<憑依>憑依歴1000年の先輩②~引っ越し~

①にもどる!

1000年前から憑依を繰り返している男と出会い、
憑依能力を手に入れた男ー。

”憑依歴1000年”の先輩との
楽しい憑依ライフは続くー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーへへへー
 今日も、じっくり楽しもうぜー」

美冬がそう言葉を口にしながら、
自分の家に同級生の紗友里を迎え入れるー。

外から見れば単純に、
”女子高生が友達を家に上げている”ようにしか見えないー。

しかしー、美冬は”憑依歴1000年の男”にー、
そして紗友里は”憑依能力を貰ったばかりの龍太”にー、
それぞれ憑依されていたー

「ーお母さんただいま~~!
 今日も紗友里ちゃんと一緒に勉強するね~!」
美冬は、完全に”普通の女子高生”な雰囲気で
家にいた美冬の親に向かってそう言葉を口にすると、
そのまま紗友里を連れて、自分の部屋がある
2階の階段を上り始めるー。

「お、お、お、お邪魔しますぅ…」
紗友里は心臓をバクバクさせながら、
語尾が小さくなってしまうような言い方で
挨拶を済ませると、
そのまま美冬に案内されて2階にある
美冬の部屋へと到着したー。

「ーせ、先輩ーすごいですよねー…
 あんな風に堂々と、何て言うかー…
 その子のフリをできるってー」

紗友里に憑依している龍太が感心した様子で言うと、
美冬は「慣れだよ慣れー。慣れりゃ自然に使い分けできるようになるー」と、
そう言葉を口にすると、
目の前で女子高生っぽい仕草を何個か実演してみせるー。

「~~~~お、俺、まだ、恥ずかしくなっちゃうっていうかー…
 なんかこうー上手くできなくてー」
紗友里は照れ臭そうにそう言葉を口にすると、
美冬は「へへーそのうち慣れるって」と、それだけ言葉を口にするー。

「ー慣れるとさー、男とヤることにも躊躇なくなるし、
 男とキスをするのも、男のアレをしゃぶるのだって
 平気で出来るようになるー。

 ーーだから、心配すんなってー」

美冬はそれだけ言葉を口にすると、
「さ、今日もたっぷり”勉強”しようぜー?
 お前のために”女の身体”の授業をたっぷりしてやるからー」と、
そんな言葉を口にするのだったー…。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーー」

数日後ー。
”剣道部”の一員として活動している美冬を迎えに行った紗友里は、
その剣捌きに見とれながら、
部活が終わって自分の方に歩いて来た美冬に向かって
「せ、先輩!さすがです!」と、そう言葉を口にするー。

美冬は少し笑いながら、
「ーまぁ、ほら、俺、関ヶ原の戦いにも参戦してたしー
 女剣客としてー」と、そう言葉を口にするー。

「ーーな、な、な、なるほどー」
紗友里は戸惑いながらも頷くー。

”美冬”は、憑依される前は元々手芸部に所属していたー。
が、男に憑依されてから剣道部に移籍して、
剣道部で圧倒的な実力を見せているー。

「ーまぁほら、あの頃と違って刀を振るうことなんかできないだろ?
 だから、剣道部で少しでもって思ってなー」
美冬が笑いながら言うと、
紗友里に憑依している龍太は、
「お、俺は教科書とかゲームとか映画でしか知らない世界を
 先輩は実際に見て来たってことですよねー?」と、
そう言葉を口にするー。

「へへーまぁそういうことだなー
 新選組と会ったこともあるし、黒船も見たことあるし、
 さっき言った関ケ原も参戦してたしー、
 あとはー桶狭間の戦いにもくノ一として参加してたっけなぁ」

美冬はそう言葉を口にすると、
「ーーまぁ、1000年も生きてるからなー俺は」と、
思い出話をそう締めくくったー。

「ーやべぇ…先輩すごすぎですよー」
紗友里はそう言葉を口にすると、
「ははー…でもまぁ俺も”憑依”にたどり着くまでは
 お前と同じような感じで、あいつになりたい、こいつになりたいって
 愚痴ばっか言ってたしー」と、
美冬が懐かしむようにして、
憑依能力を手に入れる前の自分のことを口にすると、
紗友里は「俺も先輩みたいに憑依を極めます!」と、目を輝かせながら
そう言葉を口にしたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

