自分が生まれる前にー
母親と姉が憑依されてしまった少年・圭太。
当然、”お母さん”と”お姉ちゃん”が憑依されていることなど
全く知らない彼の運命は…?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーふふふふふ…だんだん女の魅力が溢れて来る年頃に
なってきたなぁ~」
メイド服を着ながら、可愛らしいポーズをしてみせる梨香ー
それを見て母・加奈子は
「くっそ~!うらやましいぜ」と、悔しそうに呟くー
「ーいやいや、まだその身体だってイケるだろ?
30代なんだから」
梨香が母と娘の会話とは思えないような口調で言うと、
加奈子は「まぁ、そうなんだけどよ」と
自分の着ている巫女服を見つめるー
「でもでも、やっぱり、JKの身体の方が強ぇぇって!」
加奈子がそう言うと、
梨香は「ふふ~ん♡まぁね」と、自慢するかのように
自分のメイド服を触ったー。
「ーでもなぁ、まさか、
この女に注意されてちょっと仕返ししてやろうと思って
憑依したら抜け出せなくなっちまうなんてな」
不満そうにそう呟く加奈子ー
元々は、加奈子が働いていたパート先のスーパーで
加奈子に注意されたことに逆上して、
加奈子を尾行、憑依したことが始まりだったー。
加奈子に憑依した男と、もう一人のー、現在、梨香に憑依している男で、
加奈子を弄んで解放ー、
”お前、こんなことしてたぜ?”と動画で脅して
屈辱を味合わせるつもりだったー。
しかし、その現場を当時小さかった梨香に目撃されて、
もう一人の男が咄嗟に口封じのために梨香に憑依ー、
加えてー”憑依した身体から抜け出せない”ことに二人が
気付いたのは、そのあとのことだったー。
「ーーったく、俺なんか出産させられたんだぜ?」
加奈子が笑いながら言うと、
「ー男なのに出産経験できるなんて、すげぇことだぜ?」
と、梨香が笑みを浮かべるー
「ーいやいやいや、アレ、マジできついからな!
そんなこと言うなら、お前もその身体で妊娠してみろよ!」
加奈子が悔しそうに言うと、
梨香は「まだ高校生だから、早いですぅ~」と、ふざけた口調で呟いたー
「ーーと…そろそろアイツが帰って来るんじゃね?」
梨香が時計を見ながらそう呟くー。
「ーーん?あぁ、そうだなー」
母・加奈子はそう呟くと、
ため息をついてから”そろそろ着替えるか”と呟くー
「しっかし、あいつもまさかお姉ちゃんとお母さん、
両方が生まれる前から憑依されてる、なんて
夢にも思わないだろうなぁ」
加奈子が服を着替えながらそう呟くと、
鏡の前でまだメイド服を堪能している梨香が
「でもまぁ、あいつにとっちゃ、俺たちが親とお姉ちゃんじゃん?」と笑うー
「だって、あいつは”一度も本当の母親と姉の二人と”
話したことがないんだからさ」
梨香はそこまで言うと、
「ーー揶揄いがいもあるしなー別に俺は嫌いじゃない」と、
弟の圭太のことを話しながら笑ったー。
「ーーお前はあいつのこと、何かと好きだもんなぁ~
俺は別にいらなかったんだけどー」
母の加奈子が息子のことを”いらない”と口にすると、
梨香はゲラゲラ笑いながら
「そ~んなこと言ったらかわいそうじゃないかぁ~」と、
揶揄うようにして呟くー。
そんな圭太は現在、小学校に行っていてー、
梨香は今日は、先日学校行事が土曜日に行われたこともあって、
振替休日で休みだったー
「ってか、お前学校ではどうしてるんだよ?」
加奈子が着替え終わると、梨香に向かってそう言い放つー
「ー学校?普通に可愛い女子高生やってるぜ?
”俺が女子として振る舞ってる”ってだけでー
滅茶苦茶興奮するからなー
特にー大人しい男子に優しくしたりすると
ホント、笑えるぜ?」
梨香がそう言うと、
加奈子は「悪女だなぁ~ほんと!」と、ゲラゲラと笑ったー
「ーーつ~か、お前、着替えろよ!いつまでメイド服着てんだよ!
