<他者変身>失恋した俺を煽る親友①~告白~

彼は、失恋したー。

好きな子に告白して、そして振られたのだー。

しかし、そんな彼を
”好きな子の姿”に変身した親友が、なぜか煽って来るようになったー。

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”いい感じ”だと、自分ではそう思っていたー

が、どうやらそう思っていたのは”自分だけ”だったようだー。

同じ学年の別のクラスの生徒・秋森 麻紀(あきもり まき)ー
元々彼女とは接点はほとんどなかったものの、
文化祭の際に文化祭実行委員で一緒になり、接点が出来たー。

ちょうどー…と、言うべきだろうかー。
文化祭実行委員の他のメンバーが不真面目な生徒や
奥手であまり積極的に動かないような生徒ばかりであったために
麻紀と、彼が色々仕事を積極的にこなすことになりー、
その結果、麻紀と話す機会が多くなったー。

さらには、”偶然”共通の趣味があることも分かり、意気投合ー、
”いい感じ”になったと思った彼は
文化祭も終わり、しばらくした今日、意を決して告白したのだー。

朝ー…
恋愛に関しては小心者な彼ー、塚山 瑛太(つかやま えいた)は、
”今日の放課後ー、良かったら話がしたいー”と書いた手紙を、
麻紀の机の中にこっそりと入れて、緊張した様子で
その場から立ち去りー、放課後を待ったー。

昼休みにソワソワしていたら、親友の岡野 輝夫(おかの てるお)から
”何ソワソワしてるんだよ”と言われた挙句、
事情をこっそりと説明したら
「はははー、いつの時代だよー」と、笑われてしまったものの、
それでも瑛太は、そんなことを気にしている暇もないほどに
ドキドキしていたー。

「に、しても文化祭実行委員をきっかけに
 秋森さんと仲良くなれるなんていいよなぁー

 俺も文化祭実行委員になりたかったぜー」

輝夫がヘラヘラと笑いながら言うと、
瑛太は「パーを出したのが、お前の敗因だったなー」と
落ち着かない様子を見せながらも笑うー。

親友の輝夫も、文化祭実行委員に立候補していて、
瑛太とのジャンケンの結果、チョキを出した瑛太に敗北、
結果的に文化祭実行委員の座を瑛太に譲ることになったのだったー。

「ーくっそ~!グーと迷ったんだけどなぁ」

「グーを出してたら、今頃、全然違う状況になってただろうなぁ…
 俺も秋森さんに告白しようなんて思わなかっただろうし、
 そもそも親しくもなれてなかっただろうしー」

瑛太が笑いながら言うと、
輝夫は「くぅ~…」と悔しそうにしながら、
「俺はお前が振られる方にハンバーガー一つ掛けるぜ!」と、
冗談めいた口調でそう言葉を口にしたー。

その時点では、笑い話だったー。

けれどー、放課後ー。

やってきた麻紀は、急に呼び出されたからだろうかー。
少し落ち着かない様子でソワソワしながら、
瑛太のほうを見つめるー。

そして、「お話ってー…?」と、そう言葉を口にしたー。

まずはーー
”この場所に来てくれた”ことに、瑛太は安堵するー。

”放課後に話をしたい”と場所を指定した手紙を
麻紀の机に入れても、当然”無視”されたり、
”ごめんなさい”される可能性は十分にあったわけなのだからー。

が、こうしてここに来てくれた、ということは
少なくとも麻紀は”話を聞いてくれる気はある”ということだー。

だから、少しだけ安心したー。

「ーーーえ、えっと~…そのー」
が、瑛太は、麻紀を前に緊張してしまって
なかなか本題を切り出せなかったー。

せっかく来てくれたのにー、と思いつつ
適当な話をしていると、麻紀は少しだけ不満そうに言葉を口にしたー。

「あ…あの…ーそんな話をするために呼んだの?」
とー。

麻紀がそう思うのも無理はないー。
”放課後にわざわざ呼び出す必要なんてない話”を、
ダラダラとしているだけの瑛太ー。

瑛太は、麻紀からそんな言葉を投げられて
ようやく”早く告白しないとー”と、意を決して
言葉を口にした。

「ーご、ごめんー今日、ここに秋森さんを呼んだのはー」

そう言葉を口にすると、意を決して言ったー。

「ー好きですー」
とー。

「ー!」
麻紀は少しだけ驚くー。

「ーーできたら、俺とー…俺と付き合ってくださいー」
瑛太はそう言葉を口にして、頭を下げるー。

するとー、麻紀は言ったー。

「ーごめん、無理ー」
とー。

案外、即答だったー。

「ーーーえ…」
瑛太が困惑しながら顔を上げるー。

”そこまで”即答されるとは、予想していなかったためだー。

「ーー無理ー。
 ーーー…友達だと思ってたけどー、
 わたしのこと、そういう風に見てたなんてー」

麻紀は困惑した表情でそう言葉を口にするー。

「ーーえ…あ、…ご、ごめんー」
瑛太はこの時悟ったー。

麻紀はあくまでも”友達”として瑛太のことを見ていたのだろうー。
その瑛太から”異性として見ている”と、告げられて
幻滅してしまったようなー、
そんな、困り果てた表情だったー。

