小さい頃から、大の仲良しだった三人組ー。
けれど、その組み合わせは男子二人、女子一人。
やがて、3人のうちの2人が恋人同士になり、
残された1人は2人を祝福しながらも、
次第に黒い感情に飲み込まれていくー…。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ー俺たちずっと友達だよな!」
公園で遊んでいたいつも元気な男子・
山西 啓介(やまにし けいすけ)が、
そんな言葉を口にするー。
「ーーあぁ、大人になっても、おじいちゃんになっても
ずっと友達だよ!」
眼鏡をかけた男子・金井 龍平(かない りゅうへい)が
笑いながらそう答えると、
横にいた三人組の唯一の女子・村木 絵梨花(むらき えりか)が
「えっ!?ちょっと!?わたしはおじいちゃんにはならないけど!?」と、
そんな言葉を口にするー。
「ーーあははー確かにーごめんごめん」
”わたしはおばあちゃんになるの!”と、そう指摘された龍平は
笑いながらそう言葉を口にするー。
元気な啓介と、
穏やかな龍平ー、
そして、二人のお姉さん的な存在の絵梨花ー
三人は、小さいころから仲良しだったー。
やがてー、中学生になりー、
高校生になるー。
高校生になってからは、バラバラの高校になってしまったけれど、
それでも3人は、未だに仲良しだったー。
休日の今日は三人で遊園地にやってきていてー、
それぞれ、最近の近況を口にしたりしながら、
盛り上がっていたー。
小さい頃から元気な性格の啓介は
そのまま大きくなった感じで、
通っている高校では中心的な男子生徒になっているのだと言うー。
眼鏡がトレードマークの穏やかな性格の龍平は、
真面目な好青年と言った雰囲気になっていて、
通っている高校では生徒会副会長を務めているー。
そして、唯一の女子・絵梨花は
小さい頃のボーイッシュな雰囲気とガラリと変わり、
今では優しそうな美少女になっているー。
通っている高校でも、人気が高いのだとかー。
けれどー、それでも3人は今でもこうして
よく連絡を取り合ったり、一緒に遊んだりしていたー
「ーでもさー、絵梨花、いいのか?
僕たちとなんかいてー」
龍平が眼鏡をいじりながら言うと、
絵梨花は「え?どうして?」と、不思議そうに首を傾げるー。
「いや、ほらーだって、
絵梨花ー、そのうち彼氏とかできそうな気がするしー」
龍平が少し照れ臭そうにそう言葉を投げかけると、
絵梨花は「え~?でも、龍平と啓介はー、そういうのじゃなくてさー、
もうーなんていうか、きょうだいみたいな感じじゃない?」と、笑いながら言うー。
「ーはは、確かにー。でも、龍平の言う通り
俺たちはそう思ってても、周りはそうは思わないかもなぁ」
啓介がそう言いながら笑うと、
絵梨花は少し拗ねたような表情を浮かべながら
「あ!わたしを仲間外れにしようとしてるの?
おじいちゃんになってもずっと一緒って小さい頃に約束したよね?」
と、そう言葉を口にするー。
「ーははは、何だ?絵梨花も”おじいちゃん”になる気になったか?」
揶揄う様に言葉を口にする啓介ー
「そういうこと言ってるんじゃないの!」
ぺしっ!と啓介の肩を叩く絵梨花ー
そんな光景を見つめながら、眼鏡をかけ直した龍平は、
「まぁでも、絵梨花がイヤじゃなければ、全然僕は構わないけどさー」と、
穏やかに笑うと、
「イヤとかあるわけないでしょ。そもそも友達といるより、
龍平たちと一緒にいる方が楽しいし、落ち着くしー」と、
絵梨花はそう言葉を口にするー
「なんて言うか、気を遣わずに素のまま居られるって感じ」
絵梨花のそんな言葉に、龍平は「そっかー」と頷くー。
それを聞いていた啓介も
「へへーそう思ってくれてるならよかったー」と、
満足そうに言葉を口にすると、
絵梨花は「ほら!次はあれに乗ろ!」と、
最近、この遊園地に完成したばかりの
新しい絶叫マシンを指差しながら
そちらの方に向かって走っていくー。
「ーーーー~~~~」
「ーーー」
啓介と龍平は二人して少し青ざめると、
「ー実は俺、ああいうのあまり得意じゃないんだけどー」と、
啓介がそう呟くー。
「ーーーははー僕もだー」
眼鏡をいじりながら龍平がそう言葉を口にすると、
前にいた絵梨花が「はやく~!」と、手を振ってきたのを見て、
