田中 棚男は
自分の欲望のためだけに憑依を楽しんでいたー。
人の集まる場所で次々と女性に憑依していく田中。
そんな田中の、次のターゲットは、”結婚式”だったー。
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人生で、一番幸せな瞬間はいつだろうかー。
答えは、人によって違うだろう。
とある場所でー
拍手に迎えられた新郎新婦が居たー
22歳の新婦・遙香(はるか)にとっては、
今、この瞬間こそー
幸せであるに違いないー。
隣には心優しい新郎の、健太郎。
二人は大学のサークルで出会い、
そして、結婚することになったー。
遙香は昨年、大学のミスコンに選ばれたことも
あるほどの、美貌の持ち主だが、
自分では決してそれを誇ったりすることはなく、
誰からも愛されるような女性だったー。
そんな彼女たちの結婚式には親族や友達、
後輩など、多くの人間が集まっていたー。
二人は、式場の前に行き、
大きな拍手に迎えられるー
そして、
新婦の遙香が、両親への感謝の言葉、
友達への感謝の言葉を述べ始めたー。
ごくごく普通の結婚式、
この世では、こういう光景が日常的にみられるー。
そこにーー
田中棚男はいた。
「--幸せな結婚式ーくく」
霊体の状態で、中に浮きながら、幸せに満ちた空間を見つめる田中。
「ーー私は、一生童貞だろう…」
そう言いながらも、嬉しそうに言葉を述べている遙香を見つめる。
「--だが、私は別に、羨ましいとは思わない。
なぜならー
憑依できる力を手に入れたのだからー」
田中はそう呟くと、笑みを浮かべたー。
「お前たちの幸せを、悪夢の幸せに変えてやろうー」
と。
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「--お父さん、お母さん、
ここまで育ててくれて、本当に、ありがとう…!」
目に涙を浮かべながら、遙香が挨拶を終える。
両親も、涙を浮かべながら、娘の幸せを心から喜び、
見つめていたー。
「---ひぅっ!?」
参加者の一人で、小さくうめき声をあげたー。
しかし、その声は拍手にかき消されて、
誰も気づかなかった。
「---あっははははははははははは!」
大声で笑いだす女性ー。
驚いて、結婚式場に居た人間たちは、
その女性の方を見たー。
そこには、新婦の妹で、20歳の真菜子が居た。
「--ーまっさか、お姉ちゃんが結婚できるなんてね」
そう言いながら席を立ち、姉の方に向かって
歩き出す真菜子。
「--え…?真菜子?どうしたの?」
遙香が戸惑いながら言うと、
真菜子は笑った。
「わたし、お姉ちゃんに恋してるの。」
突然の告白にどよめく周囲。
「---お姉ちゃん、こんな男より、
わたしの方が魅力的でしょ?
わたしと結婚してよ!」
突然の妹のおかしな行動に、遙香は
「な、何言ってるの!」と叫ぶ。
「--ちょ、、、真菜子!」
遙香と真菜子の母親も真菜子のおかしな行動を
止めようと叫ぶ。
しかしー
「---もう我慢できない!お姉ちゃん!
今ここでわたしを抱いて!」
前に歩いていく真菜子。
涎を垂らしながら欲情しているー。
ざわめく会場。
「--ちょ、、ちょっと落ち着いて」
新郎の健太郎がそう言って、真菜子の前に立つと
真菜子は
「どけよ!」と大声を出して、健太郎を突き飛ばした。
そして、戸惑う遙香に抱き着いて、
笑みを浮かべた。
「お姉ちゃん~!わたしと結婚しよっ!えへへっ」
「--な、何言ってるの…そんなこと、できるわけ…んあぁっ♡」
妹のキスに、感じてしまう姉。
真菜子は姉である遙香の唇を無理やりこじ開けて
舌を絡めさせた。
”わたしは、お姉ちゃんのことが大好きー”
そう、刻み込んで、田中は、真菜子の身体から
抜け出した。
騒然とする会場ー
さて、次はー
「---や、、やめて…真菜子…!