それから半月が経過したー。

「ー先輩!話って何ですかー?」
”憑依の先輩”である美冬から呼び出された
紗友里は、今日も楽しそうに美冬の前にやってきていたー。

「ーーお、来たなー。」
美冬はそう言葉を口にすると、
普段、同級生たちの前では見せない
男っぽい座り方をしながら、
「ーお前も大分、憑依に慣れて来たよなー
 今じゃ自然に女子トイレも入ってるしー」と、
そう言葉を口にするー。

「えへへー先輩のおかげですよ」
照れ臭そうに、紗友里がそう言葉を口にすると、
美冬は「へへーなら良かったー」とそう言葉を返すー。

そして、美冬は少しだけ間を置くと、
「そろそろ俺、”引っ越し”しようと思ってさー。
 お前には言っておこうと思って」と、そう告げて来たー。

「ー引っ越し?転校するんですか?」
紗友里がそう言うと、
美冬は「いや、家じゃねぇよー。身体をさー」と、
自分の胸を触りながらそう言葉を口にしたー。

「ーえ…あ、あぁ…そういうことですか」
紗友里に憑依している龍太は
少しだけ寂しそうな表情を浮かべるー。

と、言うのも龍太と”憑依歴1000年の男”が出会った時点で、
既に彼は美冬に憑依していたー。

龍太からすれば、美冬=先輩という感じで、
その美冬の身体から先輩が抜け出すのは
少し寂しい感じだったー。

「ーーまぁまぁ、そんな顔すんなってー。
 別にお前と縁を切ろうってんじゃないー。
 新しい身体になったらー、
 そうだなー…今週中には連絡するか、会いに来るから」

美冬がそう言葉を口にすると、
紗友里に憑依している龍太は、
少し安堵の表情を浮かべるー。

「ーーなんだよ?一人にされるとでも思ったのかー?
 俺からすりゃ、仲間がいた方が面白いしー、
 そんなことするわけー」

美冬がそこまで言うと、
紗友里は「いえー、先輩は”今までにも俺と同じような人間がいた”って
前に言ってましたよね?」と、そう返すー。

「ん?あぁ、今までにも相棒がいたって話ならしたな」
美冬が静かに頷くー。

すると、紗友里に憑依している龍太は
”その相棒たち”は今どうしているのか、
気になっているのだと、そう言葉を口にしたー。

美冬が、紗友里…龍太以外と会っている様子もないし、
かつて、”憑依歴1000年の先輩”の相棒だった人たちが
接触して来る様子もないー。

つまり、既に先輩には”縁を切られている”のではないかと
そんなことを不安に思っていたー。

がーー
”憑依歴1000年の先輩”美冬に憑依している男は
ため息を吐き出したー。

「裏切ったやつー、自ら命を絶ったやつー、罪悪感に耐え切れなくなったやつー、
 別件で死んだやつー…色々いたなー」

とー。

「ーーえ…」
紗友里が少し戸惑いながらそう言葉を吐き出すと、
「今までの相棒は、みんなもうこの世にいないー。
 だからー…新しい相棒ー…お前に憑依の力を分け与えたんだー」と、
美冬はそう言葉を口にしたー。

