彼女が飼育していたオウムのポーちゃんが
人間に変身するようになったー。
そんな中、ある事件が起きるー。
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オウムの”ポーちゃん”が、昌磨や琴美に変身するようになってから
1か月近くが経過しー、
オウムの”ポーちゃん”は次第に、
人間らしい振る舞いも身に付けて行った
「ーしかし、不思議だなぁ…」
彼氏の昌磨はそう言葉を口にしながら、
琴美に変身しているオウムのポーちゃんの
服を掴むー。
がー、”服”も含めて人間の姿に変身しているため、
琴美に変身しているポーちゃんの”服”は、
一見服に見えるものの、服ではなく、脱ぐことは出来ないー。
「ーーほらほらー、昌磨ー
ポーちゃん、多分痛がってるよー?」
本物の琴美が苦笑いしながら言うと、
昌磨は「あ、ごめんー」と、
琴美の姿をしているポーちゃんのほうを見つめながら
謝罪の言葉を口にするー。
人間に変身しているポーちゃんの服を引っ張るー、ということは
”皮膚を引っ張っている”のと同じことー。
当然、ポーちゃんにとっては”痛い”のだー。
「ーー大丈夫大丈夫ー気にしないでー」
琴美に変身しているポーちゃんがそう言うと、
最初の頃よりも自然な表情、そして自然な言葉を口にしたのを見て、
「やっぱオウムって頭いいんだなー?」と、
昌磨は本物の琴美のほうを見つめながら言葉を口にするー。
「ーん~…ま、まぁそうだねー…
でも、やっぱり、ずっとこのままだったらどうすればいいのかなー?」
琴美がそう言葉を口にすると、
昌磨は「だよなー…俺と琴美で半分ずつ面倒を見るかー…?」と、
そんな提案もするー。
しかし、”人間に変身する鳥”を外に連れて歩くのは
やはりリスクがあるー。
琴美の家と、昌磨の家を行き来するようになれば
どうしても”ポーちゃん”を外に連れて行く必要があるー。
が、そうなれば外で急に別の人間の姿に変身してしまう可能性もあるし、
急に変身を解除されたりでもしたら、周囲からすれば
”人間がオウムになった!”という恐ろしい光景でしかないわけで、
混乱を招く可能性があるー。
それに、万が一逃げ出されたりしたら大変だー。
「ーーそ、そっか…そりゃそうだよなー」
そんなことを琴美と話し合いながら、昌磨は納得すると、
「ーでも、琴美、大変じゃないかー?急に自分と同じ姿をした
ポーちゃんと暮らすことになったりしてー」と、そう言葉を口にするー。
「ーう~んー」
琴美は少しだけ暗い表情を浮かべながら、
琴美に変身している状態のポーちゃんを見つめるー。
ポーちゃんのことは可愛いと思っているー。
ただー、正直”こんなことになる”とは夢にも思っていなかったー。
「ーーー正直に言えば、大変だけどー
でもーどうにもならないからー…」
琴美はそれだけ言葉を口にすると、小さくため息を吐き出すー。
可愛いけれど、大きな負担になっているのも事実だったー。
”人間に変身する鳥”と暮らすのは想像以上に大変だー。
そんな、本物の琴美の方を見つめながら、
琴美に変身しているポーちゃんは
「わたしのこと、嫌いー?」
「わたしのこと、捨てるー?」と、不安そうに呟くー。
「えっ!?あっ…ううんー」
そんな言葉に、琴美は驚いたような様子を見せるー。
最初のうちは、ポーちゃんは人間に変身していても
人間の言葉の意味を理解している様子はなかったし、
オウムの姿をしていた時と同じで
”会話”が成立している様子はなかったー。
しかし、最近は人間の話している言葉の意味を理解し、
会話が成り立つようになってきているー。
ただ、今までの癖で、ついついポーちゃんは会話の意味が
理解できていない前提で話をしてしまって、
こうして今のように、悲しい表情をされてしまったりしたことも
これまでに何度かあったー。
「ーー嫌いになるわけないでしょー。
ポーちゃんのことはずっと大事にしてきたんだから」
琴美がそう言葉を口にしながら、
琴美の姿をしているポーちゃんを抱きしめるー。
琴美からすれば、自分自身と抱き合っているような状態で、
変な気持ちになるし、
それを見せられている昌磨からすれば
”彼女と彼女が抱き合っているような状態”に見えて、
