常軌を逸するほどに心配性な彼氏に嫌気が差して
別れた彼女ー。
しかし、引っ越しした先にも
”元カレ”の魔の手は迫っていたー。
”新たな身体”を手に入れて…。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーー彩香ー
彩香ーー 彩香ーーー 彩香ー」
彩香の写真を手に、
キスを繰り返す隣人の萌奈ー。
「ーはぁぁ♡ 彩香ー」
萌奈の身体で、勝手に興奮している彩香の元カレ・信二は、
彩香が引っ越しした場所を調べ上げて、
彩香が引っ越しをしてから数日後ー、
この隣人の萌奈の身体を乗っ取ったー。
”萌奈”自体には何の興味もないー。
興味があるのは、只々、彩香のみー。
「ーー彩香ー…また一緒になりたいよー♡」
萌奈は興奮しながら、彩香の写真にキスを繰り返すー。
身体中が信二の意志に従って興奮して
ゾクゾクと喜びを感じる中、
萌奈は彩香の写真をペロリと舐め始めるー。
「ーーくくくー ふふふふふー
ひひひひひひひっ♡」
萌奈は嬉しそうに笑うと、
「ーー俺が守ってあげるからなー。彩香ー」と、
そう言葉を口にすると、”萌奈”を乗っ取った日のことを思い出し始めたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーー今日からこちらでお世話になる皆川ですー
よろしくお願いしますー」
彩香の引っ越し初日ー。
彩香は、”隣人”の萌奈にそんな挨拶の言葉を
口にしていたー。
「ーーーーあ、はいー
村瀬ですー。」
大人しそうな雰囲気の隣人・萌奈は
少し照れ臭そうにもしながら、
小さな声でそう言葉を口にすると、
彩香は、自分と同じ若い女性であることに
親近感を感じたのか、少しだけ萌奈と雑談をするー。
「ーわたしはー大学に通ってますー」
彩香の自己紹介に萌奈も、そんな言葉を口にするー。
がー、少し話をしてすぐに、彩香は
”この子は、あまり話すのが得意じゃなさそう”だと
その空気を察して、
「あ、すみませんー。色々お話してー。
これから、宜しくお願いしますー」と、
話を切り上げて、挨拶を終えるー。
萌奈も少し安心した様子で頭を下げると
そのまま部屋の中へと戻って行ったー。
そして、これがー
彩香が”唯一”萌奈と会話を交わした時間だったー。
この数日後ー
野菜を持ってきてくれた時の萌奈は
既に”信二”に身体を乗っ取られていたのだからー…。
「ーーーーーーー」
彩香の引っ越し先を察知した信二は、
その様子を物陰から見つめていたー。
「ーーー彩香ー
俺は、お前をいつまでも守るからなー」
そう言葉を口にすると、信二は
ネットで手に入れた”人を皮にする注射器”を手に、
笑みを浮かべるー。
最初は、”彩香自身”になることも考えたー。
がー、信二は、”彩香が大好き”で、”彩香を守りたい”のであって、
”彩香になりたい”わけではないー。
そのため、彩香の近くにいる人物を”皮”にして
乗っ取ることを考えたー。
「ーあの隣の部屋の子ー…ちょうど”使えそう”だなー」
信二はそう言葉を口にすると、双眼鏡のようなもので、
アパートのほうを再び見つめると、
邪悪な笑みを浮かべたー。
そして、その翌日ー。
信二は、配送業者を装う格好をして、
そのままアパートの方に向かって行くー。
このアパートはまだ、セキュリティがそんなに厳重ではなく、
入ることができるー。
”ー彩香を守るためとは言えー
こんなことをすることになるなんて
犯罪者と誤解されそうだなー”
配送業者に変装して、住人に玄関を開けさせるー
これじゃ、まるで犯罪者だなどと苦笑する信二ー。
実際、信二がやっていることは
”まるで犯罪者”どころか”犯罪者”のそのものであるものの、
信二はあくまでも”俺の行動は彩香を守るため”だと
自分自身の中で固く信じ込んでしまっていて、
自分が悪いことをしているという自覚はないー。
むしろ、”彩香のためにいいことをしている”と、
そんな風にさえ、思ってしまっているー。
♪~~~
配送業者の格好をしたまま、
彩香の隣人である萌奈の部屋のインターホンを鳴らすー。
今日は、彩香は仕事で不在で、
萌奈の大学が休みであることは既に確認したー。
彩香が在宅の時でも別の良いのだけれども、
万が一、彩香に見られたり、異変を察知されたりしてしまったら
信二の”彩香を守るため”の行動が失敗してしまう可能性があるー。
それを避けるために、信二は彩香が不在のタイミングに
隣人の萌奈を乗っ取るつもりでいたー。
「ーーお届け物ですー。」
信二がそう言うと、萌奈はそのまま「あ、はいー」と、
玄関から顔を出したー。
そしてー、
信二は、ダンボールを手渡して、
事前に用意していた”偽の伝票”を手にすると、
それにハンコを求めるフリをしてー、
