<憑依>ゾンビ化までのタイムリミット②~対策~(完)

①にもどる!

”ゾンビ化する奇病”に感染している女に
憑依してしまった男ー。

しかも、その身体から抜け出すこともできなくなってしまい、
男はピンチを迎えることにー…!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「くそっ…どうして抜け出せないー?」
ゾンビ化が迫る女子大生・美桜に憑依してしまった
謙介は険しい表情を浮かべながら
そう言葉を口にしたー。

こんな状況でも、
女子大生に憑依することができたという
喜びからだろうかー、
ちゃっかりと胸は揉みつつ、
”美桜の身体から抜け出せない理由”を
考えていくー。

謙介が使った憑依薬は
”憑依した相手”から抜け出して、
自分の身体を霊体から元の状態に戻すことは
”可能”なタイプだったー。

購入の際にその点はしっかりと”確認”を取っているー。

一度”憑依”した場合でもその身体から
抜け出すことは可能である、とー。

ただ、一度抜けだすと、霊体から自分の身体の状態に戻り、
”憑依薬”の効力は無くなるために、
もう1回憑依するには、もう1本憑依薬を買う必要がある、と、
そう説明されたー。

つまり、ゾンビ化直前の美桜の身体からは抜け出すことが
できるはずなのだー。

せっかく高いお金を払って憑依薬を買ったのに
それを失う、というのは謙介からすれば気に入らなかったものの、
いくら何でもゾンビ化する趣味はないー。

”またしばらくかかるがー、金は何とか貯めて
 また憑依薬を手に入れりゃいいー けどー”
美桜の身体で胸を揉みながら、険しい表情を浮かべる謙介ー。

「とにかく、この女の身体から出なきゃ、話にならねぇ」
そう言葉を口にしていると、
ちょうど、少し離れた場所を歩いている別の女の姿が見えたー

”うまそう”

そう、感じたー
美味しそうだと思ったー。

「ーーー!?」
すぐに、ふと我に返った美桜に憑依している謙介は
「お、美味しそうじゃねぇよー冗談じゃねぇ」と、
美桜の身体でそう言葉を口にすると、
「ー俺に人肉を喰らう趣味なんてねぇからな!!」と、
自分に言い聞かせるようにして、
そう言葉を口にしたー。

「ーーーひとまずーここじゃ落ち着かねぇー
 こいつの家に行くかー」

美桜は険しい表情を浮かべたまま、
自分の鞄の中にある学生証で、美桜の住所を確認すると、
その場所へと向かったー。

「ーーへへへー可愛らしい部屋じゃねぇかー」
美桜の部屋の中に入ると、
女子大生らしい…とでも言うべき可愛らしい光景が
広がっていて、
それを見た謙介は、美桜の身体で思わずニヤリと
笑みを浮かべるー。

そして、しばらくの間、胸を揉んだり、
姿見を見て自分の姿を楽しんだりー、
誘惑するようなポーズを楽しんだりと、
”せっかくの憑依”を楽しんだものの、
姿見のほうに再び視線を向けたタイミングで、
”目が充血”していることに気付いてしまったー。

担当医の小山が言っていた”ゾンビ化の兆候のひとつ”だー。

「く…くそっー…この女、やっぱ”感染”してやがるー」
一気に血の気が引いて、
胸を揉んでいても、その快感を感じられないぐらいに
精神的なダメージを受けると、
「ーくそっ…大体、ゾンビになる奇病ってなんだよ!」と、
そう言葉を口にしながら、
美桜のスマホや、美桜の部屋にある私物を確認しながら
その情報を探っていくー。

すると、この街で、3ヵ月ほど前から
密かに流行している病で、既に
”ゾンビ化”してしまった人間もいるのだと言うー。

しかし、町長らが何らかの目的でそれを隠蔽しようとしていて
明るみにはなっておらず、
街の外部に感染を広めないように、徹底した対策が取られているため、
この街の外には広がっていないー。

そんな状況であることが分かったー。

そしてー…美桜と同じ大学に通う友達の一人が
この奇病に感染し、既にゾンビ化してしまっているー…
そんな状況のようだったー。

その子に”兆候”が出る前にも、
美桜はその子と一緒にファミレスに行ったりしていて、
それで、美桜は自分も感染しているのではないかと心配し、
白月感染対策センターに相談していた、ということのようだったー。

