<皮>誤魔化そうとするほど墓穴を掘っていく③~末路~(完)

②にもどる!

憧れの子を”皮”にする場面を
目撃されてしまったー。

そんな状況を誤魔化そうとすればするほど、
彼は自ら墓穴を掘り、窮地に追いやられていくー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーえっ…い、いやー、ち、違う、こ、これはー…」
梨奈の身体を乗っ取ったまま、大輔はそう言葉を口にすると、
”目撃”してしまった梨奈の彼氏であり、幼馴染の浩太は
心底困惑した表情を浮かべながら、
梨奈のほうに視線を向けるー。

梨奈の足元には、梨奈の友人の千穂が倒れているー。

”梨奈を乗っ取った場面”を、
目撃されてしまったことで、
警察に通報されそうになってしまった大輔は、
咄嗟に千穂を殴りつけてしまい、
千穂はその際に頭を打ち付けて
気絶してしまっている状態だー。

しかも、鼻から血を流していて、
その血が”梨奈”の手についている状態ー。

偶然その光景を目撃してしまった梨奈の彼氏ー、
浩太は唖然としているー。

浩太からすれば、
”いつも優しい彼女が、友達を殴りつけて気絶させた”
ようにしか見えなかったからだー。

「ーー…ゆ…ゆ…湯村さんー?」
震えながらそう言葉を口にする浩太ー。

それと同時に、倒れている千穂の方に駆け寄ると、
心配そうにその様子を見つめて、
「だ、誰か!」と、外に向かってそう叫ぶー。

がー、梨奈を乗っ取っている大輔は
そんな浩太を前に戸惑いの表情を浮かべると、
「こ、こ、これは、違うんだー…お、俺は悪くない!」と、
そう言葉を口にするー。

梨奈が”俺”と言っている光景を前に、
浩太は「ど…ど、どういうことー?」と、そう言葉を口にすると、
梨奈を乗っ取っている大輔は続けたー。

「お、お、俺は湯村さんを”正しい道”に導こうとして
 湯村さんの身体を乗っ取ったんだ!
 それなのにー、俺のこと、警察に通報しようとするから!」

とー。

その言葉に、浩太は「の、乗っ取るってー…???」と、
混乱した様子で言葉を口にするー。

「ーー!!」
梨奈を乗っ取っている大輔は、そんな反応にハッとするー。

千穂を殴りつけてしまったことを目撃されたことに
動揺して、”それだけを誤魔化そうと”してしまった結果ー、
またもや、梨奈を乗っ取っている大輔は
”余計なこと”を言ってしまったー。

そもそも、浩太は”梨奈が乗っ取られる場面”を見ていないし、
梨奈が皮にされて乗っ取られた、などということは知らないー。

目撃したのは、”梨奈を乗っ取った大輔”が、
千穂のことを殴りつけた場面だけー。

そのため、いくらでも”誤魔化す”ことはできたのだー。

梨奈のフリを続けて、梨奈に罪を擦り付けることだって
やろうと思えばできたかもしれないー。

しかし、大輔は浩太に”全てを見られた”と思ってしまったのか、
千穂を殴って失神させたことという罪から逃れることしか
考えられなくなってしまっていたのか、
墓穴を掘るような言葉を繰り返してしまったー。

「ーーい、いや、ちがっーー
 わ、わた、わたしはわたしだっ!!」

梨奈を乗っ取っている大輔も、浩太に余計なことを
言ってしまったと気付いたのか
そう言葉を口にするー。

しかし、一人称以外、
梨奈の真似を全くすることができておらず、
さらに浩太に怪しまれてしまうー。

「ーあ、あはははー
 あはははー
 わ、わたしはどこからどう見ても、湯村 梨奈でしょー?
 お前の彼女のー」

梨奈のフリをして必死に誤魔化そうとする大輔ー。

けれど、”どうしてそうなってしまうのか”と、
疑問を抱いてしまうぐらいに、
喋れば喋るほど、墓穴を掘ってしまっていたー

「ーー…ゆ、ゆ、湯村さんは、僕のこと、”お前”なんて言わない!」
浩太はそう言葉を口にすると、
大輔に乗っ取られた梨奈のほうを見つめるー。

「ーーぐ…ぐぐぐぐぐぐぐー
 うるさいうるさいうるさいうるさい!!
 湯村さんはお前なんかの彼女でいるべきじゃないんだ!」

梨奈の身体のまま、大輔は不満そうにそう叫ぶー。

浩太は大輔が自ら”湯村さんの身体を乗っ取った”と言っていたのを
思い出しながら、
「ーゆ、湯村さんの身体を乗っ取ったって言ったなー…!
 ゆ、湯村さんから出て行け!」
と、浩太はそう叫ぶー。

