<入れ替わり>バカップルと俺~新たな試練編~(後編)

電車内でイチャイチャするカップルに遭遇してしまった
男子大学生ー。

そのカップルの女と入れ替わってしまった彼の苦難は続くー。

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先程から、何度も何度も繰り返し、
スマホの音が部屋に鳴り響いているー。

趣味のプラモデル作りを楽しんでいた香織(行彦)は
「あ~~~!うるせぇ!」と、ジャージ姿のまま叫んだー。

大学では”女子大生っぽい姿”をしているが、
家では入れ替わる前と同じようなラフな格好が多いー。

流石に、お届け物が来た時などに備えて、
自分が”男子大学生”だった頃と全く同じような
格好をすることはできないこともあるが、
入れ替わる前の香織とはガラリと違う、
生活を送っていたー。

「ーーーったく」
スマホを見つめる香織(行彦)ー

”俺には香織しかいないんだ!”
”香織が毎晩夢に5回は出てくる”
”香織で毎日抜いてる。俺の愛を受け止めてくれ”
”昨日、夢の中で香織と結婚したよー”
”来週、香織とデートした遊園地に一人で行ってこようと思うんだー”

元カレである省吾から、悲惨なメッセージの嵐ー。

それに加えてー

”香織の身体、返して!”
”香織の身体でどうせ変なことしてるんでしょ!許せない!”
”香織泥棒!絶対許さない!”
”あんたの身体を滅茶苦茶にしてやる!”
”返して!返して!返して!”

入れ替わった相手である行彦になった香織からも
しつこくメッセージが送られてきているのを見て、
香織(行彦)は思わず深くため息をついてしまうー。

省吾のメッセージを見て
”こんなやつとよく付き合おうと思ったな”と、
香織(行彦)は呟くー。

香織のメッセージを見て
”変なことなんてしてないしー。せいぜいプラモデル作るぐらい”と、
勝手にエッチなことをしていると勘違いされて
少し腹立たしく思う香織(行彦)ー

ついでにー
「既に一度逮捕されたんだから、俺の身体滅茶苦茶にしてるじゃんー
 っていうか、何の逮捕歴もない状態に戻して俺の身体返せよ」

と、文句を呟く香織(行彦)ー

香織の見た目は確かに可愛いのかもしれない。
しかし、行彦にはそんなことどうでもよかったし、
他人と入れ替わる趣味はないー

香織のような可愛い子が相手でもそれは例外ではないー。

元々、性欲もほとんどない行彦は、
香織の身体になってからも、特に何もエッチなこともしてないし、
お風呂・トイレ・服を着替えるなど、
日常的なことしかしていないー。

お風呂でも、着替えでも別に興奮はせずー
ただ淡々とお風呂を済ませたり、着替えたりするだけだー。

「ーー全く、本当に面倒な奴らだなー」
うんざりする香織(行彦)ー

そもそも、自分は巻き込まれただけだ。
何も悪いことをしていないし、
入れ替わりを仕掛けたわけでもないし、
望んでもいない。

身体を奪うつもりもなかったー。
あの時、話し合って元に戻る方法を探す気もあった。

だが、あのバカップルがそれを拒んだー。
それどころか、”行彦”は逮捕されてしまい、
行彦の人生に”消すことのできない傷”がついたー。

逮捕された記録も残るし、
ある時、海辺で周辺の客に撮影もされて
ネットでさらし者にもなっているー。

もう二度と消えることのない傷を
あのカップルにつけられたのだー。

そんな”名誉に傷をつけられた身体”を
「はいそうですか」と、受け取るわけにはいかないー。

物件を借りた際だって、
家主が望んだら、原状復帰させて返さないといけないのだー。

つまり、借りる前の状態にして、返さなければならないー。

だが、あのバカップルの女はそれもせずに
人を泥棒呼ばわりー

「ー俺の身体を原状復帰させて返せってのー。
 そしたら考えてやるけどさ。
 前科持ちでネットに晒された俺の身体を返されて
 ニヤニヤしてたら、俺、ただのバカだろー」

香織(行彦)は不満そうに一人そう呟くと、
”何とかしてあのカップルと絶縁する方法”を
考え始めたー。

そして、翌日ー。

大学に向かうと、再び行彦(香織)が待ち構えていたー。

「ー香織の身体、返して!」
行彦(香織)が叫ぶー

「ーーいい加減にしてくれよー
 そっちが俺の身体で勝手なことするから、
 俺が戻れなくなったんだろ?

