長年に渡る修行の末に、
”階段から落ちた相手と入れ替わる”
そんな能力を手に入れた男。
彼の入れ替わりライフは、今日も続く…。
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梨菜と入れ替わった伸樹は、梨菜として家に帰宅していたー。
「ただいま~」
梨菜(伸樹)は、梨菜から聞いた話を元に、
梨菜として、違和感ないように演じていくー。
”相手を真似する”
彼が、今までに何度も階段から転がり落ちて、
習得したスキルだ。
「ーーちょっと遅かったね~?何かあったの?」
梨菜の母親がそう言葉を口にすると、
梨菜(伸樹)は「あ、ううん~!友達と少し話してたから~」と、
梨菜っぽく返事をすると、
そのまま部屋へと戻っていくー。
そして、部屋へと戻ると、梨菜(伸樹)は途端に
邪悪な笑みを浮かべて、
学校の荷物を放り投げると、自分の胸を揉み始めたー
「へへへー大人しそうな顔をしているのに
身体は大人しくねぇんだなーへへへ」
立派な胸を揉みながら、嬉しそうにそんなことを口走る
梨菜(伸樹)ー
やがて、当たり前のように制服を脱ぎ捨てると
姿見の前でモデルのように自信に満ち溢れた表情を
浮かべながら、梨菜(伸樹)は、自分の身体を嬉しそうにチェックし始めたー…。
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「ーーーって、コイツーーーそういう子かー」
翌日ー。
梨菜(伸樹)は学校にやってくると、困惑の表情を浮かべたー。
トイレの個室で他の女子生徒から水を掛けられて
ずぶ濡れになった梨菜(伸樹)は、水を垂らしながら、
腕組みをして考え込むー。
「ーまぁ、確かに大人しい子は狙われやすいのかもなー
しかも、この子可愛いから、気の強い女子とかから
嫉妬されそうだしなー」
梨菜(伸樹)はそう呟くと、
「よし」と、少し笑みを浮かべてから立ち上がったー。
伸樹はー、階段で相手にわざとぶつかって入れ替わる”迷惑男”だー。
が、あくまでも彼はバッドエンドを望んでいるわけではない。
あくまでも入れ替わって、平和的に元に戻るー。
それが、彼の望みだー。
だから、入れ替わった相手の身体でその相手の人生を
壊すような真似はしないー。
今回入れ替わった梨菜の場合でもそうー。
急に学校に通わなくなったりするつもりはないし、
母親の前で胸を揉んで喘いだりするつもりもない。
人の見ていないところでは胸を揉んだり、
色々なポーズをしたり、
”それなりのお楽しみ”はさせてもらうものの、
それ以上のことはしないー。
そしてーーー
「ーーそういうの、2度としないで貰える?」
数日後ー
梨菜(伸樹)はいじめっ子の腕を掴みながら
脅すような口調でそう言葉を言い放っていたー。
”梨菜の可愛さ”を利用して、
生徒会長の男子や、その他の味方を増やした上で
”梨菜のイメージが大きく変わらないように”気を付けつつ、
慎重に行動をしー、
その結果、いじめっ子のリーダー格を追いつめることに成功していたー。
「ご、ごめんなさいー…」
いじめっ子のリーダー格が、少し悔しそうにしながらも
謝罪の言葉を口にするのを見て、
梨菜(伸樹)は「分かればいいんだよー」と、そう言葉を口にする。
伸樹としてはボコボコにしてやりたいところでは
あったものの、”入れ替わった相手の人生は滅茶苦茶にしない”
それが、彼なりの入れ替わりの流儀だったー
そんな考えを彼が持っているのにも”理由”があったー。
それは、あらゆる入れ替わりモノを見尽くした”入れキチ”である彼にとって
入れ替わりはハッピーエンドー
あるいは、ハッピーと行かなくても、それなりに元通りになる物語で
あったからだ。
自分自身が入れ替わりの物語の当事者になりたい、と、
そんな思いから入れ替わり能力を習得した彼にとっては
”元に戻って日常に戻っていく”までが一つの流れであり、
それを壊すことは、彼自身にとっても
許せないことだった。
もちろん、世の中にはダークな結末を迎える入れ替わりもたくさんある。
けれど、”ほぼ全ての入れ替わりモノ”を見尽くした彼は
全体的にハッピーエンドか、ダークとまではいかない結末の方が
多かったことで、彼の望む入れ替わりは、ズブズブのダークではなく、
”平穏な結末を迎える”入れ替わりだったー。
わざとぶつかって階段で転倒したり、
誰にも見られていないところでは胸を揉みまくったり、
