”僕のお姉ちゃんとお母さんは変”
小さい頃は、それが普通だと思っていたー
けれど、お母さんとお姉ちゃんがキスをしたり、
エッチな服装をしたりー、
弟の肉棒を咥えたりー、
”そんなこと”は普通はしないー、ということを圭太は次第に理解していくー
”圭太が生まれる前に憑依されている”二人ー。
その家族の行方末はー…?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーーーーー」
マスクをして、髪型を変え、眼鏡をかけた姉の梨香が、
弟の圭太の様子を物陰から確認しているー。
「ーーー」
最近、圭太の様子は明らかにおかしくなったー
それ以前も、おかしくはなっていたものの、
それは、学校で友達から
色々聞かされたことによるもので、
圭太が大きくなるにつれて、そういうことはあるだろうと思っていたから
少なくとも梨香にとって問題はなかったー。
しかし、最近は違うー
”あいつの言う通りー、父親が接触してきた可能性は十分にあるからなー”
梨香に憑依した男は、
加奈子に憑依した親友との会話を思い出しながら
そう考えるー
「ーけどー…今までずっと何もしてこなかったのに
もしも今になって圭太に接触してきたってことはー…
”憑依”のことでも嗅ぎつけたかー?」
梨香はそう呟くー。
圭太が生まれる前ー、
加奈子と娘の梨香に憑依した二人ー。
そして、憑依された加奈子はすぐに夫の健一に別れを告げて
健一を一方的に悪者にしー、
梨香の親権を奪い取り、さらには養育費も支払わせているー
だが、健一は”悪い女に引っかかってしまった”とでも諦めたのか
最初は抵抗していたものの、一度完全に別れてからは
一切関わりを持っては来なかったー。
”まァ、今になって圭太の前に姿を現したんならー
それなりの理由はあるんだろうな”
梨香は眼鏡をいじりながら
”に、しても髪型変えて眼鏡かけてマスクしてると別人だなー”
と、自分の姿を、街中の鏡で見つめながら微笑むー。
「ーーーー」
そしてーーー
「ーーやはりそうかー」
梨香は笑みを浮かべたー。
下校中の圭太の前に、
父・健一が姿を現し、何やら話し込んでいるー。
”お母さんに変なことはなかったかどうか”
みたいな会話をしているー
「ーーなるほどー」
梨香は”圭太に父・健一が接触していること”を確認すると
後は何もせず満足そうに立ち去って行ったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「やっぱ、こいつの夫がー?」
母・加奈子がそう言うと、
梨香はラバースーツ姿で「あぁ」と、笑みを浮かべたー。
「ーー…どうやら、今になって何らかの理由で憑依に感づいて
圭太に接触してるみたいだなー
圭太も、大分疑いを持ってきてる感じだー」
梨香がそう報告すると、
加奈子は「ーやはり、あのガキ、消すか」と呟くー
「おいおいおい、自分の腹を痛めて生んだのにー
お前に母親の愛情はねぇのかよ」
梨香がニヤニヤしながらそう言うと、
「ー身体は母親だけど、俺は俺だー関係ねぇよ」と
加奈子は笑みを浮かべながら答えたー。
「ーでも、物理的に消したら、タダの犯罪者だぜ?
弟は死んで、お母さんは逮捕、とか
わたし、イヤなんですけどぉ~?」
梨香がふざけた口調でそう言うと、
「安心しろ」と、加奈子は笑うー。
「ーこいつの夫を使うー」
加奈子が自分を指しながら笑うー。
「ーあん?」
梨香が腰に手を当てながら面倒臭そうに加奈子のほうを見つめると、
「ーこいつの夫はDVが原因で離婚したことになってるー
そんな夫が久しぶりに元妻の元を訪れてー
その最中に、圭太が”殺されてしまう”ー」
と、加奈子が笑うー。
加奈子は夫・健一と離婚する際に、
”夫からDVを受けている”などとありもしない理由も話していて、
身体で誘惑した協力者も使い、健一を陥れているー。
そしてー、現在に至るまで養育費も絞り取りつつ、資金源にもしているのだー。
そんな健一がー、”久しぶりに元妻の元を訪れて、息子を殺す”
そういうシナリオを加奈子は考えていたー
「へへ、要するに”お父さん”が、”圭太”を殺したってことにするんだね?」
梨香がそう言うと、
加奈子は「その通りだ」と、嬉しそうに頷くー。
「ははは!どうしようもない親だなー!
