<憑依>地獄の唄②~憎悪~

自分の家族を奪った男の家族に
娘に憑依した亮介。

亮介の壮絶な復讐が始まる…

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「ま…真理佳…!?」
堂上部長はうろたえている。

そんな堂上部長の胸倉をつかみ、
真理佳は父を睨みつけた。

「部長…分かりますよね?
 加賀見です。」

真理佳は今、加賀見亮介に憑依されているー

家族を奪われて、復讐に燃える亮介に。

「---な!」
堂上部長は驚いて瞳を震わせた。

亮介は思う。
まさか、自分の娘を奪われることになるとは
思わなかっただろうー

と。

当然、この子に罪はない。

だが、それでも、亮介は、
この子に憑依した。

手段など択ばない-
何があっても、復讐するー
どんなことをしようともー

「--ど、どういうことだ…!?ま、、真理佳!」
堂上部長が叫ぶ。

「--とぼけるんじゃねぇよ」

自分の口から出る女の声ー

亮介はそのことに気付けないほど、
復讐心に囚われていたー。

低く、冷たい声で出す真理佳。

「な、、なんのことだ!?」
あくまでとぼける堂上部長。

「ーー妻と娘の仇は取らせてもらうからな」
真理佳が憎しみを込めた言葉を
吐き出し、そのまま堂上部長を床に叩きつけた。

「---可愛らしい娘さんですねぇ。
 でも…」

真理佳は、キッチンの包丁を手にすると、
自分の首筋にそれを突きつけた。

「--今は、俺の意思ひとつで、
 笑いながら命を絶つことだってできるんですよ。

 あんたがそうしたように」

真理佳はそう言いながら
目から涙をこぼす。

「---…ま、、まて…
 か、、加賀見くん…!落ち着きたまえ!」
堂上部長が叫ぶ。

「---落ちつく?
 娘と妻を奪われて落ち着いてなんていられるか!」

真理佳が大声で怒鳴り声をあげた。

「----お父さん…
 わたしを助けたかったら、
 今からわたしの言うとおりにしてね…?」

真理佳は耳元でそう囁くと、
震える父親に向かって、小声で何かを呟いた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー

「----と、、、と、、、突然ですが…」
堂上部長は会社の上層部に
辞表を提出していた。

「---」
上層部の人間は不思議そうにしながらも
辞表届を受理した。

”まずは、会社から消えてもらおうか”

娘の真理佳にそう脅された堂上部長は
言われる通りにした。

「--部長…急に退職って、どういうことです?」
亮介からプロジェクトリーダーを引き継いだ橋本が
堂上部長に声をかける。

「あ…あぁ…すまんな」
堂上部長は理由を語ることもできず、
足早に会社から立ち去って行く。

「どうしたんでしょうね…?」
後輩女性社員の瑠美も不思議そうにしている。

「さぁ…?」
橋本はそう言いながらも、少しだけ嬉しそうだった。

・・・・・・・・・・・・・・・

「---あ、お帰りなさい~」
娘の真理佳がミニスカート姿で足を組んで
煙草を吸っている。

「---き、、、貴様…!」
堂上部長は身体を震わせている。

「--会社、辞めた?」
笑う真理佳。

「---や、、、辞めたよ…
 か、、加賀見くん…
 もう十分だろ?
 娘を、解放してくれ…」

頭を下げる堂上。

しかしー

「---寝惚けてんのか?」
真理佳が低い声で呟いた。

「--俺はあんたに娘と妻をうばわれたんだ。
 こんなもんじゃ、おわらねぇ」

真理佳はそう言うと、
父親の肩に手を置いて静かに囁いた。

「--次はさ、離婚してもらおうかな?
 お母さんと」

この世のものとは思えないぐらいに
冷徹な娘の声。

堂上部長は震えあがった。

「--き…きみは、私に何の恨みが…」
堂上部長は震えながらそう呟くー

しかしー
真理佳は返事もせずに離婚届を
机に叩きつけた。

「--お父さん…
 お母さんに離婚を告げて離婚して…?」

真理佳の冷たい目ー
堂上部長は、何も言い返すことができない。

「---離婚しないなら、わたし、
 服を全部脱いで家から飛び出してもいいんだよ?」

脅す口調の真理佳。

堂上部長は「や、、やめてくれ…か、、、書くから!」と
慌てて妻との離婚届に記入をし始めた。

そしてー
堂上部長は言われるがままに妻に離婚したいと告げた。

「ど…どうして!?」
妻は驚いている。

「---り、、理由は…」
堂上部長は、背後に立っている真理佳の方をちらっと見る。

真理佳は腕を組んで、その様子をじっと見つめていたー

「---お、、、お前のことが…嫌いになったんだ…
 と、、とっとと出てってくれ…!」

堂上部長がそう吐き捨てると、
妻は泣きながら家から立ち去ってしまった。

「---く…」
堂上部長は身体を震わせながら
涙をこぼす。

「--も、、もうやめてくれ…」
真理佳の方を見て土下座する部長。

「--加賀見くん…!すまなかった!
 私の態度が気に障ったなら謝る…!

