暗い性格の男子生徒と暗い性格の女子生徒が入れ替わってしまったー。
暗いだけではなく、奥手でもある二人は
その状況を前にしても、思うように行動を起こすことが出来ずー…?
”暗い二人”ならではの入れ替わりは続いていくー…。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーお邪魔しますー…」
美優(健太)はそう言葉を口にしながらー、
美優の家に帰宅するー。
”場所”は教えて貰ったものの、
家の中で美優がどんな風に振る舞っているのかは知らないしー、
美優として振る舞う自身もないー。
”ーわたし、部屋で本を読んでることが多いからー”
それぐらいしか、話を聞くことはできなかったー。
「ーー僕に坂浦さんの真似なんてできるかなー…?」
困惑した表情を浮かべながら、そう言葉を口にする
美優(健太)ー。
緊張した様子で家の中に入っていくと、
「ーあ、美優じゃんー!おかえり~!!」と、
美優とは正反対な派手な雰囲気の女が顔を出したー。
「ーーえ…あ…ど、どうもー…」
”これが誰なのか”すら分からないー。
そう思いつつ、それだけ言葉を口にすると、
美優(健太)は、部屋に向かって歩き出すー。
部屋の場所だけは、図書室で色々話し合った際に聞いておいたー。
「ーーあはははー”どうも”って何ー?」
派手な雰囲気の女は苦笑いしながらも、
「やっぱり美優は面白いなぁ~」と、それだけ言葉を口にして、
特に美優の振る舞いに違和感を抱く様子もなく、
そのままリビングらしき方向に向かって立ち去っていくー。
「ーー…ーーーふぅ…」
正直、健太の苦手なタイプの女だー。
いや、そもそも健太に得意なタイプなどいないー。
姉や妹もいないため、健太にとって”女子”とは
そもそも未知の存在でしかないー。
「ーーーー」
部屋に到着した美優(健太)は
勝手に部屋に入ってしまうことを申し訳なく思いながら
一人「ごめんなさいー」と、そう呟くと、
本がたくさん並んだ部屋を見渡すー。
読書が好き、という美優らしい部屋だー。
机には少しだけ可愛らしい小物が置かれていたりして
わずかに女子らしさも感じさせるものの、
全体的に、真面目さ漂う部屋だったー。
「ーーーー」
美優(健太)は、そんな部屋を見回すと、
部屋の端っこの方に歩いていって、
その場に体育座りをし始めるー。
異性には全く興味がないのかー、
それとも、”申し訳ない”という気持ちでいっぱいなのかー、
特に美優の身体で何かをする様子も見せず、
そのまま部屋の端でぼー、っとし続ける美優(健太)ー。
「ーーーあ…そういえば、トイレとかお風呂とかどうしよう…」
美優(健太)はそう言葉を口にするも、
連絡先を交換することもしていなかったために、
どうすることもできずに「我慢しようー…」と、
そう言葉を口にしたー。
当然ー…
次の日までトイレを我慢し続けることなど
できるはずもなく、その数時間後ー、
美優(健太)はやむを得ずトイレに向かって、
慣れない身体で何とかトイレを済ませることに
なってしまうのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
一方、健太の家に帰宅した健太(美優)は、
健太の両親と共に晩御飯を口に運んでいたー。
”僕ー、家でもあまり喋らないから
あまり気にしないでいいよ”
入れ替わった後、図書室で健太から
そんな説明を受けていた健太(美優)は
ひたすら黙々とご飯を口に運んでいたー
”ーー味が違う…”
健太(美優)は、内心でそんなことを思いつつも、
黙々と食事を口に運んでいくー。
健太と美優の身体では、そもそも”味覚”が違うー。
そのため、味も違って感じるのだー
「ーーーごちそうさまー」
健太(美優)はそれだけ言葉を口にすると、
そのまま部屋の方に向かって行くー。
両親からも、多少、話しかけられたものの、
適当に薄い反応を繰り返すことで、
