ある大手術を控えていた女子大生ー。
日に日に近付く手術の日に怯えて、
辛い思いを吐露する彼女を前に、
彼氏はある提案をするー。
それは”入れ替わり”で代わりに自分が手術を受けるー、
という提案だったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「はぁ…まさか、こんなことになるなんてー」
大学に通う、月村 晴美(つきむら はるみ)は、
落ち込んだ様子でそう言葉を口にするー。
晴美は、ある病気で
”手術”を控えていたー。
幸い、手術をすれば、回復が見込める病気で
日常生活にも復帰することができるー。
ただ、その手術はなかなかの大手術になるもので、
”100パーセント成功する”とは断言することのできない、
そんな手術だったー。
「ーー晴美ー…。大丈夫ー、きっとうまく行くー」
彼女の晴美が落ち込んでいる様子を見て、
同じ大学に通う彼氏、芹沢 隆史(せりざわ たかし)は
そう言葉を口にすると、その手を握りしめるー。
「ーーでもー…」
普段、弱音を吐くことのない晴美ー。
ただ、大手術を前にして
流石に不安なのか、
最近では精神的に不安定にもなっていたー。
「ーー全身麻酔で眠りにつく瞬間とか、
考えただけで怖くなっちゃうー…
ーそのまま目が覚めないんじゃないかってー」
目に涙を浮かべながらそう言葉を口にする晴美ー。
そんな晴美に対して、
隆史は「大丈夫ー。俺が近くにいるからー
それに失敗することなんてめったにない手術だって
先生も言ってただろ?」と、そんな言葉を掛けつつ、
晴美を励まそうとするー。
しかしー…
晴美はそれでも不安そうな表情を浮かべたままー。
もちろん、隆史にもその気持ちは分かるー。
晴美が受けるような手術を自分が受けるとなると、
想像しただけで”怖い”という感情が膨れ上がって来るー。
けれどー、”病気”を代わってあげることは出来ないし、
晴美の代わりに隆史が手術を受けたところで、
晴美の身体は直らないし、
隆史の身体に意味もなくメスを入れるだけで、
そんなことは出来ないー。
「ーーー…」
隆史は暗い表情を浮かべながら、
晴美のお見舞いを終えると、
険しい表情を浮かべながら「くそっ」と、
そう言葉を口にしたー。
「雨…かー」
病院の外に出た隆史はそう言葉を口にすると、
傘を手に、ゆっくりと歩き出すー。
彼女の晴美のことを心配しながら
大きくため息を出す隆史ー。
”晴美”との出会いは、大学に入学した2年前ー。
最初は”一目惚れ”だったー。
”可愛い”ー
そう思って、晴美と接点を持つようになり、
やがて告白したー。
正直、隆史の中には”下心”がなかったと言えば嘘になるー。
しかし、晴美と出会って2年ー、
付き合い始めておよそ1年半ー。
今ではそんな”下心”ではなく、
晴美のことを本当に大事にしているー。
可愛いとか、そういうことではなく
晴美のことを救いたい、と、そんな風に思っているー。
”ーー手術の苦しみと不安ー、代わることができる方法を教えてあげましょうかー?”
ふと、そんな声が聞こえたー。
「ー!?!?!?!?」
突然、聞こえて来た声に隆史は困惑の表情を浮かべながら
顔を上げると、眼鏡をかけた好青年風の男が、
隆史の方を見つめていたー。
「ーーな…何だってー?」
隆史がそう言葉を口にすると、
眼鏡の男は、隆史の方にゆっくりと近づいて来るー。
「月村 晴美ーー
彼女の手術を、もしも代わってあげることができるとしたらー
あなたはどうしますか?」
眼鏡をかけた好青年風の男が、得意気な表情を
浮かべながらそう言葉を口にするー。
「ーあ、あんたー、何で晴美のこと知ってるんだー?
い、一体ーあんたはー?」
隆史は困惑した様子でそう言葉を口にするー。
すると、眼鏡の好青年風の男は
笑みを浮かべながら
「ー僕のことは気になさらずにー」と、そう言葉を続けるー。
明らかに胡散臭い男だー。
そう思いつつ、隆史は
「ーーひ、人の手術を代われるわけないだろ?
