帰宅中の男子高校生三人組が
ある日突然、”女”にされてしまったー。
三人を女体化させた謎の人物は、
”1週間後に一番可愛くなっていた人”だけを
男に戻してくれるのだと言うー。
三人の、運命はー…?
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「ー雅美(まさみ)ちゃんって、
マジでかわいいよなぁ~」
お調子者の男子生徒、滝沢 和志(たきざわ かずし)が、
そう言うと、
隣を歩いていたイケメン風の男子生徒・戸村 秀一(とむら しゅういち)
が思わず苦笑いしたー
「いやいやお前、ついこの間まで蘭子(らんこ)ちゃんが
いいって言ってなかったか?」
そんな秀一の指摘に、和志は
「え?そうだったっけ?」と、笑うー。
和志は騒がしくて面白い男子なのだが、
お調子者かつ、気まぐれな性格ー、
前に自分が言ったこともすぐに忘れてしまうー。
悪い奴ではないのだが、約束もすぐに忘れてしまうため、
”和志と約束するときは、証拠を残せ”という格言のようなものまで
クラスの間では出来上がってしまっているー。
何か証拠を残さないと、
和志が”そんな約束、したっけ?”と言いだすためだー。
「ーーーー君は本当にいい加減だな」
一緒に歩いていた眼鏡をかけた男子生徒・青山 龍治(あおやま りゅうじ)が、
そう呟くと、
「ーへへ、それは昔からだろ?
と、和志はニヤニヤと笑ったー。
「ー全くー。自覚があるのに直そうとしないのは、
君の悪い癖だなー」
学年でも成績トップクラスをいつも争っている龍治は、
とても頭が良いー。
彼から見て見れば、和志は”いい加減すぎる”性格で、
小さい頃からよく直すように繰り返し言い放っていたー。
イケメンの秀一、
いい加減な和志、
寡黙な成績優秀の龍治ー、
一見すると全く性格が合わなそうな三人だったが、
三人は小さい頃の幼馴染であるがゆえに
今もこうして腐れ縁のようなものが続いていたー。
だがー
そこにー
「ーあなたたちー」
ジャージ姿の見知らぬ女が姿を現したー
20代ぐらいの若い女性だが、
”さっきまで寝ていたのか?”と思ってしまうぐらいに
ボサボサした髪ー
その女が、突然声を掛けて来たのだー
「ーー僕たち…ですか?」
眼鏡をかけた龍治が、眼鏡の位置を指で調節しながら反応すると、
「えぇ、あなたたち」と、
若い女性が静かに呟いたー
「ーーー俺たちに何か用ですか?」
お調子者の和志が少し楽しそうに返事をすると、
突然、そのジャージ姿の女が、黒い手袋を外してー、
三人の方にそれぞれ手を向けたー。
「ーーー…?」
イケメンの秀一が首を傾げると、
女は満足そうに頷きー、
そしてそのまま立ち去っていくー
「ーーえ…?あ、あのー」
秀一が声を掛けるも、その女は反応することなく、
立ち去ってしまうー
「ーなんだあいつ?」
お調子者の和志が意味不明な女の行動に
そう呟くと、
龍治は眼鏡をいじりながら
「この世には不可解な行動をする人間もいるからなー
まぁ、何かされたわけじゃないし、忘れることだな」
と、淡々と答えたー。
三人は、ジャージの女の意味不明な行動に
首を傾げながらも、その日は何も気にすることなく、
帰宅したー。
だがー
翌朝ー
「ーーー…えっ…お、おい…なんだよこれ!?」
イケメンの秀一が、王道な美少女のような姿に
なっていることに気付き、表情を歪めるー。
「ーーうぉっ!?マジか!うへっえへへへへへへっ!」
ショートヘアーの明るい少女に”女体化”した
和志が嬉しそうに自分の胸を触り始めるー。
「ーーなんだこれはー……僕には理解できないー」
眼鏡の大人しそうな美少女に女体化した龍治が困惑するー
三人はー
翌朝、目を覚ますと
それぞれの家で、それぞれが”女体化”していたー。
慌てて他の二人に連絡を取る三人ー
「マジかー…三人揃って女にー」
秀一が、困惑の表情を浮かべながら可愛い声でそう呟くー
「うぉっ!お前秀一か?すげぇ可愛い声じゃん!」
和志が、騒がしい声でそう叫ぶー
「ーいやいやいや、やめろってー
俺に恋愛感情向けたりするなよ?」
秀一がすぐにツッコミを入れると、
「ー昨日の、あの女かー」
と、眼鏡の美少女に女体化した龍治が
ふと呟いたー
「ーえ?」
秀一が反応すると、