やめ…んあっ!?」
真菜子にキスされて戸惑っていた新婦・遙香が続けて憑依されたー
「んふふ…じ・つ・は、わたしも真菜子のこと、
大好きだったの~!」
甘い声を出して、
ウェディングドレスを乱しながら今度は、姉である遙香が
真菜子を押し倒したー。
「わぁ…お姉ちゃん…♡」
感じている真菜子は、甘い声を出した
「んふふふ…結婚しましょ♡」
甘い声で言う遙香。
「--な、、なんだ…なんだ?」
新郎の健太郎が戸惑っている。
「--おい!なんだこれは!」
健太郎側の父親が、立ち上がって叫ぶ。
頑固そうな父親だ。
「--す、すみません」
真菜子と遙香の母親が慌てて頭を下げる。
「--…!?…!?きゃあっ!」
騒動になっている間に、意識を取り戻した遙香は
悲鳴を上げた。
自分から妹を押し倒してキスをしている状況に
驚き、パニックを起こす。
「---いいわねぇ~~~!」
突然、遙香と真菜子の母親が大声で叫ぶ。
「--姉妹同士の百合エッチ!最高じゃない!
さぁ、もっとお母さんに見せなさい!」
さっきまでとは違う、高圧的な態度で二人の母親は叫んだ。
「---ちょ、お母さんまで、、何言ってるの!」
遙香は、真菜子をなんとかどかすと、
立ち上がって健太郎の方に向かう。
「--ご、ごめん…お母さんも妹も疲れてるみたい」
そう言う遙香。
しかしー
健太郎は困惑していた。
「え…でも、君はさっき・・・?」
健太郎は見ていたー
さっき、遙香も”結婚しよう”と妹に言っていなかったか?ー。
「---健太郎!帰るぞ!」
新郎側の父親が怒りに身を震わせながら叫ぶ。
新婦である遙香の母親は、手を叩きながら
お母さん、百合が見たくなっちゃったの~と叫んでいる。
遙香の妹は、遙香に抱き着こうとしてゾンビのように
怪しい動きをしている。
「---うっ!?」
新郎の父親の隣に居た妻がうめき声をあげる。
「どうした?」
父が尋ねると、妻は突然服を脱ぎ始めていた。
「--なっ!?」
父親が何かを騒ぐ前に、
妻に押し倒されて、
そのまま熟年エッチが始まってしまった。
「---な、、なんだぁこれは…」
唖然とする健太郎ー。
まるで地獄絵図のようにも見えた。
自分の両親も、
新婦の遙香の両親や妹も、
どうしてしまったのか。
「---あははははははははは!」
突然、笑い声が響き渡った。
「ご結婚おめでとうございます~!」
新婦・遙香の親友である、瑞帆(みずほ)だった。
「--どうして、急にみんながおかしくなったか、
わかるぅ~?」
いつも大人しい瑞帆が大声で笑いながら、
前へと高飛車な様子で歩んできた。
戸惑う遙香と、健太郎の二人の前の前にやってくると微笑んだ。
「--みんなね、身体を乗っ取られて、
思考を滅茶苦茶にされちゃってるの」
瑞帆は、胸を触りながらイヤらしい笑みを浮かべる。
健太郎も遙香も唖然とするー
「--な、、何言ってるの?」
遙香が口を開くと、
瑞帆がにやりと笑って、突然服を脱ぎだした。
「--ねぇ、遙香~?わたしがこんなことする~?
今、わたし、完全に身体を乗っ取られちゃってるの!
