その憑依薬を使った者は、
”耐えきれない罪悪感”に襲われることになるー…
そんな、”副作用を持つ憑依薬”を、
使った者と、その周囲の者たちの物語ー…
・・・・・・・・・・・・・
「ーーすまねぇ…すまねぇ…すまねぇ…」
柚香に憑依した隆俊は、
柚香の身体で、”罪悪感”に苦しむ日々を送っていたー。
今まで、誰を傷つけようとも、
どんな悪さをしようともー、
こんな感情を抱いたことはなかったー。
”憑依”で他人の身体を乗っ取ることに対しても、
こんな気持ちになるとは夢にも思わなかったー。
しかしー、今は違うー。
真面目に勉強してー、
真面目に生きて来た柚香の身体を乗っ取ってしまったことに
強い罪悪感を感じていたー。
しかもー、”この身体”から抜け出すこともできず、
身体を返すことも出来ない状況であると気付いた隆俊は、
柚香の身体で、毎日毎日苦しみ続けていたー。
がーーー…
それは、”本来であれば”隆俊が抱くはずのなかった感情ー。
本来の隆俊は、人の身体を乗っ取っても
何とも思わないような人間で、
実際に柚香を乗っ取った直後には何の罪悪感を感じずに好き放題していたし、
そのままやりたい放題を続けるつもりだったー。
隆俊がこうなってしまったのは、
隆俊本人の気持ちとは”関係のない”部分が原因だー。
それはー、
隆俊が使った”憑依薬”の副作用ー。
この憑依薬には”あえて”強烈な罪悪感を発生させる成分が
盛り込まれているー。
予期せぬ副作用ではなく、
売人・”ゼポ”によって、人為的に仕組まれた副作用ー。
”ーーーーーー”
売人・ゼポはスマホを手にすると笑みを浮かべるー。
”ーもう、この身体を返したいんですー。お願いしますー
何か方法はーー…”
隆俊よりも前に憑依薬を購入していた利用客からの電話ー。
可愛らしい女の声で、泣きながら”身体を返したい”と
そう嘆願して来るー。
その様子に、売人・ゼポはニヤリと笑みを浮かべると、
「ー返す方法はないー。
憑依薬を使うということは、他人の人生を奪うことー
身体は殺さず、けれどもその相手を殺すことー。
その覚悟があって使ったはずでは?」と、そう言葉を口にするー。
”そ、それはー…
で、でもー…こ、この子に…この子に俺は身体を返したいんだ!”
電話相手がそう叫ぶー。
”このままじゃ、俺ーー…おかしくなってしまうー”
泣きながらそう叫ぶ”客”に対して
売人・ゼポは邪悪な笑みを浮かべると
「ーーこの先、あなたは永遠に苦しむことになる。永遠にー」と、
そう言葉を口にして、そのまま電話を切ったー。
「ーーー苦しむがいいー憑依人どもよー」
売人・ゼポはそう言葉を口にすると笑みを浮かべるー。
彼はー、”憑依人”たちを苦しめるために
”罪悪感を増幅させる成分”を大量に混ぜ込んだ憑依薬を販売しているー。
何故なら、”憑依人”は彼が最も憎む存在だからー。
売人・ゼポの妹は、憑依薬によって人生を滅茶苦茶にされた挙句、
”死”を迎えたのだからー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーケッ、アイツもバカな奴だぜー」
一方、柚香に憑依した隆俊から憑依薬を譲り受けた
”銀狼”の鉄馬は、隆俊がすっかり腑抜けになってしまったことに
不満を抱きながら
「まぁいいー憑依薬さえあれば、俺が好き放題すりゃ
いいだけの話だからなー」と、笑みを浮かべつつ、
”憑依相手”を物色していくー。
「ーアイツは、JKに憑依したけどー、
JKは実家暮らしがほとんどだからなー…
俺はJDにするぜー」
鉄馬はそう言葉を口にしながら
自分好みの女子大生かつ、
一人暮らしの女子大生を物色していくー。
”ー深津 彩菜(ふかづ あやな)”
鉄馬は、自分好みの容姿かつ、
一人暮らしの女子大生を見つめるとニヤッと
笑みを浮かべながら、
その女ー…彩菜に憑依することを心に決めるー。
「ーおい!」
鉄馬は帰り道を歩く彩菜に背後から声を掛けると、
「ーお前には俺のものになってもらうー」と、
そう言葉を口にするー
「ーー…は…はい?」
戸惑いの表情を浮かべる彩菜ー。
しかし、鉄馬はそんな彩菜に対して有無を言わさず憑依薬を使うと、
そのまま彩菜に憑依して見せたー。
「ーへへへへへへー…
エロいJDの身体をゲットぉ~!!」
彩菜に憑依した鉄馬は、早速邪悪な表情を浮かべると、
大笑いしながら道を歩き出すー。
そして、その日のうちに、真面目な雰囲気だった彩菜が
元々持っていた服のほとんどを捨てて、
自分好みの派手な服を揃えると、
あっという間に、彩菜を自分好みのギャルのような女へと
変えてしまうのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーー……俺、この子の身体を”憑依薬”で奪ってしまったんです!」
一方、”銀狼”に所属するもう一人の男ー、隆俊は、
女子高生・柚香の身体で警察に”自首”していたー。
この子の身体を憑依薬で奪ってしまったから”自首”をしたいー、とー。
「ーー憑依薬?はははー、何だい、それは?」
担当の警察官の男が、全く本気にしていない様子で
そう言葉を口にするー。
が、柚香は必死に”憑依薬”のことを伝えたー。
「ー俺…この子に身体を返したいんです!お願いします!