ま、でも、父親がウチにまで来るとは限らないぜ?
圭太と話して終わりかも知れないし」
梨香の言葉に、加奈子は「俺に作戦があるー」と
静かに囁いたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
その日の夜ー
「け~いた!」
圭太の部屋を訪れた姉の梨香ー。
「ーー圭太、最近、”お父さん”と会ってない?」
梨香がそう言うと、圭太がビクッとした様子で梨香を見つめるー
「ふふ、やっぱり~」
梨香はそれだけ言うと、
圭太のほうを見て
「ーお姉ちゃん、圭太にお願いがあるんだけどー」と
身体を密着させながら囁くー
圭太の身体をイヤらしい手つきで触りながら
誘惑するように、梨香が続けて言葉を囁くと、
圭太は「え……え?」と、顔を真っ赤にしているー
「ーーそれ、本当ー?」
圭太の言葉に、梨香は「うん」と、呟くー
「でも、お姉ちゃんは圭太の味方だからねー」
梨香はそれだけ言うと、クスッと笑みを浮かべたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
”お前がこいつの夫をおびき寄せるんだー”
母・加奈子に憑依した男の作戦ー
それはー
”梨香”を使って、父・健一をおびき寄せることー。
圭太が健一と打ち解けて色々話をしてしまう前にー
健一を家に乗り込ませてー、
そして、”家に乗り込んできた元夫に息子を殺された”という
状況を作り出すー
加奈子と梨香ー
2:1の証言ー
しかも、健一は”DV疑惑”で離婚しているー
圭太が死ねばー
世間は、健一のほうを疑うだろうー。
「ーーーお父さんー!」
健一の背後から、梨香が声を掛けるー
「ーり、梨香なのか…?」
およそ10年ぶりぐらいの再会にー
女子高生となった梨香を見て、驚く健一。
「ーうんーーお父さん…だよね?
圭太が最近、会ってるって言ってたからー」
その言葉に、健一は、少し緊張した様子で頷くー。
すると、梨香は少し世間話をした後に囁いたー
「ーーお母さんが”取引”したいってー」
とー
「ーーー…!!」
健一は表情を歪めるー。
「ーーーどういうことか、よく分からないんだけどー…
今すぐ、家に来てほしいってー」
梨香のその言葉に、健一は困惑しながらも
「ーわ、わかったー」と頷いたー。
健一は”憑依された加奈子”との接触は避けていたー。
まずは息子の圭太を通じて
”加奈子がおかしな行動をしていないかどうか”を聞き出し、
”確実に黒だ”と判断したら家に乗り込むつもりだったー
しかしー
加奈子に圭太との接触がバレたのだろうー。
こうなったら、直接話をしてー
もし”本当に加奈子が憑依されている”なら、
どうにかしなくてはならないー
離婚してから、つい最近まで気づくことが
できなかった自分に苛立ちを感じながらも、健一は
何とか加奈子を助けたいと考えていたー
”ー乗ってきたか”
梨香は笑うー。
加奈子の作戦はー
”健一を呼び出し、健一が圭太を殺した風に見せかけて
圭太も、健一も始末すること”だー
圭太は死に、健一は社会的に死ぬー。
これで、加奈子と梨香の欲望を邪魔する人間はいないー
「ーーーーーー」
梨香は、父・健一のほうを見つめながらー
”俺の読み通りでもあるなー”と、
静かに笑みを浮かべたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーーー加奈子ー」
数十分後ー。
家に、父の健一がやってきたー。
母・加奈子は笑みを浮かべているー
その横には、不安そうにしている圭太ー。
「ーーー」
家の中に健一が入ってきて、健一を連れて来た梨香が
玄関の扉を閉めるー。
「ーーー…お前、本当に加奈子かー?」
指を指しながら言い放つ健一。
しかし、加奈子は笑みを浮かべたー。
「ーー今日からあんたは、殺人犯になるのー」
加奈子の言葉に、健一は「何だと?」と混乱するー。
「ーーー圭太を殺した、犯人としてー!」
笑いながらそう叫ぶ加奈子ー
そしてー
「きゃあああああああああああああ!!!