結局、美桜自身は、そんなことを心配する以前に”憑依”されてしまったものの、
憑依される前の美桜が懸念していた通り、美桜は”感染”していたのだー。

「ーー”感染した場合”現時点で治療の方法は見つかっておらずー…」
美桜に憑依している謙介は、サイトに記載されている
そんな文章を見つめながら「くそっ!」と、叫びながら
拳を壁に叩きつけるー。

”ゾンビ”になれば二度と元には戻らないー。
理性も自我も失って、強烈な食欲だけに突き動かされて、
人を喰らうー、そんな存在になってしまうー。

そして、この街では”ゾンビ”の騒動を外部に漏らさないため、
奇病をこれ以上外に広げないため、
完全にゾンビ化した人間は”処分”されていると、そんな情報も手に入れたー。

「ーーーー」
美桜に憑依している謙介は、一瞬、”感染症対策”のセンターに
連絡をしようとスマホを握りしめていたー。

しかしー…
”ここまで兆候が出ているとなると、俺も処分されるかもしれない”
と、美桜に憑依している謙介はそう考えると、
白月感染対策センターへの連絡はやめて、
対策を考えるー。

「くそっ…何か治療薬とかはねぇのかー?」
そう言葉を口にしながらも、美桜のお腹は空腹を
訴えるかのように音を立ててー、
空腹が止まらないー。

やむを得ず、美桜の家に残されていた食べ物を口に運ぶも、
味は全然しないし、空腹も満たされないー。

「ーー…~~~~~~っ」
それどころか、”人間を食べる”光景が頭に浮かんで、
美桜はそれを払しょくするかのように、自分を殴りつけると
「ふざけるなー…ゾンビなんてなってたまるかー」と、
そう言葉を口にしたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー

美桜は、サングラスをかけた状態で
街へと出たー。

昨日よりもさらに目が真っ赤に充血していて
”感染”していることに気付かれるとそう思ったからだー。

「ーーこうなったらー、強引な手を使うしかねぇ」
美桜は険しい表情でそう言葉を口にするー。

原因は”不明”であるものの、
本来であれば憑依した身体から抜け出すことができるはずなのに、
美桜の身体から抜け出すことが出来ない状態になってしまっているー。

恐らくは、”ゾンビ化する奇病”に感染していることが
原因だとは思うー。

で、あればーー

「ーもう1本憑依薬を買って、この女の身体ごと霊体になって
 他の人間に憑依すりゃー…」

そんな風に、謙介は考えていたー。

そのためには、”金”が必要だー。
美桜の身体で街へと行き、金払いの良い男を探して誘惑ー、
とにかく”金稼ぎ”を始めた謙介ー。

美桜の身体で男と楽しむのは、興奮したし、
ドキドキしたー。

が、そんな興奮も薄れてしまうぐらいに、
日に日に”ゾンビ化”の兆候は強まっていきー、
”憑依薬”を買うだけの金が貯まる直前ーーー
”それ”は起きたー

「ーうがあああああああっ!!」
男とお楽しみをしている最中にー、美桜に憑依した謙介は
我を失ってそう叫びながら、
その男に食らいついてしまったのだー。

「ーーひっ…お、お前、ゾンビー!?」
噛まれた男が青ざめながら言うー。

「ーし、しまったー…
 ち、違うー今のはー」
美桜に憑依している謙介は
慌ててそう言葉を口にするも、
男がすぐさま”通報”を始めたのを見て、
慌てて美桜は逃げ始めるー。

がー”金”は貯まったー。

憑依薬を即座に購入して、
翌日に配送指定をすると、美桜は
自宅にも帰宅せずに、
そのまま身を隠しながら”翌日”を待ったー。

何故だろうかー。
暗い方が妙に落ち着いたし、
もうすぐ”ゾンビになってしまうかもしれない”という状況を
それほど”怖い”とも思わなくなってしまったー。

”この状況”に慣れたのだろうかー。
心のどこかで”このままゾンビになってしまっても構わない”と、
そんな風にすら思ってしまうー。

「ーーー…チッーとにかく……
 明日ー、明日、憑依薬が届くー」
既に、かなり症状が進んでいるのだろうかー。
皮膚もボロボロで、憑依した時には可愛い雰囲気だった美桜の容姿は
劣化しているー。

