<憑依>猛暑日②~満喫~(完)

①にもどる!

灼熱のような暑さの猛暑日ー。

暑がりの彼は、自分自身は冷房の効いた自宅で
悠々自適と過ごしながら、憑依薬を飲んで幽体離脱ー、
他人の身体で好き放題、お楽しみを繰り返していたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「へへへー愛優美ちゃんは俺が借りるぜー」

遊園地内ー。
彼氏がトイレに向かい、戻って来るのを待っていた
カップルの女・愛優美に憑依した伸樹は
笑みを浮かべながら、そう言葉を口にしたー。

本来であれば、そのまま彼氏の帰りを待っていたであろうはずの
愛優美は、ゆっくりと移動を始めて、
彼氏を置き去りにするー。

「ーへへへへー
 やっぱ暑い日は他人の身体で遊ぶに限るぜー」
愛優美は自分の手を動かしながら、自分の手を見つめて
嬉しそうに笑うー。

伸樹本体は、エアコンの効いた部屋で”抜け殻”の状態ー。
快適な部屋で、快適に横たわっている状態だー。

憑依薬を手に入れた伸樹にとって、
自分自身が熱中症の危険を冒す必要も、
暑さに苦しむ必要もないー。

こうして、他人の身体で遊べばいいのだし、
他人の身体ならどんなに暑くても
限界を感じたらその身体から抜ければ
すぐに暑さから解放されるし、
どんなに汗だくになったとしても、後始末はしなくて済むー。

それに、万が一熱中症になってしまったとしても、
”自分の身体”ではないから関係ないー。

「ーーー」
観覧車の近くを偶然通りがかった愛優美は、
先程まで憑依していた”真美”がパニックになりながら、
係員に事情を聞かれている様子を見て、
思わず笑うー。

観覧車の中で、一人お楽しみの時間を過ごして
そのまま、地上まで到着してしまった真美ー。

真美からすれば、自分がどうしてこんな状態になっているのか
理解できないだろうしー、
周囲からすれば真美は観覧車で一人、欲望の時間を過ごした挙句、
悲惨な状態のまま観覧車から降りようとした、ただの変態女でしかないー。

「ーーククー」
愛優美はニヤニヤと笑うと、
そのまま観覧車の前から立ち去るー。

立ち去る途中ー、先ほどまで憑依していた真美の友達二人と
すれ違ったー。

”憑依されて”急に姿を消した真美を探していた二人が
騒ぎを聞いて、観覧車の方に向かっているのだろうー。

愛優美は「ーへへーまぁ、せいぜいがんばりなー」と、
その二人の後ろ姿を見つめながら笑うと、
そのまま遊園地から立ち去って行ったー。

きっと、楽しんでいたであろうはずの
彼氏とのデートを無理矢理中断させて、
別のことをさせるー。

これも憑依の醍醐味だと思いながら、伸樹は笑うー。

やがて、愛優美のスマホに対して、
彼氏から連絡が入ったー。

彼氏からすれば、”トイレに行っている途中に
待ってくれているはずの彼女が急に姿を消した”という状態だから、
戸惑うのも無理はないー。

「ーーへへー」
愛優美は少しだけ笑みを浮かべると、電話に出てから、言葉を口にするー

「ーわたし、実は浮気してるの♡」
興奮した様子でそう呟く愛優美ー。

興奮しているのは、”彼氏に対して勝手にそんなことを言わせている”という
状況にゾクゾクしているからだー

”えっ…?あ、愛優美ー!?今、なんて?”
彼氏の戸惑う声ー

絶対に言わないであろうことを大切な人に言わせて、
相手が戸惑う様子を見るのも、また楽しいー

「ーー…あんたとはただの遊びー。じゃ、ばいば~い!」
愛優美はそう言葉を口にすると電話を切って、
そのままスマホを遊園地の外の自販機の側にあったゴミ箱に
放り投げたー。

「ーせっかくこれから遊ぶのに、連絡が来るとうるせぇからなー」
愛優美はそれだけ言葉を口にすると、その場から去りー、
町の方に移動していくと、
水着を買うために、売っているお店を探したー。