俺が代わりに手術を受けたって、晴美の身体は治らないー」と、
不満を露わにしながら言葉を口にしたー。
すると、好青年風の男は
”赤い糸”を手にしながら言ったー。
「ーこれを使えば、”身体を入れ替える”ことができますー」
とー。
「ーーは?何だって?」
隆史はいきなり、とんでもないことを言われて
間抜けな声を出してしまうと、
好青年風の眼鏡の男は言ったー。
「この糸で、あなたと、月村 晴美さんが入れ替わることが
できるんですー。
あなたが月村 晴美さんの身体になり、
月村 晴美さんがあなたの身体となるー。
そうすれば、あなたが代わりに手術を受けることができてー、
手術が無事に成功した後に元に戻れば
”彼女のために代わりに手術を受けることができる”わけですー」
好青年風の眼鏡の男はそう言葉を口にすると、
隆史は表情を歪めたー。
「ーーそんなことできるわけないだろー。
漫画とかアニメとかでそういうのは見たことあるけどー」
隆史はそこまで言うと、
「あんた、あれか?
現実と漫画の区別がつかなくなった系の人間かー?」と、
晴美のことが心配な状況で、
そんな訳の分からないことを言われたことに
少し腹を立てながら、嫌味を口にするー。
「ーーはははははー、そう思われても仕方がありませんねー。
分かりましたー。」
好青年風の眼鏡の男はそこまで言うと、
「僕は”闇.net”の”ナイト”と言いますー。
どうです?今、ここで、この糸が本物であると、
証明して差し上げますよ?」と、そう言葉を口にしたー。
好青年風の男・ナイトの言葉に、
隆史は困惑の表情を浮かべると、
「ーーあんた、マジで言ってるのかー?」と、
不満を口にするー。
「ーえぇ、マジですよ」
好青年風の男・ナイトはそう言うと、
「ーーあなたは月村 晴美さんになれるー。
手術を受ける時以外は”どんなことだって”できますよー」と、
少しだけ笑みを浮かべながらそう言葉を口にするー。
元々下心もそこそこある隆史は
「ば、ば、馬鹿なこと言うな!」と、そう返したものの、
”自分が晴美の身体を使っている”、
そんな状況を頭の中に思い浮かべてドキドキしてしまったー。
あの顔で、どんな表情だってできるー
あの姿で、どんな仕草だってできるー
あの声で、どんな言葉だって口にすることができるー。
「~~~~~~~~」
隆史は顔を赤らめながらぶんぶんと首を振るー。
「ーあなたは己の欲望を満たしつつ、
彼女の手術も代わってあげることができるー。
美味しい話だと思いませんか?」
ルークはそこまで言うと、
隆史は「ーほ、本当に入れ替われるんだとして、
あんたに何のメリットがある?俺はいくら払えばいい?」と、
ルークに対してそんな質問をぶつけるー。
「ーーーお金は、いりませんよー」
ルークはフッと、笑うと、そう呟くー。
そして「僕はただ、”人助け”がしたいだけですよ」と、
静かにそう言葉を口にしたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー。
隆史は”晴美の身体を一時的に自分のモノにできる”という
”欲望”に負けてしまったー。
”闇.net”を名乗る謎の人物”ルーク”から
他人と入れ替わることができるという赤い糸を
受け取った彼は、
入院中の晴美の元を訪れていたー。
「晴美ー、俺が代わりに手術を受ける」
隆史のそんな言葉に、
晴美は「え?えぇ??何を言ってるの?」と、そう言葉を口にするー。
すると、隆史は晴美の方を真っすぐと見つめながら
静かに言葉を続けたー。
「ーーこの糸で、”身体を入れ替える”ことができるんだー。
急にそんなこと言われても信じられないと思うけど、
これを使えば、手術を受ける間だけ俺が晴美でいることができるからー
晴美は手術を受けないで済むし、病気も治るー。
手術が終わって、体調がよくなってきたら
晴美に身体を返せば、晴美は何も辛い思いをせずに済むからー」
隆史がそこまで言うと、
晴美は「え…えっ、でもー」と、申し訳なさそうに言葉を口にするー。
が、隆史は穏やかに笑うと、
「ー俺は大丈夫ー。ほら、俺、緊張とかあまりしないしー、
痛みにも強いしー」と、そう言葉を口にした上で、
「ーー何より、晴美が苦しんでいる姿を見たくないんだー」と、
そう言葉を付け加えたー。
晴美は、それでも申し訳なさそうな表情を浮かべるー。
が、隆史は「何度でも入れ替わることができるから
