あの世の案内人の”手違い”によって、
1週間後に命を落とす運命となってしまった男ー。
”女体化”することで、何とかその運命は
回避したものの、戸惑いの状況は続くー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーぐぐぐぐぐ…
あれから、あの案内人もすっかりノータッチだし…」
女体化した健人は、不満そうに
自分の身体を見つめながら
そう言葉を口にしたー。
”女体化”してから数日ー。
既に、あの世の案内人が言っていた
”手違い”により、死ぬ運命になってしまったー、と、
そう説明された日は過ぎた。
つまりは、死の運命は回避された。
ただー…
「ーーっていうか、もう死ぬはずだった日を
回避したから、男に戻ってもいいんじゃ?」
健人がそう言葉を口にすると、
不満そうに鏡で自分の姿を見つめるー。
何度鏡を確認してもー、
残念ながら自分は”女”のままー。
「ーーはぁ…
くそっーこのままじゃ大学にも行けないぞー」
女体化した健人は、可愛い声を出しながら
大きくため息を吐き出すー。
がー、そんな時だったー。
パッと、突然、髭まみれの巨体の男が姿を現したー。
「ーうっ…う、うぉぉおあああああああ!?」
女体化した健人は悲鳴に似た叫び声を上げながら、
その場に尻餅をつくと、
「な、な、なんだよ急に!?しかもそんな姿で急に出てくんな!」と、
威圧感のある風貌で急に出現した”案内人”に対して文句を口にするー。
すると「ーおや、これは失礼しましたー」と、
そう言葉を口にした上で、姿を瞬時に
「ーこういう方が好きなわけですね」と、妖艶なドレス姿の女の姿に
変えて見せたー。
「い、いや、お、俺を変態扱いするな!」
不満そうに女体化した健人がそう叫ぶと、
「ーー女としての生活には慣れましたかー?
まだ、仕草と口調が男の時のままのようですが」と、
案内人はドレス姿の女の姿のまま、そう言葉を口にしたー。
「数日で慣れるわけないだろ!
それに、あんたのせいで、大学にも行けずに
困ってるんだがー!」
女体化した健人がそう言うと、
「ーはて?行けば良いのでは?」と、案内人が首を傾げるー。
「いやいやいや、人間ってのは急に性別が変わるなんてことはないし、
男だった俺が女になって大学に行くと
色々問題があるんだよ!
そもそも、そっちのミスで勝手に俺が死ぬことにしておいて
因果なんとかとか訳の分からないことを言って、
しかも女体化させたらはいさよなら、って失礼すぎるだろー?
ミスをした張本人も謝りに来ないし、
いったいどういうことなんだよー」
女体化した健人がそう言葉を口にすると、
案内人は笑いながら「まるで男のままの振る舞いですね」と、
そう言葉を口にしたー。
その上で、案内人は
「いや、失礼しましたー。さっきのは冗談です」と、
”そのまま大学に行けばいいのでは?”と口にしたことは
冗談だと詫びるー。
そして「数日間放置する形になってしまって申し訳ありませんでしたが
”因果調整”を行うことで、あなたが最初から女だったと周囲が認識するように
切替が成功しましたのでー今日はそのご報告に上がりましたー」
と、案内人はドレス姿の女の姿のまま、
そう説明を口にしたー。
「え…じ、じゃあ、つまり、みんなは俺のこと、最初から女だって
そう思ってるってことかー?」
女体化した健人は自分の身体に手を触れながら
そう言葉を口にすると、
案内人は「そういうことになりますね」と、そう言葉を口にしたー。
「ただ、その調整を行うためには複雑な計算を行う必要があり、
慎重に調整したため、時間がかかってしまいましたー。
お許しください」
案内人の謝罪の言葉に、女体化した健人は戸惑いつつも、
「ーーま、まぁ…対応してくれたことには感謝してるよ」と、
少し恥ずかしそうに、そんな言葉を口にするー。
がー、少し考えてから女体化した健人はこうも言葉を口にしたー。
「でもさ、もう俺が死ぬ予定の日は回避したんだし、
俺を男に戻した方が、因果なんとかにも影響は出ないんじゃー…?」
女体化した健人がそう指摘すると、
案内人は「確かに、そういう考えもありますねー」と、そうした上で、
「ただ、我々の世界で担当者がミスしたことによって
あなたを男に戻すと、すぐに発作で死にます」と、
そう説明するー
「クソッー、どうしても俺を発作で殺したいみたいだなー」
女体化した健人は、どこか自虐的な口調でそう言葉を口にすると、
案内人は「申し訳ありませんー」としつつも、
「今日から、あなたの女子大生ライフがスタートです」と、
どこか嬉しそうに言葉を口にしたー。
「~~~~~~~~…」
女体化した健人は不満そうにむすっとしていると、
案内人は「その可愛い顔にそういう表情は似合いませんよー?」
と、そんなツッコミを入れて来るー。
「ーーー……そういえば、俺の名前は?」
ふと、女体化した健人が鏡に映る自分の姿を
見つめながらそう言葉を口にすると、
「ーーあなたの名?」と、案内人は首を傾げたー。
「どうしたのですか?記憶でも失われたのですかー?