Hなこともしたりー、
私利私欲のための入れ替わりではあるものの、
最終的に”身体を返して、相手の人生を壊さない”ということを
彼はモットーにしていた。
ーーとは言っても、最初に入れ替わった時のクマは例外だけれども…。
「もう一度、階段から転がり落ちて見ましょう」
数日後ー
梨菜(伸樹)は、伸樹(梨菜)を呼び出して、
そんな言葉を口にしていたー。
「ーー…で、でもー」
伸樹(梨菜)は戸惑いの表情を浮かべるー。
「大丈夫ですー。きっと元に戻れると思いますし
それにー、ずっとこのままじゃ、”僕”も、あなたも
困ると思うのでー」
”今の入れ替わり”に飽きたら、
伸樹はいつも”階段からもう一度転落すれば元に戻れるかもしれない”と
相手に提案して、階段から転落ー、
元に戻ることを繰り返しているー。
もちろん、自分の能力のことは明かさないー。
最後まで、あくまでも”偶然”入れ替わって、
”偶然”元に戻ったのだと、
そんな雰囲気は絶対に崩さないー。
「ーーーー分かりましたー」
伸樹(梨菜)は階段から転がり落ちることを承諾するー。
そして、二人は階段から転がり落ちて元に戻った。
当然だー。
彼が持つのは、そういう能力なのだからー。
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「さてさてー、今度は誰と入れ替わろうかなー」
少し離れた別の公園で、
”入れ替わり相手”を物色する伸樹ー。
あれから数日ー。
伸樹はもう”次の入れ替わり”を楽しもうと、
早速行動を起こしていたー。
あのあと、梨菜には”いじめは解決した”と
入れ替わっている間の行動を説明したー。
戸惑ってはいたものの、
伸樹が”梨菜の今後の人生に影響がなるべく出ないように”
行動した結果、梨菜もそのことを喜び、
”ありがとうございます”と、そうお礼を口にしていたー。
「ーーま、別に俺はお前を助けたかったわけじゃなくて
”そこ”に至るまでも入れ替わりの物語として
大事だったってだけなんだけどなー」
伸樹はあくまでも人助けをしたつもりではないー。
そんなことを一人口にしながら、
笑みを浮かべると、
階段に次の入れ替わり相手ー、
”イイ入れ替わり相手”が出現するのを
今や今かと待ち構えていたー。
「んーーー」
伸樹は、少しギャルっぽそうな雰囲気のOLを見つめるー。
がー、少し考えてから、”いや、アイツはパスだなー”と
首を横に振るー。
入れ替わった後に非協力的な態度を示しそうな相手や
余計なトラブルに発展しそうな相手は”避ける”ようにしていてー、
あのギャルはその危険があると、伸樹はそう判断して見送ったー。
続けてー…
”綺麗なお姉さん”という雰囲気のOLが階段のところにやって来るー。
「ーーおぉ…へへースタイルもいいし、最高だなー」
伸樹はそんな言葉を口にすると、
”次の入れ替わり相手”を、そのOLに定めるー。
そして、嬉しそうにいつものように物陰から飛び出すと、
”わざと”じゃなくて”たまたま”階段で転落してしまったかのように
演出しながらー、そのままそのOLを巻き込んで転落するのだったー。
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「ーわたしの身体で、絶対に変なことしないでね????」
入れ替わり相手のOLー辻村 香奈枝(つじむら かなえ)は
不満そうにそんな言葉を口にするー。
「しませんよー。安心して下さい。」
香奈枝になった伸樹はそう言葉を口にすると、
”思ったより面倒なのを引いたなー”と、そんなことを心の中で呟くー。
伸樹が入れ替わる相手は、
いつも、”このまま生活していくしかありませんね…”と、
提案すれば最終的にそれに納得しそうな相手をー、
そして、丁寧に話をしていれば信用してくれそうな人をー、
”偶然ぶつかってしまった”風を装えば協力的にしてくれそうな人を
選んでいるー。
しかし、この香奈枝はそんな感じではなかったー。
「ーーわたし、彼氏と住んでるんで!
お互いのフリをして生活するなんて絶対に無理ですから!」
伸樹(香奈枝)がそう叫ぶと、
香奈枝(伸樹)は「き、気持ちは分かりますー」と、
”慌てた雰囲気”を演出しながら「ただ」と、言葉を続ける。
「ただ、だからと言って”わたしたち、入れ替わっちゃったの!”なんて
言っても、彼氏さんは信じてくれるんですか?
