら家から立ち去ってしまった。
「---く…」
堂上部長は身体を震わせながら
涙をこぼす。
「--も、、もうやめてくれ…」
真理佳の方を見て土下座する部長。
「--加賀見くん…!すまなかった!
私の態度が気に障ったなら謝る…!
娘の、真理佳の身体を返してくれ!」
必死に謝罪の言葉を口にする堂上部長。
がー
真理佳はそんな堂上部長の手を
踏みつけた。
「くくくく…泣け!泣け!泣け!
俺の妻と娘を奪ったお前を
俺は徹底的に追い詰めてやるぞ!」
真理佳の口から恐ろしい言葉が
吐き出される。
堂上部長はどうすることもできず、
ただただ亮介の言いなりになるしかなかった
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
それからも、亮介の復讐は続いたー
亮介は家族を奪われた怒りと悲しみで
復讐鬼に成り果てていた。
もちろん、自分がやっていることは、
完全に正しいとは思っていない。
しかし、全てを奪われた男に出来ることは
このぐらいしかなかったー。
日に日に堂上部長は追いつめられていくー
そんな様子を見ながら
亮介は、自分の復讐心を満たしていたー
その日の夜ー
「--お父さん~!これから、娘のエッチを
見せてあげるね~!」
適当に捕まえてきたチャラい男を
家の中に連れ込み、
父の前でエッチを始める真理佳。
「--ふへへ、お父さんですか?悪いっすね!
娘さんに誘われたんで!」
金髪の男が笑いながら言う。
駅で真理佳に声をかけられて
そのまま連れ込まれた、事情も何も知らない男だ。
「---んふふふ…
わたし、お父さんの前で激しく乱れちゃうの…
うふふふ…♡」
色っぽい服を脱がされていく真理佳
「お…おい!やめろ!」
堂上部長は必死にそれを止めようとするー。
がー
真里菜は大声で叫んだ
「黙って見てろ!
少しでも邪魔したら…
どうなるか分かってるよな?え?」
その言葉に、堂上部長は黙りでしまう。
「---うふふ…♡」
黙り込んだ父を見て、真理佳は笑いながら
チャラ男のアレを美味しそうに咥えはじめた
「んふふぅ~♡
どう、お父さん~?
娘の乱れた姿は~?」
真理佳が挑発的に笑う。
堂上部長は必死にそれを止めようとするも、
真理佳に跳ね飛ばされて
尻もちをついてしまう。
「ねぇ、わたしの中に出してもいいよ?」
真理佳が股を広げながら男に対して告げる。
「--い、、いいのかよ?」
チャラ男は喜んでいる。
「うん!お父さんの前でわたしを犯して!
ふふふ…
あいつに地獄を見せてやらなくちゃ!」
堂上部長は凍りついたー
けれども、
憑依された娘の暴走を止めることはできなかったー
・・・・・・・・・・・・・
結婚式の日がやってきた。
堂上部長は
憑依された真理佳の言いなりとなって、
結婚式にやってきた。
そこに、妻の姿はないー。
「---お母様はいらっしゃらないのですか?」
離婚したことを知らない相手方の父が尋ねてくる。
堂上部長は答えることができない。
そしてー
結婚式が始まった。
新郎新婦が入場してくるー。
「----…」
堂上部長は目から涙をこぼしていた。
これから起こることを知っているからだー。
だが、真理佳に憑依している
亮介はこれで最後だと言った。
逆らえば娘の命が奪われる。
だからー
堂上部長には、こうするしかなかったー。
新郎新婦が前にやってくる。
娘のウェディングドレス姿ー
夢にまでみたその光景。
しかしー
「誓いませ~~~ん!」
愛を誓うか尋ねられた真理佳は
突然笑い出した。
そして、ウェディングドレス姿のまま叫ぶ。
「わたしぃ~、結婚キャンセルしま~~す!」
わざと馬鹿にしたような口調で言う真理佳。
親族一同が唖然とする。
「--おと~さん、
わたしね~!
もっともっとエッチなことしたくなっちゃったの~!
うふふふふふふぅ~!」
真理佳が父に対して言う。
そして、新郎の方を指さして笑った。
「あいつのエッチへたくそで、
変態女のわたしは満足できなぁ~い!」
騒然とする親族一同。
堂上部長は困惑する。
「--おい!どういうことだ!」
新郎側の父親が叫ぶ。
真理佳は
「結婚なんてクソくらえよ!」
と会場に唾を吐き捨ててそのまま笑いながら立ち去ってしまった。
真理佳の父である堂上部長に詰め寄る親族たち。
堂上部長は涙を流しながら
親族たちの罵倒に晒されたー
翌日ー
「---…これが絶望だ。
でもな、俺の味わった絶望はこんなもんじゃないぞ」
真理佳が堂上部長を睨むー。
「---か、、、加賀見くん…」
堂上部長は震えてその場に座り込む。
「憑依で、娘と妻を奪われた苦しみ…
俺はお前を絶対に許さない…」
真理佳は今にも殴りかかりそうな
目で父を睨む
「---だ、、、だから…私は…!」
堂上部長はなおもとぼけたー。
しかしー
「---ふん。
これで最後だ」
亮介は、復讐の仕上げに移った。
真理佳に憎悪を植え付けてー
父親を恨む娘に変えるー。
憑依薬の使い方は詳しくは知らなかったが
なんとなく直感で、そういうことができる気がした。
「--俺はお前とは違う。
娘と妻の命までは奪わないー
でもー
永遠にお前を苦しませてやる」
そう言うと、真理佳は
うっ、とうめき声をあげて、その場に倒れて痙攣し始めた。
「ま…真理佳!
しっかりしろ!」
倒れた娘を必死に呼びかける堂上部長。
目を覚ます真理佳。
「---触らないで!」」
真理佳は叫んだ。
唖然とする堂上部長に向かって
真理佳は言う。
「あんたなんて、お父さんじゃない!」
亮介に憎悪を植え付けられた真理佳は、
父を憎む娘に変わってしまったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
憑依を終えて、自宅に戻った亮介ー
娘の加奈子と妻の美恵の遺影の前で、
「ぜんぶおわったよ…」と告げる
亮介の復讐は終わった。
本当なら、もっと苦しめてやりたいところだが、
それでは、憑依で娘と妻を殺した
堂上部長と同じになってしまう。
もう十分だー
あとは、辛くても、前を向いて
生きて行こうー
亮介は、
娘と妻の遺影を前に、そう決意するのだったー
③へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
復讐も終わって、ここで終わりのはずが、
どうして続く…?笑
続きは明日デス…
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