 ”俺”はお前のせいで、犯罪者になって、
 しかもネットにも晒されてるんだぞ?
 ふざけるなよ」

香織(行彦)は小声で怒りをぶちまけると、
そのまま立ち去ろうとするー

「ー香織、そんなの知らないもん!」
行彦(香織)が叫ぶー

「省吾を香織から奪おうとしたそっちが悪いんだもん!
 身体を返して!
 この泥棒!泥棒!泥棒!」

そう叫びながら大学の敷地内にも侵入してくる
行彦(香織)ー

だが、すぐに行彦(香織)は大学の警備員に
取り押さえられるー。

その様子を振り返りながら、
香織(行彦)は「マジで勘弁してくれー」と、
首を横に振るー。

好きで入れ替わったんじゃないー
こんな、電車の中でチンパンジーみたいにイチャイチャする
カップルの女になんて、興味も微塵もないー。

”元の状態で返してくれる”なら喜んでまた入れ替わりたいー

「でも、そんなこと、できないだろ?」
香織(行彦)はそう呟くと、うんざりした様子でため息を吐いたー。

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「ーーー香織ー…香織…香織…
 俺には香織しかいないんだよ!
 香織…頼むよ…香織!」

”元カレ”の省吾は、目を真っ赤にして、
泣きながら香織の家の玄関の前に立っていたー。

「ー俺が何かしたなら謝る!
 何でも香織の言うことを聞くからー」

省吾が泣き叫ぶー。

今日も、しつこく省吾は
香織(行彦)の家の前にやってきていたー。

呆れるほどのしつこさだー。
決して香織に危害を加えるようなことは
してこなかったが、
毎日毎日こう来られては、それそのものが危害であり、公害だー。

「ーーー何でも言うこと聞いてくれるの?」
部屋の中から、香織(行彦)の声が響き渡るー

「あぁ、あぁ!もちろん!
 香織が欲しいものは何でも買うし、
 香織が望んだことは何でも叶えるし、
 香織が行きたい場所なら、どこにでもー」

「ーーじゃあ、2度とここに来ないで」
香織(行彦)が室内からそう言い放つと、
玄関前に立っていた省吾は「それはできない」と即答したー

「ーっ」

香織(行彦)は思わず舌打ちをして
インターホンの電源を切るー。

「ーあ~~~うるさいうるさい!
 本当に救いようのないカップルだな!」
香織(行彦)はうんざりしながら
部屋で楽しんでいたプラモデル作りを
再開しようとするも、外からピンポンピンポン煩く、
集中することが出来ずに、
ため息をついたー。

だがー
毎日あまりにもしつこいことから
近所の住民が異常を察知したのか、
省吾は警察に通報され、
”しばらくの間近付かないように”と、厳重注意されたのだったー。

「ーーーこれで平穏な生活ー」

香織(行彦)が少しだけ穏やかな表情を浮かべながら
そう呟いた直後ー。

再び、インターホンが鳴ったー

「ーーーとは、いかないんだよなぁ」
香織(行彦)が髪をうんざりした様子で掻きむしるー

”香織の身体、返して!”

