<他者変身>失恋した俺を煽る親友②~真意~(完)

好きな子に告白して失恋した彼ー。

しかし、彼の親友が突然、
”その子の姿”に変身して、
彼の前に姿を現してー…?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ー”瑛太くん”ってさ~、どうして”わたし”に告白して
 付き合えると思ってたの~?」

”麻紀”に変身した輝夫がそんな言葉を口にするー。

「ーー~~~~~~
 い、いや、お前ーその喋り方、や、やめろよー」
”麻紀に変身した輝夫”とデートすることになった
瑛太は困惑の表情を浮かべながらそう言うと、
「ーへへ、いいから答えろよー」と、そう言葉を口にするー。

瑛太は戸惑いながらも、
文化祭実行委員を通じて、仲良くなった気がするし、
共通の趣味もあったから、と、そう素直に答えるー。

すると、「あ~~モテない人って少し話するだけで好きに
なっちゃうってやつー?」と、煽るような口調で
”麻紀”の姿をした輝夫は言葉を口にしたー。

「ーーっっー…」
瑛太は少し言葉を詰まらせるも、
すぐに「お、お前ー、俺を慰めるために来たんじゃないのか?!」と、
そう言うと、「ははー悪い悪いー」と、麻紀の姿をした輝夫は
そう言葉を口にしたー。

そのまま道を歩く二人ー。

が、やがて、麻紀の姿をした輝夫は
再び”煽る”ような言葉を口にし始めたー。

「ーー”わたし”って、こうー
 かわいいでしょ?」
自分を指差しながら言う麻紀の姿をした輝夫ー。

確かに、可愛いー
偽物だと分かっていても、可愛いー。
見た目だけで好きになったわけでは決してないけれど、
それでも、”麻紀”が可愛いのは分かるし、
そう思っているのも事実だー。

「ーーなのに、”見た目ふつう”の、瑛太くんが
 わたしと付き合えると思ったのは、どうして~~~?」
クスクスと笑う麻紀ー。

”本物の麻紀”はこんなに嫌な感じじゃないー。
そして、目の前にいる”麻紀”は偽物であるということも
ちゃんと理解はしているー。

けれど、この顔、この声、この姿で言われると
本当の麻紀に煽られているような気持ちになってくるー。

「ーーー~~~~」
瑛太が残念そうな表情を浮かべると、
「ーまぁ、”勘違い”して”振られちゃった”んだよねー
 残念残念ー ご愁傷様」
と、麻紀の姿をした輝夫はクスクス笑いながら言ったー。

「ーー帰る」
瑛太は不貞腐れた表情を浮かべつつ、そう言葉を口にすると、
麻紀の姿をした輝夫は「え~~?帰っちゃうの~?」の
クスクスと笑うー。

「ーーー悪いけど、不愉快だ。帰る」
瑛太はなおもそう繰り返すと、麻紀の姿をした輝夫は
クスクスと笑いながら「ーあ~~逃げちゃうんだ~!?」と、
そう言葉を口にしたー。

が、瑛太はそれにも構わず、そのままその場から立ち去ると、
さっさと帰宅して、自分の部屋の中で大きくため息をついたー。

「まったくー。なんだってんだー」
不満そうに呟く瑛太ー。

がー、やがて、親友の輝夫からメッセージが届くー。

それを確認すると、
そこにはこう書かれていたー。

”悪いー。
 あんなこと言うつもりはなかったんだけどー
 なんか、秋森さんの姿に変身していると
 ああいう言葉ばっか浮かんできてさー。

 俺もまだ、この指輪の使い方、完全にマスターしてる
 わけじゃないから、
 もしかすると、”変身”してると、本人の思ってることの影響を
 受けるのかもしれないー

 とにかく悪かった”

とー。

それを確認した瑛太は、ため息を吐き出しながら
”失恋した傷がさらに抉られたよ”と、
そう返事を返すのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

週明けー。

「あーーーー」
廊下で、”本物の”麻紀と遭遇した瑛太ー。

「ーーーあ……」
瑛太も気まずそうな表情を浮かべるー。

振られただけではなく、
先日の”親友の輝夫が変身した麻紀”から言われた
嫌味が頭の中に浮かんでしまい、表情を歪めるー。

「ーーこ、この前はごめんねー」
麻紀が少し申し訳なさそうに呟くー。

”振ったこと”を言っているのだろうー。

「ーあぁ…いやー」
瑛太はやっとの思いでそれだけ答えると、
そのまま立ち去っていくー。

それを見ていた親友の輝夫は、
「おいおいー…ぎこちないなー」と、そう言葉を口にしながらも、
「ーまぁ…でも、仕方ないかー
 秋森さん本人も、どう思ってるか分からないしー」と、
理解を示すような言葉を口にすると、
瑛太は残念そうな表情を浮かべながら、
「ーこんなことになるなら、告白しなけりゃよかったなぁ」と、
そう言葉を口にしたー。