 娘の、真理佳の身体を返してくれ!」

必死に謝罪の言葉を口にする堂上部長。

がー
真理佳はそんな堂上部長の手を
踏みつけた。

「くくくく…泣け!泣け!泣け!
 俺の妻と娘を奪ったお前を
 俺は徹底的に追い詰めてやるぞ!」

真理佳の口から恐ろしい言葉が
吐き出される。

堂上部長はどうすることもできず、
ただただ亮介の言いなりになるしかなかった

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

それからも、亮介の復讐は続いたー

亮介は家族を奪われた怒りと悲しみで
復讐鬼に成り果てていた。
もちろん、自分がやっていることは、
完全に正しいとは思っていない。
しかし、全てを奪われた男に出来ることは
このぐらいしかなかったー。

日に日に堂上部長は追いつめられていくー
そんな様子を見ながら
亮介は、自分の復讐心を満たしていたー

その日の夜ー

「--お父さん~!これから、娘のエッチを
 見せてあげるね~!」

適当に捕まえてきたチャラい男を
家の中に連れ込み、
父の前でエッチを始める真理佳。

「--ふへへ、お父さんですか?悪いっすね!
 娘さんに誘われたんで!」

金髪の男が笑いながら言う。

駅で真理佳に声をかけられて
そのまま連れ込まれた、事情も何も知らない男だ。

「---んふふふ…
 わたし、お父さんの前で激しく乱れちゃうの…
 うふふふ…♡」

色っぽい服を脱がされていく真理佳

「お…おい!やめろ!」
堂上部長は必死にそれを止めようとするー。

がー
真里菜は大声で叫んだ

「黙って見てろ!
 少しでも邪魔したら…
 どうなるか分かってるよな?え?」

その言葉に、堂上部長は黙りでしまう。

「---うふふ…♡」
黙り込んだ父を見て、真理佳は笑いながら
チャラ男のアレを美味しそうに咥えはじめた

「んふふぅ~♡
 どう、お父さん~?
 娘の乱れた姿は~?」
真理佳が挑発的に笑う。

堂上部長は必死にそれを止めようとするも、
真理佳に跳ね飛ばされて
尻もちをついてしまう。

「ねぇ、わたしの中に出してもいいよ?」
真理佳が股を広げながら男に対して告げる。

「--い、、いいのかよ?」
チャラ男は喜んでいる。

「うん!お父さんの前でわたしを犯して!
 ふふふ…
 あいつに地獄を見せてやらなくちゃ!」

堂上部長は凍りついたー

けれども、
憑依された娘の暴走を止めることはできなかったー

・・・・・・・・・・・・・

結婚式の日がやってきた。

堂上部長は
憑依された真理佳の言いなりとなって、
結婚式にやってきた。

そこに、妻の姿はないー。

「---お母様はいらっしゃらないのですか?」
離婚したことを知らない相手方の父が尋ねてくる。

堂上部長は答えることができない。

そしてー

結婚式が始まった。

新郎新婦が入場してくるー。

「----…」
堂上部長は目から涙をこぼしていた。

これから起こることを知っているからだー。

だが、真理佳に憑依している
亮介はこれで最後だと言った。

逆らえば娘の命が奪われる。

だからー
堂上部長には、こうするしかなかったー。

新郎新婦が前にやってくる。
娘のウェディングドレス姿ー

夢にまでみたその光景。

しかしー

「誓いませ~~~ん!」

愛を誓うか尋ねられた真理佳は
突然笑い出した。

そして、ウェディングドレス姿のまま叫ぶ。

「わたしぃ~、結婚キャンセルしま~~す!」

わざと馬鹿にしたような口調で言う真理佳。

親族一同が唖然とする。

「--おと~さん、
 わたしね~!
 もっともっとエッチなことしたくなっちゃったの~!
 うふふふふふふぅ~!」

真理佳が父に対して言う。

そして、新郎の方を指さして笑った。

「あいつのエッチへたくそで、
 変態女のわたしは満足できなぁ~い!」

騒然とする親族一同。

堂上部長は困惑する。

「--おい!どういうことだ!」
新郎側の父親が叫ぶ。

真理佳は
「結婚なんてクソくらえよ!」
と会場に唾を吐き捨ててそのまま笑いながら立ち去ってしまった。

真理佳の父である堂上部長に詰め寄る親族たち。
堂上部長は涙を流しながら
親族たちの罵倒に晒されたー

翌日ー

「---…これが絶望だ。
 でもな、俺の味わった絶望はこんなもんじゃないぞ」
真理佳が堂上部長を睨むー。

「---か、、、加賀見くん…」
堂上部長は震えてその場に座り込む。

「憑依で、娘と妻を奪われた苦しみ…
 俺はお前を絶対に許さない…」
真理佳は今にも殴りかかりそうな
目で父を睨む

「---だ、、、だから…私は…!」
堂上部長はなおもとぼけたー。

しかしー

「---ふん。
 これで最後だ」

亮介は、復讐の仕上げに移った。

真理佳に憎悪を植え付けてー
父親を恨む娘に変えるー。

憑依薬の使い方は詳しくは知らなかったが
なんとなく直感で、そういうことができる気がした。

「--俺はお前とは違う。
 娘と妻の命までは奪わないー

 でもー
 永遠にお前を苦しませてやる」

そう言うと、真理佳は
うっ、とうめき声をあげて、その場に倒れて痙攣し始めた。

「ま…真理佳!
 しっかりしろ!」

倒れた娘を必死に呼びかける堂上部長。

目を覚ます真理佳。

「---触らないで!」」

真理佳は叫んだ。

唖然とする堂上部長に向かって
真理佳は言う。

「あんたなんて、お父さんじゃない!」

亮介に憎悪を植え付けられた真理佳は、
父を憎む娘に変わってしまったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

憑依を終えて、自宅に戻った亮介ー

娘の加奈子と妻の美恵の遺影の前で、
「ぜんぶおわったよ…」と告げる

亮介の復讐は終わった。

本当なら、もっと苦しめてやりたいところだが、
それでは、憑依で娘と妻を殺した
堂上部長と同じになってしまう。

もう十分だー

あとは、辛くても、前を向いて
生きて行こうー

亮介は、
娘と妻の遺影を前に、そう決意するのだったー

③へ続く

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コメント

復讐も終わって、ここで終わりのはずが、
どうして続く…?笑

続きは明日デス…

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