明らかにバッドエンド直行な”憑依”ー。
そんな憑依が行われている場所に現れては、
強引に”ハッピーエンド”に捻じ曲げていく男ー。
そんな彼が次に向かった場所はー…?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ククククー
お前の妹はもう、俺のものになったんだー
今、それを見せてやるぜー」
「ーーふ、ふざけるな!楓(かえで)を返せ!」
邪悪な笑みを浮かべる妹の楓ー、
そんな楓の前で、怒りの形相を浮かべている兄・達也(たつや)ー。
”憑依”による悪夢ー。
楓は今、兄・達也と同じ大学に通う男・勝雄(かつお)に憑依されている状態だったー。
しかもーー…
勝雄が楓から抜け出し、楓がその場に倒れ込むと、
楓がゆっくりと意識を取り戻すー。
それと同時に、楓の中から出て来た勝雄が
ニヤリと笑みを浮かべながら、
「ーへへー見てみろ」と、そう言葉を口にするー。
するとー、意識を取り戻した楓が、
勝雄のほうを見て、うっとりとした表情を浮かべながら
「ー勝雄くんー…」と、そう言葉を口にしたー。
「ーなっ…」
呆然とする達也ー。
そんな達也の前で、楓を抱き寄せて
挑発的に笑うと、勝雄は口を開いたー。
「憑依して、お前の妹の”思考”を俺色に染め上げてやったんだー。
お前の妹の身体で一晩中、”勝雄くんのことが好き”って
そう言い続けてなー… クククー」
勝雄はそう言うと、嬉しそうにしている楓を見て、
「ー俺に抱かれて幸せだろ?」と、そう言い放つー。
「ーーうん♡」
楓は、今まで見せたこともないような表情で、
嬉しそうに微笑むと、
それを見せ付けられた兄・達也は
「お、おい!楓!しっかりしろ!正気を取り戻せ!」と、そう叫ぶー。
がー、楓は
「お兄ちゃんなんて、大っ嫌いー」と、
敵意をむき出しにしてそう言い放ったー。
元々は”仲良し”だった二人ー。
けれども、それも憑依で歪められてしまったー。
「ーークククー
残念だが、もうお前の妹は元には戻らないー。
俺が憑依で俺色に塗りつぶしたからなー。
元に戻す方法はねぇー」
邪悪な笑みを浮かべながら勝雄がそう言い放つとー、
楓の兄・達也は呆然とした表情を浮かべながら
その場に膝をつくー。
「真っ白な壁に、どす黒いペンキを塗りまくれば
もう元の真っ白には戻らねぇ。分かるだろー?
ーーこれで、楓は俺のものだー」
勝雄はそう言葉を口にしながら、
楓を今一度抱き寄せると、そのままキスをして見せたー。
楓が幸せそうな表情を浮かべているのを見て、
「よくもー…」と、兄の達也がそう言いかけたその時だったー。
「ーー!?!?!?」
マンションの4階にある部屋の窓からー、
”男”が入って来たー
「ーーあ?」
「ーーーえ…??」
「ーちょ…えっ!?ど、どちら様ですかー?」
勝雄、憑依で塗りつぶされた楓、そして達也ー。
それぞれが突然の来訪者に驚きの表情を浮かべると、
4階のベランダから入って来た男は言った。
「ーハッピーエンド主義者だ」
とー。
「ーーは…?」
”憑依”で楓を手に入れた勝雄が
表情を歪めながら
ハッピーエンド男を見つめると、
男は突然、楓の頭を掴んだー
「ーーひっ!?!?」
勝雄も、楓の兄・達也も驚いたような
表情を浮かべるー。
それと同時に、ハッピーエンド男の手が光を発してー…
楓がビクンと震えるー。
その様子を確認したハッピーエンド男が、
楓から手を離すと、
楓は「あ…あれ…?わ、わたしー…」と、そんな言葉を発しながら
周囲を見渡すー。
「ーー…か、楓ー…?」
兄・達也がそう言葉を口にすると、
楓は「お兄ちゃんー!」と、そう言葉を口にしながら
達也の方に近付いていくー。
「ーー!?!?!?」
楓に憑依し、楓の思考を”俺色”に染めた勝雄は
驚きの表情を浮かべるー。
「ーーな、何だとー…?も、元に戻るなんて聞いてないぞー!?