少しドキッとすると同時に困惑してしまうー。
「ーーーとりあえず、まだ頑張ってみるー。
ポーちゃんだって”なりたくて”こうなったんじゃないだろうしー、
わたしが支えてあげないとねー」
本物の琴美が、琴美に変身したポーちゃんから離れると、
改めて、この先もポーちゃんのことを支えていく決意を口にするー。
「ーーーわかったー。でも、あまり無理はするなよー。
俺もできる限り力になるからー」
昌磨がそう言葉を口にすると、
琴美は「うんー。ありがとうー」と、そんな言葉を口にするのだったー。
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それから1週間ちょっとが経過したー。
また、朝早く琴美から電話が掛かって来て、
昌磨は戸惑いながらも電話に出るー。
”あ、昌磨ー?また朝早くに電話掛けちゃってごめんねー”
琴美が戸惑いながらそう言葉を口にすると、
”あ、朝起きたら、ポーちゃんがいなくなっててー”
と、そう言葉を続けたー。
「えっ!?えぇっ!?」
思わず変な声を出してしまう昌磨ー。
”ポーちゃんがいなくなった”ー。
人間の姿に変身するようになった鳥が
”外”に出てしまったー…
そんな事実を前に、昌磨は呆然とするー。
「ど、どうしてー…?いったいどうしてそんなことにー!?」
昌磨がそう確認すると、
琴美は”分からないー…朝起きたらいなくなっててーどうしようー”と、
そんな言葉を返して来たー。
「わ、分かったーまずは落ち着くんだー
俺も今からそっちに行くから」
昌磨は慌てた様子でそう言葉を口にすると、
家を出る準備をすぐに終えて、
そのまま琴美の家に向かうー。
そして、琴美の家にようやく到着すると、
既に色々な場所を探し回ったのか、土汚れがついた
琴美が慌てた様子で、昌磨の方に駆け寄って来たー。
「昌磨ー…ポーちゃんがいないのーどうしようー」
焦り切った様子の琴美を見て、
昌磨は「大丈夫ー。大丈夫だから」と、そう言葉を口にすると、
「ポーちゃんが行きそうな場所…って言っても分からないよなー」と、
それだけ言葉を続けるー。
その上で、「琴美がよく行く場所にポーちゃんも行ってるかもしれないー。
最近、よく琴美の真似したりもしてたし、仕草もかなり似てたから」
とー、昌磨がそう言葉を口にするー。
すると、琴美も納得した様子で静かに頷くと、
二人はそれぞれ別々の場所を探し始めるー。
家を出てしまった”ポーちゃん”が、
どこにいるのかー、
そして、今、”どんな姿”をしているのかも分からないー
琴美の姿に変身したままかもしれないし、
場合によっては、昌磨の姿に変身しているかもしれないー。
いや、外に出たことによって、
他の通行人のことも目にしているだろうから、
琴美と昌磨以外の人間の姿に変身している可能性もあるー。
いずれにせよ、
ポーちゃん自体のことも心配だったし、
何か問題が起きてしまったらー?ということも
心配だったー。
昌磨は、必死で琴美の姿をしているかもしれない
ポーちゃんのことを探していくー。
「ーこの人、見かけませんでしたかー?」
彼女である琴美の写真を見せながら、
そう確認する昌磨ー。
実際に探しているのは彼女の琴美ではなく、
まだ琴美に変身している状態が続いているかもしれない
オウムのポーちゃんではあったものの、
”彼女のオウムは人間に変身できるんです”などと説明すれば
混乱を招くだけだー。
だからこそー、”実際に起きていること”は伏せつつ、
周囲に目撃情報を確認していくー。
しかしー、琴美の目撃情報はなく、
琴美に変身したポーちゃんの行方は分からないままだったー。
「くそっ…ポーちゃんはどこに…」
悲しそうな表情と、不安そうな表情が入り乱れたような、
そんな表情を浮かべながら、昌磨がそう言葉を口にするー。
ただ、この日ー、オウムのポーちゃんの行方を見つけ出すことはできなかったー。
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翌日ー
「結局見つからなかったなー…ポーちゃん」
昌磨が残念そうにそう呟くと、
「ーうんーそうだねー」と、琴美は静かに頷くー
ただ、琴美は思ったよりも落ち込んでいる様子はなく、