何とか乗り越えることが出来たー。
そしてー、
トイレやお風呂も何とか済ませて、
部屋へと戻って来た健太(美優)ー。
美優自身、人と話すことがあまり得意ではないこともあって、
入れ替わり相手の健太も、そういうタイプであることは
美優にとっては、幸運だったー。
”ーーでもー…ーーーーーまる…… えっとー…”
心の中でそう呟くと、健太の名字すら把握していないのか、
そこで言葉を止めると、
”ー…お父さんもお母さんも、全然気付いてなかったようなー…?”と、
健太の父親も、母親も、中身が入れ替わっていることに
全く気付いている様子がなかったことに
どこか寂しそうな表情を浮かべるのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー。
目を覚ました二人は
真っ先に自分の身体を確認したー。
ーーけれどー、
残念ながら二人の身体は元には戻っていなかったー。
「~~~~~~~…」
そのまま学校へとやって来る二人ー。
「ーーおはようー」
「ーーーーうん」
そんな挨拶を交わした二人は、
そのまま教室へと向かうー。
どこか落ち着かない様子を見せながらも、
健太(美優)は、健太の座席で”寝ているフリ”をしながら
授業が始まるのを待ち、
美優(健太)は美優が図書室から昨日借りた、
”興味のない本”を読んでいるフリをしながら、時間を潰すー。
二人とも”話しかけられたくないー”と、
そう思いながらー。
幸い、二人とも他の生徒に話しかけられることはなく、
先生がやってくるー。
がー、
先生が出席の確認をしていく中、
「坂浦さんー」と呼ばれても、
美優(健太)は沈黙したままだったー。
いつもの癖で、”丸岡くん”と呼ばれるのを待っていて、
”坂浦さん”と、自分が呼ばれる立場であることを
自覚していなかったー。
「ーーーーーー」
美優(健太)は、いつもの健太のようにボーッとした表情を浮かべているー。
健太(美優)は気付いているのか、間違えて”はい!”などと返事を
してしまうことはなかったものの、
それを美優(健太)に伝えようと思っても、
声を出す勇気が無くて、気まずそうに黙り込んでしまうー。
「ー坂浦さんー?坂浦さんー?」
見かねた近くの座席の女子生徒が、
美優(健太)を呼ぶー。
が、それすらも、健太は
”坂浦さん”と呼ぶ声が自分に対して向けられているものだと
全く思っておらず、無反応を貫いてしまうー。
ようやくー、背後の座席の女子生徒が
美優(健太)をポンポン、と叩いてそれを知らせたことで、
美優(健太)は「あっ…えっ!?あっ…」と
顔を真っ赤にしながら「は、はいーいますー」と、
ようやく先生に対して返事をしたー
「坂浦さんー?大丈夫ー?」
”名前を呼んでもなかなか反応しなかった”という状況を前に、
担任の先生も心配そうな表情を浮かべるー
そんな先生の表情を前に、
美優(健太)は恥ずかしそうにしながら
「すみませんー…すみませんー」と、
そう言葉を繰り返すことしかできなかったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
授業は進み、やがて昼休みを迎えたー。
美優(健太)と健太(美優)の元に
別のクラスの女子生徒ー…健太と同じ図書委員の梨穂が
やってくると、
「調子はどう?元に戻ったー?」と、そう言葉を口にしたー。
「ーえっとー…」
「ーーーその…」
美優(健太)も、健太(美優)も似たような反応を見せるー。
そんな二人の反応を前に、梨穂も戸惑いの表情を浮かべると
「え~っと…それで…入れ替わったまま…ってことなのかなー?」と、
そんな言葉を口にすると、
美優(健太)は静かに頷いて、
健太(美優)は「う、うんー」と、それだけ言葉を口にしたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーだ、誰にも気づかれなかった!?