それからもー、
親友の輝夫は、瑛太と二人だけになるようなタイミングで、
度々”麻紀”に変身しては、
瑛太を煽って来たー。

”失恋した親友を慰めるため”とは言いつつも、
麻紀の姿になるといつも”嫌味”を言ってくるー。

”わたし、わたしに釣り合う彼氏じゃないと付き合いたくないんだよねー”
とか、
”瑛太くんにそういう目で見られてたと思うと吐き気がする”
とか、
”瑛太く~~~ん!失恋に苦しむ気分はどんな気分?ねぇねぇ教えて”
とか、
連日のように、そんなことばかりを繰り返してくるー。

そしてーーー

「ーーもういいー。もう、やめてくれー」
それから半月が経過したある日ー。
瑛太はついに、そう言葉を口にしたー。

麻紀に変身している輝夫は、少し表情を歪めてから、
「ーー悪いーー克服しようと思ってるんだけどー」と、
そう言葉を口にすると、
”麻紀に変身すると、つい嫌なことを言ってしまう”と、
気まずそうな表情を浮かべながら言葉を口にしたー。

「色々調べたんだけどさー」
麻紀の姿のまま、真剣な表情で言葉を口にする輝夫ー。

「変身してると、その変身相手の思想とか感情の
 影響を少し受けるらしくてー、
 この姿ー”秋森さん”の姿に変身してると
 お前に嫌味言っちゃうのは、たぶん、そのせいだと思うー」

麻紀の声で、輝夫はそこまで言うと、
「ーーお前を慰めようって気持ちは本当なんだけどなぁ」と、
そう言葉を口にしてから、首を横に振るー。

すると、瑛太は少しだけ溜息を吐き出してから、
苦笑いしつつ、口を開くー。

「ー輝夫ー。俺はもう、大丈夫だからー。
 だから、もう秋森さんに変身しなくてもいいー」
とー。

「ーーー…瑛太ー」
麻紀の姿のまま、輝夫はそれだけ口にすると、
瑛太はさらに続けたー

「お前が、俺のためを思ってくれてるのは分かるー
 でも、そうやって煽られると余計に辛くなるしー。
 お前も、本当に俺のためを思ってくれてるなら、
 煽っちゃう結果になるのもつらいだろうしー、
 だからもう、変身はしなくていいよー」
とー。

「ーーー」
麻紀の姿をした輝夫は何度か頷くと
「そっかー。そうだなー」と、そう言葉を口にしてから、
”変身”を解除するー。

そして、元の輝夫の姿に戻ると、
「ーこの指輪、この前死んだじいちゃんの蔵で見つけたやつなんだけどさー
 もうーーこれはいらないなー」と、苦笑いしながら
そう言葉を口にしたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

それ以降ー、
輝夫は、麻紀の姿に変身することは無くなり、
元の平穏な日常に戻ったー。

「まぁ、元気出せよー」
輝夫は、そんな風に自分の姿で何かと気を使ってくれているー。

「ーーははー、でも、恋愛は当分コリゴリだよー。」
瑛太は苦笑いしながらそう言うと、
「へへー。ま、親友の俺が遊んでやるから、我慢しろー。な?」
と、輝夫が揶揄うように言葉を口にするー。

そんな輝夫に対して、瑛太は「ーーははーじゃあ、我慢してやるよ」と、
冗談めいた口調でそう言葉を口にしたー。

持つべきものは友達だー。
親友がいてくれて、良かったー、と
瑛太はそう思うのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーー麻紀、元気出しなよー」
麻紀の友達が、そう言葉を口にしているー。

麻紀は少し落ち込んだ様子で、
「色々話していると楽しいって思ったのはー
 わたしだけだったみたいー」
と、そう言葉を口にすると、
瑛太のことを話し始めるー。

「ーーまぁ~…男子も、色々だからさー。
 そういうやつもいるよー

 …あ、”麻紀が好きな子”のこと、”そいつ”とか言っちゃってごめんねー」

麻紀の友達が、瑛太のことをそう言い放つー。

「ーーううんー。大丈夫ー
 もう、わたしも気持ちに整理はつけたから」
麻紀がそう言葉を口にすると、
「ー当分、塚山くんとはまともに話せそうにないけどー」
と、瑛太のことを言いながら苦笑いするー。