啓介と龍平は思わず顔を見合わせたー。
「ーーー覚悟を決めるかー」
絶叫マシンからは逃げられないー。
そう悟った啓介がそう呟くと、
「ーそうだなー」と、龍平は落ち着かない様子で
眼鏡をいじりながら、静かにそう言葉を口にしたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーー」
けれどーー
3人の関係はーー”変わって”しまったー。
何故ならーーー
「ーねぇねぇ、今日は大事な話があるんだけどー」
大学生になってから、
いつものように三人で集まっていたある日ー、
絵梨花がそんな言葉を口にしたー。
「ん?大事な話って?」
高校時代とはまた違う眼鏡をいじりながら、
龍平がそう言葉を口にすると、
高校時代よりもさらにおしゃれに、可愛らしくなった
絵梨花が、啓介のほうを見つめながら頷いたー
「ーわたしと啓介ー、付き合うことにしたのー」
絵梨花がそう言葉を口にするー。
「ーーえっ」
龍平は思わず、変な声を出してしまうー。
「ーーー…いやぁ…そのー…
なんというかー…まぁ…そういうことだからー」
啓介はそこまで言うと、
「あぁ、いやー」と、気まずそうにしながら言葉を続けるー。
「ー付き合うって言っても、形式上っていうかー、
俺たち3人の関係は変わらないからさー
これからも、別に絵梨花と龍平で一緒に出掛けてもいいしー、
今まで通りで全然大丈夫だからさー
俺は別に、絵梨花と龍平が二人で会ってても
何も言ったりしないからー、
あんまり気にせず、今まで通り、なー?」
啓介がそれだけ言うと、
絵梨花も「ーうんー。気を遣わなくていいからねー?
龍平だって、わたしの大切な存在だしー」と、そんな言葉を続けるー。
「ーはははー、いやいやー、二人こそ気を遣わなくて大丈夫ー
僕は全然気にしないからさ」
龍平は眼鏡をいじりながらそう言うと、
「おめでとうー」と、啓介、そして絵梨花を見つめながら
さわやかな笑顔を浮かべるー。
「ー啓介に知らない彼女が出来たりとかさ、
絵梨花に知らない彼氏が出来たりするより、
全然良かったと思うしー、
僕も、二人なら気にせず今まで通り仲良くできるから
一番いいんじゃないかな」
龍平が笑いながらそんな言葉を口にすると、
啓介と絵梨花は安心したように頷きながら、
啓介は「よかったぁ…龍平に殴られるかと思ってたから」と
そう言葉を口にすると、「なんで僕が二人のめでたいことで
起るんだよ!」と笑いながら龍平が言葉を返すー。
絵梨花は「やっぱり、わたしたちはいつまでも仲良しだね!」と、
嬉しそうにそう言葉を口にすると、
「ー絵梨花も一緒に”おじいちゃん”になろうぜ~?」と、
龍平は揶揄う様にして言葉を口にしたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーー」
雨が降っているー。
傘を差しながら、
これまでのことを思い出していたー。
大学を卒業しー、社会人1年目ー。
先日、絵梨花から”プロポーズされた”と、
嬉しそうに電話がかかって来たー。
後日、啓介も報告してきて、龍平は
二人のことを祝福したー。
”今度、新婚旅行に3人で行くか”などと
啓介は言っていたー。
悪気はないのだろうー。
でもー
「ーーー悔しいか?」
「ーー!?」
いつの間にか、目の前に男が立っていたー。
覆面で顔の大部分を隠した鋭い目つきの男がー。
「ーーあ、あんたは?」
龍平がそう問うと、覆面の男は答えたー。
「ー俺は”闇.net”のビショップー」
とー。
そして、1枚の写真を手にするー。
そこには、啓介・龍平・絵梨花が
高校時代に撮影した楽しそうな写真が握られているー。
「ーー酷いものだよなー。
仲良し三人組のうちの二人が結ばれてー、
一人は取り残されたー」
ビショップはそれだけ言うと、
龍平は「”3人組”なら、人数的にそうなるのは普通だろ。仕方ないよ」と、
それだけ言いながら立ち去ろうとするー。
がーー
「お前に”逆転”するための力を授けようー、と言ったら?」
ビショップがそう言葉を口にするー。
「力ー…?」
龍平が表情を歪めるー。
「そうだー。俺には見えるぞー
お前の心の闇がー」
覆面の男・ビショップは鋭い目を龍平の方に向けるー。
「ーー山西 啓介と村木 絵梨花の二人が結ばれることを
