突然、謎の女によって女体化させられてしまった
三人の男子高校生。
元に戻るためには、
”1週間の間に一番可愛くならないと”いけないー。
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女体化してから3日ー。
和志、秀一、龍治の三人は
それぞれ、謎のジャージ女に指定された日までに
”一番可愛くなろう”と、躍起になっていたー。
イケメン風の秀一は、
先日、あの謎の女から”現在は一番”と言われたー。
つまり、あの女が指定した土曜日までに
この”一番”を維持すれば、男に戻れる、と、いうことだー。
「ーー姉さん!俺を弟子にしてくれ!」
秀一が叫ぶー。
「ーーえ??? え????」
秀一の姉は、女体化した秀一に”可愛い服”を着せたり、
色々な指導をしてくれた張本人ー。
あの日、無理やり姉が可愛い服を着せて来たからこそ、
秀一は、謎の女から”一番”の判定を貰えたー。
しかし、あの日は
和志はいつも着ているジーンズで、
龍治はいつも着ているチェックのシャツで
来ていたからにすぎないー。
あの二人も
”男に戻りたければ一番可愛くなりなさい”なんて
言われてしまっては、
一番可愛くなるために、必死にあれこれ試すだろうし、
油断はできないー。
だからこそ、秀一は、姉に弟子入りしたー
「ーせ、せ、せっかく、女になったんだし、
ね、姉さんみたく、可愛くなりたくて!」
秀一が言うと、姉は「ーわたしみたいに可愛くなりたい?」と、
言うと、とても嬉しそうにご機嫌になって、
「じゃあ~わたしの次に可愛くしてあげる!」と、
嬉しそうに微笑んだー
煽てるとすぐに乗ってくれる姉さんで助かったー!
と、思いつつ、姉のほうを見ると
「わたし、本当は妹が欲しかったし、最近すっごく嬉しい~」と、
ご機嫌そうにそんな言葉を呟き始めるー
「あ、あははー」
秀一は少し困惑するー。
”可愛くなりたい”と言い始めたのはー
”男に戻るため”とは死んでも言えないー。
姉の性格上、そんなことを言ったら急に拗ねて
「ー可愛くなっちゃだめ!」とか、言い始めるかもしれないー。
「ーーはは、ははははー」
秀一は誤魔化して笑いながらも、
”まぁ…急に男に戻っちゃった!”って言えばいいしなー、と
内心でそんなことを考えたー。
女体化してから4日ー。
お調子者の和志は、
色々な服を購入して、数日前とは別人のように
おしゃれになっていたー
「うぉぉぉ…俺、エロすぎだろ!」
メイド服を着て嬉しそうに微笑む和志ー
そこに、父親がやって来るー。
和志の父親は、入れ替わった当日も
「ーそりゃすげぇじゃん!名前変えるか?」などと言っていて、
あまりの適当さに、息子である和志も驚いてしまうぐらいだったー
普通、息子が女体化した、なんてことになったら
その反応はおかしいだろうー、と思いつつも、
こういう時はそういう雑な反応ぐらいの方が和志にとっても
ありがたかったー。
「ゲッー!」
だが、メイド服を着てニヤニヤしていたところを見られた
和志は、ギクッと表情を歪めるー。
流石に、父から変態扱いされるかもしれないー、
と、不安に思いながら父の反応を見ると、
父は「やべぇな!エロすぎだろ!」と、笑いながら言ったー
「ーうぉっ!?親父も俺と同じ反応!だよなぁ~!
さすが親父!」
女体化した和志がメイド服姿のまま、
笑いながら言うと、
「ーなぁ、ちょっとでいいんだー
メイドっぽいセリフ、俺に言ってくれないかー?」
と、ニヤニヤしながら父親が言うー
「は、はぁっ!?!?お、親父ーそんな趣味がー!?」
和志が苦笑いしながら言うと、
父は「母さんには内緒だぞ」と、小声で続けたー。
可愛いを全力で楽しむ和志ー。
しかし、和志の場合は、他の二人とは違い
”指定された日”のために可愛くなっているわけではないー。
単純に、女体化できたことを喜んでいて、
男の頃には着ることができなかった服を着て、楽しんでいるー。
だんだんと彼は
”男に戻らなくてもいいかな”と、そんな考えに
たどり着きつつあったー。
女体化してから5日ー。
「冗談じゃないー。僕だけ大きなハンデだー」
眼鏡をかけた龍治は、
ネットカフェの一室から不機嫌そうにそう電話を続けていたー。
相手は同じく女体化した和志だー。
”ははは、まだ親は信じてくれてないのか?”
