<入れ替わり>妹の人生は俺のもの①~正反対のふたり~

とある兄と妹。

兄は、大学進学後、すぐに大学を辞めて、
働きもせずにニートとして家に引きこもっていた。
地元の悪仲間と遊ぶ日々を送っているようだ。

一方の妹は、高校生で、学校内でも優等生として
先生や生徒たちからも愛される性格。おまけに容姿も可愛い。

そんな二人が、入れ替わってしまい…?

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雨が滴り落ちる。

ザーザー、と強く降る雨。

「--今日は晴れるって言ってたのに!」
濡れながら走る女子高生―。

早野 真希(はやの まき)。

高校2年生の彼女は、
とてもまじめで、学校内では先生からも、
クラスメイトからも愛されるような、
そんな理想的な生徒だった。

「--あぁ…もうびしょ濡れだよ…」
家についたころには、びしょ濡れに
なってしまっていた。

夏のゲリラ豪雨。

雷鳴が空に轟く。

「--あぁ~あ」
ため息をつきながら、真希は自宅へと
入って行った。

「ただいま~
 シャワー入っていい??」
母親に言うと、母親は、
「え?あぁ、ダメよ、今、憲明(のりあき)が入ってるわ」
と答えた。

「え~びしょ濡れなのにぃ~」
真希が悲しそうに言うと、
仕方が無く洗面所に向かい、
服を乾かし始めた。

「ねぇ、お兄ちゃん、まだ~?」
真希が言うと、
お風呂場から返事があった。

「まだに決まってんだろ!」

そう返事をする兄・
早野 憲明(はやの のりあき)は、
大学に行った後、ワル仲間とつるみ出して、
大学内で喧嘩をして退学になり、
今はニートの状態だ。

「もう!」
真希はふてくされた様子で言う。

しばらくすると、ようやく憲明が出てきて、
真希の方を見て笑った。

「--だんだん大きくなってきたな」
胸を指さして笑う憲明。

「バカっ!」
真希は憲明にビンタをした。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日。

今日こそ天気は晴れ。
降水確率0パーセント。

真希はゴキゲンな様子で学校に向かう。

「--おはよう」
一人の男子生徒が真希に声をかけた。

三住 照将(みすみ てるまさ)。
真希の彼氏だった。

「--昨日は急な雨、大変だったね…大丈夫?」
照将が言う。

「え、あ、うん。ちょっと濡れちゃったけど」
真希が笑うと、照将も笑った。

「--僕も昨日はずぶ濡れだったよー
 おかげで今日はちょっと風邪っぽいかな」
照将の言葉に、真希は「だいじょうぶ?」と
心配そうに照将を見つめた。

「--え、ああ、あ、大丈夫だよ!ははっ!」
照将は真希が初めての彼女で女性慣れしていない。
奥手な男子生徒だった。

その日も、いつものように、穏やかな一日が流れた。

そして放課後。

「え~~~~~っ!」
真希は叫んだ。

土砂降り。

「降水確率0パーセントって言ってたじゃーん…」
途方に暮れる真希を
横目に、クラスメイトの一人の金髪女子が
笑いながら傘をさす。

「--あ、エリナずるい!」
真希は叫んだ。

海外から日本にやってきたお嬢様・エリナ。
真希の友人の一人だ。

「--ごめんね~」
エリナがそう言いながら立ち去っていく。

「その傘に入れてよ…」
と小さな声で真希は呟いた。

仕方ない。
強行突破だ。

そう思って、真希は走り出した。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

一方、兄の憲明はゲームセンターで
遊びほうけていた。

不良仲間とゲラゲラ笑い、
中学生からカツアゲし、
不良仲間の女とゲームセンターの中で
キスをしながら抱き合っていた。

「--って、そろそろ雨降りそうだな」
憲明は言った。

「雨、降り出すと面倒くせぇから帰るわ」
憲明はそう仲間たちに告げて、ゲーセンの外へと足を運んだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
必死に雨の中を走る真希。