えへへ!だから、な~んでもしちゃうよ~!」
瑞帆は服をあっという間に脱ぎ捨ててみせると、
下着姿でモデルのようなポーズを決めた。
「どう?いい身体でしょ?」
瑞帆がこんなことするはずがないー。
遙香はそう思いながら叫んだ。
「あ…あなたは、誰なの!?」
そう言うと、瑞帆は不気味な笑みを浮かべて倒れたー。
「---!?」
戸惑う二人の横から、別の女性が声をかけた。
今度は新郎・健太郎の幼馴染の女性が
笑みを浮かべて立っていた。
がに股で色気もそっけもない立ち方をしている
その女性は笑うー。
「---本名名乗っちゃうと、まずいんでな…
人に憑依できる男…
ポゼッションマンとでも呼んでくれや!ははは」
女性は笑いながら、周囲を見渡す。
周囲は戸惑う参加者、思考を変えられておかしな行動をしている女性たち、
憑依から抜け出されて気絶して痙攣している人たちー
色々な光景が広がっていた。
「---くくく…いいねぇ、いいねぇ!」
女性は嬉しそうに足をバタバタさせた。
「---幸せな結婚式が台無しだ!あはははっ!
私にとっては最高のショーだがな!」
「貴様!」
笑う女性に、新郎の健太郎が飛びかかった。
「--ぁ…」
女性は、健太郎にとびかかられたとたんに意識を
失ってしまう。
「無駄よ」
背後から声がした。
振り返ると、腕を組んで新婦の遙香が立っていた。
「この式場に居るすべての身体はわたしのおもちゃだ!
お前の大切な、この女もな!」
遙香が凶悪な笑みを浮かべながら笑う。
「--は、遙香から出て行け!!」
健太郎が叫ぶ。
遙香は「イヤだね」と呟くと、
にやりと笑みを浮かべて、自分の手の甲を舐めはじめた。
「う~ん、結婚式の日に、自分の手の甲を舐めて
興奮している、女って、えっちだと思わない?」
遙香が色っぽい声で微笑む。
「く…くそっ!」
周囲からは、複数の女性の喘ぐ声が聞こえる。
「--くそっ…くそっ!」
健太郎がどうすることもできず、苦しみの表情を浮かべる。
「--ねぇねぇ真菜子~
お姉ちゃんとえっちしよ~!」
操られたままの遙香は、
先ほど”お姉ちゃん大好き”という思考に染められた妹の真菜子に
声をかける。
「え~!やったぁ~!」
真菜子と遙香が嬉しそうに抱き合って
そのままキスを始めた。
「---!?え、、、えっ…??えっ…?」
憑依から解放された遙香が戸惑いの声をあげる。
しかし、妹の真菜子の情熱は凄まじく、
遙香は戸惑ったまま、イカされてしまった。
「・・・・!くっ…くっ!」
新郎・健太郎は何もできずに立ち尽くしていた。
そんな健太郎を、背後から、60過ぎのおばあちゃんが
押し倒した。
「健太郎ちゃん~!わたしと結婚して~!うふふ♡」
歳に似合わぬ言動に健太郎は
吐き気を催しながら、
親戚のおばあちゃんに押し倒されて
そのままエッチさせられてしまったー
「----くく」
憑依から抜け出した田中は笑う。
幸せな光景が、一気に歪められた瞬間だ、と
田中は笑みを浮かべて、
その場を立ち去った。
おもちゃは、遊べばそのうち飽きる。
田中は
”式場”というおもちゃに飽きたのだー。
その後、式場の人間たちがどうなったのかは知らないが、
田中には関係のないことだー
田中は笑うー
次はー
「---この能力、楽しすぎだぜ」
次はー
定番中の定番だー
田中はー
地元の高校にターゲットを定めて
霊体のまま、高校に向かうのだったー。
③へ続く
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コメント
次回で最終回です!
ありきたりなお話ですが、最後までお楽しみ頂けると嬉しいデス!
コメント
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二人の幸せの絶頂の瞬間、その幸せを叩き壊す…!
実に素晴らしいですね、ぞくぞくしてしまいます。
あえて憑依のことを明かして、相手を挑発するのも良き……。
さすが、s…純白の無名さんですね。最終話も期待です
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> 二人の幸せの絶頂の瞬間、その幸せを叩き壊す…!
> 実に素晴らしいですね、ぞくぞくしてしまいます。
> あえて憑依のことを明かして、相手を挑発するのも良き……。
> さすが、s…純白の無名さんですね。最終話も期待です
ありがとうございます~!
毎回のコメント、本当にうれしいデス!
でも、s…??