あいつ、帰って来るぞ?」
加奈子の言葉に、梨香はツインテールの髪を嬉しそうに触りながら
「別にいいじゃんー”お姉ちゃんがコスプレしてる”なんて
圭太にとっちゃ、日常茶飯事だろー?」
と、呟くー
「ま、まぁーお前はなぁ…」
加奈子は少し不満そうにそう言うー。
加奈子はいつも、基本的には圭太が帰って来る前に
普通の服装に着替えることが多いが、
姉の梨香の方は全く隠す気もなく、
圭太の前でも、普通に欲望に満ちた行為を
繰り返しているー。
「ーーふふふー
拗ねちゃだめだよ、お母さん!」
梨香が、笑いながらそう言うと、
加奈子もふざけた口調で
「もぅ!梨香ってば!」と、母と娘っぽい雰囲気で
会話を堪能したー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーお、おじさん…誰…?」
一方、下校中の圭太は戸惑いの表情を浮かべながら
通学路に立ち尽くしていたー。
「ー……ご、ごめんな 驚かせてー」
圭太の前には、少しやせ細って
不健康そうな雰囲気の男が立っているー
圭太に不審者だと思われないように
細心の注意を払いながら言葉を選ぶ男ー
「ーーー俺はー…君のー
圭太の、お父さんだー」
その男は、そう言い放ったー
「お…おとう…さん?」
圭太が困惑するー
もちろん、圭太も既に
”他の家にはお父さんがいる家が多いのに、
僕にはいない”ということは理解しているし、
”元々はお父さんがいた”ということも
理解はしているー。
けれど、母の加奈子も、姉の梨香も
”お父さん”についてのことはどんなに聞いても教えてくれないし、
前にしつこく母・加奈子に聞いた際には
”うるせぇんだよ餓鬼が”
と、恐ろしい形相で怒られてしまったー。
「ーーそう。お父さんだー
本当は圭太と一緒にいたかったんだけどー
圭太が生まれる前に、加奈子ー…
圭太のお母さんとお別れすることになっちゃって」
圭太の父親・健一はそこまで言うと、
圭太が明らかに警戒している表情を浮かべていることに気付き、
「ーー…急にこんなこと言われても…だよな」と、呟くと、
圭太が生まれる前ー
加奈子と梨香が”憑依される直前”に
三人で撮影した写真を圭太に見せたー
まだ小さかった梨香の方は
高校生になった今とはまるで別人のような雰囲気だが、
母親である加奈子の方は
少なくとも”今”の加奈子と同じ人間だと分かる写り方だったー
「お母さん…」
圭太が写真を見て、
加奈子と梨香、そして、今、目の前にいる男と同じ男が
写っているのを確認して、
”お母さんとお姉ちゃんのことを知っている”ということは
理解し、警戒心を少し薄めるー。
「ーーー…元気で、やってるかい?」
父・健一の言葉に、圭太は「う、うん…」と、
戸惑いながらも頷くー
だがー
健一が今日、このタイミングで圭太に会いに来たのには
”ある理由”があったー。
「ーー…お母さんとお姉ちゃんに、
何かされたりしていないかい?」
健一はー、
加奈子に急に別れを告げられたあと、
”急に離婚を告げられた”ことに戸惑いながらも、
それを受け入れ、諦めていたー。
だがー。
今、働いている職場で”妹が急に豹変した”と悩んでいる
後輩のOLがいて、そのOLがある日から
”妹が憑依されたんです”と、会社内で言い始めたのだー。
会社はそのOLは”おかしくなってしまった”と判断して
取り合わず、結局、今、その人物は休職状態にあるものの、
その出来事をきっかけに、
健一は”離婚した加奈子も急に豹変した”ということを思い出し
”憑依”と言う言葉を調べ始めたー
その結果ー、
他人に憑依することができる、という力を持つ
悪魔のような薬・憑依薬の存在に
健一はたどり着いてしまったー。
もちろん、妻であった加奈子が、”憑依”されたとは限らないー。
けれど、どうしてもー
”あんなにいきなり離婚を切り出されるなんて”と、
健一は違和感を拭えず、
さらに調べを進めた結果ー
”加奈子が豹変する直前”に
スーパーで加奈子が二人組の不良を注意して
トラブルになっていたことを、
元スーパーの店長から確認が取れたー。
さらにー
その二人組の不良は、その直後”失踪”して
今も見つかっていないこともー。
「何も…されてないけどー…
でもーお姉ちゃんはよく、僕を気持ちよくしてくれるー」
圭太は、そんな風に呟くー。
健一は少し表情を歪めながら
「ー何か、変だと思うことは、ないかい?」と優しく確認するー。
圭太はしばらく困惑した表情を浮かべながらもー
何も答えないー。
「ーーー…ごめんごめんー……
いきなり現れて、こんなこと言われても、困っちゃうよなー。
でもー……
一度も会ったことはなくてもー
父さんは圭太が何か困っていたら助けたいー。
だからー……
何か話してくれる気になったら、話してくれるかな?」
健一がそう言うと、圭太は戸惑いながらも
静かに頷いたー。
「ーー圭太のお母さんは、”悪い人に操られているかも”
しれないんだー」
健一は”憑依”と言っても伝わらないだろうと思い、
それだけ口にすると、
圭太は困惑した表情を浮かべたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ただいま…」
圭太は、父・健一と別れて帰宅するー。
当然、圭太からすれば、”初対面のおじさん”でしかなく、
そんなおじさんの言葉をすぐに信じることはできないー
けれどー
最近、自分の中でも次第に強まる違和感ー
”お母さんとお姉ちゃんは何かが変だー”
と、いう違和感がより膨らんでいくー。
あの、健一という人が嘘をついているようには
見えなかったしー、
健一という人の話が、より、”お母さんやお姉ちゃん”に対する
疑念を強めていくー
「あら、おかえりなさい~」
イスに座って胸を揉んでいた母・加奈子が微笑むー。
圭太が帰って来ても、胸を揉むのを止める様子はないー。
娘の梨香に憑依した男ほどではないものの、
母の加奈子に憑依した男も、その欲望を隠すつもりはまるでないー。
「ーねぇ、お母さんー」
圭太がランドセルを背負ったまま不安そうな表情で呟くー
「ーお母さんってー悪い人に操られてるの?」
圭太が、ふと、そんな言葉を口にしたー。
「ーーえ…?」
圭太の突然の質問に、加奈子は胸を揉む手を止めて、
その表情からも笑顔を消すー。
「ーーーそ…そのー……
知らないおじさんが言ってたんだー。
ぼ、ぼ、僕の…お、お母さんはー悪い人にーその…」
奥手な性格でもある圭太は、それ以上言葉を
言えなくなってしまうー
「ーーー…誰?」
母・加奈子が突然、険しい表情で呟くー
「ー知らないおじさんって誰?