あなたの名前は福村 健人ですよ」
案内人は自分のおしゃれなドレスを触りながら
そう言葉を口にすると、
女体化した健人は「いや、いや、そうじゃなくて」と、
再び案内人の方を見つめたー。
「?」
案内人が”意味不明”と言いたげに首を傾げるー。
そんな様子を見て、健人は思わず苦笑いをすると、
「ーー福村 健人のままじゃ無理があるしー」と、
そう言い放つー。
「??」
案内人は、さらに”意味不明”と言いたげな表情を浮かべながら
何故かドレス姿の女の姿から、最初の好青年風の姿に戻ると、
「なぜです?」と、そう続けるー。
「ーー何でいちいち姿を変えるんだよ」
健人は不満そうにそう呟くと、
「ーーいえ、深い意味はありませんが」と、案内人は
そう呟いた上で、
「あなたの名前は福村 健人のままですがー」と、
再度そう言葉を口にするー。
すると、女体化した健人は
「今、俺、女だよな?」と、そう言葉を口にすると、
案内人は「えぇ、そうですね」と、即答するー。
「女なのに、”福村 健人”っておかしくないか?」
女体化した健人がそう言うと、
案内人はようやく健人が何に対して不満を抱いているのかを
理解した様子で、「あぁ、なるほどなるほどーそういうことですか」と、
何度か頷くー。
その上で、案内人は続けたー。
「ご心配の件でしたら問題ありませんよー。
あなたの認識は”因果調整”により、皆さん、女だと思うようになりましたー。
福村 健人、という名前もみんな自然に受け入れるように調整されてますから
問題はありません」
とー。
「ーーーー…」
女体化した健人は、不満そうな表情を浮かべながら
案内人の方を見つめるー。
別に、積極的に女の名前を名乗りたいだとか、
そういうことではないー。
ただ、この姿になってしまった以上ー、
女体化してしまった以上、”福村 健人”という名前は
自分でも違和感があって耐えがたいー。
例え周囲が気にしないのだとしても、
この先、色々な機会で自分の名前を書くときに
”今の自分がこの名前でいいのだろうか”と、
そう思ってしまうー。
「ー名前ひとついじるだけで、因果の流れが崩れるんですよねぇ」
案内人はイヤそうな表情を浮かべながら言うー。
「ーーっ」
健人は不満そうに首を横に振ると、
「ーーわかったわかったー…じゃあ、もう、それでいいよ」と、
そう言葉を口にして、
そのまま”女体化生活”を受け入れることを渋々ながら認めたー。
「ご納得いただけて何よりです」
「ーあまり納得してないけどな!」
女体化した健人は、心底不満そうにしながら
そう言葉を発するも、
止むを得ず、その状況を受け入れるしかなく、
どこか悔し気な表情を浮かべるのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーおぅ、健人ー」
女体化した健人は”大学”に通い始めたー。
ついこの間、女体化してしまった後に
”俺って男だよな?”と確認のメッセージを健人が送った相手ー、
親友の小太郎(こたろう)が健人にそんな声をかけて来るー。
あの世の案内人が”因果の調整”とやらで認識を改変してくれる前だったため、
その時は、小太郎も”健人は男に決まってるだろ?”みたいな
反応だったものの、
今ではすっかり、”女扱い”してくるようになったー。
ただー、”関係性”に関しては
女体化する前の”認識”と同じようで、
小太郎からすると、今の健人は”異性だけど、男友達のような関係”で
ある模様だったー。
”よかったー…いきなり小太郎のやつとの関係が
カップルとかになってたら、びっくりしてひっくり返っちまう
ところだったー”
女体化した健人はそんなことを思いながら、