俺を捕まえて下さい!」
とー。
しかし、応対した警察官は戸惑ったような表情を浮かべると、
「ーごめんな。理由もないのに逮捕したりすることはできないんだ」と、
そう説明すると、
「ーそういう話なら、病院の先生か、カウンセリングの先生に
聞いてもらうといいんじゃないかな?」などと、
そんな提案をされてしまったー。
「ち…ちがっ…お、俺はー…」
柚香に憑依した隆俊は涙目でそう言葉を口にするも、
ついに、警察に信じてもらうことはできなかったー。
呆然とした表情のまま、夜の街を歩く柚香ー。
「ー俺は…俺はー」
柚香に憑依した隆俊は、さらに膨らむ罪悪感に押しつぶされそうになっていたー。
「ーーこんなもの…」
警察に”証拠”として提出するために持ってきていた、
残りわずかな憑依薬を見つめて、歯ぎしりをする柚香ー。
”こんなものさえなければー”
そんな風に思わずにはいられないー。
がー、その時だったー。
隆俊が所属する”銀狼”とは別の犯罪組織の男・
犯罪組織アビスの構成員・毛利 茂樹が突然姿を
現わすと、憑依薬を奪い取って
そのまま笑みを浮かべたー。
「ーーこの薬は、俺が頂いたー」
レインコート姿の茂樹がそう言葉を口にすると、
憑依薬を奪われた柚香は驚いたような表情を浮かべながら
「そ、それを返せー!」と、そう叫ぶー。
しかし、茂樹はニヤリと笑うと、
「この薬を使って俺はリーダーの女に憑依するんだー
そうすりゃ、俺は組織で強い影響力を持つことができるー」
と、そう言い放つー。
犯罪組織アビスのリーダー・魔崎という人物と親しくしている女に憑依し、
犯罪組織アビスの中で影響力を高めようとしているようだー。
「ーや、やめとけー…!
お前も俺みたいに苦しむことになるぞ!」
柚香はそう叫びながら、憑依薬を取り戻そうとするー。
がー、茂樹は飛びついて来た柚香に向かって
音のしないサイレンサー銃を撃つと、
倒れ込んだ柚香を見て笑みを浮かべたー。
「ー俺はもう、自分の身体を捨てるんでなー
一人ぐらい殺しても問題ねぇさー」
そう呟きながら立ち去っていく茂樹ー。
撃たれた柚香は
目に涙を浮かべながらも、
どこか嬉しそうだったー。
”やっとー、罪悪感から解放されるー”
柚香に憑依している隆俊が、最後に思ったのは
そんなことだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「はははははははっ!
やっぱ憑依は最高だぜー!」
半日にして、ギャル姿に変貌させた彩菜の身体で
欲望の限りを尽くす鉄馬ー。
「ーこんな最高の時間を味わえるのに、
”俺が悪かった~!”とか、アイツもバカな奴だぜ!」
彩菜の身体を使って、これまでの人生で味わったことのないような
快感を味わいながら、ニヤニヤが止まらない鉄馬は
そんな言葉を口にするー。
柚香に憑依した隆俊も、素直にこうして楽しみまくればよかったのに、と、
そんな風に思うー。
「ーへへへへー俺は何があろうと、この女に悪いなんて
絶対に思わないからなー…
遊んで遊んで、遊びまくってやるー」
元の彩菜の面影が全く感じられないぐらいに、
表情を歪めながらそう言葉を口にすると、
「ー悪かったなんて思うのは、馬鹿の思うことだぜ!」と、
ご機嫌そうにそう言葉を口にするのだったー。
がーー
その翌日ー
「ーーーーーー…」
憑依初日の寝る前ぐらいから、
急激に、彩菜の人生を乗っ取ってしまったことに対して、
強い罪悪感を感じるようになってしまった鉄馬ー
「ーー…くそっ!ーー
何でこんな気持ちになるー!?
