<憑依>ナイトメアクリスマス②~豹変~

①にもどる!

クリスマスイブ当日ー。
”彼女”が憑依されてしまったー。

いつも揶揄っていたクラスメイトに憑依されてしまった彼女ー。

その突然の豹変に驚く彼は…。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ケーキを素手で掴んで雑に食べている美月を見て、
「み…美月…?」と、言葉を失った様子の彼氏・凌馬ー。

ケーキを鷲掴みにする手からは怒りを感じるー。

しかも突然”別れる”と言い出した美月ー。

さっきまで穏やかに笑っていた美月の
突然の”豹変”に、心底驚きながら、
「ーご、ごめん、悪かったよー」と、凌馬は慌ててそう言葉を口にするー。

てっきり、先ほどクラスメイトの紀明のことを口にしたせいで、
美月を不愉快な気持ちにさせてしまった、と、
そう思い込んでいる凌馬はなおも先程のことを謝罪する。

しかしーー
「うるさいー。”お前”とは別れるからー」と、
美月はそう言葉を口にすると、
ケーキを食べ終えて、その指をペロリと舐め始めるー。

その様子に、少しドキッとしてしまう凌馬ー

が、いつもと別人のような美月の様子にドキドキしている場合ではないー。
このままじゃ、本当に別れることになってしまうー。

そう思った凌馬は慌てた様子で、
「み、美月ーご、ごめんー。さ、さっきのこと以外にも怒ってるならー…
 美月にイヤな思いをさせてるなら、俺、謝るからー
 …いや、謝るだけじゃない。直すようにするから!」
と、必死にそう言葉を口にするー。

しかしー、
そんな”謝罪の言葉”を口にしても意味がない。

何故なら、今の美月は、
”美月であって美月ではない”のだからー…

今の美月は、凌馬自身がいつも揶揄っていた
クラスメイト・紀明に憑依されて
身も心も支配されているー。

身体は正真正銘、美月のものであっても、
今の美月の”中身”は、美月ではないー。
そんな状況の美月に何を言っても無駄なのだー。

「ーー直す?
 お前はー僕ーいや…クラスの杉田くんを
 散々馬鹿にしてー!」
美月の身体で、怒りに任せてそう言葉を口にする紀明。

”杉田くん”とは自分のことだー。
自分の名前を、他人にー
しかもこんなに可愛い子に呼ばせる…ということに
ドキドキしながら、
さらに美月に憑依した紀明は怒りに任せて言葉を続けるー

「ーーお前がリア充だからって調子に乗りやがって!!」

”自分の身体”ではないからか、
いつも言えないこと次々とぶつけていくー。

「ーな~にが何事もポジティブに考えろだ!
 僕のことをいつもいつもいつも馬鹿にしやがって!」
美月に憑依している紀明は、
色々な文句を口にしているうちに、
だんだんと今の自分は”美月”だと言うことを忘れて
まるで自分が紀明のようにー、
そんな言葉を口にし始めてしまうー。

「ーみ…美月…な、なにを言って…?」
凌馬も、その異変にすぐに気づくー。

美月がまるで、”紀明本人”であるかのような
そんな物言いに、凌馬も戸惑うー。

「ーーー何が!美月のサンタコスは可愛いだ!!!
 何がぼっちのクリスマスを楽しめよ!!だ!!

 ふざけるな!!」

美月が怒りの形相でそう叫ぶと、
凌馬は呆然としながら、震える声で美月に対して
言葉を口にしたー。

「ーーお、お前…”誰”だ…?」
とー。

「ーー!」
美月に憑依している紀明は、
そんな言葉に、少し驚いたような表情を浮かべるー。

「お、お前…美月じゃないな…!?
 い、一体どういうことだー!?」
美月の言動があまりにも美月本人からかけ離れているからか、
彼氏の凌馬はそんなことに気付くと、
美月に詰め寄るー。

「ーえ…あ、いやー、僕ー、いや、わたしは美月よ!」
美月に憑依している紀明は、慌ててそう言い放つも、
既に遅かったー。

「お前まさかー…す、杉田ー…?」
とー。

美月の身体で、まるで紀明自身のことのように
凌馬に怒りをぶつけてしまった結果ー、
凌馬にも”目の前にいる美月は、紀明なのではないかー?”と、
そんな風に疑念を抱かれてしまったー。

