バレンタインデー…。
彼女は、大好きな男子生徒”そのもの”になりたかったー。
そんな彼女は
本命チョコの中に”入れ替わり薬”を混ぜて、
その男子と入れ替わろうと画策するー。
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「♪~~~~~」
高校2年生の細川 由美(ほそかわ ゆみ)は
ご機嫌そうに部屋の整理をしていたー。
「ーーーーー」
そんな由美の様子を1歳年下の妹・細川 梨沙(ほそかわ りさ)が
困惑した様子で見つめるー。
ここ最近、由美はなんだか妙に部屋を整理整頓していて、
その様子に、妹の梨沙は疑問を感じていたー。
「ーねぇ、お姉ちゃんー」
ご機嫌そうに部屋を整理する由美に対して、声をかける梨沙ー。
「え?あ、梨沙ー。どうかした?」
由美が妹の梨沙に気付いて、そう言葉を口にすると、
梨沙は「ーーお姉ちゃん、死ぬの?」と、突然、
そんな言葉を口にしたー。
「ーーえっ!?」
あまりに直球な言葉に、姉・由美は困惑しながら
自分の部屋の周りを見渡すと、
妹の梨沙は「あ、ううんー。ほら。なんか、部屋、そんなに綺麗にしちゃってー、
それじゃまるで、おじいちゃんとかおばあちゃんがやる”終活”みたいじゃない?」と、
苦笑いしながら、そんな言葉を口にするー。
「ーーあ~~~~~」
苦笑いしながら、自分の部屋を見回す由美ー。
確かに、急に身辺整理を始めた姉を見て
妹の梨沙が”死ぬの?”と心配するのは無理もないだろうー。
けれど、由美に死ぬつもりなどないー。
「ーあははー、わたしは死んだりしないし大丈夫ー
まだまだやりたいことは山ほどあるからね!」
由美がそう言い放つと、妹の梨沙は「ならいいけどー」と、
それだけ言葉を口にして立ち去っていくー。
「ーーーー」
チラッとカレンダーを見つめる由美ー。
由美が身辺整理をしている理由ー
それはーーー
クラスの大好きな男子生徒・榎本 大樹(えのもと だいき)と
”入れ替わる”つもりだからだー。
由美はクラスの男子生徒・榎本 大樹に好意を抱いていたー。
しかし、由美の”好き”は、人とは少し変わっていて、
好きになった相手と親しくなりたいー…と思うよりも先に
いつも”そのものになりたい”と、そう思ってしまうー、
そんな性格の持ち主だったー。
今もそうー。
榎本 大樹のことを好きになった由美は、
”わたしが榎本くんになりたい”と、そんなことばかり考えていたー。
もちろん、普通は”好きな相手そのものになる”なんてことはできないー。
由美は、これまでの人生の中で男子を好きになっては、
”その男子になる”妄想をして、満足していたー。
けれど、今回は違うー。
由美は、”手に入れた”のだー。
大好きな男子に”わたしがなる”
その方法をー。
それが”入れ替わり薬”だったー。
自分と相手がその薬を飲むことで
お互いの身体を入れ替えるー…というものー。
最初、由美はそれを
好きな男子・大樹の飲み物の中に盛ろうと考えていたー。
しかし、失敗した時のリスクや
誰かに見られてしまう可能性を考えて、
由美は作戦を切り替えたー。
由美が利用しようとしたもの、
それはーー…
”バレンタインデー”
だったー。
ちょうど、今は
もうすぐ”バレンタインデー”のタイミングー。
そこで由美は、”本命チョコ”に入れ替わり薬を混ぜて、
それを大樹に手渡しー、
自分自身は、入れ替わり薬の半分を飲むことで
大樹と入れ替わることを画策していたー。
そのための身辺整理を、ここ最近は進めていた由美ー。
大樹と入れ替われば、由美が大樹として、
大樹が由美として過ごすことになるー。
だから、いらないものを処分したり、
見られたくないものを密かに学校のロッカーに移動したり、
そんなことを続けていたー。
そんな身辺整理も進み、
やがて、バレンタインデーの前日を迎えるー。
好きな男子はいないからー、と、
友達へのチョコを大量に作って満足そうにしている
妹の梨沙を横目に、
姉・由美は完成させたー。
”入れ替わり薬入り”のチョコをー。
「ーー…わたし、可愛いしー…断られたりはしないよねー…?」
由美はそれだけ言葉を口にすると、
入れ替わり薬入りの本命チョコを眺めるー。
仮に、万が一断られたとしても、
おそらくチョコは食べてくれるだろうし問題はないはずー。
由美はそう思いつつ、
明日に迫ったバレンタインデー当日を、心待ちにしながら
微笑むのだったー。
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翌日ー
バレンタインデー当日を迎えた由美は
「ーーじゃあ、梨沙ー。勉強頑張ってね!」と、
朝、出かける前に妹の梨沙に言葉を口にするー。
今日、由美は榎本 大樹と入れ替わるー。
だから、こうして”一緒の家で暮らすのは最後かもしれない”と、
そう思って、そんな言葉を口にしたのだー
「ーーーーーー?」