その上で「何か理由があって成仏できないって言うならー、
ぼ、僕がー…、僕がその未練を晴らすから!」と、
浩太はさらにそう続けたー。

浩太はどうやら、彼女である梨奈の身体を乗っ取っている相手を
”幽霊”か何かだと思っているようだー。

それなら、そう思わせておいた方が、
梨奈を乗っ取っている大輔にとっては”有利”だー。

しかしー

「俺は幽霊じゃねぇっ!」
幽霊扱いされたことに腹を立ててしまったのか、余計なことを
言ってしまうー。

「ーゆ、幽霊じゃないー…?」
浩太は、戸惑いながら梨奈を見つめると、
梨奈を乗っ取っている大輔は、
少しだけ間を置いてから言葉を続けるー。

「ーねぇー、あのさ、”何でも”してあげるからー
 見逃してくれないー?」

梨奈のフリをしながら、
浩太を誘惑し始めるー。

とにかく、まずはこの窮地を抜け出さないといけないー。

しかしー…
「ぼ、僕、そういうの苦手だからー」と、
それだけ言葉を口にすると、
浩太は「いいから、湯村さんから出て行け」と、
先程よりも強めの口調で
そう言葉を続けたー。

その上で浩太は倒れている千穂のほうを見て
心配そうに表情を浮かべるー。

さっき、助けを求めたけれど、
まだ誰も到着していないー。

”くそっ、くそくそくそー…
 俺はただー…ただ、ちょっと楽しみたかっただけなのにー”
梨奈を乗っ取っている大輔は、
そう思いながら険しい表情を浮かべるー。

そうこうしているうちにー、
ようやく、騒ぎを聞きつけた先生や、他の生徒たちが到着したー。

「ーゆ、ゆ、湯村さんー!?」
女性教師がそう言葉を口にしながら
乗っ取られている梨奈と、倒れている千穂を見て唖然とするー。

浩太は駆け付けた先生数名に事情を説明すると、
梨奈を乗っ取っている大輔は、
”この窮地”をどう脱出すれば良いか分からず、
頭を掻きむしりながら険しい表情を浮かべるー。

がーーー
ここで、梨奈を乗っ取っている大輔は
”あること”を思いつくー。

”いや、待てよー?
 まだ、俺が湯村さんを乗っ取ってるってことはー
 ここに倒れてる森坂さん以外知らないはずー…
 だったらー…”

チラッと、梨奈の身体を乗っ取ったまま、
大輔は倒れている千穂を見つめると、
”人を皮にする注射器”を拾って、
それを倒れている千穂に打ち込もうとしたー。

”千穂さえ目を覚まさなければー”
そんなことを考えてしまったー。

がーー

「ーーそんなこと…させないー!」
浩太は、千穂に”何かをしようとしている”と気付きー、
梨奈に向かって突進してくるー。

「ー湯村さんーーごめん!」
その言葉と共に、乗っ取られている梨奈に
タックルを仕掛ける浩太ー

「ーうぅぅぅぅぅ…くそっ!邪魔を…邪魔をするな!」
追いつめられた大輔は梨奈の身体で
鬼のような形相を浮かべるー。

このままではー、
本当に捕まってしまうー。

どうにかしなくてはならないー。

人を皮にする注射器まで回収されてしまった大輔は、
ひとまず”計画”を変更するー。

千穂の”口封じ”は諦めて
一旦この場から逃亡ー、
どこかで梨奈の皮を脱いで、
自分は何食わぬ顔で姿を現し、
千穂が何か言い出しても
「知りません」「いや、俺じゃないです」と
貫き通すー。

映像を記録されたわけではないし、
具体的な証拠などない、何とかーー…

そんなことを考えつつ、
不安と焦りから後頭部のあたりを掻きむしっていた
梨奈を乗っ取った大輔ー。

がー、その行動が更なる”墓穴”を掘る結果になったー。

周囲からどよめきの声が上がり始めるー。

梨奈の彼氏である浩太も、
駆け付けた数名の教職員も、野次馬のように集まった生徒たちもー…。

「ーーーな、何を騒いでー…」
梨奈を乗っ取った大輔はそう言葉を口に仕掛けるも、
そこで”異変”に気が付いたー。

自分が発した声が
”梨奈”の声ではなくー…
”大輔”の声で発されたのだー。

「ー!?!?!?!?!?!?」
大輔は驚いた様子で自分の顔のあたりを触るとー、
手に触れたのは、梨奈の頬ではなくー…
自分の頬ー

「ーーな、な、な…!?なんでだ!?」
大輔は思わずそう叫びながら、
自分の身体を見下ろすー。

が、見下ろした身体は大輔自身のものではなく、
梨奈の身体のままー。

胸の膨らみもあるし、
女子の制服を身に着けているままだー。

「ーー…ど、どういうー…?」
大輔は教室の前方に鏡があることを思い出して
そこに視線を向けると、
”後頭部を掻きむしったことで、梨奈の顔の部分だけ
 脱げてしまって、大輔の顔が出ている状態”にー、
なってしまっていることに気付いたー。

