<憑依>大嫌いなあいつとボディシェア①~憑依薬~

憑依の際のちょっとした手違いで
同じ相手に憑依してしまった二人の男…

”まさか、大嫌いなあいつと同じ身体を使うことになるなんてー”

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大学生の沼沢 幸喜(ぬまざわ こうき)が、
ため息をつきながら、目を逸らすー。

食堂にー
”大嫌いなアイツ”がいたのだー。

その相手は幸喜にとって、幼馴染であり
昔から知る間柄ではあるものの、
馬が合わず、昔から”大嫌い”な相手だー。

「ーーお~沼沢!ここ空いてるぞ!座れよ」

その相手ー、
吉野 健吾(よしの けんご)が、
幸喜に気付いて、自分が座っている座席を指差すー

「チッ」
幸喜は露骨に不機嫌そうに舌打ちをすると、
そのまま健吾を無視して、別の座席に座るー。

幸喜は、寡黙な性格で一匹狼的なタイプの男子ー。
一方の健吾は、おしゃべりでべらべらで喋る明るいタイプの男子で、
とにかくうるさいー。
根本的に、性格が合わないのだー。

「ーーーーーー」
一人、別の座席に座った幸喜は、黙々と食堂のラーメンを食べ始めると、
そこに、昼食のカツ丼と共に、健吾が別の座席からわざわざ移動してきて、
笑みを浮かべたー

「おい。座るな。殺すぞ」
幸喜が、鋭い口調でそう言い放つと、
健吾は「まぁそう言うなってーへへ」と、ニヤニヤしながら笑ったー

寡黙で”近寄りがたい雰囲気”を持つ幸喜は
友達が少ないー。
だが、本人は全くそのことを気にしておらず、
慣れ合い自体が嫌いなため、それで構わないと考えているー。
ただ、気弱なタイプではなく、いじめを受けるようなタイプでもない。
”いつも一人でいる”正真正銘の一匹狼のような男子だ。

しかし、健吾はその反対で、
とにかく誰にでも話しかけるタイプで”うるさい”ぐらいのおしゃべり。
誰も近寄ろうとしない幸喜に対しても平気でべらべらと話しかける上に
幼馴染であるからか、勝手に親友認定してしまっているー。
本人に悪気はないものの、おしゃべりすぎてデリカシーもないためか、
一部からは嫌がられているー。

そんな男子大学生だー。

二人は、決定的にウマが合わないー。

特に、寡黙な幸喜は、こんな自分にも話しかけて来る健吾のことを
毛嫌いしていたー。

「でさ~~奈央子(なおこ)とさ~
 先週デートに行ったんだけど、その時に~」

「ー黙れ」

幸喜は、ラーメンを口に運びながらそれだけ言い放つー。

それでも健吾は自分の彼女・奈央子のトークをやめずに
ずっとペラペラと話し続けているー。

「ーお前の彼女になんて、興味はないし、どうでもいい」
幸喜が冷たくそう言い放つー

普通、こんな扱いを受ければ
嫌になってその場を離れそうなものだが、
健吾はお構いなしでニヤニヤしながら
「っていうかお前、彼女作らないのか?」と質問を続けるー

「いらん」
幸喜はラーメンのスープを飲みながら呟くー。

「いらない?へへへー
 強がるなって!本当は欲しいんだろー?彼女?
 何だったら俺が何人か紹介してやるよ!
 ほら、幼馴染のよしみだしー」

健吾が笑いながらそう言うー。

「ー幼馴染ごと、死にたいのか?」
幸喜が、いつものようにそんな返事をすると、
健吾は「いやぁ~それは勘弁!」と、ふざけたポーズを取りながら
まだ喋り続けているー。

最後には、幸喜は健吾を無視してー
そのまま立ち去ると、静かにため息をついたー

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帰宅した幸喜は、自宅に届いていた”あるもの”を
見つけたー