「ー最初は楽しそうにしてても、
 罪悪感に苦しみ出すやつも多くてなー…

 自分の身体に戻りたくて狂ったやつもいるー…

 だから、お前はそうならないでくれよー?」

美冬はそれだけ言葉を口にすると、
「ーーじゃ、とにかく俺は”引っ越し”するために
 この身体は”処分”するからー」と、そう言葉を口にするー。

「ー処分?」
紗友里が少し不思議そうに言うと、
「ーあぁ、へへー…憑依し終えた身体は基本、処分してるからさー」と、
美冬はそう言葉を口にするー。

そんな美冬の言葉の、
「ーえ…じ、じゃあ、その子ー」と、そう呟くと、
美冬は「ま、そういうことだなー」と、笑うー。

「ー俺たちは”他人の身体”を乗っ取ってるんだー
 今更、罪悪感とかそんなものを感じたって無意味さー

 俺たちは他人の身体を奪って楽しく生きる大悪党ー。
 そう開き直って生きてた方が楽だぜー?」

美冬はそう言葉を口にすると、
そのまま教室から立ち去っていくー。

そして、その日の夜に
美冬が自分の部屋で自ら命を絶ったと聞かされたのは
翌日のことだったー。

もちろんー、それが何を意味するかは分かっているー

”先輩”が死んだわけではないー。
”先輩”は新しい身体に移動するために
これまで使っていた美冬の身体を”処理”したー。

それだけのことだー。
確かに、長い間、その身体を乗っ取っていたわけだから、
急に本人が正気を取り戻せば混乱するだろうー。

実際に、紗友里に憑依している龍太が
”最初に”憑依を試した際にはー、
1時間だけその子に憑依したけれど、
正気を取り戻したその子は、激しく動揺していたー。

確かに、1時間であっても、自分の意識が
寝ている時以外に急に飛んでいたら不安に感じる気持ちは龍太にも分かるー。

”先輩”が使っていた美冬という子の身体は、
それどころではない長期間使われていたし、
本人が正気を取り戻せば、大混乱に陥るだろうー。

ただーー
龍太にとっては、出会った時から先輩は美冬だったために、
何だか複雑だったー。
頭の中ではどうしても、美冬=憑依歴1000年の先輩、だったからー…

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2日後ー。

「ーーーーー」
心にぽかんと穴が開いたかのように、
寂しさのような感情を抱きながら、
紗友里に憑依している龍太は学校生活を送るー。

「そういえばー、俺もこの子から引っ越しするときはー…」

鏡で今は”自分の身体”となった紗友里の姿を見つめながら
龍太は暗い表情を浮かべるー。

自分も、紗友里から他の身体に移動したくなった時にはー…。

そう思いつつ、学校での1日を終えて
帰路につく紗友里ー。

がー、その時だったー。

「ーちょっと、そこのあなたー」

背後から声がして、紗友里が振り返ると、
そこには女性刑事の姿があったー。
まだ若く、綺麗な感じの人だー。

”刑事”と分かったのはー、
別に名乗られたわけではないし、
顔見知りでもないけれど、
警察官の服装をしているからすぐに分かったー。

「ーーーえ?お、俺…いや、わたしですかー…?」
反射的に”俺”と言ってしまい、少し慌てた様子で
言い直す紗友里ー。

すると、女性刑事は警察手帳を手に、
「ーあなたに少し聞きたいことがあるのー」と、
そう言葉を口にするー。

「ーーき、聞きたいことー?」
龍太はまだ”憑依初心者”ー。
この紗友里の身体が”2人目”の憑依相手で、
しかも、最初の憑依は1時間ほどで抜け出しているために、
その本人としてこうして日常生活を送っているのは初めてだー。

だからこそ、”こういう場”には慣れていないし、
不安を感じてしまうー。

女性刑事が見せて来た警察手帳には、
”木下 真桜(きのした まお)”とそう書かれているー。

そして、その真桜が信じられない言葉を口にしたー。

「ーー…最近、”人の身体に勝手に憑依してその身体を乗っ取る”って
 事件がいくつか起きているのー。

 ーーーあなたは、何か知ってるー?」

とー。

「ーーえっ…?
 えっ…ひ、ひ、ひ、憑依ぃ!?
 そ、そ、そ、そ、そんなことー…」

紗友里に憑依している龍太は明らかに怪しい反応をしてしまうと、
”や、や、やべっ…な、な、何でー!?”と、
女性刑事が憑依について聞かれたことに動揺して、
そのまま身体から抜け出そうとするー。

が、慌てている状況だからか、紗友里から抜け出すことは出来ずー、
意味不明なポーズを女性刑事・真桜の前で繰り返してしまうー。

「ーー何か知ってる顔ねー。
 話を聞かせて貰えるー?」

紗友里の反応を見て、真桜も
”紗友里は何か知っている”と思ったのだろうかー。
あるいは、最初から”紗友里が憑依されている”と知った上で
あえて声を掛けて来ているのかもしれないー。

紗友里に憑依している龍太は
泣きそうになりながら
”せ、先輩ーーーお、俺はどうすればいいんですかー!?”と、
内心で、先輩に助けを求めるー。

が、美冬の身体を捨てて”引っ越し”した先輩とは
まだ連絡が取れていないー。

改めて、自分は憑依に関しては先輩頼みであることを
どこか情けなく思いながら、
紗友里は真桜に連れられて、
近くの空き地へとやってきたー。

そしてーーー
空き地にやってくると、
女性刑事・真桜は静かに言葉を口にしたー。

「ーーーあなたを逮捕しますー」
とー。

有無を言わさず、
腕に手錠を掛けられてしまう紗友里ー。

紗友里に憑依している龍太は真っ青になりながら、
手錠を掛けられた自分の腕を見つめると、
「え……?」と、放心状態でそう呟くのだったー。

③へ続く

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コメント

次回が最終回デス~!!
憑依初心者の彼の運命は……??

今月も、たくさんのお話を皆様にお届けしていくので、
ぜひ楽しんで下さいネ~!
改めて、今月もよろしくお願いします~!☆!

「憑依歴1000年の先輩」目次

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