「ーうっ…うわああああああっ…!?」
浩太や、先生らの前で自分の顔を晒してしまったことに気付き、
悲鳴を上げる大輔ー。

テーマパークの着ぐるみの”顔の部分だけ脱いでいる状態”のような
状態になってしまっていて、
もはや”言い逃れ”をすることも出来ないー。

「ーー…ち、ち、ち、違う!こ、これはー
 お、俺も!そう、俺も被害者だ!
 俺も皮にされて乗っ取られててー!」

大輔は”自分も身体を乗っ取られているのだと”
そう主張するー。

”梨奈”と”大輔”の両方が皮にされて着られてて、
自分は乗っ取られた大輔なのだと、苦しい言い訳をするー。

がー…

「ーわ、わたしー見たからー…!」
そんな言葉が聞こえたー。

「ーー!」
浩太や、集まっている教師・生徒たちが
その声の方向を見つめると、
梨奈に乗っ取られた大輔に殴られて気絶していた千穂が
意識を取り戻して、
そう言葉を口にしていたー

「ーわたし、そいつが変な注射器で梨奈をそんな状態にしたの、見たから!」

千穂が苦しそうにしたままそう叫ぶー。

「ーち、違う!!
 お、俺は、俺はただー、
 湯村さんの身体を乗っ取って少し、少しだけ楽しみたかっただけなんだ!
 
 それとー何で湯村さんが梅田なんかと!!!
 湯村さんみたいに可愛くて何でもできる子が
 なんで、お前みたいなやつと!!
 だから、だから俺は、
 湯村さんを正しい道に導いて、それでー、それでー!」

梨奈の顔の部分だけ脱げた状態で、
大輔は自白しているに等しいことをわざわざ口にしてしまうー。

そんな理由を口にして”それなら仕方ないね”などとなる人間は
少なくともこの場にはいないー。

「湯村さんの身体を返せ!」
彼氏である浩太が叫ぶー。

「ーさっさと梨奈を元に戻しなさいよー!」
千穂がそう言葉を口にするー。

その言葉に、追い詰められた大輔は
「なんでー、なんでみんな俺を悪者にするんだ!」と、
そう叫ぶと、梨奈の皮を慌てて脱ぎ捨てて
「返せばいいんだろ!返せば!」と、そう叫ぶー。

「ーおい!柿沼!いい加減にしろ!
 大人しくこっちに来るんだ!」
駆け付けていた先生の一人が、そう言葉を口にするー。

けれど、その言葉を聞いても、
大輔は涙目のまま、
それに応じることはなかったー

”くそくそくそくそっ!!俺は、俺はどうしたらー”
青ざめる大輔ー

ここで捕まれば、警察に突き出されるかもしれないー。
親にも、友達にも、全てが知れてしまうー。

「ーーい、嫌だ!!」
大輔はそう叫ぶと、
そのまま窓の方に向かって走るー。

ここは、3階ー。
大丈夫だー。飛び降りても死にはしないし、逃げられるー。

全く根拠のない謎の自信を覗かせると、
大輔は「お、俺は…俺ははめられただけなんだー!」と、
そう叫ぶー。

ここから逃走して、何とか”人を皮にする注射器”をもう1本手に入れて
誰かの身体を乗っ取って逃げるしかないー。

そう思いつつ、大輔は
先生や浩太、千穂が止める中、窓の外に向かってジャンプするー

がーーー

3階は大輔の思う以上に高くー、
落下した際に足を大怪我して、
そのまま動けなくなってしまうのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

数日後ー

「くそっ…くそっー…なんでこんなことにー」

大輔は、病院で泣きながら
そう言葉を口にしていたー。

結局逃げられず、
警察沙汰となった挙句、家族や友達ー、
さらには元に戻った梨奈から冷たい視線を向けられたー。

しかもー、
逃げられなどしないのに飛び降りたことで
足を大怪我して”もう歩けないかも”などと医師に言われてしまったー

「くそっ…!何でだよぉぉぉぉぉ!」

大輔は怒りの形相でそう叫ぶー。

彼のように誤魔化すことが壊滅的に下手な人間には
この力は向いていないのかったのかもしれないー。

しかし、今更後悔しても、もう、何もかもが遅いのだったー。

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

何もかもが裏目に出てしまう大輔くんの
お話でした~!★

もうちょっと賢い人が、梨奈ちゃんを皮にしていたら
欲望ライフを満喫できたかもですネ~!!

お読み下さり、ありがとうございました~!★★!

「誤魔化そうとするほど墓穴を掘っていく」目次

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