晴美も不安だと思うし、1回、本当に入れ替わることができるかどうか、
試してみないか?」と、そう提案するー。
晴美は少し迷った上で「本当にいいの?」と、そう言葉を口にすると
隆史は迷うことなく頷いたー。
そして、入れ替わりの糸を試し始める隆史。
闇.netのナイトを名乗る人物から説明された通りに
その糸をお互いの指に結ぶとー…
次の瞬間ー、風が吹いていないのに
強風が自分に向かって吹いて来たような、
今まで感じたことのない不思議な感触を感じる二人ー。
次の瞬間ー…
「えっ…わ、わたしが目の前にー!?」
隆史になった晴美がそう叫ぶと、
晴美になった隆史も驚いた様子で”目の前にいる自分”と、
自分の身体ー…晴美になった自分の身体を見下ろすと、
心底驚いたような表情を浮かべたー。
闇.netのナイトから入れ替わりの糸を渡された際に
ナイトから”実演”として一度入れ替わりは体験しているー。
が、いざ、実際に異性とー、それも彼女相手に
こうして入れ替わりを体験するのは、
また新鮮な気持ちであるのも事実だったー。
それと同時に、隆史(晴美)は戸惑った様子を
浮かべながら口を開くー。
「ーー……お、おまじないみたいなものだと思ったけどー
ほ、ホントに入れ替われるのー?」
とー。
確かに、晴美からすればそう思うのも無理はない。
誰も、いきなり”入れ替わろう”と言われて
本当に入れ替わると思う人間は、なかなかいないはずだー。
「ーー…あ、あぁー。だからこれでー」
晴美(隆史)はそこまで言葉を口にすると、
言葉をそこで止めるー。
”自分の口”から、自分の声ではなく
晴美の声が出た、という事実に、
想像以上にドキドキしてしまったのだー。
”すげぇー…何だこれー”
髪の感触や、胸が自分の身体にある、という状況に
ドキドキはさらに高まっていくー。
そんな状況の中、晴美(隆史)はすぅっと、深呼吸をすると
”手術が終わって回復するまでー晴美の身体は俺のものー”と、
内心でニヤニヤと笑みを浮かべるー。
隆史のー…
”辛い手術を代わってあげたい”という気持ちは嘘ではないー。
ただ、同時に”入れ替わって”
晴美の身体になったことに激しい興奮とドキドキを覚えていたー。
最近でこそ、晴美のことを本当に大事にしているし、
その気持ちは嘘ではないけれど、
元々は一目惚れで、下心もあるような気持ちで、
隆史は晴美と付き合い始めたー。
そんな隆史が晴美と実際に入れ替わったことで、
最近は薄れていた下心のようなものが、
隆史の中で再び膨れ上がり始めていたー。
「ーーこ、これがあればー、
俺が晴美の代わりに手術を受けられるーー。
もちろん、体調が回復したらすぐに元に戻るし、
この糸は、晴美に預けておくからー、
俺が”この身体は返さない~!”なんてことは言わないからー
手術後すぐに病院を抜け出すこともできないし、
そもそも、晴美の身体は晴美が使ってないと、
全然輝かないだろうしー」
晴美(隆史)は”身体を奪ったりしないから大丈夫”と、
そう説明するー。
それは、嘘ではないー。
晴美の身体を奪い、晴美の人生を奪うつもりは毛頭ないー。
「ーーうんー。ありがとうー
でもー…隆史は手術、怖くないのー?」
隆史(晴美)は、手術を代わって貰うことを心底申し訳なさそうにするー。
しかし、そんな言葉を前に、
晴美(隆史)は少しだけ笑うと、
「ー大丈夫ー。寝てればいいだけだし、俺は緊張しないからー」と、
そう言葉を口にしたー。
「じゃ、とりあえず手術前日までは元に戻ろう」
晴美(隆史)がそう提案すると、二人は一旦身体を元に戻すー。
元に戻った隆史は、晴美と言葉を交わしながら
内心でニヤリと笑みを浮かべるー。
”ーーーへへへー…入れ替わっている間ー…
晴美の身体で色々なことができるなー…へへー”
隆史はー、そう内心で呟くー。
手術を代わってあげたいという気持ちは嘘ではない。
ただ、隆史の中には”優しさの裏の下心”が、溢れ返っていたー。
②へ続く
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コメント
彼女の手術を入れ替わりで代わってあげる彼氏…!
でも、なんだか不穏な感じもありますネ~!
続きはまた明日デス~!!

コメント
隆史は入れ替わりの糸を手に入れて下心が爆発しましたネ!!!!
不穏な空気しかないデス!★!★
ヤバい展開になりそうですネ!!
感想ありがとうございます~!★
不穏な空気が溢れ出しちゃってますネ~!!