残念そうにしながらも、前向きだったのには安心したー。
「ーポーちゃんも、自由になりたかったのかなー?」
琴美はそんな風に言葉を口にするー。
その言葉を聞いて
「まぁ…それはそうかもしれないけどー」と、昌磨はそう答えた上で、
「でも、琴美の姿で悪さをしたりとか、騒ぎを起こしたりしないかとかー、
後は、他の人に変身して騒動を起こさないかどうか、
そういうことは心配だよなー」と、そう付け加えるー。
”ポーちゃん”に悪意はないとは思うー。
ただー、悪意はなくても、
人間に変身した状態でウロウロしていれば、
トラブルになる可能性は十分にあるー。
「ーポーちゃんなら大丈夫ー」
琴美は、どこか確信めいた表情を浮かべながらそう言葉を口にするー。
「ー大丈夫ってー?」
昌磨は、少し不思議そうにそう聞き返す。
そんな昌磨の反応に琴美は少しだけ笑うと、
「わたしは、ポーちゃんのこと信じてるからー」と、
静かにそう言葉を返して来たー。
結局、琴美が”これ以上探しても無駄だと思う”と、
そう言い始めたこと、
そして飼い主である琴美が”ポーちゃんなら大丈夫”と、そう信じていたことから、
昌磨も”ポーちゃん”のことを探すのをやめて、
元の日常へと戻って行ったー。
”ーーーーー”
それから数日後ー。
「ーーそういえばー…」
昌磨は、琴美が妙にあっさり、ポーちゃん探しを諦めたことを
考えながら、ふと、あることを思い出していたー
”「ーーー正直に言えば、大変だけどー
でもーどうにもならないからー…」”
琴美は、以前、そんなことを言っていたー。
ポーちゃんを探すのをあっさり諦めた理由ー。
それは、”ポーちゃんがいなくなって”
内心ではどこか安心していたのかもしれないー。
そんな風に思いながらも、
昌磨は静かにため息を吐き出すと、
「ーーポーちゃん、どこにいるか分からないけど、
元気でなー」
と、そう言葉を口にするのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
”ーーーポーちゃんーー…?え?何ー?”
ポーちゃんが消えたあの日の朝ー。
”本物”の琴美が驚いた表情を浮かべるー。
「ーーー…おはよう」
ポーちゃんが変身している琴美がそう言葉を口にすると、
ポーちゃんは本物の琴美の鼻と口を塞ぎながら
事前にネットで手に入れていた薬を塗りつけたハンカチを
琴美に当てていくー。
もがく琴美ー。
「ーわたしのこと嫌いなんでしょ?
わたしのこと捨てるんでしょ?
わたし、捨てられたくないー」
ポーちゃんが変身している琴美は、そう言葉を口にすると、
もがく本物の琴美を見つめながら言ったー。
「ーわたしが、琴美になるー」
と。
「ーー!?!?」
本物の琴美は青ざめるー。
”「ーーー正直に言えば、大変だけどー
でもーどうにもならないからー…」”
その言葉を先日、聞いていたポーちゃんは
このままだと”殺される”と、そんな風に思ってしまっていたー。
そしてーーー…
人間に変身するようになって、人間としての考え方や振る舞いを
より強く身に付けたポーちゃんはー
”本物の琴美”の命を奪ったー。
早朝のうちに、琴美は免許を持っているため、
その車を使って、琴美の遺体を山中に運び、”処理”ー。
そのまま昌磨に”ポーちゃんがいなくなっちゃった!”と、連絡したー。
”琴美”が、昌磨と合流した際に汚れていたのは、
必死に探していたからではなく、本物の琴美を山中で処理してきたからー。
妙に早く、ポーちゃん探しを諦めたのは、
自分自身がポーちゃんだからー。
「ーーー」
人間に変身したオウム・ポーちゃんは
彼氏である昌磨にも気づかれずに、
本物の琴美を”処理”し、自らが琴美に成り代わってしまったのだったー。
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
恐ろしい結末に…★!
でも、このまま付き合い続けていれば
”服”も一体化している状態のポーちゃんに
彼氏の昌磨くんもいつかは気づくかもしれないですネ~…!
(気付いても手遅れですケド…)
お読み下さり、ありがとうございました~!!
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