この女の身体は俺のものになったんだぞ!」
彩菜に憑依している鉄馬は、自分の中で膨らむ罪悪感に戸惑いながら、
それを何とか自分の中で打ち消そうとするー。
しかし、そうすればそうするほどに罪悪感が膨らんでいくー
ギャルのような派手なメイクに派手な服装ー。
それを身に纏い、再び自分の身体で欲望の限りを尽くそうとするー。
がー、数分で強い罪悪感に襲われて「くそっ!!!」と、
そう叫ぶと、そのままその場で頭を抱え込んでしまったー。
やがてー、数日後には元の彩菜のような真面目そうな風貌に
戻して、そのまま”彩菜として”生活を始めるー。
”出来る限り、コイツとして生活してやらなくちゃいけないよなー…
俺がコイツの人生を奪ったんだからー…”
と、そんな風に思い始めてしまった鉄馬ー。
やがて彼は、”どうして俺がこんなことにー”という、
自分自身の中で膨らむ罪悪感への拒絶と、
彩菜に対する罪の意識の板挟みになって、
地獄のような苦しみを味わいながら、
”俺の好きにしたいのに”、彩菜としての人生をなぞりつつ、
生きていくことになってしまったー。
「ーーぅぅぅぅぅぅ…ーーー…」
彩菜に憑依している鉄馬は、強い罪悪感と、
”俺がこんな風に思うはずがねぇ”という屈辱的な感情に
板挟みになりながら、苦しみ続けるー。
この先もー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーー本当に、本当に申し訳ありませんでしたー」
一方、犯罪組織アビスに所属するレインコート男・茂樹も、
”憑依薬”を使って憑依後、罪悪感に押しつぶされそうになっていたー。
リーダー・魔崎と親しい女の一人、園香(そのか)に憑依した彼は、
最終的に園香の身体を使って魔崎を意のままに操ろうとしていたものの、
”罪悪感”に耐え切れなくなって、
自ら、魔崎に対して自分は茂樹であること、
憑依薬を使って園香に憑依したことー、その全てを自白してしまったー
「ークククー俺の女に憑依するとは、いい度胸じゃないか。
気に入った」
全てを聞かされた真崎は、そう言葉を口にすると
笑みを浮かべながら立ち上がるー。
「ーま、魔崎さんー お、俺ー」
園香の身体で震えながらそう言葉を口にする茂樹ー。
そんな園香を見て、魔崎は穏やかな表情を浮かべると、
「ーーそんなに怯えた顔をするなー。
ちょうど俺もその女には飽きてたところだったんだー。
だから、心配はいらねぇ」
と、そう言葉を口にしながら園香の肩を叩くー。
そしてーー
指の禍々しい指輪に仕込んでいた毒針のようなものを放つと、
園香はその場で青ざめながら苦しみ始めるー。
「ー安心しろ。死体も骨も全て溶ける特殊な毒だー。
すぐに楽になるぞ」
魔崎はそれだけ言葉を口にすると、苦しむ園香を放置して
そのまま立ち去っていくー。
憑依された園香ごと、容赦なく処分した彼は、
そのまま夜の闇へと姿を消したー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「では、憑依薬を数日内にお届けしますー」
今日も、”客”に対して
憑依薬を販売し終えると、彼は笑みを浮かべたー。
「ーー苦しめー憑依人どもー」
憑依薬の売人・ゼポは冷たい笑みを浮かべると
そう言葉を口にするー。
罪悪感を増幅させる力を持つ憑依薬ー。
”憑依人を苦しめるため”に、復讐のために、
ゼポは、これからも憑依薬を売り続けるー…。
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
使用者が罪悪感に苦しめられる作用を持つ
憑依薬のお話でした~~!
ちなみに、悪意のない人(人助けのために使うとか…)が憑依薬を使っても、
そうなってしまう設定デス~!
お読み下さり、ありがとうございました~!☆!
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