<憑依>大嫌いなあいつとボディシェア②~提案~(完)

大嫌いな幼馴染と
”同じ身体”に憑依してしまった男…。

抜け出すこともできず、望まぬ憑依生活が始まる…。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「くそっ…抜け出せねぇ」

麻梨が不満そうにそう呟くー。

すると、麻梨がすぐに笑みを浮かべ始めるー。

「へへへへー…諦めろって」
とー。

夜ー。
一人暮らしの麻梨は、自宅で一人、ブツブツと呟きながら
まるで”会話”をしているような、そんな振る舞いを見せていたー。

周囲から見れば、異常な光景だー。

だがー
麻梨は今、二人の男子に憑依されていたー。

幸喜と健吾ー。
二人が”偶然”同じタイミングで同じ子をターゲットに憑依してしまったのだー。

しかも、二人が使った憑依薬は
”一度憑依すると抜け出すことの出来ないタイプ”で
取り返しがつかないタイプだー。

「ーーーチッー…チッ…チッ…チッ」
不愉快そうに何度も舌打ちを繰り返す麻梨ー。

「ーーはははは…!まぁまぁー
 俺はお前といっしょで嬉しいぜ?沼沢!」
ゲラゲラ笑い出す麻梨ー。

厄介なことにー
”麻梨の身体”は、幸喜と健吾、どちらにも主導権がある状態でー
幸喜も麻梨の身体を動かせるしー、
健吾も麻梨の身体を動かすことができるー。

そのせいで、せっかく憑依したのに、麻梨が自分のものに
なっていないようなー、
そんな感覚を覚えるー。

「ー大体、何でお前が、永野さんに憑依を?
 彼女いるだろうが」

麻梨の口で不満そうに呟く幸喜ー。

すぐに笑顔になって、麻梨の口で健吾が返事をするー

「え~?へへー
 いやぁ、奈央子とは最近上手く行ってなくてさー…
 で、ネットで憑依薬っての見つけたから
 憧れの永野さんに憑依して
 へへー… 色々しようと思って」

