<MC>どこかに向かおうとする彼女を止めないと!②~対峙~(完)

悪の怪人に操られて、深夜にどこかへ向かおうとする彼女。

そのことに気付いた彼氏は、
なんとか彼女の移動を阻止しようとするもー…?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「美咲ーー!!美咲!!
 ーーくそっ…!」

彼氏の道彦は、深夜、突然家を出て
どこかへ向かおうとする彼女を前に、
困惑の表情を浮かべていたー。

”明らかに”普通ではないこの状況ー。

美咲の目は、虚ろな感じで、
その歩き方もなんだか変だー。

自分の意思で歩いているー…と、いうよりかは
まるで何かに操られているかのようにー、
そんな感じで美咲はどこかへと向かっているー。

”行かせちゃいけない”
道彦はそう思いながら、再び美咲の前に立ちはだかると、
「美咲!!美咲!!しっかりしてくれ!」と、そう叫ぶー。

がー、美咲は虚ろな目のまま道彦を見つめると、
再び「邪魔ー」とだけ、言葉を口にして、
道彦を振り払おうとするー。

しかし、”同じことをしてくるだろう”と思っていた道彦は
それを防ぐと、美咲の腕を掴みながら
「ー行っちゃだめだ美咲!」と、そう叫ぶー。

それでも、美咲の反応は薄かったー。

「ーーーーーーーどいて」
それだけ言葉を口にすると、美咲は、
腕を掴まれたままでも無理矢理歩き出そうとするー。

「ーな、何があったのか分からないけどー…
 し、正気に戻るんだ美咲!!」

悪の組織”ブラッドミスト”の怪人の一人に
洗脳されてしまった美咲には、
その言葉は届かないー。

今の美咲は、組織の命令に従って
指定された場所に向かうことしか考えていないー。

自分の人生も、何もかも、
今の美咲にとっては”どうでもいい”ことー

「ーーー目障り」
美咲は、少し怒りの籠った口調でそう言うと、
道彦を振り払おうとするー。

「ーだめだ…!だめだだめだだめだ!!
 どうしちゃったんだよ!美咲!」
道彦は何としても美咲を止めようと食い下がるー。

もちろん、美咲本人が”正常な状態”で
夜中に外出しようとしているのなら、
それを邪魔するつもりはないし、
夜中に外出するのは心配ではあるけれど、
用事があるなら、彼氏と言えど、
それを縛ることはできないー。

けれど、今の美咲はー
どこからどう見ても、
明らかに”ふつう”ではないのだー。

このまま美咲を行かせてしまっては大変なことになってしまうー。
それだけは、理解できるー。

「ーーーー消えて!」
美咲は、先ほどより強い力で道彦を振り払うと、
そのまま、さっきよりも少し早足で移動を始めるー。

「ーみ、美咲ー…!」
振り払われた道彦は、呆然としながらも、
”ふと”通りの反対側に視線を向けたー。

するとそこにはー、別の女がー
眼鏡をかけた女が美咲と同じような足取りで
”どこか”に向かおうとしているのが見えたー。

「ーーー!」
道彦は、そんな様子に気付くと
「いったい、どうなってるんだー…?」と、
呆然としながら、美咲のほうを再び見つめるー。

やはり美咲は、何かに操られているかのような様子で
”どこか”に向かおうとしているー。

絶対に行かせてはいけないー。
道彦は改めてそう感じたー。

嫌な予感しかしないー。
”何かに操られている感じ”の美咲がどこに向かおうと
しているのかは分からないー。

けれどー…
このまま行かせてしまったら、取り返しのつかないことになるー、と、
何故だか、強くそう感じたー。

「美咲ーー!」
道彦は美咲の腕を掴むと、
「ごめん…!」と、そう言葉を口にしてから、
無理矢理、力ずくで美咲を連れ帰ろうとするー。

普段は絶対にこんなことはしないー。
けれど、この状況ではこうするしかないー。

彼女が何かに操られて危険な場所に向かおうとしているのであれば、
それを全力で阻止しなくてはならないー。

「ーー放して」
美咲は不満そうにー、そしてどこか機械的な口調でそう言い放つー。

道彦は、1回家に連れ帰ってから、
何とか美咲を正気に戻そうと、そう思いながら、
美咲を引っ張っていくー。

がーーー

「ーー君…ちょっといいかな?」

「ー!?」

その声に、道彦が振り返ると、
そこには深夜のパトロール中の警察官の姿があったー。

「ーー…何をしているのかな?」
警察官の言葉に、”美咲の腕を引っ張って家に連れ帰ろうとしていた道彦”は
気まずそうな表情を浮かべながら、
「え…えっと…あのー」
と、そう言葉を口にするー。