萌奈が手を伸ばしたそのすきにー、
萌奈の腕に”人を皮にする注射器”を突き刺したー。
「ー!?」
萌奈が驚いた表情を浮かべるー。
が、それと同時に、声を発する間もなく
萌奈の身体から空気が抜けるようにして、
萌奈は”皮”になっていくー。
その光景を前に、信二は笑みを浮かべると、
そのまま萌奈の家の中に入っていき、
”皮”になった萌奈を見つめるー。
「ーーこれで、彩香を見守ることができるー」
萌奈を皮にしたことよりも、
”彩香をこの先も見守ることができる”ということ自体に
喜びを感じると、早速、信二は”萌奈”の皮を身に着けるー。
「ーすげぇなー……ホントに、この隣の部屋の子になってるー」
萌奈を乗っ取った信二は、萌奈の身体でそう言葉を口にすると、
「そういや、女になるって、違和感がすごいなー」と、
苦笑しながら、萌奈の姿を鏡で見つめるー。
がー、萌奈の身体自体に興味を抱くよりもー、
信二にとっては、何よりも”彩香”が第1だったー。
「ーーーふふー彩香ーこれでまた近くにいることができるよー」
さっきまでの大人しい雰囲気の表情は歪み、
萌奈はニヤニヤと笑みを浮かべると、
配送業者の格好をして、”ここまで持って来たダンボール”のほうを
チラッと見つめるー。
「ーーさて、とー」
萌奈は面倒臭そうにダンボールを持ち上げると、
「ーっっ、女の子の腕だと、俺の腕で持つより重たく感じるなー」と、
そう言葉を口にしながら、ダンボールを机の上に乗せるー。
「~~~~」
後頭部のあたりを少しだけ気にしながら、萌奈は
ダンボールを開封すると、
その中には、”彩香”との思い出の品の数々が入っていたー。
「ーあぁ、彩香ー」
ニヤニヤしながら、彩香との思い出の写真を取り出すと、
その写真を撫で回すようにして見つめるー
やがてー、夜まで彩香との思い出の品を大切そうに
”これから住むこの家”に配置すると、
彩香が帰って来た”足音”に気付き、萌奈は邪悪な笑みを浮かべるー。
アパートの廊下側の窓の隙間から
目を細めながら外を見つめる萌奈ー。
やがて、何も知らない彩香が萌奈の部屋の前を通過して、
自分の部屋の方に歩いていくのが見えると、
萌奈はゾクゾクしながら「彩香ぁ♡」と嬉しそうに、
外に聞こえないように小さく囁いたー。
隣人の”中身”が変わってしまった日ー。
彩香はまだ、この事実に気付くことは出来ていないー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーふふー」
萌奈を乗っ取った信二は、満足そうに
萌奈を乗っ取った日のことを思い出し終えると、
ゆっくりと立ち上がるー。
「ーー彩香ー、俺が絶対守ってあげるからなー」
萌奈になった信二の”歪んだ愛情”は、
再び彩香を苦しめようとしていたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーあ、お疲れ様ですー」
数日後ー
仕事を終えて、いかにもOLな格好で
アパートに帰宅すると、
萌奈自身の部屋の前で何やら作業をしていたのか、
萌奈が彩香に気付いて、
そう言葉を口にしたー
「ーーあ、村瀬さんー」
彩香もそう応じると、
「ー今日は帰りが遅かったですねー」と、
萌奈は彩香のほうを心配そうに見つめるー。
「ーあははー…最近は残業が多いのでー」
彩香がそう言うと、萌奈は心配そうにしながら
彩香に顔を近づけて
「あまり、無理しちゃだめですよー?
皆川さんが身体を壊したりしたらーーーーー」
と、萌奈はそう言葉を口にするー。
が、萌奈はそれ以上言葉を続けずにー、
「とにかく、無理はしちゃだめです」と、
それだけ言葉を口にすると、
彩香は苦笑いしながら
「む、無理はしないようにしてますからー、大丈夫ですー」と、
そんな言葉を返したー。
「ーーーーー」
彩香は、そのまま部屋の中へと入っていくー
なんだかー、
”萌奈”と話をしていると彼氏の信二のことを思い出すー。
何故だかは分からないー。
でも、何となく、思い出してしまうー。
「ーーーー」
部屋に逃げるようにして入って行った彩香を見て、
萌奈は「ー彩香にこれ以上無理をさせるわけにはいかないー」と、
そう言葉を口にしながら、静かに笑みを浮かべたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー。
「ーーおはようございますー」
家の外に出ると、萌奈がすぐ目の前で
待ち構えていたー。
「ーー!」
彩香は少し驚いたような表情を浮かべながらも
「お、おはようございますー」と、そう返事を返すー。
「今日は、皆川さんのために栄養になるものを作って
待ってますから!残業せずに帰ってきてくださいね!」
と、萌奈が笑顔で言い放つー。
「ーーつ、作るってー?