小太郎と共に”いつものように”雑談を続けるー。
普通に”俺”と言っても、小太郎は特に気にしている様子がないために
”女”であるけれど、性格とは口調とか、そういう面は
”今まで通り”として認識されているのだろうー。
「ーーでもさ~お前といるとやっぱ、男友達といるよりも
楽なんだよなぁ~
何でだろうな?」
親友の小太郎がふと、そんな言葉を口にするー。
女体化した健人は「はははー…そう思って貰えてうれしいよ」と、
そうしつつも、
少しだけ表情を曇らせながら、
”まぁ、俺はこの前まで男だったからな!!!!”と
内心でそんなツッコミを入れるー。
しかし、親友の小太郎は別に何も悪くないし、
小太郎に”俺はこの前まで男だったからな!”などと言ったところで
どうにもならないー。
全てはあの世の案内人の判断と、
あの世とやらの担当者がミスしたせいなのだからー。
”ーーいや、でも待てよー?
調整された直後の今は良くても
この先、小太郎の奴が急に俺に
恋愛感情抱いたりしないだろうなー?”
女体化した健人は、小太郎と話をしながら
急に、そんな不安を覚えてしまったものの、
首を横にぶんぶんと振ると、
”いやいやいや、あり得ないだろー”と
頭の中に一瞬浮かび上がってしまった
”親友と自分がカップルになる”という恐ろしい光景を
必死に否定するー。
「ーーうん?どうした?健人」
小太郎が、そんな”女体化した健人”に気付いて
少しだけ不思議そうに言葉を口にすると、
健人は慌てた様子で「いや、何でもないー気にするな」と、
女体化する前には絶対に出すことのできなかったような
可愛らしい声で、そう言葉を口にするのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
それから半月以上が経過したー。
女体化した健人は、
”女になった自分”に慣れないところは
まだありながらも、
それでも何とか、上手くそれを受け入れつつ
”女体化した状態”での日常生活に
慣れ始めていたー。
しかしー…
「ーーーー!」
女体化した健人が大学から帰宅している最中ー、
案内人が突然現れたー。
今度は眼鏡の理知的な雰囲気の女性の姿でー。
「ーーー…こ、今度は何だよー」
女体化した健人がイヤな予感を覚えながら言うと、
「いえ、実はまた担当者による手違いが起きましてー」
と、案内人がそう言葉を口にするー。
「ーーは、はぁ?」
女体化した健人が言うと、
案内人は「ーこのままだとあなたは3日後に死んでしまいますー。
本来、まだ死ぬタイミングではないので回避する方法を計算したのですがー」
と、そこまで言うと、
「ー親友の小太郎さんの彼女になることで回避できますー」と、
案内人はそう続けたー
「はぁ?ふざけるなよ!?大体、誰だよミスばっかりしてる担当者!
そいつを連れて来いよ!」
女体化した健人が怒りに任せて叫ぶ。
するとー
案内人は言ったー。
「私ですが」
とー。
「ーー~~~~~~~!!!」
女体化した健人は、自分がこんな目に遭う原因を作った”ミス”を犯したのが
目の前にいる案内人自身だと知りー、
「ふざけるなよオイ!!!!!」と、
そう声を上げるのだったー。
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
こんな案内人さんが担当者…なんて
イヤですネ~笑
(健人くんが女体化したい人だったら喜んだかもしれませんケド…!)
お読み下さり、ありがとうございました~★!!
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