それはーーー
他人の身体を乗っ取ることができる”憑依薬”というものだったー。

「ーーーよし」
幸喜は、憑依薬を前にしても、
特に緊張した様子もなく、それを見つめるー。

幸喜は、半月ほど前にネットで”憑依薬”なるものが
販売されているのを偶然、発見したー。

それを見つけた幸喜はすぐに”憑依薬が本物なのか”を確認し、
本物である確証を自分なりに得ると、
それを購入したー。

憑依薬を手に入れた目的は一つー。
同じ大学に通う女子生徒、永野 麻梨(ながの まり)に
憑依することー。

「ーー明日から、俺が永野麻梨だ」

そう呟くと、幸喜は
一人暮らしの自分の家を片付け始めるー。

まるで”終活”をしているかのような、
そんな光景だー。

事実ー、幸喜は”自分の身体で生きる”のを今日で最後に
終活する予定だったー。

明日、幸喜は永野麻梨に憑依するー。

それは、”沼沢幸喜”としての人生に終止符を打つことを意味するー。
だから、彼は終活を始めていたー。

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翌日ー

すっかり家の中を片付けた幸喜は
憑依薬を手に、深呼吸をするー。

「ーよし。俺の身体でやることはもうない。」

ほとんど未練などない、と言った様子で
憑依薬を飲み干すと、
幸喜の身体がその場に倒れ込むー。

霊体になった幸喜は、”倒れ込んだ自分の身体”を見て
「じゃあな」と、だけ呟くと
そのまま霊体の状態で移動し始めるー。

身体を捨てれば、当然”自分の身体”は死ぬー。

だが、本体が死んでも、霊体のまま彷徨い続けるようなことを
しなければ、自分が消える心配はない、ということも
事前に確認を取ったー。

だから、自分の身体がこの先どうなろうと知ったことではないー。

「ーーー…いたいた」

憑依する予定の相手ー、
永野麻梨を見つけて、幸喜は満足そうに頷くー

麻梨は、大学でもトップクラスの人気を誇る美人でー、
それでいて、周囲にそれを誇るようなこともない、
大人しく、穏やかな性格の持ち主だー。

幸喜は、この麻梨に憑依しようとしたー。

その理由はいくつかあったー。

その中でも最も大きな理由がー
幸喜は実家の両親と険悪な仲であり、
両親と完全に縁を切りたかったことでー、
憑依薬を見つけた時に購入しようと考えたのも、
それが理由だった。

他人の身体に憑依してしまえば、幸喜はもう
名実ともに両親との関係を絶つことができるー。
そして、憑依薬で自分の身体を捨てて
”自分の身体が死ぬ”ことで、両親に迷惑をかけるー、という
目論みもあったー。

幸喜の両親は幼少期から”どうしようもない振る舞い”を繰り返し、
幸喜もそんな両親を憎んでいるー、
そういう間柄だったー。

他の理由は大した理由ではなかったが、
”あの口うるさい健吾とも離れることができる”のも
決めての一つだったし、
憑依相手を”同じ大学に通う美女”にしたのはー、
”同じ大学なら、大学のことを色々知ってるし、周囲の人間のことも知ってるから
 ある程度振る舞いやすいこと”そしてー、
”どうせ他人の身体になるなら、スペックが高い方がいいだろう”という
判断で幸喜は、彼女を選んだのだったー

麻梨からすればとんでもなく迷惑な話だが、
幸喜はまるで”マイカーやマイホームを選ぶかのような感覚”で
麻梨に憑依することを決めたのだー

「ーーよし、身体を貰うぞ」
何も悪びれる様子もなく、大学に向かう麻梨に向かっていくー

だがーー…
幸喜は気づいていなかったー。

この時、幸喜以外の”霊体”も、
最悪のタイミングで麻梨に憑依しようとしていたことをー

「ーー今だ!」
周囲の人目につかないであろうタイミングで、麻梨に憑依する幸喜ー

「ひっ…!?!?!?!?」
麻梨がビクッと震えると同時に
身体の感触が自分のものになるー

がー、その直後ー
もう一度麻梨の身体がビクッと震えたー

「ーーー……」
麻梨に憑依した幸喜は、満足そうに麻梨の手を動かしー、
指を動かしー、
その身体の動き具合を確認するー

「ーこれで、よしー
 さぁ今日から俺が永野麻梨だー」

女子に憑依しても、どこか淡々とした様子の幸喜ー

麻梨になった幸喜は、そのまま大学に向かって
再び歩き出そうとするとー、
突然ー、麻梨の手が動き出したー

「ー!?」
麻梨に憑依した幸喜は困惑するー。

”手を動かすしぐさ”なんてしていないー。

「ーーまさか、まだ永野さんの意識が?」
そう思いながら不満そうに再度手を動かしてみるー。

今度は、自分の意思で手が動いたー。

しかしー
”また”今度は、幸喜が手を動かそうとしていないのに、
手が勝手に動いてぱたぱたとし始めるー

「ーお…おいっ!?なんだ!?」

「ーー!?」

幸喜は表情を歪めたー。

麻梨が”お…おいっ!?なんだ!?”と言葉を口にしたー。

がーー
”幸喜はそんな言葉を喋ろうとしていない”

勝手に麻梨の口がそんな言葉を発したのだー

「ーーどうなってる?」
今度は、麻梨の口で幸喜が自分の言葉を口にするー

「ーそ、それはこっちのセリフだ!」
続けて、麻梨の口が”幸喜の意思とは関係なく”言葉を口にするー

「ーー永野さん…?」
幸喜は、”勝手にしゃべる”麻梨に対して、麻梨の口でそう言い放つー。

憑依薬を使って、麻梨に憑依したはずにも関わらず、
麻梨の口が勝手にしゃべる…と、いうことは、
麻梨の意識が完全に消えておらず、支配が中途半端ー…
そういうことだろうかー。

