<他者変身>君の姿だけ貸してほしい②~面倒事~(完)

①にもどる!

全く売れている気配のないリサイクルショップの
”アルバイト”に応募した女子大生。

すると店主から”君の姿だけ貸してほしい”と言われた彼女は、
驚きながらもその条件を受け入れることに決めるー。

そしてー…?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーそういえば円花さ~
 新しいバイト探してるって言ってたよね~?
 見つかったのー?」

円花の友達・亜希がそう言葉を口にしながら
円花に近付いて来るー。

亜希は、例のリサイクルショップのアルバイトに応募して
2つ質問されただけで不採用にされてしまった子だー。

リサイクルショップの店主からすれば
亜希は”可愛くない”と判断されたために、
それでロクに質問もされないまま不採用になっているー…

ーー…と、いうことを亜希本人は知らないものの、
知ってしまったら余計に怒るだろうし、
知らないままの方が良いのかもしれないー。

「ーーえ~~~
 あ~~~うん、もうちょっと探して見ようかな~って」
円花は亜希に対してそんな返事をするー。

あのリサイクルショップは大学から離れているし
”わざわざ足を運ぶような場所”ではないー。

”円花に変身した店主”を見られるのも何だか恥ずかしい気もするし
余計なトラブルになりそうだから、と、
円花は例のリサイクルショップに”姿だけ貸した”ことは
亜希には言わずにおいたー

”そういえば、お店、どうなったかなー?
 売上が伸びないと私もバイト代手に入らないしー
 あのおじいさんが、わたしの身体で変なことしてないかも
 一応心配だしー”

”姿”を貸してから1週間ー。
面倒臭がり屋でもある円花は、
あれから一度もリサイクルショップには顔を出していなかったー。

がー、流石にこのままずっと放っておくのは心配だー。
そう思った円花は一度、例のリサイクルショップを”見に行く”
ことに決めるのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーいらっしゃいませ~!」
円花の姿に変身してお店で接客を始めてから1週間ー。

店主の男ー、恵三(けいぞう)は、
少しずつ手ごたえを掴み始めていたー。

1日に一人もやって来なかったお客さんがー、
1日に”数名”ずつやって来るようになったのだー。

「ーえへへへー愛奈(まな)ちゃんのために
 今日もいらないもの持って来たよー」

50代ぐらいのおじさんがそう言葉を口にしながら、
円花の姿をした店主・恵三の元にやって来るー。

”愛奈”とは、円花に変身した恵三が名乗っている名前で、
円花がこの店にやってきた日、採用後に円花本人と
相談して決めた名前だー。

「ーーわ~~ありがとうございます~~!」
円花の姿で、店主の恵三は愛想よく振りまいてみせるー。

このおじさんは、数日前に、円花の姿をした恵三が
お店の前で”呼び込み”をしていた時に
”円花の姿”に釣られて、家のものを色々買い取りに
持ってきてくれるようになったおじさんだー。

明らかに”下心”がありそうな雰囲気ではあったものの、
それでも、店主の恵三からしてみれば
ありがたい存在でもあったー。

「あ~~!これ!懐かしいですね~~!
 ワシが子供の頃もよくー」
円花の姿で、恵三は買い取りに持ち込まれた
”レトロなもの”を見つめながら
興奮した様子でそう言葉を口にしてしまうー。

「ーーーんん???
 愛奈ちゃん、良く知ってるねー?
 最近の若い子は知らないと思ってたけどー」
客のおじさんがそう言葉を口にすると、
円花に変身している恵三は
「え、あ~~~!こ、この店の店主ー!
 わ、わたしのおじいちゃんがよく見せてくれて~!」と、
咄嗟に誤魔化すー。

「あー、あぁ~、そういうことかぁ~へへ」
おじさんのその言葉に、
円花に変身している恵三は、ホッとひと息を吐き出すー。

”愛奈”を名乗っている円花の姿をした恵三は
表向き”店主の恵三の孫娘”ということになっているー。

”おじいちゃんのお店が大変なんです!!
 誰か助けて下さい!”というSNSでのアピールも始めて、
お客さんの数がコツコツと増え始めているー。

”あのおじさんー、絶対ワシの胸元とか足ばかり見てたよなー…?”
おじさんが帰ると、
そんなことを思いつつ、自分の胸元ー…
円花の胸元のあたりを見つめるー

「い、いやー…”ワシの”じゃないかー」
少しドキドキしながら、そんな言葉を口にすると、
そこにー、ちょうど”本物の円花”がやってくると
円花は「こんにちはー」と、そう微笑みながら、
円花に変身している恵三の方に近付いて来たー。