「へへへへー夏と言えば、やっぱ海だよなー」
遊園地で彼氏とデート中だった愛優美の身体で、
勝手に海に遊びに行こうとし始める伸樹ー。

「ーへへーどうせなら、派手なやつにするかー
 どうせ俺の身体じゃねぇし、周りのやつらにも
 見せ付けてやるー」

愛優美は一人でニヤニヤしながら、ブツブツと呟くと、
そのお店に売られている水着の中で
一番派手なものを購入すると、そのまま海へと向かって行くー。

「あ~…にしても暑いなぁ」
歩いているだけで、汗を感じる暑さー。
自分の身体だったら、速攻で涼しい場所に引き籠りたいぐらいの
強烈な暑さだー。

けれど、今は”自分の身体”ではないー。
だからこそ、こうして自由にやりたい放題をすることができるー

「さーて、俺自身が水着美女になって海で遊ぶかなぁーへへ」
愛優美は下品な笑みを浮かべると、買ったばかりの水着を手に、
そのまま海の方に向かって移動し始めたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーいったい、どうしちゃったんだろー…?」
「ーーさぁ…」
真美の友人二人は、観覧車での迷惑行為で
警察に話を聞かれることになってしまい、
連行された真美のことを話していたー。

「ーーー色々、疲れてたんじゃないー?」
真美の友達の一人がそう言葉を口にすると、
「ーでも、一緒にいたらわたしたちまで変態だと思われそうー」と、
そんな言葉を口にするー。

そんな会話を聞きながら、
”彼女”の愛優美から突然浮気を告げられて、
遊園地に置き去りにされた愛優美の彼氏も、
偶然、観覧車の近くにやってきていたー。

「ーーなんで人が集まってるんだー…?」
愛優美の彼氏は不思議そうにしながら、周囲を見渡すー。

”憑依された”被害者たちの
身の回りの人々は、
それぞれ、”大切な人”の身に起きたことの真実も
知らないまま、只々戸惑うことしかできなかったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーへへへへー可愛い子がいっぱいだぜー」
買ったばかりの水着に着替えて、海辺にやってきた愛優美は
嬉しそうに周囲を見渡すー

「まぁ、今は俺も可愛いんだけどなー」
愛優美本人が、今の自分の姿を見たらどう思うかは分からないー。
が、そんなことお構いなしに、愛優美の身体で派手で大胆な水着姿を
楽しみながら、海辺を見渡すー

「へへへへーこの身体だと、こういうー
 イヤらしい目で相手を凝視してもあまり怪しまれないのも
 最高だよなー」
下品な笑みを浮かべながら、愛優美はそう言葉を口にすると、
「ーーへへー視線を感じるのも最高だぜー」と、
本当に見られているのか、あるいは気のせいなのかも分からないけれど、
”男の視線”を感じながら、ニヤニヤと笑うー。

「ーー他人の身体なら、好き放題楽しめるからな!」
そう言葉を口にすると、愛優美は一人で嬉しそうに海に入っていくー。

海を存分に楽しみながら、
嬉しそうに笑う愛優美ー。

憑依されて、望まぬことをさせられているのに、
その表情はとても嬉しそうだー。

憑依されている状態は、表情さえも
自分の意思とは異なるものに変えられてしまうー。

「ふ~~~…後片付けも何も必要ないから
 存分に楽しめるぜー」
愛優美は、海で好き放題泳いだり、遊んだりし終えて、
笑みを浮かべながら浜辺に戻ってくると、
チャラそうな男二人組が「ーお姉ちゃん、可愛いねぇ」と、
言いながら近づいて来たー。

”へへーまぁー、気持ちは分かるぜー”
愛優美に憑依している伸樹は、内心でそう思いながら
少しだけ笑みを浮かべると、
「ーわたしと遊びたいの?」と、甘い声で言葉を口にするー。

「ーへへへーなんだー話が早いじゃんー」
男の一人がそう言葉を口にすると、
「ーいいよー。さっき、”彼氏”と別れたばっかりだから、
 たっぷり遊んであげるー」と、そんな言葉を口にしてしまう愛優美ー

”男と遊ぶのも楽しいんだよなぁー
 男の身体に興味はねぇけどー
 女相手にヘラヘラしてる姿を見たり、この身体で興奮するのは
 最高だからなー”

内心でそんなことを思いつつ、
愛優美は、「でも、その前に、わたし、まだ泳ぎ足りないから」
と、海でもう少し遊んだ後に、遊ぶことをその男たちに提案するー

男たちはニヤニヤしながら、それを承諾すると
愛優美と一緒に海で遊び始めるー

イヤらしい手つきで身体を触られたりしたものの、
今の愛優美はそんなことも気にしないー

”へへー中身が俺みたいな男だって知ったら
 このチャラい奴らもびっくりしてひっくり返るだろうなぁ”