そう思ってると
「ーーいや、俺はー… というか、お前こそ、誰だー?
 お前が永野さんじゃないのか?」
と、”麻梨の口”が勝手に動いて言葉を発したー

「ーー…何?ーーー」
麻梨に憑依した幸喜は、麻梨の口でそう言葉を発すると、
表情を歪めるー。

もちろん、表情を歪めるのは、乗っ取った麻梨の身体だー。

”永野さんの口で勝手にしゃべってるこいつはー誰だ?
 永野さんじゃないとすればー…”

幸喜は頭の中で考えるー。

最初は、麻梨の意識がまだ残っているのかと思ったが
何だかヘンだー。

ここはー、名乗らずにもう少し様子を探るかー…

そう思いつつ、幸喜は麻梨の口で喋るー。

「ーーお前が永野麻梨じゃないなら、何故、
 こうして喋っている?」

麻梨の口で幸喜が確認するー。

するとー

「それはこっちのセリフだ!」
と、麻梨の口が勝手に動いたー。

そしてー、麻梨が勝手に胸を揉み始めるー

「へへへへ…永野さんの…うへへへへへ♡」
急に下品な表情を浮かべる麻梨ー

「おい、ふざけるな!
 周囲が見てるかもしれないだろ!」
下品な表情が急に真顔になり、
麻梨はそう叫ぶー

「うへへへー そう言うなってー」
麻梨がまた急にニヤニヤしだしてそう言い放つー

事情を知らない周囲がもし、”今の麻梨”の姿を見たら、
急に笑ったり、急に真顔になったりしながら、
独り言をブツブツ呟いているヤバい女子大生…
そうとしか見えない状態になってしまっているー。

「ーーおい!やめろ!」
左手で、胸を揉む右手を押さえるー。

だが、今度は左手が勝手に動きー
胸を揉み始めて
幸喜が、麻梨の右手で左手を押さえるー。

「ーーお前…!永野さんに”憑依”した”誰か”だなー?」

幸喜が、麻梨の口でそう言い放つー。

「ーーそういうお前こそ!」

麻梨の口が勝手にそう動くー。

「ーーーチッ…邪魔しやがってー」
幸喜は、麻梨の身体で舌打ちをしたー。

最悪なタイミングだー
恐らく、ほぼ同じタイミングで”永野麻梨”に、
自分以外の誰かも憑依してしまったー

そういうことなのだろうー。

二人の人間が同時に憑依したことで、
麻梨の身体は、自分と”憑依薬を使った別の誰か”の二人が
支配したー…

そんな状況になってしまったのだー。

「ーーーなら話は早いー。とっとと出てけ。」
麻梨がそう言い放つと、
「ーー嫌だね!俺は麻梨ちゃんの身体で楽しみまくるんだ!」と、
麻梨の口が勝手に動くー。

「ーーチッー…死にたいのか?」
幸喜は苛立って、麻梨の口でそんな言葉を口にするー。

だがーー

「ーーお…おい」
麻梨の口が勝手に動くー

”相手”は、麻梨の今の発言で”憑依しているのが誰か”
悟った様子で、言葉を続けたー

「お前ーー…沼沢じゃねー?
 沼沢幸喜だろー?」

その言葉に、麻梨に憑依している幸喜は「なっ…」と、
うっかりそんな反応をしてしまうー

「ははは!やっぱそうだ!
 なんだ、お前だったのかー!」

”麻梨に同時に憑依した男”は、相手が幸喜だと知ると同時に
嬉しそうに麻梨の身体で笑ったー

「ーま、まさかお前ー」
笑っていた麻梨は突然険しい表情を浮かべるー。

幸喜は、イヤな予感を感じながらも相手の返事を待つと、
麻梨の口が勝手に動いて、こう言い放ったー

「へへへー 俺だよ健吾だよー
 お前の幼馴染のー

 へへへへー
 まさか、こんなことになるなんてなぁ」

喜ぶ麻梨ー。
すぐに呆然とする麻梨ー

一匹狼な生活を送る幸喜はー、
最悪なことに、大嫌いな幼馴染・健吾と、
”同じ身体”に、ほぼ同時期に憑依してしまいー、
同じ身体をシェアすることになってしまったのだったー…

②へ続く

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コメント

5月最初のお話は憑依モノデス~☆!

大嫌いな幼馴染と”同じ身体”に憑依してしまった彼…!

2人で一つの身体を使うのは
大変そうですネ~…!

続きはまた明日デス~!

コメント

  1. TSマニア より:

    今までになかった憑依物ですねっ!

    美人でハイスペックの娘のカラダを奪った後いろいろ大変そうですよねっ!

    しかもボディシェアなので

    まさか、まさかの展開になるのでしょうねっ!?

    • 無名 より:

      コメントありがとうございます~!☆

      確かにあまり私は書いていないタイプの
      内容ですネ~!

      結末もぜひ、楽しんでくださいネ~!