本当はよく思っていないはずだー
どうして?どうして?なんで僕だけー と
そう思っているー
違うか?」
ビショップはそう言葉を口にするー。
「ーー黙れー僕は二人のことを祝福してー」
龍平がそう反論するー。
「クククー嘘だなーその悔しそうな”目”はなんだ?」
ビショップがそう言うと、
「ー本当はお前が村木 絵梨花を手に入れたかったのではないか?」
と、そう続けるー。
「違う!!!黙れ!!!」
声を荒げる龍平ー。
「ーークククー
今からでも遅くはないー
”力”をお前に授けようー。
他人の身体を乗っ取ることができる”憑依”の力だー。
この力を使ってー…
”奪え” 欲しいものをー」
ビショップはそう言葉を口にすると、龍平に対して
邪悪な気配のする光を放ったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
数日後ー
「ーー今日もお疲れー」
啓介が、雨の中、傘を絵梨花に差し出すー。
「ーうんーありがとう」
絵梨花は穏やかに微笑みながら、傘を受け取ると、
そのまま歩き始めるー。
「そういや、今度龍平の誕生日だったなー」
「ーうん!わたしはもうプレゼント、用意したよー」
そんな会話をしながら歩く二人ー。
がーー
その背後にーー
傘も持たずに雨に濡れた龍平が迫っていたー。
”奪えー欲しいものを”
ビショップの言葉を思い出して、歯ぎしりをする龍平ー。
そして、龍平は”憑依能力”を発動するー。
”ーー啓介ーーー僕だってー…僕だって!”
龍平は自分の身体を”霊体”にすると、
そのまま”啓介”に憑依しようと霊体を突進させようとするー。
がーー
「ーー!?!?」
見えないはずの”霊体”ー
けれど、絵梨花が何か気配を感じたのか、振り返ると、
「啓介!」と、声を上げて、啓介を軽く押し飛ばすー。
何かが見えたわけではないー。
何かーー”そうしないと”行けない気がしたー
「ーーえっ!?」
驚く啓介ー
いや、驚いたのは”霊体”として啓介に憑依しようとしていた龍平も
同じだったー
「ーーうっ…」
啓介ではなくーー…絵梨花の身体に衝突するようにして、
絵梨花に憑依してしまった龍平ー
「ーーえっ… あっ…」
傘を落として、絵梨花は自分の手を見つめるー
「絵梨花ーー…???」
押された啓介は、驚いた様子で絵梨花のほうを見つめているー。
「ーーーあ……」
絵梨花は、呆然とした様子で自分の手をー、
そして、髪を触るー。
雨に濡れていることも忘れて、
茫然とした表情を浮かべながら、
啓介のほうを見つめる絵梨花ー
”ーー…ぼ、僕ーー…え、絵梨花にー…?”
啓介の方に憑依して、”絵梨花の夫”の立場を
手に入れようとしていた龍平ー。
しかし、啓介ではなく、絵梨花の方に憑依してしまったー
「ーーーーど、どうした?だ、大丈夫かー?」
心配そうに呟く啓介ー。
「ーーえ……あ……そ、そのー」
絵梨花に憑依してしまった龍平は、
心底困惑した様子でそう言葉を口にするー。
がー
まさか、
”啓介に憑依しようとしたら、絵梨花に憑依してしまった”などと言うことは
できずに「ーーご、ごめんー…な、なんか、け、気配がしたからー」と、
絵梨花のフリをして、咄嗟に誤魔化すと、
啓介は「はははー…何もいないよー。大丈夫」と、
周囲を見渡しながら笑うー。
「ーーう、うんー」
絵梨花は落とした傘を拾うー
そして、自分の濡れた服を見つめると
”どうしようー…こんなはずじゃー”と、
表情を歪めるー。
けれどー、同時に自分が絵梨花の身体になってしまったことに
ドキッとしてしまった龍平は、
その思いを打ち払うかのように首を振って、
ゆっくりと歩き始めたー。
「ーーーーー」
その様子を物陰から”ビショップ”を名乗る覆面の男が
鋭い目つきで見つめていたー…
②へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
仲良し三人組のうちの2人が婚約してしまったところから
始まる悲劇…☆
そんなところから浮かんだ憑依の物語デス~!
今日は憑依するまでが中心でしたネ~!!
明日以降が本番(?)デス!

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