”他人と融合して、その身体を乗っ取る”ー
そんな力を持つ者がいたー。
”正義”と”悪”がぶつかり合うその世界でー、
善も悪も関係なく”欲望”のみを追求するその者によって、
世界の運命は変わっていくー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
”王国”から派遣された女騎士・アデリーナは、
宿敵である”帝国”の、女幹部・デボラとの戦いを繰り広げていたー。
「ーーふふふー
アデリーナ…今日こそ決着をつけてあげるわー」
「ーーデボラー…道を踏み外したあなたを止めるのが、
わたしがあなたにしてあげられる唯一のことー!」
この世界には”王国”と”帝国”ー。
その2つが存在し、対立していたー
”王国”は、この世界に昔から伝わる”女神”の伝承を守り、
平和を願う人々達の在り処ー。
そして”帝国”は、かつて封印されたという”魔王”の力をー
”魔力”を活用して更なる発展を遂げたいと願う人々が
王国から離反して気付き上げた国家ー。
が、帝国は危険な魔力を用いて他の国々にも戦果を広げようとする
”悪の国家”で力に魅入られた者たちが集まっていたー。
「デボラー…!昔のあなたは
平和だけを願っていたのに、どうしてー!」
王国の女騎士・アデリーナが悲しそうにそう言葉を口にするー。
対する帝国の魔術師ー、女幹部のデボラは笑みを浮かべながら言うー。
「ーーわたしは真実に目覚めたのよー
この”魔力”があれば何でもできるー
こんなに素晴らしい力を使わないなんて、
大きな損失だわー」
デボラはそう言いながら、闇の魔法を放つー。
”ーーデボラー。あなたは闇の魔法に囚われているー”
騎士・アデリーナはそう思いながら剣を振るうー。
元々、デボラは
盗賊によって焼き払われた村の”生き残り”だったー。
王国の女騎士であるアデリーナが、
まだ新人だった頃にその現場に駆け付けて
一人で泣き崩れていたデボラを救出したー。
救出されたデボラは、王国で後に
人々を助ける治療薬の研究などに従事していたものの、
ある時を境に、”魔術”に魅入られるようになり、
やがて、姿を消したー。
そして、”帝国側”の幹部として、アデリーナの前に姿を
現して因縁の相手として、これまでにも何度も対決してきたー
「ー魔力さえあれば、故郷の村も焼き払われることなどなかったー
あんな盗賊のクズども、わたしの力で蹴散らすことができたのよ!」
デボラは笑みを浮かべながら、闇の魔術を放ってくるー。
「ー”その力”で、あなたと同じように悲しむ人、傷つく人を
作り出したいの!?」
デボラの攻撃を何とか回避しながら、アデリーナがそう言葉を口にすると、
デボラは表情を歪めながら言うー。
「ーアデリーナ
あなたのような恵まれた立場にいる人間には分からないわー
力のないわたしのような人間はこうして力を手に入れない限り、
踏みにじられて、蹂躙されていくのがこの世界ー
だから、わたしは闇の力を手に入れたー
この素敵な力をー」
目を赤く光らせながら、デボラは笑うー。
「ー今のわたしは、あんたにも負けないー
アデリーナ!このわたしに跪きなさい!」
デボラの闇の魔法が何度も何度も、アデリーナを襲うー。
が、アデリーナはそれを回避して、
「ーデボラ!あなたの目を覚まさせてあげる!」と、
そう言葉を口にしながら、跳躍すると、
剣に光の力を蓄えながら、それをアデリーナの方に向けるー。
「ーわたしは正気よー!」
デボラはそう返すと、闇の魔法をアデリーナの方に向けるー。
剣と闇の魔法ー
二つの力がぶつかり合い、強い衝撃が発生するー。
やがて、二人は吹き飛ばされて、
アデリーナが慌てて起き上がると、
二人が激闘を繰り広げていた森の中に、
デボラの声が響き渡ったー。
”ふふふふーアデリーナ、
今日のところはこのぐらいで見逃してあげるわー
けどー
次に会うときは、今度こそあなたを跪かせてあげるー
覚悟してなさいー”
「ーー待ちなさい!デボラ!」
アデリーナが声を上げるー。
が、デボラは高笑いを森の中に響かせて、
そのままアデリーナの前から姿を消したー。
「ーーデボラー…
かつての優しい笑顔を浮かべていたデボラを思い出しながら、
”力”が人を狂わせた、と、アデリーナは悲しそうに表情を浮かべながら
「ー必ず、あなたの目を覚まさせてあげるからー」と、
そんな言葉を口にしたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーっーーアデリーナーー…