その言葉に、
「ークソみたいな理由だな」と、麻梨の身体で呟く幸喜ー。

「ーーっていうか、お前こそ何で永野さんに憑依してるんだよ?
 彼女いらねぇとか言ってたくせによ?」

続けて麻梨の口でそう質問する健吾ー。

さっきから表情がコロコロ変わって
とても奇妙な状態の麻梨ー。

「ーーー別に俺はお前みたいに下心とかじゃねぇよ。
 ただ、実家と縁を切ってー
 ついでにお前とも縁を切りたかっただけだ」

麻梨の身体で不満そうに言う幸喜ー。

「ーなら、別に永野さんじゃなくてもよかったじゃねぇか?
 な~にちゃっかり、可愛い子に憑依してるんだよ?」

麻梨がニヤニヤと鏡を見つめながら言うと、

「ーその方が生きていく上で色々有利だと思っただけだ」
と、ニヤニヤを一気に打ち消して、幸喜が麻梨の身体で
返事をしたー。

”まぁ~…確かに沼沢ならそうかー”
健吾は、心の中でそう思うー。

恐らく、幸喜に下心はないー。
麻梨に憑依した理由も、
”打算的なもの”が理由であることは間違いないー。

大方”美人の方が得することが多い”とでも考えたのだろうー。

だがー

「ーま、いいや、俺は早速オナるからな?」
麻梨の身体でとんでもないことを言い出す健吾ー。

「は?ふざけるなよー?俺はもう寝るんだよ」
麻梨の身体で幸喜はそう言い放つとー、
そのままベッドに向かうー。

「ーおいっ!こら!麻梨ちゃんの喘ぎ声を聞かせろ!」
麻梨の身体で叫ぶ健吾ー。

「いやだね」
そのまま麻梨の身体でベッドに入ると、
すぐに寝静まろうとする幸喜ー。

がーー
麻梨が、むくっと起き上がるー。
健吾が麻梨の身体を動かしたのだー

しかしー
再び麻梨がぱたっ、と布団に寝転ぶー。
今後は幸喜が麻梨の身体を動かしたー

起き上がるー
寝るー
起き上がるー
寝るー

それを何度も何度も繰り返す麻梨ー。

やがてーー

「だぁ~~~分かったよ!寝るよ!」
ついに、健吾の方が諦めたのか、
麻梨の身体でそう叫ぶと、
麻梨は穏やかに寝息を立て始めたー

「ーーーーー」
すぅ、と、寝息を立てる麻梨ー。

その時だったー

「ーーーへへ」
ニヤッとしながら起き上がる麻梨ー。

「ー沼沢のやつ、寝たみたいだなー」
ニヤニヤと笑うのは、麻梨に憑依している健吾の方だー。

どうしても寝たい様子だった幸喜とこれ以上
言い合いをしていても仕方がないと判断した健吾は、
幸喜が”寝る”まで黙って待って、
寝静まってからこうして支配することにしたのだー

「へへへー…片方が寝ても、俺は起きてられるのかー」
麻梨がニヤニヤしながら言うー。

”幸喜”が麻梨の身体で寝れば、
健吾も一緒に寝落ちする可能性も十分にあったが
どうやらそうではないようだー

「ーへへへへ…よぉしー…
 じゃあ、今日はたっぷり楽しませてもらうぜー」

麻梨はそう言い放つと、鏡を見つめながら
ニヤニヤと笑みを浮かべたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーーぁ…♡ ぁ…♡」
あまりの気持ち良さに身体をヒクヒクと震わせながら
満面の笑みを浮かべる麻梨ー。

「ーーーって…おい!クソ野郎!」
気持ちよさそうにしていた麻梨がいきなり淫らな格好のまま立ち上がるー。

「ーげっ!?!?」
麻梨がすぐに驚くと、
「ー何してんだお前!死にてぇのか!」
と、麻梨が叫ぶー

寝ていた幸喜の方の意識が目覚めてしまったのだー。

「ーーえ…えへへへーでも、ほら、身体、気持ちイイだろ?最高だぜ」
麻梨がニヤニヤしながらそう言い放つー。

「チッー」
幸喜は、麻梨の身体で思わず舌打ちをするー。

イった瞬間は寝てたがー、
正直まだ余韻が残っているー。

その感じはー、
言葉では言い表せないぐらいドキドキしてー
今までに経験したことのない感覚だったのは事実だー

「ーー…チッーーー…とにかく、もう夜中の3時だー。寝るぞ。 
 明日大学あるんだから」

麻梨が不満そうに呟くと、
健吾は麻梨の身体で「へいへい」と返事をしたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

麻梨の身体を二人で使う生活は続くー

「ーーうっし、牛丼食いに行くぞ」
昼休みになると同時に、そう言い放つ麻梨ー

「おいふざけんなー。ダイエット中だぞ」

「ーーはぁ?ダイエットー?麻梨ちゃん、全然太ってないだろ?」

「ーいやいやいや、油断したら太るんだよ。
 それに、せっかくこの身体を手に入れたんだから
 スタイルは維持した方が何かと得だー。」

「ーうるせー!特盛食いに行くぞ!」
牛丼屋に向かって歩き出す麻梨ー

「絶対行くねぇ!」
大学の方に戻ろうとする麻梨ー

あっちに行ったり、こっちに行ったりしながら
一人で呟いている麻梨を見て
周囲は困惑の表情を浮かべることしかできなかったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ったく、何だよサラダチキンとヨーグルトとかー」
不満そうな麻梨ー。