そ、そこまでしなくても大丈夫ですからー
それにー、村瀬さんも大学で忙しいと思いますし」
彩香がそう言うと、
萌奈は「ーーー皆川さんが倒れちゃったら、どうするんですかー?」と、
強引な雰囲気を出しながら、そう呟くー
「”わたし”なんてどうでもいいんですー
わたしはただ、皆川さんのことが心配なんですー」
萌奈は、自分のことなんてどうでもいい、とそう言わんばかりの言葉を
口にしてから、彩香のほうを見つめるー。
「ーーーあまり、皆川さんに残業させるような会社ならー
わたしーーー」
萌奈がそこまで言うと、彩香は「やめて!」と、思わず声を上げたー。
萌奈が少し驚いた表情を浮かべると、
彩香もハッとした様子で、
「ご、ごめんなさいー」と、そう言葉を口にしてから
「”元カレ”にそういうこと言われたの、思い出してー」と、そう言葉を口にするー。
信二にも、前に言われたのだー。
”ー彩香に残業ばっかりさせてー許せないなー”
とー。
そして、会社に文句を言ってやるだとか、
そんなことを以前、”元カレ”の信二は言っていたのだー。
まさか、目の前にいるのがその信二に乗っ取られた人間であるなどとは
夢にも思わず、彩香は”元カレと暮らしていたときの恐怖”がまだ
消えないから、あまりそういう感じのことは言わないでほしい、と
萌奈に必死にお願いするー
そんな様子に萌奈は
「ーーその彼氏さん、皆川さんのこと心配してくれてたんですよーきっと」と、
”自分のこと”を褒め始めるー。
「ーーーし、心配ー?
心配なんて、そんなものじゃないですからー!」
彩香が、信二のことを思い出しながらそう叫ぶー。
けれど、萌奈は引かないー。
「ーー皆川さん、心配してくれてる人に対して
その言い方は酷いんじゃないですかー?
彼氏さんは、あなたのことを心配して
色々言ってくれてたんですよー」
萌奈が感情的になって、そう言い放つのを見て、
彩香は”この子ー、なんか変”と、ついに心の中で
萌奈を危険人物認定して、慌てて立ち去ろうとするー。
「ー今日も残業したら、許しませんからー」
萌奈のそんな言葉が背中に向かって投げかけられたー。
がー、彩香はそんな萌奈のことを無視して、
そのまま職場に向かって走り始めたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
夜ー
彩香は今日も数時間ほど残業をして、帰って来ていたー。
”残業”と言っても、法律を破るレベルの異常な量ではなく
”多少の範囲内”だー。
職場自体はブラック企業ではないー。
が、元カレの信二は”少しの残業”でも、それを許すことが出来ず、
彩香の帰りが遅くなるたびに、苦言を呈していたー。
「ーーーー」
萌奈がいないことを確認して、慌てて部屋へと駆け込む彩香ー。
「ーーーーーーーーー」
がー、
萌奈はその様子を、廊下の物陰から
怒りの形相でずっと見つめていたー。
そして、彩香が帰宅したのを確認した萌奈は
怒りの形相のまま自分の部屋に入ると、
「俺が心配してやってるのに、お前はいつもそうだー」と
ブツブツ独り言を呟きながら
部屋にセットした小型カメラで彩香の映像を確認し始めるー。
しかしー、
映像の確認を始めてから、数分が経過したときだったー
”ーーーーー!!”
彩香が、”カメラ”に気付いてしまったー
「ーーーあ」
萌奈はカメラの映像を見つめながら
そう言葉を吐き出すと、
彩香が慌ててカメラを掴んでそれを停止させるのを見て、
「あ~~~~~~あ~~~」
と、一人、残念そうに言葉を口にしたー。
♪~~~~
インターホンが鳴るー。
彩香が文句を言いに来たのだろうー。
萌奈は邪悪な笑みを浮かべながら
「全部、彩香のためなんだからー」と、そう言葉を口にしたー
③へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
次回が最終回デス~!
隣人が”危険人物”だと気付いた彼女の運命を
ぜひ見届けて下さいネ~!
今日もありがとうございました~!!

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