きゃああああああああああああああああああ!!!!!」
と、わざとらしく叫び始めるー
”近所に聞こえる”ようにー
「な、なにをー!?」
健一が戸惑っているとー
加奈子は、圭太のほうを見つめたー
「ー圭太を殺してー、お前が圭太を殺した”こと”にするんだよ!
そうすれば、このガキも、お前も、邪魔ものはいなくなる!
俺はー
そうだなー”元夫が家に乗り込んできて悲鳴をあげる可哀そうなお母さん”だー」
加奈子はそう叫ぶと、
圭太の方に向かって、
圭太の腕を乱暴に掴もうとしたー。
”家に乗り込んできた元夫の暴力を止めようとした圭太がー
頭を強く打ち付けて死亡ー”
そんな、計画ー。
だがー
「ーーーバイバイ、圭太ー」
加奈子が歪んだ表情を浮かべながら、
圭太に包丁を向けるー。
「や、やめろ!!!!!!!!!!」
叫ぶ父・健一。
だが、その時だったー
「ーーーーーーーー!?」
加奈子が強い衝撃を感じて、目をぐるんと回すー
突然白目を剥いて、その場で涎を垂らしながら
床に倒れ込むー。
「ーーーーえ…?」
「ーはぁっはぁっはぁっ…」
背後からー
母・加奈子の頭を花瓶で思いっきり殴りつけたのはー
娘の梨香だったー。
「ーー…け、圭太!逃げて!」
圭太に向かってそう叫ぶと、圭太はパニックになりながら
2階へと逃げ出すー。
梨香はー、その手で母・加奈子の頭部を殴りつけてー
殺害したのだったー
そしてーーー
「り、梨香ー…?」
戸惑う父・健一。
梨香は”嘘泣き”をしながら
「ー圭太が…圭太が殺されちゃうと思ってー」
と、言うと、
健一は戸惑った表情を浮かべながらー
花瓶を手に、言葉を呟くー。
「ーこれは、父さんがやったことだー。
いいね?」
とー。
父・健一は娘の梨香を庇うためー
自らが罪を被ったー
”元夫が、元妻のところに乗り込み、元妻を殺害”
これなら、警察もすぐに信じるだろうし、
梨香が疑われることはないだろう、と、
健一は考えたのだー
”ーーーやっぱり、俺の読み通りー…
ありがとう、お父さんー”
心の中で梨香は不気味にそう囁くと、
静かに笑みを浮かべたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
母・加奈子は死んでー
父・健一は逮捕されたー
これで”憑依”のことを知る人間は
”自分”以外は消えたー。
梨香は微笑みながら鏡を見つめるー。
奴は、親友だったー。
お互いに秘密を共有して、エッチなことをしまくる日々は
最高だったー。
けれどー
「ーまぁ、でも、邪魔になるようなら、あのガキー…
”事故”に見せかけて処分しちまうしかないよな」
あの発言で、”糸”が切れたー
加奈子にとってー、加奈子に憑依した親友にとって、
あくまでも”圭太”は邪魔者でしかなかったのだろうー。
だが、梨香に憑依した彼にとっては違ったー
「ーあんなに可愛い弟を殺すなんて、あり得ないー」
梨香は呟くー
梨香に憑依している男には、
いつの間にか圭太への愛情が生まれていたー。
本当に自分の意思なのかー
それとも”姉の身体”に影響を受けているのかー
それは分からないー
けれどー
「ーーわたし、これからもず~っと、ずっと、圭太のこと、
気持ちよくしてあげるからね」
梨香がニヤニヤしながら言うと、
圭太は顔を赤らめながら頷くー。
あの時、父・健一に圭太が接触していることを知った梨香は
圭太には”お父さんには、わたしのことは何も言わないでね”と、
釘を刺しておいたー
元々、親友と共に加奈子・梨香に憑依した直後ー、
梨香に憑依した彼は”あまり変な行動”を父の前ではしていなかったー
そのため、父の健一も
”憑依されている”と疑っていたのは加奈子の方のみー。