ぜ、絶対に元に戻らないってー、そう説明されたのにー!?」
勝雄がそう叫ぶと、
ハッピーエンド男は言ったー。
「ー真っ白な壁に塗られた黒いペンキなど、
消してしまえばいいー」
とー。
その言葉に、勝雄は
「そ、そ、そんなことできるわけー!?」と、そう叫ぶも、
ハッピーエンド男は自信満々に言ったー。
「ー俺ならできる。」
とー。
「ーーっ…」
勝雄が呆然とする中、
達也や妹の楓が元に戻ったことに、安堵の表情を浮かべながら
「よかったーよかったー」と、そう言葉を口にしているー。
ハッピーエンド男は
その様子を見つめながら、満足そうに「ハッピーエンド」とだけ呟くと、
「さて」と、勝雄のほうを見つめるー。
「どこで憑依薬を手に入れた?言え」
と、そう言葉を口にするハッピーエンド男ー。
その言葉に、勝雄は震えながら
「ーーふ、太った男ー…や、闇.netのルークとか言ってたー」と、
そう言葉を口にするのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・
青い光が漂う空間ー。
”闇.net”と呼ばれる謎の集団の幹部・ルークが、
お菓子を食べる手を止めて、
巨体を揺らしながら立ち上がるー。
「ー誰だ!?」
ルークがそう叫ぶと、
そこに姿を現した大男、ハッピーエンド男が笑みを浮かべたー。
「ーハッピーエンド主義者だー」
とー
「ーどうやってここに入ったー?
ここは”ネットワーク空間”ー外部から入ることなどー」
ルークは表情を歪めながらそう言葉を口にすると
食べていたお菓子の袋を放り投げてから、
言葉を口にしたー。
「ー僕たちに逆らうことの意味、理解しているのかー?」
ルークのその言葉に、
ハッピーエンド男は言ったー。
「知らん。お前たちが誰かも知らないし、興味もない」
とー。
「ーーー」
ルークは少しだけ笑うと、
「ーだったら、消えて貰おうー」と、そう言葉を口にしてから、
自らの巨体を”巨大なボール”のように変形させたー。
さらに、全身を鋼鉄化してトゲを出現させると、
「この僕、闇.netのルークの奥義ー、”アイアンボール”で
お前を踏み潰してやるー!」と、そう叫びながら、
ハッピーエンド男に向かって突進してきたー。
がーー、
ハッピーエンド男はそれを指一本で受け止めると、
驚くルークに向かって言ったー。
「ーなんとかネットのボール野郎ー。
お前こそ、俺に逆らうことの意味を理解しているのか?」
とー。
「ーーーな、何ぃっ…!?」
”アイアンボール”となった自分自身を受け止められたルークが
驚きの声を上げると同時にー、
ハッピーエンド男は、拳をルークに叩きこむー
そしてー、決して砕けるはずのない、鋼鉄にヒビが入り、
闇.netのルークは”信じられないー”という表情を浮かべながら
粉々に砕け散ったー。
「ーーハッピーエンドを冒す者、許すまじー」
ハッピーエンド男はそう言葉を口にすると、
ルークの残骸を消滅させて、そのまま
謎のネットワーク空間から立ち去って行ったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
異世界ー。
「ーーーミーネ…!い、いったい何をー!?
”魔王討伐”に向かっていた勇者一行の一人、
参謀役のモリスがそう言葉を口にすると、
魔王の配下に”憑依”されてしまった巫女・ミーネは
血のついた刃物を手に、邪悪な笑みを浮かべたー。
「ククククーー
油断したなー勇者よ!」
そう叫ぶ巫女・ミーネの足元には
魔王討伐に向かっていた勇者・マークスが
大量の血を流して倒れ込んでいるー。
勇者マークスは、
仲間である巫女・ミーネが
魔王の配下の魔物に憑依されてしまったことに気付かず、
急所を刺されてしまい、大量出血した状態で
倒れていたー。
「く…よ、よくも!!!」
マークスの仲間の一人で、マークスの幼馴染でもある
フィーナが怒りの形相を憑依されたミーネの方に向けるー。
マークスは、既にどう考えても助からない状態ー。
フィーナも、モリスも、
憑依されたミーネのほうを見つめながら
険しい表情を浮かべるー。
「ークククー
この女を助けたいか?