結局、今日の昼は牛丼屋に行くことはできなかったー。

「ーお前みたいな食い方をしてたら、
 すぐに永野さん、太るぞ」

麻梨が、呆れ顔で呟くと、
「そ、それは分かってるけど!」と、麻梨の身体で健吾が続けて喋るー

「ーーー…」
そんな様子を、ふと鏡で確認した幸喜ー。

なるほどー、と幸喜は思うー。

急に表情が変わったり、
まるで一人二役しているかのように、ぶつぶつと喋ったりー
周囲から見れば、確かにおかしな子にしか見えないー。

このままじゃ、”頭のおかしな女”のレッテルを貼られてしまうー。

健吾はどう思っているのか知らないが、
少なくとも、そんな使いを受けるのは、幸喜としては絶対に嫌だったー。

「ーーこのままだと、
 頭のおかしな奴だと周りから思われかねないからー
 外では黙っててくれないか?」

幸喜が麻梨の身体でそう呟くと、
続けて健吾が麻梨の身体で、
「いやいやいや、それなら沼沢、お前が静かにしてればいいじゃねぇか」と、
笑みを浮かべるー。

「ーいや、ダメだ。お前じゃ何するか分からないし、
 牛丼とか食いまくって太るかもしれないー。

 身体に見合った振る舞いと生活が出来ないお前には
 任せられない」

麻梨が急に真顔になってそう言うと、
また急に笑顔になって
「いやいやいや、それはずるいだろ!俺は早く麻梨ちゃんの身体で
 コスプレしたり、あんなことやこんなことしたいんだから」と、
興奮した様子で叫ぶ。

「ーー…鏡を見ろよ」
また、真顔になってそう言うと、健吾は
”真顔になったり、笑い出したり、ため息をついたり、また笑顔になったりー”
そんな、”ヤバい麻梨の姿”を見せ付けられる健吾ー。

「ーーーーーー…た、確かにやべぇなー…」
麻梨の口でそう呟く健吾ー。

急に笑顔になったり、急に真顔になったりー…

その人が、”表情をコロコロと変えている”のとはまた違う、
とても強い違和感のある状態ー。

「ーーーーーーーー」
戸惑った表情から、急に真剣な表情に変わると、麻梨の身体で
幸喜は呟いたー。

「なぁ、このままじゃ俺もお前も共倒れだー。
 お前のこと、死ぬほど嫌いだし
 この身体から出て行って欲しいけど、
 それができないのも分かってる」

麻梨の身体でそう呟く幸喜ー。
幸喜は一匹狼的な生き方をしてきた人間で
愛想もなく、他人に対する言動にも問題あるタイプの人間だが、
物事を冷静に考える判断力も併せ持つー。

健吾に正直出て行って欲しいし、”消えろ”と思ってはいるものの、
自分も”そう”であるように、
麻梨の身体から本人が仮に出て行こうとしても
それができないのも理解しているー

その上で、こんな提案をしたー

「ーー1日ずつ、交互に永野麻梨として過ごす。
 これでどうだ?」

麻梨がそう言うと、急に笑みを浮かべながら
「ま、まぁ、俺が表に出ている間好き放題していいなら
 それでもいいけど」と、言い放つー。

「ーーー…もちろん、ルールは決める」
また急に真顔に戻ると、幸喜は麻梨の身体でそう呟きながら
幸喜と健吾ー
二人が好き放題麻梨の身体を同時に動かして
日常生活もままならない状況を回避するため、話し合いを始めたー

結局ー、
二人は1日ごとに交互に主導権を握ることー、
自分の番の日じゃない日は、表に出ている方に話しかけられない限り、
奥で黙ってること。
自分を傷つけるような行為や、犯罪はしないことー、
1日の終わりに、何か伝えておくべきことがあればちゃんと伝えることー
進路などの重要な決定は、二人で話し合うこと、