逆に混乱させてしまうだけなのではないですか?」
香奈枝(伸樹)がそこまで言うと、
伸樹(香奈枝)は「そこを信じさせるのがアンタの仕事でしょ」と、
”そっちからぶつかって来たんだから”と、不満そうに
言葉を口にするー。
”ぐぐぐー…”
せっかく好みの子を見つけたというのに、
思った以上に彼にとっては厄介な性格だったー。
もちろん、香奈枝からすればぶつかってきたのは
伸樹であることには何の違いもないし、
怒るのも無理はないことだ。
けれど、入れ替わりを楽しみたい伸樹からすれば
厄介な相手であることもまた、事実だった。
「ーーー……大体、アンタからぶつかってきたのに
何偉そうに仕切ろうとしてんのよ?
こっちはアンタの身体を預かってるのよ?
あんまり偉そうな態度をしてるとー…!」
大人しい見た目なのに香奈枝はかなり強気な性格だー。
伸樹(香奈枝)は、なおもそんな言葉を吐き出すと、
香奈枝(伸樹)は「ーわ、分かりました。分かりました」と、
慌ててそう言葉を口にするー。
本心はともかく、入れ替わったあとはいつものように
下手に出ているつもりではあったものの、
香奈枝には”偉そうに”見えたようだ。
”もう、この女で遊ぶのは諦めよう”
香奈枝(伸樹)はそう思うと、
「分かりました。階段からもう1回転がり落ちて見れば
元に戻れると思いますから、試してみましょう」と、
そんな言葉を口にする。
「ーーーはぁ?」
しかし、伸樹(香奈枝)は
”もう1回階段から転がり落ちる”ということにも納得しなかったー。
「ーい、いや、ずっとこのままじゃ困るでしょう?
元に戻るためには、色々試してみないと」
香奈枝(伸樹)が、自分好みの女の身体になっていることも
忘れてしまうぐらいに、少し慌てた様子でそんな言葉を吐き出すー
が、伸樹(香奈枝)は納得する様子を見せないー。
「さっきは怪我せずに済んだけど、大怪我したり、
死んだらどう責任取るの?」
伸樹(香奈枝)の言葉も最もだー。
”階段から転がり落ちる能力”にはリスクがある。
ただ、元に戻るためには、もう1回”階段から転がり落ちる”
必要があるのもまた事実だ。
「ーーそ、それはー…」
香奈枝(伸樹)は”あぁ、くそっ、この女はハズレだ”と、
内心で毒づきながらも、何とか納得してもらおうと説得を続けるー。
「ーーもう一度階段から落ちたら元に戻ることができるっていう
根拠は?根拠がなければわたしは、絶対に階段から転がり落ちないから!」
伸樹(香奈枝)が叫ぶー。
”根拠”ー
根拠はある。
伸樹自身がそういう能力を持っているからだー。
しかし、
”実は僕、階段から転がり落ちた相手と入れ替わる能力を持ってるんですよ”
とは言えないー。
言ってしまったら”わざと”ぶつかったのがバレてしまうし、
あくまでも入れ替わりは”自然に発生した”と、装う必要がある。
前にも何度かあった。
階段からもう一度転がり落ちることを頑なに拒まれてしまうことがー。
”くそっ、厄介だなー…”
香奈枝(伸樹)はそんな風に思いながら、
険しい表情を浮かべていると、
「ーー根拠はありませんが、ただー」と、
そう言葉を口にしようとするー。
がー、
そう言葉を口にし始めた時には既に、伸樹(香奈枝)は
転がり落ちた際に近くに落下していた香奈枝自身のスマホを手に、
”彼氏”に連絡をし始めてしまっていた。
「お、おいっ!!!」
思わず変な声を出してしまう香奈枝(伸樹)ー
「あ、もしもしー?敏也(としや)ー?
こ、こんな声なんだけど、わたし、香奈枝ー…
え?うんー。実はちょっと大変なことになっててー」
入れ替わった状態のまま、同居しているという彼氏に
電話をし始めてしまった伸樹(香奈枝)ー。
そんな様子を前に、香奈枝(伸樹)は”チッ”と
舌打ちをすると、”何とか階段から転落しないと”と、
そんなことを思うのだったー…。
③へ続く
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コメント
次回が最終回デス~!!!
入れ替わることのできる条件が
なかなか厄介なので
使い勝手がちょっぴり悪いですネ~笑
今日もありがとうございました~~!!

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