残念ながらそれも無理だなー。
我の憑依は”融合型”ー。
その相手の肉体に完全に絡みつき、
我が肉体とするー。
この女の意識はもうー、死んだ」
ミーネは邪悪な笑みを浮かべながら
フィーナとモリスのほうを見つめるー。
勇者は刺されて瀕死の状態ー。
この世界の回復魔法を使ったとしても
もはや助かることはないほど出血していて、
死を待つしかない状況ー。
仲間の巫女・ミーネは憑依されて
完全にその身体を乗っ取られてしまっているー。
ミーネに憑依した魔物を外に追い出すことは”困難”だー。
しかもー
「ククククー貴様らも終わりだー」
巫女・ミーネが邪悪な笑みを浮かべながら
そう言葉を口にすると、
周囲から大量の魔物たちが姿を現したー。
「ーーーくっ…こんなに魔物たちがー」
学者のモリスがそう言葉を口にすると、
勇者マークスの幼馴染・フィーネも「そんなー」と、
絶望的な表情を浮かべるー。
がー、
その時だったー。
突然ー、時空が避けるかのようにして、
空間に歪みが生じてー
そこから大男が姿を現したー。
太っているー、というわけではなく、
屈強な感じの大男だー。
そうー、ハッピーエンド男が
次元を超えてその場に出現したー
「ーなんだこの世界はー
ラノベとかRPGゲームみたいな世界だな」
ハッピーエンド男がそう言葉を口にするとー、
”この世界”にとってはおかしな服装の男を見て、
「あ、あなたはー?」と、学者のモリスがそう言葉を口にしたー。
「ーハッピーエンド主義者だ」
男がそう答えると、魔物に憑依されているミーネも
困惑の表情を浮かべるー。
そしてー…
「ーまずはこの男だなー」と、ハッピーエンド男は
倒れている勇者・マークスに近付くと、
この世界にはない医療器具の数々を取り出したー。
「何ですかそれは!?」
学者のモリスが言うと、
「ー手術道具だ」と、そう言葉を口にする
ハッピーエンド男ー。
そして、手術をその場で初めてしまうー
謎の光る端末を手術用のモニターにしながら、
そのまま治療を進めていくハッピーエンド男ー。
もちろん、勇者・マークスの状況は
男がいる世界の医療であっても、もはや死ぬしかない状況だー。
しかし、ハッピーエンド男はあり得ない速度と
あり得ない技術で、マークスを治療していくー。
「ーお、おいっ!何をしているー!?
そいつを殺せ!」
憑依されている巫女・ミーネがそう叫ぶと、
ハッピーエンド男に魔物たちが向かっていくー。
がー
「オペの邪魔だ。失せろ」
男はそう言うと、手術を続けながら
魔物たちのほうを見ることもせず、
魔物を蹴散らしていくー
「ーな、なにアイツー…」
勇者の幼馴染のフィーナも困惑した様子を見せるー。
魔物たちが次々と倒されていく中
「よしー。完了だ」と、そう言葉を口にすると、
勇者マークスの出血は既に止まっていたー。
魔物たちを蹴散らしながら、
憑依されたミーネの方に近付いていくと、
ミーネは「くそっ!」と声を上げながら
錫杖から攻撃魔法を放ったー。
しかしー…
ハッピーエンド男は、シュッと瞬間移動のような動きをして
それを回避すると、ミーネに近付いたー。
「その身体から出て行ってもらおう」
男の言葉に、
ミーネに憑依している魔物は
「ククーそれは無理だー。我が憑依は、乗っ取った身体と完全に融合するものー
一度憑依したら最後ーもう、この女はー」と、
そう言葉を口にするー。
がーー
「ーそんなの関係ない」
ハッピーエンド男はそう言うと、ミーネの頭を掴んで
魔物を引っ張り出すー。
そして、引っ張り出した魔物を蹴り飛ばして粉砕すると、
そのままミーネの”手術”も開始するー。
魔物を全滅させて、
ミーネとマークスを救った
ハッピーエンド男は「ハッピーエンド」と、静かにそう呟くと、
「ー二人はじきに目を覚ますー。
安心しろー」と、呆然とするフィーナとモリスに言い放つと、
ゆっくりと歩き出すー。
「ー俺は元の世界に帰る。
ついでに魔王も潰していくから、お前たちは
平和に暮らすといい」
「えっ…?」
去り際にそう言葉を口にした男に対して
フィーナが首を傾げるー。
がー、ハッピーエンド男はそれを有言実行ー、
魔王の城の最上階に突然姿を現し、
魔王を踏み潰すと、その世界に平和をもたらして
そのまま元の世界へと帰っていくのだったー。
「ーーーー」
”ハッピーエンド主義者”を名乗る彼が何者なのかー。
それは、彼本人にしか分からないー。
③へ続く
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コメント
あまり強引なハッピーエンド男によって
もたらされるハッピーエンド…☆!
次回が最終回デス~!!!☆
…ちなみに、サブタイトルがないのは(①とか②のあとにいつもサブタイトルがあります~!)、
元々の題名が長すぎるので、省いています~笑

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