梨沙は、まるで”別れの挨拶”のような言葉に困惑の表情を
浮かべると「ーーやっぱ、死ぬの?」と、不思議そうに
一人でそう言葉を口にしたー。
由美は、学校に到着すると、
早速、好きな男子・大樹のほうを見つめたー。
大樹は今日も、穏やかに笑いながら
他の男子生徒と話しているー。
そこまで活発なタイプではないものの、
真面目な性格で、かと言って暗いわけでもなく
友達も”ほどほど”に存在するー。
そんな大樹のほうを見つめながら
嬉しそうに笑うと、その姿に気付いた由美の友達、
島原 明日香(しまばら あすか)が声をかけてきたー。
「なになに?ニコニコしちゃってー」
明日香のそんな揶揄うような口調に、
由美は笑いながら「え~?ふふー、なんでもな~い」と、
そう言葉を口にするー。
そんな由美の反応に、明日香は笑いながら
「え~!?今、絶対ニヤニヤしてたでしょ~?」と
返すと、由美は「してない~」と、笑いながらそれを躱すー。
そんな会話をしつつ、由美はふと思い出したかのように、
「ーあ、そうそうー、明日香ー」と、口を開くと、
明日香のほうを見つめながら
「ーーいつも、ありがとねー」と、そんな言葉を由美は
口にするー。
「ーーえ…?ど、どういうことー?」
明日香は不思議そうにそう言葉を口にすると、
由美は「ううんー。なんでもない」と、微笑むー。
今日でー
”細川 由美”としての人生はおわりー。
そう思うと何だか少しだけ寂しくなってくるー。
その中で、つい言葉を口にしてしまったー。
「ーーー大丈夫?」
明日香は、なおも心配そうに由美を見つめるー。
「ー大丈夫大丈夫ー。言ってみたかっただけ」
由美はそう言葉を口にすると、
いよいよ、クラスの意中の男子・大樹に対して
”昼休みに、お話があるんだけどー…いいかな?”と、
そう言葉を口にするー。
大樹は驚いた様子を見せながらも
「わ、分かったー。いいよー」と、そう言葉を口にすると、
由美は場所と時間を指定して、
昼休みに大樹と会う約束をするー。
由美は少し緊張した様子で座席に戻ると
大樹の周りにいた男子生徒の一部が「お~?告白されるんじゃね?」などと
言っている言葉が聞こえたー。
確かに、思いを伝えるー。
ただー……人とはちょっと違う、思いの伝え方だけれどもー…。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーー…これー…よかったらー…」
昼休みー。
由美は、大樹に対して”本命チョコ”を渡したー。
「え…あ、あ、ありがとうー」
大樹は、少し戸惑いながらも嬉しそうに笑うと、
「ーーえっと…これはー…」と、
本命チョコなのか、義理チョコなのか、
どっちなのか分からないと言った様子で少し、由美の様子を
探ろうとするー。
「ーーえ、えっとー、あ、た、大したものじゃないからー!
よかったら食べてっていうだけでー
あ!手作りだから、今日中に食べてね!
ほら、保存料とかそういうの使ってないからー」
由美がそう言葉を口にすると、
大樹は「ははー…ありがとうー」と、今一度言葉を口にすると、
「帰ったら食べてみるよー」と、そんな言葉を付け加えたー。
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”作戦成功”ー
由美は嬉しそうに自分の作戦が成功したことを確信すると、
「ーあとは、家に帰ってから、わたしが入れ替わり薬を飲むだけ!」と、
そう言葉を口にするー。
由美が手に入れた入れ替わり薬は、
入れ替わる組み合わせ同士が24時間以内に同じ容器に入った
入れ替わり薬を飲むことで入れ替わるー。
既に、大樹には”入れ替わり薬を半分”盛った
本命チョコを渡してあるー。
あとは、帰宅後に自分が残る半分を飲めば完璧だー。
入れ替わりは”二人が飲んだ時点”で起きるらしいためー、
念には念を入れて、”帰宅後”に入れ替わり薬を飲むことにして、
由美はまず、帰宅を急ぐー。
例えば今、飲んで、
下校中、横断歩道を渡っているタイミングで
入れ替わりが起きたりしたら、最悪の事態が起きる可能性もあるし、
それは避けたいー。
由美は、”あ~やっと榎本くんになれる!”と、嬉しそうに微笑みながら
家に向かって歩き出すのだったー。
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「ーーふ~~…」
放課後ー。
由美が”好きな男子”である大樹は
図書委員の仕事で少し遅くなって、教室に戻って来ていたー。
がー、その時だったー
「ーーあれ???」
大樹は表情を歪めるー。
「ーー細川さんから貰ったチョコがないー?」
鞄の中に大事にしまっていた”本命チョコ”ー
大樹からすれば本命かどうかは分からなかったものの、
手作りみたいだし、せっかくだからちゃんと食べてー、と、
そう考えていたー。
しかし、それが消えていたのだー。
「ーー?????? 嘘だろー…?