龍治は答えるー
「僕たち三人揃って、こんな状態になったってことはー
昨日、何か共通する”普段とは違うこと”があったはずだー。
僕たちは三人とも”同じもの”は食べてないと思うし、
寝た場所もそれぞれ自宅だー
学校で何か特別なことをしたわけでもないし、
さっき何人かにLINEで連絡を取ってみたけど、
他のクラスのやつらは、僕たちみたいなことにはなってなかったー」
龍治がそこまで言うと、
秀一は「じゃあ…昨日のあのジャージの女が俺たちに何かしたのか?」と
髪を邪魔そうに跳ね除けながら、電話の向こうに向かって呟くー。
確かにー
昨日、ジャージの女は自分たちに手をかざすような
謎の仕草をしていた、と、秀一は心の中で思い出す。
そしてー
龍治は、”とりあえず三人で会って話そう”と提案するー。
朝、目を覚ましたら女になっていたー。
そんな、共通の出来事に悩まされている三人ー。
落ち着くためにも、まずは会って話をしたい。
龍治はそう提案したのだったー。
和志も、秀一もその提案に乗るとー
1時間もしないうちに、三人は近くのファミレスで合流したー。
「ーおいおいおいおい、マジで可愛すぎだろー
ってか、何でスカート?」
ラフなジーンズ姿の和志が、
美少女になって、しかも美少女っぽい服装でやってきた秀一に言うと、
秀一が恥ずかしそうに「女になっちゃったって姉貴に言ったら、
姉貴が服をー」と、目を逸らしたー
「ーそれは大変だなー」
龍治は、眼鏡をいじりながら、
いつも着ているチェック柄のシャツとズボンの姿のまま、
やってきていたー。
「ーーーでも、実は君も楽しんでるんじゃないか?」
龍治がそう言うと、
「バ、馬鹿!好きでこんな可愛いやつ着るかよ!」と、
秀一は顔を真っ赤にしながら否定したー。
三人が着席するー。
朝、ここに来るまでの家族の反応を話す三人ー
秀一は、姉がすぐに信じてくれたものの、
姉が色々とうるさく、
挙句の果てにこんなかわいい服でここに来ることになってしまったー
和志は、親も”いい加減”な性格なのか
「ーそりゃすげぇじゃん!名前変えるか?」などと父親が笑いだして、
母親も勝手に「和美とかどう?」とか言い始めたー。
全く女体化に驚くことなく、あまりにもあっさりと受け入れるので、
和志は寧ろ逆に驚いてしまったー。
龍治は、両親が”そんなことはあり得ない。君は誰だ?”の一点張りー。
逃げるようにしてここに来たのだと言うー。
「ーーま、まぁ…色々みんな大変だな」
秀一が髪をどかしながらそう呟くと、
「ーで、俺たちどうする?」と、他の二人に対して問いかけたー。
「どうするったってー…どうするんだよ?」
和志が困惑するー。
ショートヘアーの明るそうな少女に”女体化”した和志ー。
”いつもと同じ口調”で喋っているものの、
どうしても周囲から見れば”違和感”もあるー。
「ひとまずー…病院に見てもらうのが現実的だと僕は思うな」
小柄な、大人しそうな眼鏡の美少女になった龍治がそう言うと、
「ーい、いやぁ…でも、病院にいきなり”朝、目が覚めたら女になってました”
って言ったら、頭がおかしくなったと思われるだけじゃね?」
と、秀一が困惑した表情で呟くー
「ーーま、まぁ…確かにー」
龍治が、眼鏡をいじる癖はそのままに、少女の姿で眼鏡をいじるとー
店内に”昨日のジャージ姿の女”が入ってきたー
「ーー!」
「ーーー!!!」
「ー昨日のー…」
三人が驚いているとー
ジャージ姿の女は、一直線に三人のところにやってきて、
こう言い放ったー
”男に戻りたいなら、可愛くなりなさい”
とー。
「ーえ… え…?ど、どういうことですか?」
秀一が、可愛らしい反応ー…
いや、本人は特に意識していないものの、
そういう風に見えてしまう反応をすると
ジャージ女は、指を1本立てて宣言したー。
「今から1週間がたった日の朝ー。
また、ここに集まりなさいー。」
ジャージ女の言葉に、
龍治が眼鏡をいじりながら
「それは一体、どういうー…?」と
困惑した表情を浮かべるー。
ちょうど今日は”土曜日”
女は来週の土曜日のこの時間にまた、
ここに集まるように三人に指示をしたー。
イマイチ、話の要領を得ないー。
ジーンズ姿の女体化した和志が
「いやいや、意味が分からないですけど?