和志の言葉に、
「ー声だけ聴くと、可愛いのも腹立つなー」と言いながら、
龍治は「そうだよ」と、うんざりした様子で呟くー。
三人のうち、龍治だけは、
”女体化”したことを両親から信じてもらうことが出来ず、
家に入ることができないため、
バイトで貯めたお金を使い、ネットカフェで寝泊りしていたー
「ーだから、僕は絶対に負けるわけにはいかないー」
龍治が呟くー。
”眼鏡っ娘”スタイルで勝負しようとしている龍治は、
ネットを中心に、おしゃれ全般の知識を高めながら
当日に備えていたー。
1週間であれば、ネットカフェに寝泊りすることが
出来るぐらいの費用は十分にあるー。
しかしながら、
色々と不便なのは事実だったし、
もしもそれ以上帰ることができない日々が続けば、
龍治は居場所を失うー
「僕にとっては命懸けなんだー」
和志との電話を終えた女体化した龍治は、
見違えるように美人になったその姿で、
さらに自分の美貌を高めようと、再び
情報収集を始めたー。
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そしてー
1週間が経過して、土曜日になったー。
ファミレスにやってきた三人は、
それぞれ驚きの表情を浮かべるー。
イケメン風の秀一は、
姉のサポートを受けて、
”女子高生らしさ全開”の
王道な美少女になっていたー
元々、先週の時点で謎の女から
”一番”なんて言われるぐらいに、
素質のあった秀一は、
先週の時点よりも、さらに可愛くなっていたー。
お調子者の和志はー
ショートヘアーの明るさと可愛さを兼ね備えるような
風貌になっていたー。
ただし、和志は”男に戻りたくない”のか、
可愛い要素を”あえて”控えめにしていたー。
眼鏡をかけた龍治は、
美人な眼鏡っ娘スタイルで、
アイドルにそのまま慣れそうな雰囲気になっていたー。
”男に戻れないと、そもそも家に帰ることすらできない”
そんな危機感からか、龍治はこの1週間で
相当な努力をしてきたことが伺えるー
”くそっー…やっぱり、龍治と和志も本気かー”
”俺は、別に元に戻れなくてもいいんだけどなー”
”僕は負けるわけにはいかない”
三人が、それぞれ思考を巡らせていると、
やがて、ファミレスの入口から、
例のジャージ姿の女が入ってきたー。
ジャージ姿の女は店に入ってくると、
そのまま真っすぐ秀一たち三人のほうをやってきて、
三人を品定めするようにして見つめたー
”頼むー…俺は、男に戻りたいんだー”
”俺は別にー…いや、むしろ選ばないでくれぇ!”
”僕の人生が掛かってるー!”
三人は、祈るようにして、
それぞれジャージの女の言葉を待つと、
ジャージの女が、秀一を指さしたー。
「ーー!」
秀一の顔に笑顔が浮かぶー
だがー
「2位」
女はあっさりそう言い放ったー
「えぇっ!?」
秀一が絶望の表情を浮かべるー。
そして、お調子者の和志のほうを指差すと
「ビリ」と、呟いて、
最後に眼鏡の龍治のほうを指差して「優勝」とだけ、
女は言い放ったー
そして、龍治に「ついてきてー。男に戻してあげるから」と言うと、
そのままジャージの女はお店の外に出て行くー
「やった!」
龍治は嬉しそうにガッツポーズすると、
秀一と和志のほうを見てから
少し気まずそうに「ぼ、僕は行くよ」と
ファミレスの店内から外に出て、ジャージ姿の女の方についていったー。
「そ…そんなー」
残された秀一は、呆然として頭を抱えるー
「ーへへへへへー」
一方、和志は”このまま女の子になれる”と、
何故か嬉しそうだったー。
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数日後ー
和志は女として生きていくことを決めて
コスプレを楽しんだり、
動画配信を始めたり、
男に戻れなくても、とても楽しそうに生活を続けていたー。
父親と母親も、”息子の女体化”に何故か
興味津々で、3人ではしゃいでいるー。
「やべぇ…俺、可愛すぎるだろ」
女体化して、可愛らしい服装を身に着けた和志は
自分で自分のことを可愛いと改めて確信するー。
「ーやっべぇ…こんなに反応が…!」
SNSに載せた自撮りに、今までは経験したことのないような
反応が来て、驚く和志ー。
