<憑依>猛暑日①~灼熱~

真夏の猛暑日ー。

灼熱の暑さの中、
それでも”憑依”を楽しむ男がいたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーへへへー
 ついに手に入れたぜー。憑依薬ー」

そう言葉を口にしながら、
笑みを浮かべていたのは、
30代前半の男ー、久米田 伸樹(くめだ のぶき)ー

彼は少し前に偶然ネットで手に入れた”憑依薬”なる
不思議な薬を手に、笑みを浮かべていたー。

”お昼を前に、既に外の気温は35度を超えている場所が多くー
 全国各地で厳しい暑さとなっていますー”

そんな”天気予報”の言葉がテレビから聞えて来るー。

伸樹は「へへへー今年の夏は特に暑いよなー」と、
ニヤニヤしながら、一瞬テレビの方に視線を移すと、
「けど、エアコンをガンガンと効かせたこの部屋にいりゃ、
全然暑くないぜー」と、そう言葉を口にするー。

そしてーー

「ーー外に遊びに行くにしてもー、
 ”これ”があれば、自分の身体で汗をかく必要はねぇからなー」
と、ニヤッと笑みを浮かべるー。

伸樹は、暑いのが大の苦手ー。
最近は、仕事以外で外に出ることもなく、
職場と家を行き来するだけの日々を送っていたー。

がー、そんな彼も、出かけるのは嫌いではなく、
暑ささえなければ、外で遊びたいー、と、
そんな思いも当然あったー。

だからこその”憑依薬”だー。

「ーへへへ、これさえあれば、
 俺は暑い思いをせずに、他人の身体で好き放題楽しめるぜー

 しかもー」

伸樹はそこまで言葉を口にすると、
それまでの笑みとは明らかに違う、下品な笑みを浮かべながら
言葉を続けたー。

「しかもー、可愛い子の身体でなー…へへへへー」

暑いのは嫌いー、汗をかきたくないー、
日焼けもしたくないー。
そんな伸樹にとって、夏場はー、
特に今日のような猛暑日は”外出する気など全く起きない”ー
そんな日だったー。

けれど、憑依薬があれば話は別ー。
自分の身体で外に出る必要などないー。

汗をかいても、日焼けをしても、
後始末は憑依された側の本人にさせればいいー。

「ーー帰って来た時、エアコンの風で腹を壊したりしてたら
 最悪だからなー」

そう言葉を口にしながら、伸樹はエアコンの効いた部屋の中の
風が直接当たらない部分に移動してから、
憑依薬の容器を手にして、笑みを浮かべるー。

「ーーさてさて、お待ちかねの憑依の時間だぜー」
そう言葉を口にすると、憑依薬をひと思いに飲み干し、
そのまま伸樹は、憑依をするために
自分の身体から幽体離脱ー、
意気揚々と自分の家を飛び出したー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

”へへへへー
 まずは遊園地で楽しむとするかなー”

幽体離脱したまま、遊園地へとやってきた伸樹は
”憑依対象”として使えそうな身体を
物色し始めるー。

「ーそういえば、俺の身体で暑がる必要がないだけじゃなくてー
 憑依しちまえば、遊園地だろうと、どこだろうと
 タダで遊べるじゃねぇか!」
嬉しそうに声を上げる伸樹ー。

他人の身体、金で夏を満喫するー。
最低最悪の行為を頭の中に思い浮かべながら
伸樹はニヤニヤと笑みを浮かべるー。

そしてー、三人組の女子高生らしき子を見つけると、
その中の一人、セミロングの子に目をつけてから、
「ーへへーまぁ、せっかく他人の身体を使うなら
 おっさんじゃなくて、可愛い子に限るよなー」と、
伸樹は笑うー。

憑依薬を使ったのが、女子であれば、
イケメンも憑依対象に当然入るー。

けれど、彼のような男性が使用者であれば
やはり、一番憑依対象として狙われやすいのはー、
伸樹が狙うような子であるのは間違いないー。

「真美(まみ)~!先に行ってるからね~!」
「ーうん!わかった~!」

伸樹が憑依しようとしていたセミロングの子・真美が
ちょうど友達二人と別れて、いったん別行動をとり始めるー。

「ーーあ~なるほどね」
伸樹は、自動販売機で真美がジュースを購入しているのを見て、
友達を先に行かせた理由に納得すると、
「ま、一人になってくれたおかげで、俺も憑依しやすくなったぜ」
と、伸樹は満足そうに笑うー。