お母さんが操られてるって、圭太に言ったの?」
その言葉に、圭太は「え…え~っと……」と、
言葉を詰まらせてしまうー。
「ーーお母さんが誰かに操られてるなんて
そんなこと、あるわけないでしょ!
圭太はお母さんと知らないおじさん、
どっちを信じるの!?」
加奈子に怒られ始めて、
圭太は震えながら「お…ぉ…おかあさん…」と呟くー
「そう。わたしのことを信じればいいのー
知らないおじさんの話なんか、聞いちゃダメ」
強い口調で言う加奈子ー
そこにー
姉の梨香がやってきたー
「まぁまぁお母さん~
ダメだってば~そんな風に怒っちゃ~」
梨香が言うと、加奈子は「チッ」とだけ
舌打ちして、そのまま黙り込むー。
梨香は「ーもう大丈夫だよ圭太ー
ほら、部屋に戻ってて」と、助け舟を出すかのような
言葉を口にすると、
圭太が戸惑いながら部屋の方に向かって行くのを確認してから
加奈子の方を見つめたー
「ーー知らないおじさんってー
あいつの父親じゃねぇか?」
加奈子が険しい表情で言うー。
だが、それでも梨香はクスクスと笑っていたー
「おい、何笑ってんだよ!
こいつの夫がコソコソ圭太の周りをうろついてるなら
早めに手を打たないとー!」
加奈子がそれだけ言うと、
梨香は「まぁまぁー落ち着いて」と笑いながら言うー。
「ーー…仮にそうだとしても、
別に何もできやしないし、圭太は”わたし”が
気持ちよくしてあげれば、いくらでもわたしの言うこと、聞くからー」
梨香はニヤニヤしながらそう言い放つー。
「ーーー…チッ、あのガキは”お姉ちゃん”が大好きだからなー」
加奈子はそれだけ言うと、
少しの間、爪をガリガリ齧りながらー
言葉を口にしたー
「ーまぁ、でも、邪魔になるようなら、あのガキー…
”事故”に見せかけて処分しちまうしかないよな」
冷たい口調でそう呟く加奈子ー
だがー、
そんな加奈子に対して
横に立っている娘の梨香が、睨むような視線を送っていることに
加奈子は気づいていなかったー
③へ続く
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コメント
圭太が生まれた時から憑依されている二人…!
どのような結末が待っているのかは
明日のお楽しみデス~!
今日もありがとうございました~!
コメント
もし産まれた圭太が女の子だったら、また違う展開になりそうですよね。
それにしても、最後のとこの梨香が睨んでるとこが意味深です。
興味深い結末になりそうな予感がします。
ありがとうございます~!☆
確かに男の子じゃなかったら
また違う展開になりますネ~!
少し気になったのですが、加奈子に憑依している元不良の男は生活費とかどうしているのでしょう?
子供二人もいたら、学校の費用とかもかなりするでしょうし。
元が不良であることを考えると、普通に真っ当に働いて稼いでる可能性は低そうな気がするのですが。
加奈子の実家に出してもらってるとか?
それとも、水商売とかで適当に身体を売って稼いでるとかなんですかね?
あるいは、元夫と離婚する時にうまく慰謝料、養育費でも毟り取ったとか?
というか、お腹にいた圭太はともかく、梨香の親権、よく取れましたね。母親の方が有利とはいえ、かなり一方的に離婚したんでしょうから、普通に考えると、親権は難しそうな気もしますけどね。
コメントありがとうございます~!☆
お金の部分も、親権の部分も③で話す場面があるので、
明日の③で見て下さいネ~!
既に頂いたコメントの中にお金のほうは、正解もありますケド…笑