「ーあははーでも、あっちが麻紀のこと好きじゃないんだし、
 それでいいんじゃない?」
友達がそう言うと、麻紀は少し寂しそうに「うんーそうだね」と、
そう言葉を口にしながら頷いたー。

そんな会話を聞きながらー…
瑛太の親友・輝夫は笑みを浮かべていたー。

”実はあの日、瑛太が告白した麻紀は、”本物”じゃなかったー”

瑛太があの日、告白して瑛太を振った麻紀が
そもそも、”偽物”ーーー輝夫が変身した麻紀だったのだー。

文化祭実行委員をきっかけに瑛太と麻紀は親しくなったー。
が、元々瑛太と同じく文化祭実行委員に立候補していて、
ジャンケンで敗れたことによって、その座を瑛太に譲っていた輝夫は
瑛太が、”俺から奪った文化祭実行委員で、他のクラスの子と親しくなった”のを
良く思っていなかったー。

そんな中、他人に変身する力を手に入れた輝夫は、
偶然、瑛太が麻紀に告白しようと、麻紀の机の中に
”手紙”を入れるのを目撃したー。

そこで、輝夫は麻紀本人がそれを見る前に、
まだ、朝であったために登校していなかった麻紀の机からそれを回収ー
その日の放課後に麻紀の姿に変身して、瑛太を振ったー。

そして、”瑛太を慰める”という理由をつけて
麻紀の姿で瑛太を煽り、瑛太が”麻紀”に対して、どこか苦手意識を持つように仕向けたー。
相手が本物でないと分かっていても、”麻紀の姿”で煽り続ければ
苦手意識を強めるだろう、と、そう思ったのだー。

加えて、自分自身は”この姿に変身してると、麻紀本人の影響を受けるのかも”と、
瑛太を煽ってしまう理由として”嘘”を説明し、
自分のイメージを落とさないまま、瑛太の麻紀に対するイメージをさらに落とすことに
成功しー、瑛太は麻紀から”振られた”、さらに”嫌われた”と思い込んで、
麻紀から完全に離れたー。

一方でーー
輝夫は、”瑛太”にも変身して、麻紀に接触していたー。

”俺にあまり馴れ馴れしく話しかけて来るの、やめてくれるかなー?”
と、そんな言葉を”瑛太の姿”で投げかけたのだー。

その結果がー、さっきの麻紀と友達の会話だー。

「ーーへへへへー
 これで、瑛太と秋森さんが付き合うことはなくなったぜー」
輝夫は、満足そうにそう言葉を口にするー。

何度か、ヒヤッとしたこともあったけれど、
何とか全て上手く行ったー。

”デート”と称して、麻紀の姿で瑛太の前に姿を現し、
瑛太に”俺は輝夫だ”と言った際の時のことだー

瑛太は

「ーーーーーえ……あ、秋森さんって、輝夫ー
 お、お前だったのかー?」

と、そう言ったー。

一瞬、その言葉を聞いたとき、輝夫は
”告白の時も俺だった”と、バレたのかと内心で焦ったー。

がー、結果的には瑛太はそういう意味でその言葉を言ったのではなく、
”元々、輝夫と麻紀は同一人物だったのか!?”という驚きの意味で
その言葉を口にしたことが分かり、輝夫はホッとしていたー。

そしてー、廊下で二人がすれ違って会話している時も
少しだけ焦ったー。

麻紀が”この前はごめんね”と、瑛太に言ったからだー。

麻紀本人は恐らく、”輝夫が変身した瑛太”に
”馴れ馴れしくするのやめてくれるか?”と言われた時のことを
謝っていたのだろうー。

けれど、瑛太本人は
”振ったこと”を謝られていると勘違いして、そのまま会話を進めたー。

危ない場面は何度かあったけれど、
最終的に、バレずにここまで上手くやることができたー。

瑛太はもう、麻紀に苦手意識を抱いているし、
麻紀も、瑛太に鬱陶しいと思われていたと思い、距離を取っているー。

二人は別々のクラスだし、その道がもう交わることはないだろうー。

「ーーへへへへへーー
 悪いな瑛太ー。」
輝夫は満足そうに笑みを浮かべながらそう呟くと、
そのままゆっくりと歩き出すのだったー

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

親友によって、
引き裂かれてしまった二人…!
そんなお話でした~!☆

もしも、この親友の悪だくみがなければ…
二人は晴れて、付き合うことができていたのかも
しれませんネ~…!

お読み下さりありがとうございました~~!

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