嘘でしょ!?」
空き教室に移動して、二人から昨日から今日までの
出来事を聞くと、驚いた様子で言葉を口にしたー。
すると、健太(美優)は
「ー入れ替わった相手がーー……ーーーえっとー」
と、梨穂のほうを見つめながら
言葉を止めるー。
梨穂は”あぁ、わたしの名前、認識されてないのね”と、
内心でそう思うと、
「天坂ー。天坂 梨穂だよー?」と、苦笑いしながら
そう言葉を口にしたー。
その上で「気付かれなかったってー、親にも!?」と
梨穂がそう言うと、
健太(美優)は「う、うんー気付いていないみたいだったー」と、
小さい声で気まずそうに言葉を口にするー。
一方の美優(健太)も、
「僕のほうもー…ぼ、僕は部屋にほとんどいたから」と、
そう言葉を口にすると、
梨穂は「はぁ~…」と、ため息を吐き出すー。
「親とかに相談してみたらー?」
梨穂は二人の入れ替わりをそれぞれの親に打ち明けて、
協力して貰うのはどうかとそう提案するー。
「会話すれば、親だって”いつもと違う”ことぐらいは
分かると思うし、何か協力してくれるんじゃない?」
梨穂のそんな提案に、
美優(健太)と健太(美優)はしばらく戸惑った様子を見せると、
やがて、健太(美優)の方が「…知らない人とお話するの、苦手でー…」と、
申し訳なさそうにしながら言葉を口にしたー。
「あ~~~…う、うんー…まぁ、その気持ちは分かーーー」
梨穂はそこまで言いかけて
自分自身は、知らない相手でも、誰が相手でも平気で
喋りかけるタイプであることを思い出し、言葉を一旦止めるー。
きょとんとした表情を浮かべている二人の視線を感じながら
梨穂は「で、でもまぁ、ほらー、親の協力を得られれば
何か解決策も見つかると思うしー。
このまま二人に任せておいたら、事が進まない気がするから!ね?」
と、そんな言葉を付け加えるー。
すると、美優と健太の二人は戸惑いの表情を浮かべるー。
”あ~なんかもう、この二人、心配だなぁ”
梨穂は内心でそう思うと、
「わ、分かった!だったら、放課後、
わたしもついていってあげる!
だから、三人でそれぞれのお母さんとお父さんに
話をしよ!」と、そう言葉を口にするー。
つい、おせっかいをしたくなってしまう梨穂ー。
それに、入れ替わりが起きたその場所にいた人間として、
この出来事の行方末を見届けたいという
そんな気持ちもあったー。
「ーあ、ありがとうー…」
美優(健太)は戸惑いながらもそう言葉を口にするー。
正直なところ、梨穂からすると、
二人からありがたいと思われているのか、
実は迷惑だと思われているのか分からなかったー。
ただ、美優(健太)が”ありがとう”と、そう言葉を口にしたことで、
”め、迷惑とは思われていないよねー?”と、
少しだけ自信をつけながら、二人と共に
放課後に二人の家を順番に訪れることを約束するのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
放課後ー。
結局ー、入れ替わり生活二日目も、
先生やクラスメイト、その他の同級生から気付かれることはなく、
そのまま、1日が終わったー。
健太(美優)は、昼休みの図書当番を、健太の身体で
することになってしまったものの、
相方だった上級生の生徒にも気づかれることはなかったー。
二人が暗い性格で、大人しすぎることから、
その中身が入れ替わっても、誰も気づくことすらないー。
「ーーーふ~ん、ここが坂浦さんの家ねー」
梨穂がそう言葉を口にすると、
健太(美優)が家の扉を開けるー。
そして、三人でゾロゾロと家の中に入っていくー。
癖で”ただいま”と言ってしまう健太(美優)ー
美優の身体なのに、今日も「おじゃまします」と
言ってしまう美優(健太)ー
「ーあの~すみませんー」
梨穂は臆することなく、美優の家族を呼ぶー。
すると、美優とは正反対の派手な風貌の姉・美咲(みさき)が
姿を現すとー、
「あれ?誰?」と、健太(美優)と、梨穂のほうを見て言ったー。
梨穂は、自分のことと、二人の状況を説明すると、
美優の姉・美咲は笑うー。
そしてー、
口を開いた。
「ーえっと、なんだかよく分からないけど、
”彼氏くん”と、”そのお姉ちゃん”ってことでいいー?」
美優の姉・美咲は”馬鹿”だったー。
入れ替わりの説明をされたのに、
健太(美優)のことを、妹である美優の彼氏、
そして梨穂のことを、何故か健太の姉だと解釈して、
そう言葉を口にするー
「えぇっ!?何でそうなるの!?」
梨穂は思わずそう声をあげるもー、
美優の姉・美咲に「ようこそようこそー」と言われて
”彼氏とその姉”だと勘違いされたまま、
家の中に招かれてしまったー…
③へ続く
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コメント
暗い性格の二人の入れ替わりは
まだまだ大変な状況…!★
元に戻れるかどうか、不安ですネ~笑
今日もありがとうございました~!!

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