いつもいつも、わたしの邪魔をしてー」
悔しそうに歯ぎしりしながら、森の中を移動していた
悪の女幹部・デボラ…。
アデリーナとの戦いで、少なからずダメージを受けたデボラは、
本音では、この場でアデリーナを仕留めたかったものの、
自分自身のダメージもそれなりにあったため、
これ以上の戦いを続けることができなかったー。
だからこそ、不本意ながらこうして”撤退”していたー。
「ーー必ず、わたしの前に跪かせて、わたしの方が正しいと証明するのよー」
デボラが悔しそうにそう呟くと、
”拍手”する音が聞こえたー
「ーー!?」
デボラが前を見つめると、そこには”男”が立っていたー。
「ーーーお、お前はー…?」
デボラが表情を歪めながらそう言葉を口にすると、
男は拍手をしながら言ったー。
「すばらしいー」
とー。
その言葉に、デボラは困惑の表情を浮かべるも、
「あんたも、王国の手の者なら、このわたしがー」と、
闇の魔法で攻撃準備を整えるー。
「ーーククー、いやぁー、実に素晴らしいー
本当に素晴らしいよー」
男は、デボラが攻撃をしようとしている様子にも
動じることなく、そんな言葉を続けると、
やがて、拍手を止めて言ったー。
「ーーその”身体”ーー」
とー。
男は、デボラの”戦い”を讃えていたのではないー。
デボラの”身体”を讃えていたのだー。
それと同時に、男はデボラに近付き、
デボラの胸を鷲掴みにすると、
デボラは驚いた様子で「ーケダモノ!離れなさい!」と、
そう叫んで振り払おうとしたー。
しかしー、
身体を振り払おうとして動かしたにも関わらず、
まるでマグネットでくっついているかのように、
男の身体は離れなかったー。
「クククー無駄だー
俺とお前は、これから”ひとつ”になるんだー」
男はそう言うと、
「既に、俺とお前の身体の”接続”は完了したー」
と、そう続けて、デボラのほうを見つめるー。
「ーーーな…何を言っているのー?
わたしを誰だと思ってーーー
デボラがそこまで言いかけると、
男は言ったー。
「ーー誰でもいいー
”融合”する相手を探していたら、偶然お前と
もう一人の女騎士が目に入ったー
ただ、それだけのことー」
それと同時に、胸を鷲掴みにしたまま
磁石のようにくっついた男の手が耀き始めるー。
「ーーお前の方が、ダメージが大きかったようだからなー
融合するにはおあつらえ向きだー。
相手が弱ってないと、融合したあとの主導権を
相手に握られちまう可能性があるからなー
だから、あんたみたいに弱ったやつを狙って”融合”
するんだよー
ククー」
男の手の光はさらに強くなっていくー。
デボラが慌てて闇の魔法で、男を攻撃しようとするも、
男は笑みを浮かべながら言ったー。
「もう、遅いー」
ぐにゃ、と、男の身体がどろどろとした液状になっていくー。
「ーーな…」
デボラは、”何が起きているの?”と、思いながら、
その光景を見つめるー。
がー、次の瞬間ー。
デボラの身体も同じように、どろどろとした液状になっていきーー、
地面に崩れ落ちていくー。
「ーーぁ…」
そして、液状になった二人がぐにょぐにょとスライムのように
地面で暫くの間、蠢くとー…
やがて、そのスライムのようなぐにょぐにょした物体が
人の形に戻って行くー。
「ーふふふふふー…ひとつになったー」
デボラー…に、似た容姿の妖艶な女がその場に出現すると、
「クククーこいつの身体との”融合”に成功したぞー」と、
心底嬉しそうに、そんな言葉を口にしながら、
自分の手を見つめるー。
男はー、
かつて、強大な魔力が封印されたという地で
長い年月、過酷な修行を続けて
”ある力”を手に入れていたー。
それが、”他人と融合する力”だー。
既に男は、複数回”融合”を繰り返していてー、
デボラの前に姿を現した時も既にー
”元々の彼の姿”ではなかったー。
だがー、今回は初めて”女”と融合したー。
”女と融合するときには、極上の獲物を狙う”ー
彼自身のそんな”拘り”で今まで融合しなかったのだー。
「ーククククー
ダメージを受けて弱った相手の身体は
我が物とするにはちょうどいいからなー」
デボラと融合し、”デボラ”となった男は笑みを浮かべるー。
融合後の主導権は”精神力が強い方”が掌握するー。
そして、一度掌握してしまえば”負けたほう”の意識は消えるー。
「ーーぁ……わたしのーーー身体をーー」
デボラ本人の意識がわずかな抵抗を見せるー。