「ーーーー別にいいけどー…
 もうー、あまり話したくないー」
麻紀はそれだけ言うと、「ーーーもう、いいかな?」と、
そう言葉を口にするー。

「ーー…ご、ごめんー」
瑛太は今一度謝ると、
そのまま麻紀は立ち去っていくー。

いつも楽しそうに話をしてくれた麻紀ー。
いつも、優しい表情を浮かべていた麻紀ー。

そんな彼女に嫌悪をむき出しにされたことで、
瑛太は心底ショックを受けて、
そして今、とぼとぼと一人、帰路についていたー。

「ーーー」
正門を潜り抜けて、ため息を吐き出す瑛太ー。

そんな瑛太を待ち構えていたかのように、
親友の輝夫が姿を現すと、
「よ~!瑛太!どうだった?」と、ニヤニヤしながら声をかけて来たー。

がー、瑛太の暗い顔を見て
「ははーはははははー」と笑うと、
「ー賭けは俺の勝ちだな!ハンバーガー1個奢りな!」と、
そう言葉を口にするのだったー。

”人生で初めての失恋”ー。
瑛太は辛い思いをしながらも、
”まぁ…でも仕方ないよなー”と、
前に進もうと、自分の心の中で何とか
気持ちに整理をつけようとするのだったー。

しかしー
その次の土曜日ー、休みの日のことだったー。

親友の輝夫と”遊びに行く”約束をしていた
瑛太は、輝夫から指定された待ち合わせ場所で
輝夫の到着を待っていたー。

がー、そこに現れたのはー
輝夫ではなく、麻紀だったー。

「ーーえ…あ、秋森さんー!?」
困惑した様子で、瑛太は声を上げるー。

すると、麻紀が笑みを浮かべながら近づいてきて、
「ーあ、わたしに振られちゃった塚山くんじゃんー」と、
そんな言葉を口にしたー

「~~~~~~~~~…」
いきなりの”敵意ある嫌味”に、瑛太は言葉を失い、
表情にも”ショック”が隠し切れないような状態になってしまうー。

が、そんな瑛太を見た麻紀は少しだけ笑うと
「冗談だよ~!そんな顔するなって!」と、突然、男のような口調で
言葉を口にしたー

「ーーえ…」
さらに戸惑いの表情を浮かべる瑛太ー。

「ーーへへー信じられないと思うけどー
 俺だよー。輝夫ー」
と、目の前にいる麻紀がそう言葉を口にしながら自分を指差すー。

「ーーは……??え…輝夫ー?
 い、いやいやー…え?」

どう見ても、前の前にいるのは秋森 麻紀だー。
親友の輝夫ではないー。

が、麻紀は周囲をキョロキョロすると、
「流石にここじゃまずいなー」と、そう言葉を口にすると、
「あっちの建物の影に行こう」と、その場所を指差しながら
移動するように促すー

「ーー…え…い、いや、別にいいけどー」
”麻紀”の意味不明な言動に、心底戸惑ったような表情を浮かべつつ、
それに従い、その場所に移動すると、
「よし、ここなら誰にも見られる心配もないなー」と、
麻紀は満足そうに言葉を口にしてからー、
突然、自分に手を当てると、そのまま”光”のようなものに包まれて
一瞬にして、親友の輝夫の姿になったー。

「ーーー!?!?!?!?!?!?
 えぇぇぇっ!?!?!?!?!?」

あまりの光景に瑛太は変な声を出しながら、輝夫のほうを見つめるー。

「ーへへーどうだ?驚いただろー?」
輝夫のその言葉に、
瑛太は心底驚いた表情を浮かべているー。

それは当然だー。
好きな子である麻紀が、突然輝夫に変わったのだからー…。

「ーーーーーえ……あ、秋森さんって、輝夫ー
 お、お前だったのかー?」
呆然としながらそう呟く瑛太ー。

すると輝夫は「えっ!?」と、言いたげな表情を浮かべながら
戸惑った様子で周囲を見つめるー。

が、やがて瑛太が「ーーーえ、でもーー二人同時にいたよなー…?」と、
一人で呟くと、
輝夫は「あぁ、そういうことかー」と言いながら、
「ーーまさかお前、”俺と秋森さんが同一人物”だと思ってるんじゃないだろうな?」と、
笑いながら言うー。

