前世の記憶を思い出してしまった彼女ー。
現世でも迫りくる”憑依”の影に怯えながら
それでも彼女は、なんとか未来を手にしようとするー…。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーへへへへへー
俺からは逃げられないー絶対に」
”戦国時代”よりももっと前ー。
貴族の娘として生まれながらも、
決して驕ることなく、
優しい振る舞いで周囲からも愛されていた彼女の前に、
笑みを浮かべながら現れた男は、
そう言葉を口にしたー
「あ、あなたは誰ー?」
彼女はそう言葉を口にするー。
「ーへへへ、俺か?
あぁ、”今回”は思い出してないんだなー?」
ニヤニヤしながら男はそう言うと、
「俺は執念深いんでなー。どんな立場で生まれようと
毎回必ず、お前のことを思い出すー。
愛して、愛して、愛したお前のことをー」
と、そう言葉を付け加えるー。
男は言うー。
今よりももっと何度か前の人生ー
男は、”彼女”のことを一方的に愛していたー。
最終的に、男はその女と結ばれることはなく、
最後には女を道連れに身投げして命を落としたのだと言うー。
しかし、彼の凄まじいまでの執念は、
その女との魂の結びつきを生み、
毎回同じ時代に”生まれ変わる”運命になったのだと、
男はそう説明したー。
そして、その”男”が自分で、
その”女”がお前だと、男はそう言ったー。
「ククククー俺を拒むなら、俺は何度でもお前になるー
それだけだー」
邪悪な笑みを浮かべる男ー。
その時代を生きた貴族の娘は、怯えた様子で
助けを求めようとしたものの、
時すでに遅く、そのまま”憑依”されて身体を乗っ取られてしまうのだったー。
乗っ取られた貴族の娘は、邪悪な笑みを浮かべながら
何度も、何度も自分の胸を揉み続けると、
下品な笑みを浮かべながら
「たまらねぇ…♡」と、そう言葉を吐き出したー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーー」
そんな”前世”の記憶まで思い出した深夏は、
表情を曇らせるー。
自分が今までに何度”人生”を送っていたのかは分からないー。
けれど、何度人生を送っていようとも、自分のするべきことはただ一つ。
”今のわたしの人生を守る”
それだけー。
「ーーーおはよ~!」
今日も学校にやってきた深夏ー。
そんな深夏に親友の雅美が手を振りながら近づいて来るー。
「あ、雅美ー」
深夏は自分の不安を悟られないようにと、
笑顔を作ってそう返事をすると、
雅美は少し心配そうにしながらも、何も言わずに
いつものように雑談を始めるー。
”この日常を壊したくないー”
深夏は改めてそう思いながら、雅美と一緒に教室へと向かうー。
すると、その途中で
幼馴染であり、彼氏の圭太が姿を現したー。
「あ、深夏ーよかったー」
圭太がそう言葉を口にすると、
深夏は「圭太ー?どうしたの?」と、そう言葉を返すー。
圭太は「”先輩”のことー」と、小声でそう言葉を口にすると、
深夏は一緒に歩いていた親友の雅美の方を振り返ってから
「あ、ごめんー雅美ー先に行ってて」と、雅美を先に
教室へと向かわせると、
そのまま圭太と共に廊下の物陰に歩いて行って、
話を聞き始めたー。
「ーー深夏ー…あのさー、先輩のことだけどー」
そこまでやってくると、圭太がそう話を切り出すー。
「ーーうんー」
深夏は不安そうにしながら、圭太の方を見つめると、
圭太は突然「ごめん」と、頭を下げたー。
「えっー…?」
戸惑いの表情を浮かべる深夏ー。
「寺門先輩ー…深夏に別れろって言ってたのは、僕のせいだったみたいなんだー」
圭太が心底申し訳なさそうに言うー。
「ど、どういうことー?」
深夏は戸惑うー。
寺門 譲司は、深夏に執着していて、
深夏の彼氏である圭太が邪魔で、深夏と圭太を引き裂こうとしているのだと、
そう思って来たー。
しかしー
「ー寺門先輩ー…その、好きだったのはー
僕の方だったみたいでー…」
圭太が困惑した表情で言うー。
「え、え?どういうことー?」
深夏がそう聞き返すと、
美化委員会で真面目に働いている圭太のことを
先輩の譲司が”男同士”だけど好きになって、
彼女である深夏を邪魔に思い、別れろと言って来たようだったー。
「ーーえ……そ、そんなことー」
深夏は戸惑うも、圭太は「僕も驚いたけど、事実なんだー」と、
そう言葉を口にするー。