突然ぴかっと周囲が激しく光り、
もの凄い音がした。

雷だ。

雷が鳴りだした。

「あ~~最悪っ…」
真希がそう言いながら、びしょ濡れの状態で
走る続ける。

「---ん?」
たまたま、外をほっつき歩いていた
兄の憲明が、妹の走る姿を見つけた。

「あれ?お~~~~い!」
兄の声を聞いて、真希は立ち止まる。

「あ?あれ?何でこんなところに?」
真希が尋ねる。

「いや、ゲーセン帰りでよ」
憲明が笑う。

憲明は素行不良でどうしようもないやつだが、
何故か妹の真希には優しかった。

「ほらよ、傘」
憲明が傘を妹の真希に差し出した。

「あ、ありがと…」
困惑した表情を浮かべながらも、
兄に対して素直にお礼を言う真希ー。

憲明は、そんな真希の様子を見つめて、
ニヤリと笑みを浮かべた。

憲明が、真希にだけ優しいのには理由がある。

別に、”妹が大事なわけではない”
妹の身体ー、
そう、性欲の対象として、
妹を大事にしているだけだ。

いつか、妹とヤッてみたい。

憲明は、そんな風にさえ、考えていた。

その時だったー。
空を裂くような激しい光が見えた。
それとほぼ同時に、爆音のような、
もの凄い音が鳴り響く。

これはーー

「---!!」
憲明と、真希は驚く間もなくーー
雷に、撃たれてしまった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

雨の音が、響いている。
地面に落ちてくる…
と、いうよりかは、地面にたたきつけているような、
そんな、激しい音だ。

「---う…」

感覚がよみがえってくる。

気を失っていたのだろうか。
何が起きたのか、わからない。

雷の音が、少し遠くで響き渡る。

そうだ、自分は、雷に打たれて…。

身体が、びしょ濡れだ。

そして…
足が冷たい。

髪が、ぺたぺたとくっつく・・・

制服は、びしょ濡れで・・・

「----!?」
真希は、表情をゆがめた。

「--あ???なんだ・・・これ?」
自分の口からもれだしたのは、
”自分の声”ではない”声”

「---は?」
下を向くと、そこには、自分にはなかった膨らみが・・・。
自分が穿いたことのないスカートが見えた。

「え・・・あ・・・嘘・・・?マジかよ!」
可愛らしい声で叫ぶ真希。

ふと周囲を見渡すと、そこには”自分”が倒れていた。

「--ま、待てよ・・・?」

真希は考えた。
そう、自分は兄妹揃って、雷に打たれた。

そして、気づけば・・・。

「--い…やった・・・!やった・・・!!
 お、おれが、俺が真希になってる!
 やった・・・!うふふふふ、はははははははっ!」

真希は、大雨の音をかき消すぐらいの声で
笑った。

倒れている兄の憲明ー。
今まで自分の身体だった身体を見つめる。

「--くくっ・・・まだ気を失っているのか・・・
 それとも、死んだのか?」

真希は表情をゆがめて言う。

起こす必要はないー。
これからは自分が真希なのだ

むしろ、死んでくれていた方が好都合なぐらいだ。

「くふふふふふ・・・
 わたしが真希・・・はははははっ!
 わたしが真希よ!あははははははははっ!」

ずぶ濡れのまま、真希は嬉しそうに笑い続けた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「--ただいま」
真希は自宅へと戻った。