瑛太は困惑しながら頷くー。
どうやら、瑛太は、”麻紀と輝夫は同一人物で、二人のうちどちらかは
実際には存在しない人物”だと思ってしまったようだー。

そんな言葉を聞いて、輝夫は思わず笑うー。

「ーははははー違う違うー。俺は秋森さんじゃないよー」
そう言うと、輝夫は指にはまっている”指輪”を見せ付けるー。

「ーこれで、秋森さんに”変身”したんだー。」
輝夫はそう言いながら、再び麻紀の姿に変身してみせると、
瑛太は心底混乱した様子で、
「へ、へ、へ、変身ー…」と、呆然とした様子で呟いたー。

「ーーへへへーそうそうー  
 すごいだろー?」
麻紀の姿に今一度変身した輝夫は、そう言いながら
得意気な表情を浮かべるー。

「ーーーー」
しばらく驚いていた瑛太だったものの、
やがて、静かに言葉を口にするー

「ーじ、じ、じゃあ、秋森さんは今、他の場所で
 普通に過ごしてるってことかー?」

「ーそうだなー。休みを満喫してるんじゃないかー?」
麻紀の姿をした輝夫がそう答えるー。

「ーーえ…?で、秋森さん本人にはー
 そのー許可とか取ったのかー?
 自分の姿を他人に使われてるとか、気味悪がるんじゃね?」

瑛太がそんな言葉を続けて口にするー。

すると、麻紀の姿をした輝夫は少しだけ気まずそうにしながら
「ーそれなんだけどさー」と、そう言葉を口にすると、
瑛太に顔を近づけてきて、小声で言葉を口にするー。

”目の前にいるのは”本物の麻紀ではないし、
しかも、親友の輝夫だー。
そうは思っていても、好きな子の顔で近くに来られると
ドキッとしてしまうー。

「ーーほ、本人に許可は取ってないから、
 黙ってて欲しいんだよねー」
小声でそう言葉を口にする麻紀に変身した輝夫ー。

当然、”麻紀の声”で囁いてきているような状態に
なっているために、余計にドキドキしてしまうー。

「ーーえ…え???か、勝手に秋森さんの姿に変身してるのかよー…?」
心底戸惑う瑛太ー。

「ーーへへー秋森さん本人に、”秋森さんに変身したいです”なんて言って
 許可貰えるわけないだろー?」
そう言葉を口にする麻紀の姿をした輝夫ー。

まぁ、確かにそれはその通りだ、と瑛太は思いつつ、
「ーじ、じゃあ、勝手に変身なんてー…」と、
そう言葉を口にすると、
麻紀の姿をした輝夫は、
「ー今日はせっかく、失恋した親友のために1日だけ
 デートを体験させてやろうと思ったのにー」と、
そう言葉を口にするー。

「ーー…ぐぐ…失恋言うなー!」
少し悔しそうにしながらも、瑛太は
”麻紀”の姿をした輝夫を見つめるー。

見た目だけでは、まさか目の前にいる”麻紀”が、
実は親友の輝夫だなどとは、絶対に分からないー。

「ーーほら、わたしとデートしたいでしょ?」
麻紀のような口調でそう言い放つ輝夫ー。

「ーーーーぐぐぐぐ…」
顔を赤らめながら、瑛太はすぐに返事は出来ずに
戸惑いの表情を浮かべるー。

がー、本音を言えばー…
1日ぐらいは、麻紀とデートをしてみたい、と
そんな気持ちがあったのも事実だー。

例えーー…
目の前にいる”麻紀”が偽物であったとしてもー…

「ーーほらほら、瑛太くんー
 わたしとデートしよっ?」
麻紀の姿をした輝夫が、”わざと”そんな風に言うー。

麻紀に、下の名前で呼ばれたことはないー。
がー、”わざと”下の名前で呼んでくる麻紀の姿をした輝夫ー。

「ーーー…じ、じ、じ、じゃあ、ーーき、今日だけー」
瑛太が顔を赤らめながらそう言葉を口にすると、
「ーははは、やっぱ”偽物”だと分かっててもドキドキしちゃうもんなんだな!」と、
麻紀の姿のままゲラゲラ笑う輝夫ー。

「ーーぐぐ…ーーー仕方ないだろー…!」
少し悔しそうにしながらも、瑛太は
”好きな子の姿をした親友”との1日だけのデートをすることになったのだったー。

②へ続く

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コメント

振られた好きな子に変身した親友とのデート…★

今のところ、題名みたいなこと(煽られる)には
あまりなってませんケド、
それは明日のお楽しみ(?)デス~!!

今日もありがとうございました~~!★!

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