「そ、それで、圭太はー…?」
不安そうに深夏が聞くと、
圭太は「え!?僕!?…ぼ、僕は男同士でも偏見とかはないけど、
でも、僕はその趣味はないから、断ったよー。
それと、深夏に嫌がらせするのもやめてほしいってお願いしたからー」と
苦笑いしながら答えるー。
「そっかー…」
深夏は、そんな圭太の言葉に安堵の表情を浮かべると、
圭太は「深夏は、僕が守るからー」と、そう言葉を口にしたー。
それからー、
寺門 譲司は何もしてこなくなったー
ただ、深夏には不安が遺されていたー。
前世の時代から、深夏に執拗に憑依を繰り返す男ー。
てっきり、現世では”寺門 譲司”が、その男なのだと思っていたけれど、
違ったようだー。
そう思っているうちに、”異変”が起きたー。
幼馴染であり、彼氏の圭太が学校に来なくなったのだー。
深夏から連絡をしても、応答はないー。
が、その数日後ー。
圭太からメッセージが入ったー。
”愛してる”
とー。
「ー!?」
深夏は戸惑うー。
圭太は、そんなことを言う人間じゃないー。
がー、それはエスカレートして
”大好きだ”
”君とひとつになりたい”
”ひとつに”
と、そんなメッセージが繰り返し送られてくるようになったー。
「ーーー~~!!」
深夏はハッとするー。
まさかー…
そうー。
自分も、ついこの間まで”前世”の記憶はなかったー。
もし、圭太が”前世”の記憶を思い出したとすればー。
学校に来なくなったタイミングで
前世のことを思い出したのだとすればー…
「ーーーーそんなー」
深夏は呆然としながらも、
”このまま逃げても、いずれ、わたしはー”と、
そう思いながら、
表情を歪めるー。
だったらー
”ーー話がしたいの”
深夏は、そうメッセージを送るー。
すると、しばらくしてから圭太からメッセージが届いたー
”深夏ー俺はお前を離さないよー”
とー。
そして、話をする場所ー、
山林の中を指定してきたー。
深夏は危険だと思い、
すぐに手を打つー。
ひとつは、”SNS”の予約投稿ー。
2日後に設定しー、
”憑依されたこと”を自ら語る動画を予約しておいたー。
無事に帰って来れなかった場合に
憑依されていることを伝え、助けを求める内容だー。
圭太との話がついて、無事に戻ってこれたら
予約を取り消せば投稿されないー。
もうひとつは、親友の雅美に
”圭太とトラブルがあって、これから話をしに行く”と
事前に伝えておいたー。
雅美は”ど、どうかしたの?”と返事を送って来たものの、
”もし、わたしの様子がおかしくなったらー、2日後のSNSを見て”とする
メッセージを返して、それ以上は語らなかったー。
対策をした上で、深夏は
指定された山中に向かうー。
圭太からのメッセージで指定された場所に到着するとー、
そこにはー
”圭太のスマホ”が落ちていたー。
「ーー圭太ー?」
深夏がそう言葉を口にすると、
その先、穴が見えたー。
そこを覗き込むとーー
”圭太”が死んでいたー。
「ーー!?!?!??!」
深夏は表情を歪めるー。
すると、背後から声がしたー。
”そのスマホを使って、メッセージを送ってたんだよ”
とー。
「ーー!」
圭太は、ただの善良な幼馴染で、彼氏だったー。
学校に来なくなった日に”始末”されていて、
圭太からのメッセージは、”圭太のスマホを使って別の人物が送っていた”
メッセージだったー。
「ーーーま、雅美ー…?」
戸惑いの表情を浮かべる深夏ー。
すると、雅美は笑みを浮かべながら言ったー。
「言ったろ?俺からは逃げられないってー」
ニヤニヤしながらそう言い放つ雅美ー。
「な…な…何言ってるのー…?」
深夏は”信じられない”という表情を浮かべながら雅美の方を見つめる。
すると、雅美はニヤニヤとしながら深夏を見返すと、
「お前のこと、俺ほど愛してるやつはいないー。
そいつは”邪魔”だったから消したー」と、
圭太の遺体がある方向を見つめるー。
大好きだった幼馴染で彼氏の圭太の死を前に
大きなショックを受けて、深い悲しみに襲われるー。
けれど、その暇もないまま、震えるようなこの状況を前に、
深夏は戸惑っていたー。
「ーへへへ…そんな顔しないでー?深夏ちゃんー」
雅美は普段の喋り方をしながら、邪悪な笑みを浮かべるー。
そんな様子を前に、
深夏は”雅美の真似をしないで!雅美に何をしたの!?”と、
怒りの形相で声を上げるー。
しかしー…
雅美は笑みを浮かべたー。
「ーーん~~?あぁ、わたし?
