<他者変身>変身動物園①~悪意~

その動物園では、
動物たちを”実在する人間”に変身させて
世の中に放っていたー。

狂気の動物園の目的とはー…?

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動物園の園長・白神 美佐子(しらがみ みさこ)は、
笑みを浮かべながら、
動物園を彼氏と共に訪れていた女子大生・深友里(みゆり)の方を見つめたー。

「ーーー心配しなくても大丈夫よー。
 あなたは、これからわたしたちのために働くの」

白神園長はそう言うと、紫色の禍々しい色のタブレットを手にしながら
何か操作をし始めるー。

「ーーい…一体何なんですか!?早くここから出してください!」
深友里が叫ぶー。

が、白神園長はそれを無視してタブレットを操作するー。

一見すると”優しそうなお姉さん”のような雰囲気の
白神園長ー。
しかし、この園長に深友里は拉致されたー。

「ーーーふふ」
白神園長はタブレットを深友里に向けると、突然深友里の写真を
撮影し始めるー。

「ーーーな、なにをしてるのー…?」
困惑した表情を浮かべる深友里ー。

白神園長は、それにも答えずにさらにタブレットを操作すると、
反対側の壁が動きー、壁が回転ー、
そこから、牢屋に入れられたライオンが姿を現したー。

「ーひっ!?」
深友里は恐怖を覚えるー。
”ライオン”に、自分を襲わせるつもりなのではないかと、
そんな不安を覚えたのだー。

がー、白神園長は「安心なさいー」と、笑みを浮かべると、
「この子に、あなたを襲わせたりはしないから大丈夫ー」と、
そう言葉を口にしたー。

そしてー、
先程のタブレットで撮影した深友里の写真を
タブレットに表示しながら、
何か操作を始めるー。

「ーーー…早く…早くここから出して!」
深友里の叫びを無視しながら、タブレットの操作を終えると、
「ー今から、素敵な景色を見せてあげるー」と
白神園長はそれだけ呟いて、タブレットのボタンを押したー。

禍々しい光が、ライオンに向かって放たれてー、
ライオンが雄たけびをあげるー。

がー、次の瞬間、そのライオンの姿が変化していくと、
みるみるうちに、”人間”の姿へと変身していくー。

「ーー…な……なにこれ…」
目の前の光景に、思わず呆然としてしまう深友里ー。

それもそのはずー
タブレットから放たれた光を浴びたライオンが、
深友里の姿に変身したのだー。

「ーーーふふふーどう?あなたそっくりでしょう?」
コツ、コツと音を立てながら
白神園長が深友里の方に近付いて来るー。

”深友里になったライオン”は、ライオンのような雄たけびを
深友里の声で上げているー。

その様子を見ながら「ふふー。動物っていうのは単純でねー
ちょっと調教すれば、それなりに人間らしく振る舞えるようになるの」と、
白神園長は、深友里に変身したライオンがいる檻を開けると、
深友里になったライオンを蹴り飛ばして「うるさい声を出すな!」と
乱暴に言葉を口にしたー。

座り込んだまま、呆然としている深友里に変身したライオンー。

そんな光景を前に、本物の深友里はただ、唖然とするー。

「ーーその子の”解放”準備をー」
白神園長は、部下にそう指示をすると、
タブレットをいじりながら、深友里の方を見たー。

「ーこれで、”あなた”が姿を消しても、
 誰もあなたがいなくなったとは思わないー」

そう、言いながらー。

「ーー!!」
深友里は青ざめるー。

「ーわたしたちはねー、”人手”がたくさん必要なのー。
 でも、人を捕まえれば当然、その人は”失踪”することになるし、
 人が失踪すれば、世の中は騒ぎ出すわー。

 だからこうしてー、
 拉致した人間に変身した動物を解き放つことでー…
 カモフラージュしているのー」

白神園長は、演説でもするかのように、
そこまでの説明を終えると、
「ーまぁ、人間の姿になっても所詮は動物ー。
 すぐに問題を起こすけどー、
 世間はねー”あなたがおかしくなった”としか思わない」と
クスクスと笑うー。