当然、事情を知らない警察官からしてみると、
不審者にしか見えないだろうー。

「その手を放しなさい」
警察官にそう言われてしまう道彦ー。

道彦は事情を説明しようとするも、
離すように再度言われて、仕方がなく手を離すと、
美咲はそのまま何事もなかったかのように歩き始めるー

「ーちょっと、事情を聞かせてもらえるかなー?」
警察官のその言葉み、道彦は困惑の表情を浮かべると、
緊張した様子で言葉を口にしたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーーー」
美咲が、その場所にやってくるー。

他の人々も、次々とその場所にやってくると、
薄暗いアジトのような場所の奥から、
セミのような形をした怪人が姿を現したー。

美咲も、他の人々も真剣な表情で
セミの怪人のほうを見つめるとー、
「いよいよ、我々が人類を征服するときがやってきたー」と、
そう言葉を口にするー。

「ーー男共は、戦闘要員としてー、
 女共には、その身体を使って任務を果たしてもらうー」

セミ型の怪人はそう言葉を口にすると、
部下の怪人に合図をしてから、ニヤリと笑うー。

「ーーークククー
 人間の女の身体は、我らの”繁殖”に適していることが分かったー
 女には、ひたすら子作りをさせてー、
 男共には、戦闘要員として各地で破壊工作をしてもらうー」

今日まで作戦の結構を待機していたのは、
”上層部”から派遣された怪人がここにやってくるためー。

既に、大幹部である”ルガン将軍”は到着したー。
侵略の準備は整ったー。

部下の怪人が、道彦が先程見かけた眼鏡の女の腕を掴むと、
容赦なく、眼鏡の女の身体を弄びながら、
”怪人”の子を産ませるために、欲望を満たしつつ、
その女の身体を堪能していくー

虚ろな目でその様子を見つめていた美咲は、
ムカデのような形の怪人に呼ばれると
「はいー」と、返事をして、ムカデの怪人の前で
服を脱ぎ捨てようとし始めるー。

がーーー

そこにーー

「待て!!!」
道彦と、先ほどの警察官が到着したー。

警察官の取調べを受けることになってしまった道彦は
事情を何とか説明ー、
さらにはちょうど、”別の男女”が、
操られたかのように近くを通過したのを見て、
「ほら!あの人たち、様子がおかしいじゃないですか!」と、
そう叫んだことで、警察官の疑いは晴れたのだー。