そして、弟の圭太も誘惑して口封じしたためー
健一は、逮捕される最後まで”梨香のほうは正気”だと思っていたー
今も、そう思っているだろうー。
健一が逮捕されて以降ー、
”お金”は健一側の親族からの支援ー、
そして、元々梨香を可愛がってくれていた他の親族からの支援、
あとは梨香のバイトで賄っているー
”メイドカフェでバイトするの楽しすぎだからなー”
梨香はニヤリと笑みを浮かべると、
弟の圭太のほうを見て呟くー。
”圭太はわたしのものー
誰にも渡さないー”
弟・圭太への溢れる愛情から、共に加奈子と梨香に憑依した
親友をも始末した梨香はー、
これからも永遠に圭太を愛で続けることを改めて決意してー、
静かに笑みを浮かべたー
そしてー
圭太は中学生、高校生と成長していくにつれてー
”こんなにエッチなお姉ちゃん”がいることに
だんだんと喜びを感じるようになっていくのだったー。
がーーー…
その先ー。
もしもいつか、圭太に恋人が出来たりしたときー、
”梨香”が素直に祝福してくれるのか、
それともーーーーー…
それは、まだ今は、誰にも分からないー。
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
生まれる前から母親と姉が憑依されている状態に
なってしまっていた男の子の物語でした~!☆
この子の将来が色々な意味で心配ですネ~!
お読み下さりありがとうございました~!
コメント
やっぱりこうなりましたか。前回の最後のあたりが怪しすぎましたから大体予想通りです。
梨香に憑依した不良は圭太をただ玩具扱いしてるだけと思ったら、本当の愛情もあった訳ですね。
それにしても梨香に比べて、加奈子に憑依した不良の方は腹を痛めて産んだわりに、圭太への愛情が、欠片もないのですね。本来なら姉の梨香より、母親の加奈子に憑依した方の不良の方が、圭太への愛情に目覚めそうな物な気がしますけどね。
もしかして、圭太が腹を痛めた母親の自分より姉の梨香の方になついてることに実は加奈子は嫉妬してたりとかもしたんですかね? その結果、処分とか考えたとか。そんな風にも思えます。
コメントありがとうございます~!☆
予想的中…★!
おめでとうございます~!
加奈子に憑依した彼の方は、
”出産する行為”自体に好奇心を抱いたり、ゾクゾクしていただけで、
あくまでもその結果、生まれて来た圭太にはあまり興味がなかった状態ですネ~
梨香の方はお姉ちゃんとして弟を揶揄っているうちに、
だんだん愛情が沸いてきてしまった…という感じデス~!
最初は玩具扱いだったかもしれませんが、次第に愛が芽生えて…★
でも、なんだかエスカレートしそうな感じもあって不穏な気配デス★!
これ、後々、絶対、圭太の性癖とか、その他諸々が歪んでいきますよね。
多分、圭太の方も姉に対してかなり歪んだ愛情とか依存をしていくでしょうから、圭太に恋人とか、好きな人が出来る可能性はかなり低そうですが、もし梨香の方に他に好きな相手とか、結婚するみたいな事になったら、圭太の方が暴走しそうですよね。姉は自分の物だ、みたいに。梨香を束縛、監禁したりとか、何をするか分かった物ではありません。
それにしても、父親の健一、本当に気の毒に。妻と娘の身体を乗っ取られ、一方的に離婚された上に、憑依人に妻を殺され、その罪まで着せられ、いいように利用されるなんて、娘の梨香の方も憑依されてることを健一が知らずにいるのは、知らぬが仏というヤツかもしれませんが。
ありがとうございます~!
父の健一も含めて
残る三人の未来がとっても心配になってきますネ~…★
私も心配になってきました…★笑