そんなことを思いつつ、
”いや、身体が女ならどっちでもいいのかー?”
とも思ったりしながら、愛優美の身体で海を堪能するー。

「ーそれにしても可愛い水着だなぁ」
男の一人がニヤニヤしながらそう言葉を口にするー

「だろ?へへー。俺もこういうーーー」
愛優美はそこまで言いかけて「おっとー」と、
何度か咳払いをするー。

下心丸出しの二人組の男と喋っていると
ついつい自分も同類だからか、
男同士で喋っているような口調で
喋りそうになってしまうー

「ーわたしもこれ、可愛くて気に入ってるの」
そう言い直すと、男二人は、愛優美の言葉遣いの異変には
気付かなかったのか、そのままニヤニヤしながら、
話を続けたー。

”男には興味ねぇけど、女の身体で男と楽しむのは
 俺の身体じゃ出来ねぇ経験だからなー”

愛優美は内心でそう思いつつ、
海を存分に堪能するー。

やがて、泳ぎ疲れて疲労感を感じ始めた愛優美は
「へ、ちょっとこの身体に無理をさせ過ぎたかー」と、笑うー。

少しよろよろしていると、
チャラそうな男の一人が、どさくさに紛れて胸を触りながら
「おっとー、愛優美ちゃんー大丈夫か?」と、
ニヤニヤしながらそう言葉を口にするー

「ーーえ、えへへー心配してくれてありがとぅ」
そう言葉を口にしながらも呂律が回らなくなってきたのを感じた愛優美に
憑依している伸樹は
”チッーそういや水分補給もせずに遊びまくってたしー”と、
そう思いつつ、愛優美が熱中症になってしまったことを確信ー
そのまま愛優美の身体から抜け出すー。

”夏は、憑依に限る”
伸樹は改めてそう思ったー。

こうして、自分の身体ではなく、他人の身体を使って遊べば
今、愛優美の身体が熱中症になってしまったように
”万が一”のことがあっても、
その身体を捨てるだけで済むー。

自分自身にはノーダメージなのだー。

だからこそ、夏場の憑依はやめられないー。
自分自身の身体はエアコンの効いた快適な場所に置いておき、
他人の身体で炎天下の中、遊ぶー。
それこそが安全かつ、効率的で、そして欲望も見たことができる
最高の遊び方ー。

「ーーーーぁ…」
倒れ込んだ愛優美が、顔を真っ赤にして
苦しそうに息をしているー。

チャラそうな男二人組は、
突然倒れ込んでしまった愛優美に驚き、
「お、お前のせいだぞ!」
「え、お、おれのせいじゃねぇよ!」
などと、必死に責任を押し付け合っているー。

やがて、男二人は”俺たちは何も見てないからな!”と
言わんばかりにその場から逃げていき、
倒れた愛優美は一人、その場に取り残されたー。

「あ~あ、
 ま、他人の身体なんて使い捨てだし、仕方ないなー」
伸樹は、今まで自分が勝手に使っていた身体にも
愛着を見せずに、そう言葉を口にすると、
海辺で遊んでいた姉妹らしき二人組の、姉と思われる方に
憑依したー

「へへへへー…今度はこの身体でー」
憑依した新しい身体でそう言葉を口にした次の瞬間ー

”また”熱中症のような症状を感じたー

「おいっ!こいつ、既に熱中症気味かー!?」
そう叫びながら、戸惑う妹を無視して
すぐに憑依から抜け出す伸樹ー。

がーー
憑依から解放されたその姉は、
「あれ?」と、不思議そうな表情を浮かべたまま
特に倒れることも、苦しそうにする様子もなかったー

「ーー熱中症じゃなかったのかー?」
伸樹はそう呟くと同時に、
”憑依から抜け出してもまだ熱中症のような感覚があること”に気付くー。

「ーーえ…何で身体から抜け出したのに、この感覚がー?」
伸樹がそう呟くと同時に、さらにその感覚が強まりー、
”ヤバい”と思っているうちに、意識が遠のいて、
そのまま何も分からなくなってしまったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

数日後ー

アパートの一室から遺体が発見された。

男の名は、久米田 伸樹ー。

熱中症の症状で死亡しており、
部屋の状況から
”エアコンをかけて就寝中に、エアコンが故障してしまい
 部屋の気温が上昇、それに気づかぬまま熱中症となって
 死亡してしまった”と、判断されたー。

「ーでも、普通暑くなったら目、覚ましませんかねー?」
現場にいた刑事の一人がそう呟くと、
「ー確かになー。よほど熟睡してたんじゃないか?」と
年配の刑事がそう言葉を口にするのだったー

おわり

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コメント

自分の身体を抜け殻にしていたことによって
思わぬトラブルが…★!

お読み下さりありがとうございました~!!!

今日も暑いので、皆様も気を付けて下さいネ~!

「猛暑日」目次

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憑依<猛暑日>

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