「容姿だけじゃないー。DNAも血液型も、”中身”に至るまで
 全てあなたそのものになるのー。」

白神園長は、”変身”の力のすさまじさを説明すると、
邪悪な笑みを浮かべたー。

「ー誰も”本当のあなたがいなくなったこと”には気付かないー」
それだけ言うと、白神園長は泣き叫ぶ深友里を無視して
ゆっくりと歩き出すー。

「ーーその子は”ガルフ”に引き渡すわー
 準備なさいー」
白神園長はそう指示をするー。

取引相手である”国際犯罪組織ガルフ”に捕らえた深友里を引き渡すー。
その見返りとして、白神園長はガルフから力と、資金を提供されるー。

「ーーーふふふーー…
 この力、素晴らしいわー」
紫色の禍々しいタブレットを手に、白神園長は笑みを浮かべると、
そのまま事務所の奥へと姿を消したー。

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「ーーー遅くなっちゃった~ごめんね」

”深友里”が戻って来るー。
一緒に動物園に足を運んでいた彼氏の慎平(しんぺい)は、
そんな深友里を見て
「はははー、大丈夫だったか?迷子になったのかと思ったよ」と、
そう言葉を口にするー。

慎平は気付いていないー。
”戻ってきた”深友里は深友里ではないことにー。
この深友里は”ライオン”が変身した深友里であることにー。

白神園長によって変身させられた動物たちは
”記憶”まで完全にコピーしてしまうー。

実験の結果ー、
人間を、他の人間に変身させると、
”記憶”まではコピーできない。
”元の人間”の持つ自我が強すぎて、
変身相手の記憶を上手く引き出すことができないのだー。

しかし、動物の場合は違うー。
動物を人間に変身させると、元々の自我や記憶量が
人間より薄いからだろうかー。
変身対象の人間の記憶のほとんどをコピーしてしまうことが分かったー。

変身後に、動物としての本能を抑える”調教”を行うことで、
本人そっくりの存在を作り出すことができるのだー。

「ーーー」
一瞬、ぼーっとしたような表情を浮かべる深友里に変身したライオンー。

「ー深友里?」
慎平が少し首を傾げると、
深友里は引きつった表情を浮かべながら、
「ーううんー…なんでもないよ~」と、少しだけぎこちない口調で
言葉を口にしたー。

「ーーーははー、疲れてそうだしー、今日はそろそろ帰るか」
彼氏の慎平がそう言葉を口にすると、
”深友里に変身したライオン”は「うん!」と、そう言いながら
その場を後にしたー。

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その数日後ー

”妙に肉ばかり食べるようになった”深友里を心配する慎平ー。

それもそのはずー、
深友里の記憶と姿を手に入れ、
動物園側から”調教”されてはいるものの、
ここにいる深友里は”ライオン”だー。

100%深友里そのものになれるわけではなく、
どうしても、”元の動物”の要素が出てしまうー。

「ーーーがぅぅぅぅぅぅ…」
獣のような声を出しながら肉を喰らう深友里になったライオンー。

そんな、深友里の姿を前に、
彼氏の慎平は戸惑うことしかできなかったー。

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「ーーーえぇー
 これは、この子は”すり替え”してありますからー、
 そちらの自由に使って頂いて大丈夫ですー」

白神園長がそう言葉を口にすると、
国際犯罪組織ガルフの”サイオンジ”が、
笑みを浮かべたー。

「ーー…~~~~~~~…」
”ライオン”とすり替えられた深友里が、
頭部全体を覆う謎のヘルメットのようなものを
取り付けられた状態で、
ピクピクと震えているー。

国際犯罪組織ガルフの”サイオンジ”は、
笑みを浮かべながら
「ーなかなかいいじゃないか」と、笑みを浮かべながら、
”深友里”を回収するー。

「ーところで、白神園長ー。
 ”殺人すり替え”の依頼なんだがー」

サイオンジがそう言うと、白神園長は
「ふふーでは、”追加報酬”を頂けますか?」と、
不敵な笑みを浮かべるー。

「ー追加報酬?」
少しだけ表情を歪める”サイオンジ”ー。

「ーえぇ…あなたたちにとっても、わたしの動物園は
 欠かせない存在になったはずですー。
 それに、わたしがその気になれば、
 あなたたちに危害を加えることだってできるー」