「ーおお、すごいな和志」
父親も笑いながら言うー。
「っていうかもう、名前も変えちゃえば?」
母親も、笑いながらそんな言葉を言うー。
男に戻れなくても、お調子者の和志は、
何だかとても楽しそうな雰囲気だったー。
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”ははは…大変だなぁ、お前はー”
さらに数日が経過したー。
イケメン風の秀一は和志と連絡を取り合いながら
近況を報告しているー。
秀一は、”男に戻れる”つもりで、
姉に弟子入りを志願し、色々と”可愛くなるため”のことを
教えてもらったー
しかし、まさか龍治に負けるとは誤算だったし、
男に戻れなかったせいで
”本気になってしまった姉さん”を何とかしないといけないー。
今日も、”可愛くなるための特訓!”とやらを
このあと、姉と共にすることになっているー
「弟子入り、キャンセルできないかなぁ…」
秀一が言うと、
電話相手の和志は”ははは、お前も俺みたいにもう、
女の子として楽しもうぜ?”と、笑うー。
その声はとても可愛らしいー。
「ーーいやだよ!俺は男に戻りたいんだ!
俺は絶対、諦めないからな!!!」
必ず、あのジャージ女を探し出して
男に戻してもらうんだー。
そんな風に思いながら、秀一は言葉を口にしたー
「あ~、そういや龍治のやつは、もう学校に
普通に通ってんのかな?」
秀一が言うと、和志は”さぁ”と答えるー。
秀一と和志は”女体化”している故に学校に行くことが出来ずに、
現在は欠席が続いているー
このままだと退学になってしまうため、
特に、女体化を望んでいない秀一としては、何とかしなければならないー
”最近、龍治から連絡もないしなー
まぁ、自分だけ男に戻って気まずいんだろ?”
和志の言葉に、
秀一は「まぁ、そうなのかもなぁ」と、笑みを浮かべたー。
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「ーわたしね…
妹が欲しかったのー」
ジャージ女が笑みを浮かべながら言うー。
「ー……」
女体化した龍治が可愛らしい服装で、
虚ろな目をしているー。
「でもねー、わたしは一人っ子だしー、
そこら辺の子を連れ去ったら、わたし、捕まっちゃうでしょ?
だから、男の子を女体化させて妹にすることにしたのー」
そう呟くと、ジャージ女は黒い手袋を外して、義手のような状態になった
片手を見せつけるー。
そう言えば、最初に出会った時にも、この手を三人に向けていたー。
「わたしが、何年もかけて開発した”男の人を女の子のにしちゃう”装置ー」
それが、この義手のようだー。
「これで、男の子を女体化させてー
一番かわいい子をわたしのものにすればー
わたしは、捕まらないでしょ?」
ジャージ女は笑うー。
”女体化させられてしまった龍治”は、
龍治であって、龍治ではないー
性別も顔も違うー。
そのため、社会的には”存在しない人間”と、なるー。
”女体化した龍治”は、この世に登録されていない人間となるー。
だからー、こうして”私物”にして、
妹にしても、わたしは捕まらないー、
と言うのがこのジャージ女の言い分だったー。
仮に、秀一たちが騒いでも、”女体化した云々”は、
警察も信じないと判断しているようだー。
「一番可愛くなったら男に戻すって言うのはー…」
龍治が虚ろな目のまま言うと、
ジャージ女は笑みを浮かべながら答えたー
「嘘に決まってるじゃないー。
男に戻す方法なんてないし、
単に”一番可愛い子”を、妹にしたかっただけ」
ジャージ女はそこまで言うと、
「ーーあなたはこれからずっと、ずぅっと、わたしの”妹”として
暮らすんだからねー」と、
女体化した龍治をぎゅっと抱きしめて、
笑みを浮かべながらその頭を撫で始めたー
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
結局誰も元に戻ることができませんでした~!
一人だけ、その状況を楽しんでいる子もいますが、
色々大変そうですネ~!
お読み下さりありがとうございました!!
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