細川さんになんて言えばー…?」
せっかくもらったチョコを”盗まれた”かもしれないー。
そう思った大樹は、少し困惑の表情を浮かべながら
”今度、謝ろうー”と、そんなことを思うのだったー。
そしてーー
その物陰から、隣のクラスの男子生徒ー…猪頭 謙介(いのがしら けんすけ)が
笑みを浮かべながら見つめていたー。
下心丸出しで、平気でHなことをしたり、言ったりする
女子から嫌われている男子生徒だー。
しかも、下品で不潔ー…
そんな彼は”バレンタインデー”に自分がチョコを貰えないことを毎年、
不満に思い、”他の男子が貰ったチョコ”を盗んでいたー。
「ーーーへへへへへへへー
細川さんからのチョコもゲーット…」
謙介はニヤニヤすると、チョコが入った袋の上から
その匂いを嗅いで、嬉しそうに笑みを浮かべたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
帰宅した由美は、”入れ替わり薬が入った”本命チョコを
まさか、他の男子生徒に盗まれたなどとは知らずに、
”入れ替わり薬”を口にするー。
満足そうに微笑む由美ー。
「ーーーーーふふ」
男子を好きになると、”その人そのものになりたい”と思ってしまうー。
そんな、特徴的な考えを持つ由美は、
大樹になれることを妄想しながら、嬉しそうにベッドの上に座るー。
そしてー…
急激に眠くなるような感触を覚えて、
由美は思わず笑うー。
”きっと、榎本くんもチョコを食べてくれたんだー”と、
そう確信しながら、入れ替わった後のことを想像しつつ、
そのまま気を失ったー。
・・・・
・・・・・・・
「ーーーーー!!!!!」
目を覚ました由美は
自分の身体を見つめるー。
帰宅後すぐだったために、まだ高校の制服を着ていたはずの自分ー。
でも、その服装は、”男子の制服”に変わっていて、
「ーーーあ… あ~~~~~」
声も男子のものに変わっていたー
「やった!!!え、榎本くんになれた!!!」
由美は入れ替わり成功を確信して、嬉しそうに叫ぶー。
すぐに部屋を見渡すと、
「え~~…なんか、思ったより散らかってるし、汚いなぁ」と、
そう言葉を口にしながら、ゆっくりと歩き出すー。
そしてーー
窓に反射した”顔”を見て、由美は思わず「えっ!?!?」と、
変な声を上げたー。
それもそのはずー
窓に反射したのは、由美が好きな”榎本 大樹”ではなくー、
隣のクラスの、女子から”キモい”と言われている男子ー、
”猪頭 謙介”の顔だったからだー
「ーな、な、な、なにこれ!?!?!?」
謙介になってしまった由美は、思わず悲鳴を上げるのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「えへへへへ♡ なんだこれ…? えへ やべぇ…」
姉・由美の声が聞こえるー
「ーえへへ…マジかー うへへへへっ あっ♡ すっげぇ♡」
甘い声を出す由美ー。
やがて、由美は喘ぐような声を出しながら
「マジですげぇ…」などと繰り返すー。
「ーーーーー?」
そんなおかしな様子に由美の妹・梨沙は首を傾げると、
「ちょっとー…何してるの?」と、姉・由美の部屋の扉を開けたー。
がー
そこにはー、制服を脱ぎ捨てて下着姿になってー、
自分の胸を真っ赤な顔で揉んでいる由美(謙介)の姿があったー。
「ーーー……え?」
言葉を失う妹の梨沙ー。
そんな梨沙を見て、由美(謙介)は
「うへへへへへ…やべぇ…妹も可愛いじゃんー」と、
そんな言葉を口にしたー
②へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
今日はバレンタインデーなので、
バレンタインモノデス~!!★
今年は入れ替わりですネ~~!!!
…全2話なので、
バレンタインデーが終わっちゃったあと(明日)も
続きますケド…
そこは気にしないでくださいネ~笑

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