「ーーーーーーーっ」
元々臆病な紀明は、美月に憑依していることがバレたらどうしようー、と
そんなことを思い、一気にトーンダウンしてしまうー。

美月自身にもそうだし、凌馬からも確実に何かされるー
そう思っただけで怖気づいてしまったー。

しかし、紀明がそんな風に怯えている状況の中、
凌馬自身も穏やかではなく、焦っていたー。

彼女の身に何が起きたのか、さっぱり分からないのだからー。

「ーーくっ…す、杉田ーお前…
 み、美月はどこだ!?」
凌馬がそう言葉を口にするー。

美月に憑依している紀明は思わず「どこ?」と、
そう聞き返すと、
凌馬は「お、お前が杉田ってことは、”本物の美月”が
どこかにいるはずだろ!?
本物の美月はどこにやった!?」と、青ざめた顔色のまま、
心底動揺した様子でそう叫んだー。

「ーー本物の美月???」
美月に憑依している紀明は、そう言葉を口にすると、
凌馬があまりにもおかしな勘違いをしていることに対して
大笑いし始めるー。

美月の声で、いつもとは全然違う雰囲気の
笑い声をあげるー。

そんな様子に、凌馬は
「な、何がおかしい!」と、そう叫ぶと、
「ほ、本物の美月が今日、ここに来るはずだったんだ!!
 美月はどこにいるんだ!?」と、なおも、
目の前にいる”美月”は、偽物で
”本物の美月”は別のどこかにいるとでも言いたげな言葉を繰り返すー。

その状況に美月に憑依している紀明は再度大笑いして見せると、
「僕がこんなに、森内さんみたいに女装できると思ってるのー?」と、
そう言葉を口にするー。

”憑依のこと”を隠そうと思っていたけれど、
凌馬のあまりにも的外れな反応を前に
面白くて、それを隠すこともできなくなってしまったー。

「ー”これ”は、正真正銘、森内さんの身体だよー」
美月に憑依している紀明は、自分の身体を撫で回すように触りながら
そう言葉を口にすると、
凌馬はさらに青ざめながら
「ど、どういう意味だー…い、いったいー?」と、
困惑の表情を浮かべるー。

そしてーーー

「ーーあ、は、ははははー
 そ、そっかー そういうことかー」
凌馬は、一人で納得したかのような言葉を吐き出すと、
「ーーみ、美月ー驚かさないでくれよー
 クリスマスのドッキリなんて性質が悪いなぁ」と、
苦笑いしながらそう言葉を口にするー。

”目の前にいる美月が本物”と、そう知らされた凌馬は
今度は今の状況を”美月によるドッキリ”だと、
そう解釈したようだー。

つまり…
”美月が、紀明のフリをして、自分をドッキリさせようとしている”
凌馬はそう思っているー。

がーー

「ーーーーあ~~~~~」
美月に憑依している紀明は、
そんな解釈をされたことが不満だったのか、
ドキドキしながら、サンタコスの美月の胸を見下ろすと、
「じゃあ、”お前の彼女”はこんなことするんだ?」と、
そう言いながら素手でケーキを食べた手で、
そのまま自分の両胸を揉み始めたー。

「ーー~~~!?」
美月が両胸を揉み始めたのを見て、
凌馬は顔を赤らめながら、困惑の表情を浮かべるー。

「ーーみ、美月!?」
やっとの思いで声を絞り出すと、
美月はニヤニヤが止まらない様子で
「”わたし”こんなことするの?」と、そう言葉を口にしたー。

「い…いったい…ど、どうなってー…」
目の前にいる美月の、美月とは思えない行動に
心底戸惑ったような表情を浮かべる凌馬ー。

そんな凌馬に対して、美月に憑依している紀明は
ようやく”種明かし”をするー。

「今、お前の彼女は僕が”憑依”して
 身体を乗っ取ってるんだー

 今のお前の彼女は、全部僕の思い通りに動くんだ!」

そう言いながら胸をさらに力強く揉んで見せる美月ー。

「な…なんだと…ひ、憑依だと…?」
震えながら、告げられた事実を
受け入れざるを得ない状況に凌馬は言葉を震わせるー。

「ーそうだよー僕は今までずっとずっとずっとずっと、
 お前の嫌がらせにムカついてたんだ!
 何がクリぼっちだ!!いつもいつも馬鹿にしやがって!」

美月の身体で怒りに任せて胸を揉みながら
そう吐き捨てる紀明。

紀明は、元々臆病な性格ではあるものの、
美月に憑依して、美月を”人質”のような状態にしているこの状況にー、
そして、自分自身は”美月の中”にいるという安全地帯にいる状況にー、
さらに、”憑依”がバレてしまったという開き直りから、
強気な態度を見せていたー。

「ーーふ、ふ、ふざけるなー…!み、み、美月から出ていけ!」
凌馬がそう声を上げるも、
美月は「イヤだね」とそう言葉を口にすると、
胸を揉むのをやめて、素手でケーキを掴んだ手を
サンタ服で雑に拭くと
「まずは僕に謝ってもらおうか」と、そう言葉を口にするー。