「ーあ、あぁ、君かー
 君のおかげでワシの店もいい感じになって来たよー
 今も買取が来てたところでー」

たった今、買取を終えたばかりのものを
カウンターの上に並べながらそう言葉を口にすると、
本物の円花は”ツインテール”の髪型で
どこかアイドルのような衣装を身に付けている
”円花に変身した店主”を見て苦笑いするー。

「ーそういう格好が好きなんですねー」
円花が少し冗談めいた口調で言うと、
「えっ…?あ、いやー…そ、そういうわじゃー
 ただー…」と、円花の姿のまま店主は
顔を真っ赤にしながら言うー。

「ーーあははー別にいいですよー。」
本物の円花がそこまで言うと、
円花の姿をした恵三は「へ、変なことは約束通りしないからー」と、
そんな言葉を口にしたー。

円花に変身している恵三自身も、
確かに”円花になっている自分”に、ドキドキはしてしまっているー。

ただー、円花の姿でHなことをしたり、
円花の身体で過激な自撮りを撮影してネットに流したりー、
お客さんに対して色目を使ったりー、そういうことまではしていないー

多少ー、服装とか仕草で”あざとい”ことは
しているものの、”それ以上”にはならないようには
注意しているつもりだー。

円花は、そんな”わたし”に変身している恵三の姿を見つめながら
その言葉を信じると、
「お店、もっと繁盛するといいですねー」と、そう言葉を発するー。

普段、自分がしないツインテールの髪型に、
普段、自分が着ないような服装を身に着けている”わたし”を見ると
変な気分になるー。

ただ、そんな状況を少し楽しいと思いながら
円花は少しだけ笑うと、
ちょうど、”別のお客さん”がお店にやってきてしまったー。

”お店のSNS”を見てーー
円花の姿をした恵三の”おじいちゃんのお店が大変!助けて下さい”という言葉と
顔を隠した写真に釣られてやってきたお客さんが
”同じ顔の子が店内に二人いる”のを見て驚いた表情を浮かべるー。

円花と、円花に変身している恵三ー。
当然、二人揃っていると、いくら髪型や服装が
違うとは言っても、”同じ人間が二人”いるようにしか見えないー。

やってきた客の男は、そんな二人を見つめながら
心底驚いたような表情を浮かべていると、
円花は咄嗟に「あ、え、えっとーこの人はドッペルゲンガーです!」と、
あまりにも訳の分からない説明をしてしまったー。

そんな円花をカバーするかのように、
円花に変身している店主・恵三は
「あー、あははー…双子なんですー」と、
”無難な説明”を口にするのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーやった!ホントにバイト代入ってるー!」

それから、1ヵ月近くが経過したー。

”約束通り”
バイト代を振り込むと言われた日に
店主の恵三からバイト代が振り込まれているのを確認した
円花は嬉しそうに声を上げるー。

しかも、そこそこ売れたのか、
円花の予想以上にバイト代が振り込まれていて、
円花は心の底から満足そうに笑みを浮かべていたー。

「ーー実際にバイト代入るまで不安だったけどー
 ちゃんと約束を守ってくれてよかったー」

円花はそう言葉を口にすると、
「ーわたしの姿で変なこともしてないみたいだしー」と、
安堵の表情を浮かべるー。

ただー、そうは言っても、
急にあの店主のおじいさんが心変わりしてしまう可能性は
0パーセントではないし、そこは気を付けないといけないー。

「ー時々、見に行けばいいかな」
円花はそう呟くと、
満足そうにバイト代が振り込みされたことが確認できる
銀行口座の画面を見つめながら笑みを浮かべるー。

もちろん、面倒臭がり屋である円花からしてみれば、
”定期的にリサイクルショップを見に行く”ということも
手間ではあるー。

ただ、それでも、
普通のアルバイトをするよりもはるかにマシだ。

仮に1週間に一度、”わたしの姿で働いている店主のおじいさん”を
見に行ったとしても、それ以外は自由にしていられるー。

それで、バイト代は半月ごとに1回振り込んでくれるという
約束になっているし、実際に振り込まれたー。

普通のアルバイトをするよりも、
円花にとっては、遥かに”楽”だったのだー。

「ーーむふふふふー
 あのお店、もっと売上上がるといいなぁ~」
円花は満足そうにそう言葉を口にすると、
嬉しそうに笑みを浮かべるのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーありがとうございました~!」
今日も円花の姿で接客を続ける店主・恵三ー。