色々なことを決めたー。

今日は幸喜ー、明日は健吾、その次は幸喜ー、
というように、麻梨の身体を交互に使うのだー。

人生”半分”になってしまうけれどー、
このまま二人で毎日のように、ああじゃないこうじゃないを続けるよりかは
マシだと、そんな幸喜の判断だったー

「ーーへへへ…じゃあ、牛丼食ってもいいんだな?」

「ーほどほどにしとけよ?太った永野さんなんて嫌だろ?
 お前のことだから、どうせ”可愛い”とかそんな理由で憑依したんだろうしな」

「ーーうっ…分かってるよー。太らない程度にするよ!」

そんな会話をしながらー、
二人は同じ身体をシェアするようなー、そんな状態で
生きていく方法を見つけ出したのだったー

「ーへへへ…でもー、沼沢ー、やっぱお前は頼りになるし、
 俺の最高の親友だぜ」

「勝手に親友になるな。俺はお前が嫌いだし、
 何なら死んでくれ、って思ってるー。
 でもこういう状況になったら仕方ないから、こういう提案をしただけだ」

「ーへへへへ…愛想がないねぇ」

麻梨は、一人でそんなことを喋りながらー
周囲から見れば異様な光景をその場に晒し続けたー

・・・・・・・・・・・・・・・・

翌朝ー

「ーさて…今日は俺の番か」
幸喜が、麻梨の身体を動かす日ー。

健吾は”約束”通り、意識はあるが
麻梨の身体を動かすことは一切せず、黙っているー。

「ーーーーー(やっと静かになったな)」

そんなことを思いながら、
麻梨は、ほっとした様子を見せながら
大学に行く準備を始めようとするー。

だがー
その時だったー

「ーーえっ…?」
突然、”口”が勝手に動いたー。

そしてー、
手もー。

「ーーーおい!お前!約束が違うぞ!」
麻梨の身体で、幸喜は怒りを露わにするー

「今日は勝手に動いたり、喋ったりするんじゃねぇ!」
そう、叫ぶと、
すぐに麻梨は困惑した表情で、回答したー

「ーーい、いや、俺は何もしてねぇ」
とー。

「あ?」
麻梨の身体で幸喜が不満を露わにするー

するとーー
麻梨の口が再び勝手に動いたー

「ど、どういうことー…?
 わたしの身体が、勝手にー?」

麻梨の口が、そう言い放つー

「ーー…な、なんだー…
 まさかー?」

今度は、幸喜が麻梨の口を動かすー

「え…な、なんで勝手にーー…わたしの口が?」

麻梨の口がまた勝手にそんな言葉を吐き出すー

「おい、沼沢ー、まさかこれってー」
健吾が、麻梨の口で喋るー

「ーーーー…!」
幸喜が、麻梨の顔で驚くー。

「ーーど、どういうこと…!?!?
 わたし…どうなってるのー!?」

二人で同時に憑依したことによって
何か憑依薬の効果に異変が起きたのだろうかー。

憑依されたら奥底に追いやられるはずの
”永野麻梨”本人の意識が目覚めてしまったのだー

「ーーーーな、なに…!?わたしの身体を勝手に
 動かしているのは誰!?」

麻梨が叫ぶー。

その状況に、健吾は
「へっへへへ…すげぇことになってきやがったー」と、
麻梨の身体で面白そうに笑うー。

だが、一方の幸喜は、
呆然とした状態で、麻梨の身体で大きな大きなため息をついたー。

幸喜、健吾ー、
そして、元の身体の持ち主である麻梨ー。

三人で、一つの身体をシェアする生活が、
始まってしまったのだったー

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

混沌としたボディシェア生活へ…★!

せっかく幸喜くんが決めた”1日ごとに交代”ルールも
これじゃ無意味ですネ~笑

お読み下さりありがとうございました~~!

コメント

  1. TSマニア より:

    まさかの結末でしたっ!

    麻梨も完全に乗っ取られたほうが幸せでしたねっ!

    1日でいいから

    ファイタ◯ズガールの可愛くてスタイル抜群な娘に憑依してきつねダ◯ス踊りたいです笑笑

    • 無名 より:

      ありがとうございます~!☆☆
      三人で身体をシェア…★
      大変な生活になりそうデス…!

      きつねダン〇…!
      (〇の意味がない書き方をする私…笑)

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