そして、「おじゃましま~す、なんてなー」と、
そう言葉を口にしながら、
真美の身体に自分の霊体を重ねると、
真美は「ひっ!?」と、声を上げて、
ビクッと震えると、そのまま買ったばかりのジュースの缶を
落としてしまい、ジュースの缶が遊園地の地面を
転がり始めたー。

「ーーーーっ、へへー意外と憑依の瞬間って
 衝撃みたいなもんがあるんだなー」
真美への憑依を完了した伸樹は、真美の両手を見つめるー。

「ーへへーすげぇー…
 ってか、女の手って綺麗だよなー」
ニヤニヤしながら、自分の手をもう片方の手で
イヤらしい手つきで撫で回すようにして触ると、
「ーまぁ、みんながみんな綺麗じゃねぇとは思うけどー」と、
ブツブツと一人で呟きながら、
空を見上げたー。

「ーに、しても暑すぎだろー。
 俺の身体じゃ、絶対外に出たくないねー」
真美はそう言葉を口にしながら
自分の足元を見下ろすー。

「やっぱスカートの方が解放感があっていいよなー」
そう呟きながら、今度は嬉しそうにスカートを手で触っていると、
「あの~」と、近くで声がしたー。

「ーーーあ?」
思わず、恐ろしい形相で、振り返ってしまう真美ー。

「ーえっ、あ、あのー」
気の弱そうな男子高校生ー、あるいは大学生ぐらいの男が、
真美に憑依した時に、憑依した衝撃で落としてしまった
缶ジュースを手にしながら戸惑っているー。

様子を見る限り、恐らくは落とした缶ジュースを拾ってくれたのだろうー。

「ーーあ~~~、それねー。
 ありがと」

真美という子が普段どんな喋り方なのか知らないものの、
拾ってくれた男子も別に知り合いじゃなさそうだしー、
と、そう思いながら適当に返事をするー。

その男から、缶ジュースを受け取ると、
”確かにこの女、喉乾いてるなー”と、そう思いつつ、
そのままジュースを飲み始めるー。

どことなく、飲み方が男っぽい雰囲気になってしまっていたものの、
真美に憑依している伸樹は、気にせず、
半分ほどジュースを飲み終えると、
”なんか、俺と味覚が違うのかー?うまいけど、慣れないなー”と、
そう言葉を呟くー。

伸樹の身体と、憑依している真美の身体では”味覚”が違うー。

そのせいか、いつもより”ジュースが美味しく感じる”ものの、
一方で、”このジュースはこういう味”だというイメージが
伸樹の中にあって、
その味と違う味が、真美の口の中で広がるために
”美味しいけど、なんか気味が悪い”
そんな状況になってしまっていたー。

「ーーいつもと味が違うなー」
真美は小声でそう言葉を口にすると、
まだ近くに立っていた男が、不思議そうに「え?」と、言葉を口にするー。

「ーあ?なんだー、まだいたのかー」
真美はそう言葉を口にすると、
少しだけ間を置いてから、ニヤッと笑うー。

そして、何度か咳払いをすると、
「ーじゃあ、拾ってくれたお礼にJKのわたしが飲んだこれ、あげるー」と、
甘い声で囁くー

「えっ…えぇっ!?」
普段、異性との絡みなど無さそうな雰囲気の男子が
顔を赤らめるー。

「ー遠慮せずに飲んで!じゃあね♡」
真美はニヤニヤしながら、男子を揶揄っていることに
快感を覚えると、
そのまま反対側に向かって歩き出すー。

「さーて、こいつの友達二人は、
 別に俺の友達じゃないから、放っておくとしてー、
 存分に遊園地を楽しませてもらうとするかー」

真美はそれだけ言葉を口にすると、
憑依される直前に別行動を始めた友達二人とも
合流する素振りを見せないまま、
そのまま別方向に向かって歩き始めたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーあれ?そういえば真美はまだ来ないのー?」
先程まで、真美と一緒に行動していた
友達二人のうちの一人が、少し心配そうに言葉を口にすると、
もう一人の友達も「確かに遅いね~」と、そう呟くー。