そして、二人で他の操られた人々を尾行して、
ここにたどり着いたー。

「ーーなんだ?貴様はー?」
美咲に子作りをさせようとしていたムカデの怪人がそう言葉を口にするー。

美咲は、道彦の声を聞いても、
振り返ろうとせずにそのまま棒立ちしているー。

「ククククーー
 地獄へようこそ」
セミ型の怪人がそう言葉を口にすると、
「ここにいる人間どもは、我々の操り人形だー」と、
嬉しそうにそう宣言するー。

道彦は”やっぱり美咲は操られてー”と、
そう心の中で呟くと、
セミ型の怪人は笑みを浮かべたー。

「ーーまさか邪魔が入るとはなー
 まぁいいー
 
 せっかくだからー
 遊んでやろうー」

そう言葉を口にすると、セミ型の怪人は
洗脳した人々に命令を送るー。

服を脱ごうとしていた美咲も、ゆっくりと振り返ると、
「殺すー…殺すー」と、呟きながら
道彦の方に近付いて来たー

「み…美咲…!」
道彦は、驚きながらも、”何とかしないと”と、美咲のほうをじっと見つめるー。

一緒にやってきた警察官も、操られた民間人を前に、
”く、くそっ!”と、銃を構えながらも何もできず、
取り囲まれているー。

「ーーー殺すー…殺すー」
美咲はロボットのように近付いてくると、
道彦の首を絞め始めるー

「ーーぐっ…ぐぐぐぐー」
道彦は、美咲の”目”を見るー。

しかし、美咲の目は完全に意思を失っているような虚ろな状態で、
彼氏である道彦のことも、本気で殺そうとしている様子だったー。

「ーーーが…」
警察官も取り囲まれて、持っていた拳銃を使うことができないまま
それが床に音を立てて転がり落ちるー。

「ーーみ…美咲…め、目を覚ませー…!」
道彦が苦しそうにしながらも、そう声を上げるー。

そんな声をかけてー、
すぐに目を覚ますような簡単な問題ではないことは分かっているー。

人間ーーー…ではなさそうな未知の怪人たちによる術が
どれほど強力なものであるかは分からないー。

しかし、美咲のようなしっかり者でもー、
意思の強い彼女でも、こんな風にいとも簡単にその手に
落ちてしまうのだからー、
その力は非常に強大なものなのだろうー。

呼びかけても無駄ー。

そうは分かっているー

けれどーー…

「美咲ー…」
道彦は、心底悲しそうにそう言葉を吐き出したー。

「ーー殺すー…」
美咲にその言葉は届かないー。
彼氏の道彦をその手にかけようとしているのに、
何の動揺も見られないー。

「クククククー…」
ムカデ型の怪人が笑うー。

人々を洗脳しているセミ型の怪人が、
少し高い場所から人々を見下ろしながら笑うー。

「愉快な光景だー」
セミ型の怪人はそう言葉を口にすると、
道彦と警察官のほうを見つめるー。

道彦は、自分の意識が薄れていくのを感じるー。

”このままじゃー…”
もし、このまま自分が美咲に殺されたらー
美咲は怪人の子供とやらを出産させられ続ける”道具”のような
扱いを受けることになってしまうー。

それを止める人間はいなくなるー。

何かー
何かー…
何か方法はないのかー?

道彦は薄れゆく意識の中ー、
このままだと、恐らくあと30秒以内にはこの世を去るであろう
状況の中、必死に考えたー。

そしてーー

「ーーーー!!!!!!!!!!!!!」
道彦は、警察官が持っていた銃が自分のすぐそばに
転がって来ていることに気付いたー。

それに気づくと同時に、美咲に首を絞められたまま、
何とかそれに手を伸ばすとーーー

道彦は、セミ型の怪人の方めがけてーーー
銃を撃ち込めるだけ撃ち込んだー

当たるか分からないし、効くかも分からないー。
でも、死ぬまでの数十秒にできることを必死でやったー。

その決死の想いがーー
奇跡を起こしたー

「ーーーがっ…!?」
セミ型の怪人がいる方向に向かって、適当に放った5発の銃弾ー
そのうちの一つがセミ型の怪人の”額”に直撃したー。

通常の銃撃程度では簡単には死なない怪人ー。
ただー、頭部の、それもセミ型の怪人にとって大事な器官がある部分に
直撃したー。

セミ型の怪人が血を噴き出して、そのまま立っていた高所から転落ー、
近くにあった”実験用”の毒の液体が入った容器に転落するー

「ぐっ…!?あぁぁああああああっ!?」
何らかの悪事に使おうと思っていたのだろうかー。
猛毒の液体の中に転落したセミ型の怪人は、驚きーもがき始めるも、
何もできないまま、溶けていくー。

「ーーー!!!」
ムカデ型の怪人が驚くー

それと同時にー

「ーー!?!?!?!?!?!?」
道彦を殺そうとしていた美咲が正気に戻り、
「えっーー…?」と、途端に恐怖の表情を浮かべるー。

道彦は咳き込みながらも、
美咲だけではなく、周囲の人も正気を取り戻したことに気付くー

警察官もギリギリ無事だー。

「ーみんな!逃げるんだ!」
道彦がそう叫ぶと同時に、美咲の手を掴み、
「後で説明する!」と、そう叫ぶー。

ムカデ型の怪人は、後を追いかけようとするも
人間の数が多すぎて一人では対応できずに、表情を歪めるー。

道彦の決死の攻撃で、
セミ型の怪人が死亡したことで、洗脳されていた人々が
無事に正気を取り戻したのだったー…。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

数日後ー

正気を取り戻した美咲は何度も何度も、自分の行動を
謝罪していたー。

もちろん、道彦は美咲に対して怒りなど抱いていないー。
とにかく、美咲が無事でよかった、と、美咲のことを
責めることは一切なかったー。

数日が経過して、ようやく落ち着いてきた美咲は
「また、狙われたりしないかなー?」と、心配そうに呟くー。

「大丈夫ー。俺が守るからー…
 それにー」
道彦はそう言葉を口にすると、
スマホを手にするー。

悪の組織”ブラッドミスト”の存在が今回の件で
明るみに出て、警察や特殊部隊が
そのアジトを突き止めて、怪人一掃計画を近日、
実行に移すようだー。

もう、一般人に構っている暇は、あの組織にはなくなるはずだー。

「ーーーー」
美咲は少し不安そうにしながらも頷くー。

道彦はそんな美咲を見つめつつ、少しだけ笑うと、
”ーあの時、美咲が夜中に出かけていくことに気付けて、本当によかったー”と、
改めて、そんなことを思うのだったー

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

無事に救出できる結末でした~!★★

一緒に住んでいる人の様子が急に
おかしくなったりしたら、びっくりしちゃいますネ~…!

お読み下さり、ありがとうございました!★

コメント