お店の売上はさらに増えて、”順調”そのものだったー。

もちろん、どんなに可愛い子がお店をやっていようと、
それで売上が上がるとは限らないー。

ただ、恵三のお店の場合はそれが上手く行ったー。

明らかに”可愛い子目当て”のお客さんもいるけれど、
1日営業していて誰も来なかったような状況からすれば、
それでもお店にとってはプラスだったー。

「ーん~~ワシみたいなじいさんでも、
 この子の姿を借りるだけで、お客さんの反応も随分違うなー」

円花の姿で恵三はそう言葉を口にすると、
「さて、今日も忙しくなるぞ」と、そう呟いたー。

来店客が増えて、買取が増えれば当然忙しくなるー。

円花の姿に変身しているうちは、足腰も強くなるー。
ただ、体力面は”自分のもの”のままなのか、
消耗は激しいー。

「ーーよし」
自分を奮い立たせるかのように、そう言葉を口にすると、
また、お店にやってきた別のお客さんの対応をし始めるのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

それから、1週間が経過したある日ー。

今日は大学も休日であったために
ゆっくりと寝ていた円花のスマホが何度も何度も音を立てた。

「ん~~~~~こんなに早くなのに、何ー?」
円花は、休みの日なのに朝早くに起こされたことに対し、
少し不満そうな表情を浮かべながら
スマホを確認するー。

すると、そこには実家の両親や友達、
そういった人たちから大量のメッセージと着信が入っていたー。

「ーー????」
何かやらかしたかと思い、心配そうな表情を浮かべる円花ー

そしてー
内容を確認すると円花の身を案じる内容や、
まるで”円花が死んでしまった”ことを受け入れられないような
メッセージが届いていたー

「えっ…何?」
心底困惑した表情を浮かべる円花ー。

”ねぇ、どういうことー?”
友達の亜希にメッセージを返すと、
亜希は”え…し、死んだんじゃないのー?”と、驚いた様子で
メッセージが返って来たー。

”い、生きてるけどー?何があったの?”
円花がそう返事を返すと
亜希は”テレビかスマホでニュースを見て”と、そう返して来たー。

言われた通りにする円花ー。

するとー…
”店内で死亡していたのは、寺峰 円花さんと確認されー”
と、そんなニュースが報じられていたー。

”目立った外傷はないものの、店主の男が現在行方不明になっておりー…
 事件、事故の両方からー”
続けて、そんな言葉が聞こえて来るー。

「え……な、何これー…?」
円花は呆然とするー…

店主の恵三は70代ー。
円花に変身していたために、身体への負担に気付いていなかったものの、
急激に激務になったことで身体に大きな負担がかかりー、
昨夜、店で倒れて”円花の姿のまま”死んでしまったのだー。

変身した状態で死んだため、変身も解除されずー、
DNAや指紋に至るまで、正確に”再現”されていたために
”円花の遺体”と勘違いされてしまったー。

しかも、店主の恵三は円花の姿のまま死亡したため、
事情を知らない人からすれば
”女子大生が店で死亡していて、店主は行方不明”の状態ー。
それで、大きな騒ぎになっていたー。

「ーーう、嘘でしょー…?」

”死人扱い”ーー
そんな状況になってしまった円花は
”これから、とっても面倒臭いことになりそう”だと、
そう思いながら、呆然とすることしかできなかったー

おわり

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コメント

店主のおじいさんに悪意はなかったものの、
大変なことになってしまいましたネ~…!

色々後始末に苦労しそうデス~!!!

お読み下さり、ありがとうございました~!★!

「君の姿だけ貸してほしい」目次

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