「ーーわ、分かったー…わ、悪かったー」
凌馬自身、紀明を馬鹿にしていた自覚はあるのか、
すぐにそう言葉を口にするー。

ただ、凌馬は「クリぼっちなんて気にしなくていいってのは
本心なんだー。連続記録更新って言ったのも馬鹿にしてるわけじゃねぇ」
と、そう言葉を口にするー。

彼としては、それは”嘘”ではないー。
”前向きに行こうぜ”と言ったのも彼の性格や言い方的に
”煽っているように”しか見えなくても仕方がないものの、
本人は本気でそう思っていたー。

しかし、本人がどう思っていようと、
”言われた側”である紀明はそんな風に受け止めていなかったし、
彼に対しては”怒り”しかなかったー。

「ー言い訳をするな」
美月が怒りを込めてそう言葉を口にするー。

「ーーっっ…!」
凌馬が美月のほうを見つめるー。

サンタ衣装の美月は今までに見たこともないような
怒りに満ちた恐ろしい形相で、凌馬を見つめていたー。

美月が”こんな表情”もできるのかと思ってしまうような、
恐ろしい形相だー。

「ーー……わ、わ、分かったー
 で、でも、わ、悪いのは俺だー。
 美月は何も関係ない!
 
 美月は杉田…お前のことを馬鹿にしたことなんて
 一度もないし、何も関係ない!
 う、恨むなら俺だけにしてくれ…!

 ひ、憑依とか訳の分からないことするなら
 美月じゃなくて俺にしろ!」

凌馬がそう叫ぶと、
美月は「そんなの、ダメだよー」と、そう言葉を口にするー。

「ーー…ぐ…ど、どうして?
 う、恨んでるのは俺だろ!?」
凌馬がそう叫ぶと、
美月はニヤリと笑みを浮かべてから
続けたー。

「ー”わたし”が乗っ取られた方がー
 ”お前”が苦しむでしょ?」
美月の口調を混ぜたような感じで喋り出す紀明ー。

笑みを浮かべながら、凌馬のほうを見つめると、
続けて、「お前に憑依しちゃったらー
お前の意識は眠るだけで苦しまないー」と、
美月は邪悪な笑みを浮かべたー。

「ーー…ふ…ふ…ふざけるな!」
謝罪のポーズを取っていた凌馬が怒りの形相を浮かべながら
立ち上がると、そんな言葉を発するー。

「ーーふざけてなんかないー
 これは、仕返しなんだー
 僕のことを散々馬鹿にしたお前への、仕返しー…」
ギリッと歯軋りをしながらそう言い放つ美月ー。

凌馬は呆然としながら、
「お、おいっ…美月!正気を取り戻してくれ!美月!」と、
美月の肩に触れながら、凌馬は
紀明に憑依されてしまった美月に直接言葉をかけて、
美月を正気に戻そうとするー。

しかし、そんな言葉をかけたぐらいで
相手が正気に戻るほど、
憑依は甘いものではないー。

「僕に触れるな」
美月がそう言葉を口にするー。

「ーふ、ふざけるな!美月の身体はお前の身体じゃねぇ!」
凌馬が怒りを覚えてそう言葉を口にするー。

けれどー…

「僕に触れるなと言ってるだろ!」
美月は乱暴に凌馬を振り払うー。

吹き飛ばされた凌馬は、
机に腰を打ち付けて
「いてててて…」と、声を上げると
怒りの形相で美月の腕を掴んだー。

がーー
美月はニヤリと笑みを浮かべると、
「ー僕に暴力を振るうのー?
 でも、そんなことしたら傷つくのは僕じゃないよ?」と、
美月の身体が傷つく、ということを言葉で口にするー。

「ぐ…ぐぐぐぐぐぐぐぐ」
凌馬は屈辱にまみれた表情を浮かべると、
美月は、凌馬の手を振り払ってから言った。

「僕に土下座しろ」
とー。

「ーーな、何だと…?」
凌馬が不満そうに、美月を見つめるー。

しかし、美月は
「土下座しないならー…お前の彼女を滅茶苦茶にしてやるー
 今なら、僕はこの身体で何でもできるんだー。何でも」と、
そう脅すような言葉を口にすると、
今一度、冷たい口調で言葉を口にしたー。

「土下座しろー」
とー。

③へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

今日はクリスマス本番ですネ~~!!

でもいつも、当日になると
なんだかピークを過ぎたような
そんな気持ちになっちゃいます~笑

でも、今日も素敵なクリスマスになりますように…!

あ、クリスマスは今日終わっちゃいますケド、
このお話は明日も続きます~!!

続けて③をみる!

「ナイトメアクリスマス」目次

コメント