そして、スマホを取り出すと、
「ちょっと連絡してみるねー」と、そう言葉を口にしたー。

迷子になったかー、
何かトラブルに巻き込まれたのかもしれないー。

そう思いつつ、二人は、心配そうに真美が電話に出ることを
願うのだったー。

がーー
その当の本人ー、
真美は二人の心配などそっちのけで、
ジェットコースターを堪能していたー

「きゃ~~~~~~~~~~~~~!♡」
わざとらしく悲鳴を上げて嬉しそうに笑みを浮かべる真美ー

”へへへー男じゃ、こんな風に悲鳴を上げるわけにはいかないからなー”
そう思いつつ、ジェットコースターを心底嬉しそうに堪能すると、
「へへへへー…最高だったぜー」と、ジェットコースターから降りながら、
少しよろよろと歩くー。

別にハイヒールを履いたりしているわけではないものの、
真美の身体で歩くのにはまだ慣れないー。

足のサイズも、歩幅も違うし、
身体が違えばバランス感覚も違うー。

だからこそ、慎重に歩かないと、急にバランスを崩してしまうこともあるのだー。

「ーへへへーまぁ、この女の足に慣れる前に、
 この身体とはおさらばだけどなー」
真美はそう呟きながら、「次はー」と、遊園地のアトラクションを見つめるー。

今頃、友達二人はどうしているのだろうかー。
この女を探しているのだろうかー。
そんなことを考えつつも、その”探されているであろう本人”の身体で
勝手に楽しんでいることにゾクゾクしながら、
次のアトラクションに乗り込むー。

観覧車に乗った真美は、観覧車の中で胸を揉んだり、
スカートの中を触ったりー、自分自身の身体を存分に堪能したー

「ーえへへへ♡ やべぇ…」
観覧車の中ではぁはぁ言いながら、真美は笑みを浮かべるー。

「ーーーこのままここでもっと気持ちよくなっちゃいたいけどー…
 そしたら、これ以上コイツで遊べないからなー」
真美はそう言葉を口にしながらも、
「ん?待てよー?」と、笑みを浮かべるー。

「別に、コイツの身体に拘る必要はないよなー
 俺はいくらでも、”次の身体”に移動できるんだからー」
と、そう思いつくと、
欲望の赴くままに、観覧車の中で服を脱ぎ捨てて、
自分の身体を弄び始めるー。

下品な笑みを浮かべー、
欲望に満ちた表情を浮かべたまま
自分の身体のあちらこちらを触り尽くしていく真美ー。

笑いが止まらないー。
やがて、気持ちよくなって甘い声を観覧車の中で
響き渡らせると、
夢中になって、観覧車の中で欲望の時間を堪能するー。

最初はー、観覧車が下り始めたら身なりを整えようかとも
少しだけ思っていたものの、
そんなことも忘れて、欲望の限りを尽くしてしまい、
気が付いた時には、乱れ切った格好のまま、
観覧車の扉が開いて、真美はとんでもない姿を
人前に晒すことになってしまったー。

「ーーーぁ…」
真美がうすら笑みを浮かべながら、
観覧車の係員のほうを見つめるー。

観覧車の係員は、呆然としながら真美のほうを見つめているー。

真美はニヤニヤと笑うと
「失礼しました~あとはよろしくぅ~」と、そう言葉を口にして
そのまま、その場で失神したー。

真美の身体から抜け出し、
霊体の状態で遊園地の上空を浮遊していた伸樹は
笑みを浮かべながら、
真美が意識を取り戻して悲鳴を上げている様子を見つめるー。

「ーへへー俺のせいで人生壊れちゃったけど、
 ま、仕方ないよなー」
伸樹は、真美の人生が恐らくこの先、滅茶苦茶になってしまうであろうことを
笑いながら、そのまま”次の身体”を探し始めるー

彼にとって、乗っ取られる側の人生など、
どうでも良いことなのだー。

「ーー…ん?」
伸樹が、少しだけ視線を向けたその先にはー、
一組のカップルがいたー。

カップルの男の方が、「じゃあ、愛優美(あゆみ)はここで待っててー」と、
トイレの方に向かって行くー。

「ーへへへへー」
伸樹は、そんなカップルの会話を聞くと、
ニヤリと笑うー。

そして、彼氏のほうを見つめながら
「悪いなー愛優美ちゃんは俺が借りるぜー」と、
そう言葉を口にしながら、愛優美に”憑依”するのだったー。

②へ続く

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最近はとっても暑いですネ~!

皆様も暑さでダウンしないように気を付けて下さいネ~!

続きはまた明日デス~!!

続けて②をみる!

「猛暑日」目次

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憑依<猛暑日>

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