「ーーーーーー」
が、それすらも”心地よい”とそう思えたー。

とにかく、今日は寝ようー。
そう思いつつ、美桜に憑依している謙介はそのまま
その日は眠りについたー。

そして、翌朝ー。
太陽の光に激しい不快感を覚えながらも、
荷物が到着したことを確認すると、
受け取り場所に指定していたコンビニへと向かうー。

「くそっー腹が減ったー…
 アイツ、うまそうだなー…」
通行人を見つめながらそう呟く美桜ー。

がー、”くそっ、こんなんじゃ、ゾンビじゃねぇかー”と、
自分のゾンビ化が近付いていることに強い危機感を覚えるー。

危機感を覚えはしつつも、恐怖はないことを
不思議に思いながら
コンビニへと向かうー。

しかしー、その途中ー

「ーー!?」
腕を掴まれた美桜が振り返ると、
そこには”ゾンビ”になったツインテールの女がいたー。

「ーーうわっ!!!離せ!!」
そう叫ぶ美桜ー。
慌てて振り払おうとするも、そのゾンビに腕を噛まれてしまうー。

「ーぐああああっ!!く、くそっ!」
傷みを感じながらも、
極度の空腹に苦しんでいた美桜は、
反射的にそのツインテールの女のゾンビの頭に
齧りついていたー。

「ーーはぁっ…はぁっ…はぁっ…うがああああああ!」
その叫び声はもう、”人”のものではなかったー。

ツインテールの女のゾンビから身を守るためー、
夢中になってその女を喰らっていくー。

気付いた時には、その女の頭を食べ尽くして、
ゾンビは胴体から下しかなくなっていたー。

「ーーうめぇ…」
美桜は虚ろな目でそう呟くと、
「ーそうだーー憑依薬ー」と、そう言葉を口にすると、
そのままコンビニへと再び向かい始めるー。

その足取りは、もはやゾンビー。
まだ、美桜に憑依している謙介の”自我”は
何とか残っていたものの、
それも”辛うじて”という状況でしかなかったー。

「ーー憑依薬さえ手に入れれば、この女ごと霊体になってー…」
美桜は虚ろな目でそう呟くー。

”霊体”になったところで、正直、どうなるのかは分からないー。

ただ、”ゾンビ化”は免れることができるような気がしたし、
そのまま別の人間の身体に憑依さえしてしまえばー…

そんな風に思いつつ、
コンビニに到着すると、コンビニの店員が悲鳴を上げるー。

もはや、美桜の姿はゾンビにしか見えないのだろうー。

美桜はそんな店員を無視して、
店内に既に到着していた美桜宛ての荷物ー、
憑依薬が入ったダンボールを手にすると、
それを取り出そうとするー。

「ーーく、くそっ!ゾンビめ!」
店員がそう叫びながら、店内にあった棒で
美桜の頭を背後から殴りつけて来るー。

「ーお前…じ、邪魔をするな!」
美桜はすっかりゾンビのようになってしまった表情で
振り返ると、そのままその店員にかじりつくー。

夢中になって店員を食い終えた美桜は、
そのまま憑依薬の容器を開けて、
それを口に近付けるー

「俺……ゾンビにはならねぇ……へへー」
美桜はそう言葉を口にすると、
そのまま”憑依薬”を飲み干したー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーぁ… ァァ…」

すっかりとゾンビになった美桜が、
夜の街を徘徊していたー。

”奇病”はさらに広がり、
街は封鎖されたものの、
次第にこの山に囲まれた街には
”人間”の姿がなくなりつつあったー

「ァ… ァ」
人の気配を察知して美桜は、少しだけ
嬉しそうにすると、そのままそちらの方向に
向かって歩んでいくー。

美味しそうな”ごはん”の香りがする方向へとー。

その美桜の姿は、もはや人間の姿ではなかったー。
そして、自分が”美桜に憑依した謙介であること”も、
もはや完全に忘れてしまっていたー。

数日前ー、美桜が必死の思いで
憑依薬を飲み干したコンビニの床には、
憑依薬の容器が転がっているー。

そこにはー、”人間以外の生物が服用しても効果は発揮されません”と、
そう書かれていたー。

あれを飲んだ時点で、
もう美桜はほぼ”ゾンビ”だったー。

だからー
何の効果も発揮せず、美桜に憑依した謙介は
そのまま完全にゾンビになってしまったのだったー

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

ゾンビ化直前の身体に憑依してしまって、
そのままゾンビ化してしまう結末でした~!!

憑依した身体がそんな状態だと
困っちゃいますネ~笑

お読み下さり、ありがとうございました★

「ゾンビ化までのタイムリミット」目次

作品一覧

コメント