「ほぅーまだ意識が残っていたかー」
デボラと融合した男は、嬉しそうに笑みを浮かべると、
「でも、俺とひとつになったお前の身体はもうお前の身体ではないー
失せろー」と、冷たい口調でー、
デボラの声でー、そう呟くー。
「ーーーぁ……」
デボラの意識が、消えたー。
「ククククー
これで俺は、帝国の女幹部・デボラ様だ!ははははっ!」
デボラとの融合を完了した男は、
嬉しそうに笑うー。
容姿はー、
”融合”した際に、”容姿に対して強い執着があるほう”の容姿が
メインで反映されることも分かっているー。
デボラと融合した男には、
自分自身の容姿に執着がなかったために、
融合されたデボラの容姿がメインとなって、
融合後の容姿に反映されているー。
ただー、当然男の要素が0になるわけではなく、
デボラのどこか”元々は優しい子だった”のであろう
面影が残る顔立ちから、それが消えてー、
髪の色に少し男の髪の要素が混ざったほかー、
腕のあたりに、男の腕に元々刻まれていた文様のようなものが、
そのまま”融合後の姿”に反映されていたー。
「ーーククーいい身体だぜー」
デボラとなった男は、融合後の身体を嬉しそうに見つめると、
「ーへへーやっぱり、”極上の身体”を狙って、良かったぜー」と、
嬉しそうにその身体をイヤらしい手つきで撫でまわすと、
「ーくくー…なんて妖艶な身体なんだー」と、
下品な笑みを浮かべながら、自分自身の身体を見つめるー。
「ー俺と合体したら、さらに悪そうな顔になっちまったけどー
でもー綺麗だよなーへへ」
デボラは指をじっくりと触りながら、静かにそう言葉を口にすると、
「しっかし、こんなエロいもんぶら下げて、身軽に戦うなんてすごいよな」と
胸をイヤらしい手つきで何度も何度も触ると、
「さーて、一度”帝国”の本拠地に戻ってこの身体を堪能するとしようかー」と、
デボラはそのまま森の中へと姿を消したー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーアデリーナ様ー。ご無事で何よりですー」
王宮に帰還したアデリーナを兵士が出迎えると、
アデリーナは「異常はなかったー?」と、兵士に確認をするー。
「はっ!こちらには帝国の者は攻めて来ておりませんー」
兵士のその言葉に、アデリーナは「そうーよかった」と
それだけ言葉を口にすると、
「お疲れ様ー」と、兵士をねぎらう言葉をかけて、
そのまま王宮の中へと入っていくー
”デボラー…”
アデリーナは、かつて自分が助けた村の娘が
闇の道に進んでしまったことに責任を感じながらー
そして、どうにかデボラのことを助けてあげたい、と
そう考えながら、彼女の名前を小さく、口にするのだったー。
そのデボラはもうー、
更なる”狂気”に飲まれてしまったとは、夢にも思わずにー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
数日後ー。
「ーーーーー」
王国の騎士・アデリーナは森林地帯の警備任務についていたー。
がー、その最中、
”不気味な色の霧”が森の中に発生しー、
周囲を覆い始めたー。
「ーー警戒してー」
アデリーナが部下の兵士たちに指示を出すー。
しかし、その霧はさらに濃くなりー、
やがて、兵士と分断されてしまうー。
そしてーー
「ーーふふふふふふふー」
聞き覚えのある声が聞こえたー
「デボラ!」
アデリーナが叫ぶと、
闇の中から、デボラが姿を現すー。
がー、その姿には少し”違和感”を覚えたー。
「ーーデボラーー…?」
アデリーナがそう言葉を口にすると、
デボラは邪悪な笑みを浮かべながら、
「ーー今日は”新しい”わたしを見せてあげるわー」と、
そう言葉を口にしたー
<後編>へ続く
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コメント
久しぶり(?)の融合モノデス~!
リクエスト特典で、
む~やん様から頂いたリクエストを元にした作品ですネ~!!
どんな内容でリクエストを頂いたのかは、
この先のネタバレも含まれているので、
次回のあとがきでご紹介しますネ~!!
今日もお読み下さり、ありがとうございました~!
(土曜日枠の作品なので、(土曜日のみ予約投稿の都合上)続きはまた来週の土曜日になります~!)

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