何が言いたいのか、ハッキリ教えて下さいよ」と、言うと、
ジャージ姿の女は和志のほうを見つめたー
「ーあなたは現在2位ー」
とー。
「ーは?」
和志が困惑するー。
続けて、姉から無理やり押し付けられた服を着て
女の子らしい可愛らしい姿の秀一を指さすと、
女は続けたー
「あなたが一番ー」
そして、最後に眼鏡の龍治を指さして
いつものチェック柄のシャツを着ているのを見ると
「あなたは現在ビリ」と言葉を口にしたー
「な、な、なんか失礼だなー。
…というか、僕たちがこんなことになってるのって
あなたのせいですか?」
突然”ビリ”と言われて少し頭に来た龍治がそう言い放つと、
和志は「お、おい!」と、気まずそうに言葉を投げかけるー。
確かに、女体化した原因はこの女である可能性は高いが、
そんなシンプルに”お前が犯人だろう?”みたいな言い方を
目の前でされてしまうと、流石に少し気まずい感じに
なってしまうー。
だがー
「ーーーーそうよ」
ーー!?
ジャージの女は、あっさりと認めたー
「ーわたしがあなたたちを女の子にしたの。
方法は企業秘密ー。 だから言えないー。」
ジャージ姿の女の言葉に
「ーお、おぉい!?ふ、ふざけんな!元に戻してくれ!」と、
和志が叫ぶー。
怒っているのかもしれないが、可愛らしい声と風貌で、
あまり怒っているように見えない
そんな彼…いや、今は”彼女”と言うべき和志の言葉に、
ジャージ姿の女は、先ほど呟いた言葉を繰り返したー。
「ー男に戻りたいなら、可愛くなりなさい」
とー。
「ーー…!?」
秀一が困惑すると、
ジャージ女は、今度はきっちりと意味が伝わるように
言葉を続けたー
「今から1週間後ー
”一番可愛くなった”人だけを、男に戻してあげるわー。
だから、この1週間ー
死ぬ気で可愛くなりなさいー。
一番可愛くなれたら、元に戻してあげるー」
ジャージ姿の女の言葉に、
龍治は「それが、さっきの順位?」と確認するー。
「そう。
今の時点ではあなたが1位、そこのジーンズのあなたが2位、
そして、神経質そうな眼鏡のあなたがビリー」
指を指しながらジャージ姿の女はそう言うと、
「もしも、来週もこのままなら、あなただけ男に戻れて
残りの二人は男に戻れない」
と、淡々と呟いたー。
”いちいちムカつく言い方をするやつだな”
眼鏡の龍治はそう思いながらも、
質問をしようと口を開こうとしたー。
だが、ジャージ姿の女は、”言うべきことは伝えた”と
言わんばかりにそのまま立ち去って行こうとするー
「お、おいー…!」
秀一が思わず叫ぶと、
ジャージ姿の女は振り返ってもう一度言い放ったー
”男に戻りたければ可愛くなりなさい”
とー。
その言葉に、女体化した龍治、秀一、和志の三人は
困惑することしかできなかったー
「ーーー」
「ーーー」
「ーーー」
ジャージ女が立ち去ったあと、三人は
ファミレスの座席で呆然とした表情を浮かべながら
色々と考えるー
”じ、冗談じゃない!俺は男に戻るぞ!”
イケメン風のー
今は、姉から借りた服を着て1位と称された
美少女になった秀一は、
1週間で絶対に一番可愛くなって男に戻ることを決意するー
”男がいいか、女がいいかはさておき、
このままだと色々不便だー。
とにかく、元に戻らないとな”
眼鏡をいじりながら龍治は”別人のような雰囲気で女体化した”ことによる
今後の身分証明など、社会的影響を気にして、元に戻りたいと強く願うー
”お、お、俺は、このままでもいいかもー”
お調子者の和志はニヤニヤしながら心の中で密かにそう思うー。
”1週間で一番可愛くなった人のみが男に戻れるー”
そんな、奇妙な1週間が今、始まったのだったー。
②へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
三人の可愛くなるため(?)の1週間が始まりました~!
ジャージ女の目的も、まだ謎のままですネ~!
明日の続きもぜひチェックしてみてください~!☆
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