白神園長がそう言うと、
サイオンジは険しい表情を浮かべながら「貴様ー」と、
そう言葉を口にするー。

が、白神園長はクスクスと笑うと
「たとえ話ですよー」と、そう言い放つー

「わたしは、これからもあなたたちと良好な”ビジネスパートナー”で
 いたいと思っていますー
 ただ、”動物”を手配するにも資金が必要ですからねー。
 追加報酬、いただけますか?」

白神園長はそう言うと、タブレットを操作しながら、
サイオンジの返事を待つー。

サイオンジは不満そうに”ハイエナごときがー”と、
そう心の中で呟くと、穏やかな営業スマイルを浮かべながら、
「そうだなー。俺たちと君は、ビジネスパートナーだ」と、
握手を求めて、追加報酬を支払うことを約束したー。

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”変身”能力による成り代わりー
それには、”動物”を使った方が効率がいいー。

人間を使えば”変身能力を使った元の人間”が
世間的には”いなくなる”ことになるし、
”他人に変身して成り代わる”ということをする人員確保も難しいー。

しかし、動物であればいくらでも補充できるー。
動物が”変身”していなくなっても、わざわざ調べる人間はいないー。

また、元が動物である以上、ターゲットに変身した後でも
扱いやすいー。

表向き”動物園”として経営し、裏では闇市場から動物を仕入れ、
動物を人々に変身させるー。
動物園自体はこの行為のカモフラージュと、
”動物園の利用客”から収入を得る目的もあるー。

「ふふふ」

白神園長は、サイオンジからの依頼通りー
”殺人すり替え”を実行に移すー。

「ーーあ、あなたたちー…こんなことして…タダで済むと思ってるの!?」
国際犯罪組織ガルフを調査する女性捜査官・亜優(あゆ)を
捕らえた白神園長は紫色のタブレットを手に、亜優を撮影するー。

亜優の話を全く聞かず、そのまま動物園で保管していた
チンパンジーを呼び出すと、
そのままタブレットの光をチンパンジーに浴びせるー。

すると、チンパンジーが”亜優”の姿に変身したー。

「ーー…な……」
女性捜査官・亜優は困惑の表情を浮かべるー。

「ーーこれで、”本物”のあなたを殺しても誰も気付かないー。
 これが、”殺人すり替え”ー」

白神園長はそう言葉を口にすると、
”亜優になったチンパンジー”に、”調教”を行うように指示をするー。

「ーーー………な、なんて恐ろしいことをー…」
本物の亜優が言うと、白神園長は
タブレットをいじりながら、そのまま亜優を無視して
立ち去っていく。

やがてー…
しばらくすると、亜優に変身したチンパンジーが、
亜優の前にやってきたー。

子供のように笑う亜優に変身したチンパンジー。

「ーー本物、殺せって、命令されたからー」
亜優に変身したチンパンジーはそう言葉を口にすると、
本物の亜優の首を絞め始めるー

子供のようにキャッキャッと笑いながらはしゃぐ
亜優姿のチンパンジー。

亜優は、”自分自身”の姿をしたチンパンジーによって
命を奪われてしまったー。

「ーーさぁ、後はこの女の記憶を辿って、
 その女のフリを続けなさいー。
 命令は、ガルフから送られるから、その通りにするのよ」

白神園長はそう言うと、亜優になったチンパンジーは
チンパンジーのような動きをしながら「分かりましたー」と、
そう言葉を口にしたー。

”亜優”のすり替え殺人に成功した白神園長は笑みを浮かべたー。

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「ーーなんだか、最近深友里の様子がおかしいんだー」

少し前に動物園を訪れた男子大学生・慎平は
友達にそんな相談をしていたー。

深友里の様子がおかしいー。
そんな疑問を抱いていたのだー。

それもそのはず、深友里は動物園を訪れたあの日、
本物は白神園長らに捕まり、
国際犯罪組織ガルフに”出荷”ー

今、日常生活を送っているのは
あの動物園にいた”ライオン”が深友里に変身した姿だー。

「ーーー気のせいじゃないのかー?」
友達が困惑した様子で言うー。

がー、どうしても心配になってしまった慎平は、
まさか、相手が”偽物”だとは知らずに、
深友里の家を直接訪れることを決めるのだったー。

②へ続く

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動物を人間に変身させて、
本物とすり替えている動物園のお話デス~!

続きはまた明日デス~!!

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他者変身<変身動物園>

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