「あぁ、おかえり!真希、、
 って、ずぶ濡れじゃない?
 大丈夫?」

母親がとても心配そうに言う。

「大丈夫大丈夫!」
真希のフリをしながら、
自分の部屋に上がって行こうとする。

既に心臓はバクバクだ。

自分の部屋でこれから、あれこれ
楽しむつもりだ。

早く、部屋に行きたい。

「--今、拭いてあげるから!」
母親が言う。

自分(憲明)には、冷たいのに、
ずいぶん過保護なやつだ、と思う。

「--いいよ」
真希は愛想なく言った。

「え?でも・・・」
母親が戸惑う。

「ほら、お兄ちゃんまで帰ってきてないみたいだし、
 心配するなら、お兄ちゃんの方を・・・」
真希がそう言いかけると、
母親は言った

「憲明は、またどっかほっつき歩いてるんでしょ。
 雷にでも打たれればいいのよ」

母親の言葉に、
真希は静かに舌打ちをして、
そのまま部屋へと向かった。

「--真希の部屋・・・」
真希の部屋の方に入り、
真希は、髪の毛から、滴り落ちる水のことも
忘れて、ベットに飛びついた。

「あぁ~~~いいニオイ・・・!」
くんくんとニオイを嗅ぎながら、
ずぶ濡れの真希が、ベットの上で
意味もなく、身体を動かしている。

「あぁ・・・♡わたしが、わたしが真希・・・!
 くふふふうっ・・・さいこうっ!」

真希はそう叫ぶと、
濡れた髪の毛をつかみ、
匂いを嗅ぎ始めた。

雨のニオイと、
髪の毛の良いニオイー

「んんんぅぅぅう~~~~」
あまりの快感に
奇妙な唸り声をあげながら、
真希はそのニオイと感触を堪能した。

そして、髪の毛を舌で舐めてみる。

「んふっ・・・ちゅぱっ・・・♡」
嬉しそうに、自分の髪の毛を舐める真希。

「はぁぁああああ・・・」
欲情しきった表情でしばらく髪の毛を舐め続けると、
真希は立ち上がった。

「--ーーー」
鏡の方を見つめる真希。

「・・・・・お兄ちゃん・・・

 お兄ちゃん・・・大好き・・・♡」

可愛らしく、呟いてみる。
鏡の中の、濡れた真希が
恥ずかしそうに顔を赤らめている。

「---っ、ふざけんじゃねぇよ!
 あのクソババア、
 俺のこと、雷に打たれろなんて言いやがって!」

今度は乱暴な言葉を言わせてみる。
鏡の中の真希も、怒りに満ちた表情を浮かべる。

「--くくく・・・」
楽しくなってきた真希は、
髪の毛をわざとボサボサにしてみたり、

挑発的な指を立てるポーズをしてみたり、
ヤンキー座りをしてみたりした。

思いのままだ…
思いのままだ…!
うははははははは!

「---そう言えば…濡れてて気持ちわりぃな」

ようやく、雨に濡れて気持ち悪い、という感触を
思い出した真希は、
びしょ濡れの制服を脱いでいく。

「--…」
制服を脱ぐ途中で手を止める。

女の子の裸を見てしまっても
良いものか…

一瞬、そう思った。

けれどー

「…ふふ、自分の身体を見たって
 問題ないよね♪」

そう言うと、制服を脱ぎ、
ビショビショの制服をそのまま部屋の
隅っこに放り投げた。

「---くく…」
真希は、自分の全てを曝け出して
鏡の前に立っていた。

「---私のからだ…
 味わいつくしちゃおっと…♡」

イヤらしい笑みを浮かべると、
真希は胸に手を触れようとした。

その時だったー

「--お兄ちゃん!」
憲明ーー
恐らく中身は真希である自分が
部屋に入ってきた。

「---!?」
驚いて手を止める。

そして、憲明(真希)も、
自分の身体が裸にされていることを
知って驚く。

「お、、、お兄ちゃんの…バカ!」
図太い男の声で、憲明はそう叫んだ。

「お、、お母さん!」
憲明が母親のいるキッチンの方に走って行く。

「---おい!」
真希は叫んだ。

せっかく真希になったのに、騒がれたら面倒だ。
慌てて服を着て、自分の身体を追う。

「---お母さん!ね、、ねぇ、、私とお兄ちゃん、
 か、身体が入れ替わっちゃった!」

憲明が母親に泣きながらすがりつく。
困惑する母親。

後から追いついた真希も、
どうすれば良いか戸惑った。

しかしーーー

「お兄ちゃん…何言ってるの?」
邪悪な笑みを浮かべて、真希は言った。

母親と、目に涙を浮かべた憲明が
振り向く。

「--変なこと言って、
 お母さんを困らせないでよ…」
真希は言う。

「-え、、で、、でも、、
 ちょっと!お兄ちゃん!やめてよ!」
憲明が叫ぶ

「--お母さん、お兄ちゃん変だよ…!」
真希のフリをして、母親に言う。

母親は戸惑った末に言った。

「憲明…、真希も困ってるわよ。
 変なこと言うの、やめなさい」
母親が強い口調で言う。

「え…お、、お母さん!信じてよ!」
憲明が泣きながら言う。

母は「はいはい」とあきれた様子で
憲明を無視して、別の部屋に行ってしまった。

その場に泣き崩れる憲明。
そんな憲明…
元・自分の身体に真希は、笑いながら
語りかけた。

「---無理だよ。
 もう、お前は俺なんだから」

低い声で言う。
憲明になってしまった真希は泣き続けている。

真希は笑みを浮かべて、耳元でささやいた。
「お前の人生は、俺のものだー」と。

そう、妹の人生は、もう、俺のものなのだー。

②へ続く

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コメント

入れ替わりモノです!
入れ替わりものは、憑依モノとはまた違った良さが
ありますよネ!

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