わたしは正気だよ?
まさかわたしが操られてるとか、憑依されてるとか思ってる?
ふふ…ふふふふふふふ」
雅美はそう言葉を口にすると、
深夏の方を見つめながらニヤッと笑ったー。
「ーーー”生まれ変わるのが男とは限らない”」
と、そう言いながらー。
「ーー!」
深夏は表情を歪めるー。
「ー深夏ちゃんは、毎回女みたいだけど」
クスクスと笑う雅美ー。
「でも、俺は違うー
これで2回目だったかなー。
たまに女として生まれ変わるんだよー」
雅美は自分を触りながら笑うと、
深夏は「ま…まさか…」と、震えながらも、
前世の幸恵のときにー、いや、その前も、その前も、
深夏に憑依した男の”現世”が、目の前にいるこの男なのだと悟り、
恐怖を覚える。
「ーーじ、じゃあ、い、今まで騙してたの!?」
深夏は叫ぶー。
親友だと思っていた雅美に今まで騙されていたのかと、
強いショックを受けるー。
が、雅美は首を横に振ったー
「ううんーわたしが前世の記憶を取り戻したのは
ついこの間ー
それまでは純粋に深夏ちゃんのこと、友達だと思ってたよ」
雅美はそこまで言うと、前世の記憶を取り戻したのは、
この前、”告白を手伝ってもらったあと”だと語ったー
「前世の記憶戻ったから、彼氏もすぐに振っちゃったー
わたしには、”深夏ちゃん”しかいないから」
雅美は邪悪な笑みを浮かべると、深夏を真っすぐと見つめたー
「さぁ、話は終わりだー
お前の身体、”また”貰うぜー?」
雅美はニヤニヤと笑うー。
雅美自身、かなり可愛い部類の見た目を持つ女子だー。
しかし、現世では雅美として生まれた男は、
女になりたいわけではないー
深夏になりたいのだー
「ま、待ってー!ま、雅美のー…雅美としての人生はどうでもいいの!?
わたしに憑依したら、親も、友達もー!」
深夏はそう叫ぶー。
がーー
「ーそんなの、どうでもいいー」
雅美はそう言葉を口にすると、
そのまま深夏に憑依しようと、キスをしようとしたー。
「ーーー~~~」
深夏は、用意していたスマホで警察に通報しようとしたー。
事前に雅美に”圭太と話をしに行く”と連絡しておいたのは意味がなかったー
雅美自身が”あの男”だったのだからー。
SNSの予約投稿はー…効果を出すかもしれないー
けれどー
そう思っているうちに、深夏は雅美にキスをされてしまい、
そのまま”憑依”されてしまったー。
「ーくくく…ふふふふふふふ…」
憑依された深夏は嬉しそうに自分の手を見つめると、
最後の最後に警察に通報したスマホから
”どうかしましたか?”と、そんな言葉が聞こえて来たー。
「ーーいいえ。何でもありません」
憑依された深夏はそう言葉を口にすると、
ニヤニヤしながら、その場で一人、自分の胸を嬉しそうに揉み始めるのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
数日後ー
深夏が圭太に話をしに行く前に、
SNSに準備していた予約投稿は”無駄”だったー
憑依された深夏はその記憶すら読まれてしまい、
事前に準備していた対策は全て無駄になってしまったのだー。
「ーーふふふー」
深夏はスマホを見つめるー。
”圭太”の遺体が発見された件は、
現場に”わざと”残しておいた指紋のおかげで
深夏に憑依している雅美自身が逃亡中の犯人として
報じられているー。
「ーーふふふ、まぁ、見つかることはないけどね」
深夏に憑依した雅美はそう言葉を口にすると、
「さ~て、今回もお前の身体をたっぷり堪能させてもらうぜー。
ダメになるまでな」と、
そんな言葉を続けるのだった。
おわり
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コメント
前世から、その前から続く運命から
逃れることはできませんでした~…!
また次の人生でも、同じ結末になっちゃいそうですネ~…!!
お読み下さり、ありがとうございました~!!
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