今度はこっちだー。

行彦(香織)のお出ましに、
「ーあ~~もう!バカップルもここまで来ると重症だな!」と、
叫ぶと、インターホンを鳴らしまくる行彦(香織)に対して
大声で応答したー

「ーだったら俺の身体を現状復帰させて返せよ!!!」

前科持ちになんかしやがってー。

そう思いながら、インターホンの電源を乱暴に切るー。

だが、それでも行彦(香織)は
玄関の扉を叩きながら
「香織の身体を返して!香織が、本物の香織なの!」と、
一人称”香織”で叫びまくるー。

やがてー
彼氏の省吾と同じように近所の住人に通報されて、
行彦(香織)もまた、警察から厳重注意を受けたー。

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だがー
警察の注意など、二人には全く効果がなかったのか、
それからも、省吾と、行彦(香織)はやってきたー。

そしてある日ー
省吾と行彦(香織)は偶然同じタイミングで、
香織(行彦)のアパートの前にやってきていたー。

「省吾!香織!香織だよ!」
行彦(香織)がすぐにそう叫ぶー。

「ゲッ!お、お前はー!」
省吾がビクッとするー。

香織の彼氏・省吾は、
香織と行彦が入れ替わったことに
未だ、気づいていないー。

香織しかいない!などと言う割に、
肝心なことに気付くことができていないー

「ーお、お前はあの時の変態野郎!
 さてはまた、俺の香織を奪いに来たんだな?」
省吾が、険しい表情で、行彦(香織)に対して
そう言い放つー。

行彦(香織)がすぐに
「違うもん!香織は香織だもん!」と、叫ぶー。

”わたしは香織だもん!”と言いたいのだが、
一人称が”自分の名前”である香織が行彦の身体で
そう言っているため、その意味がまともに通じる
相手は少ないー。

”俺の香織を奪いに来たんだな?”という言葉に対して
”香織は香織”と意味不明な返事を返してしまっている
そんな状態になっているー

”わたしは香織だもん”と言えばー
もしかしたら伝わったかもしれないが、
香織は香織だもん、では伝わらないー

「ーふ、ふざけるな!香織は俺のものだ!
 俺は香織のことを誰よりも愛してるんだ!」

「ーーか、身体目的だったのー?
 香織、ここにいるのにー?」

「何を言ってるんだこの変態野郎!
 俺が用があるのは香織だけだ!
 変態はとっとと帰れ!」

省吾が叫ぶー。

行彦(香織)からすればー
”俺が用があるのは香織”と言う言葉が、
”香織の身体にしか興味がない”という言葉に聞こえたー。

「ーーー省吾のバカ!」

「ーーな、なんなんだお前は!
 この変態野郎!」

低レベルな言い争いをアパートの一室の前で
永延と続ける二人ー。

案の定、二人は通報されて
再び警察から厳重注意を受けたー。

「ーーはぁ」
部屋の中からその声だけ聴いていた香織(行彦)は
”頼むからマジで勘弁してくれー”と
心の中で呟いたー。

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その半月後ー

省吾は婚約指輪を持って
意気揚々と、行彦(香織)のアパートの
前へとやってきていたー。

振られたのにも関わらず、
何十万もする婚約指輪を買ってきた省吾ー。

もはや、完全にイカれていると言わざるを得ないー。

しかし、彼は本気だった。

省吾はインターホンを鳴らし、
「ー香織!俺は君に愛を誓う!」と、
婚約指輪をインターホン越しに見えるように見せつけたー。

「ーこれは俺の覚悟の証だ!
 香織、結婚しようー。
 ほら、婚姻届も俺の分は書いてきた!だからー!」

省吾がそう叫んでいるとー
近所の住人らしき人が出てきて
「あの…」と、省吾に声を掛けたー

「ーーはい?」
省吾が声を掛けた老人に反応すると、
その老人は言い放ったー。

「そこの人…昨日、突然引っ越しして、もうここにはいないけどー」
とー。

「なっ…」
省吾は世界が終わったかのような表情を浮かべて
唖然としたー。

香織(行彦)は
省吾と行彦(香織)があまりにも煩いので、
引っ越しを決意、
大学もやめて、近所の住人に行先も告げずー、
”行方を晦ました”のだったー。

「ーーか…香織が…俺を見捨てて…消えた…」
呆然とする省吾ー。

戸惑う老人を他所に、
省吾は一人、笑い出したー

「ふは…ふはははははははははははははは!
 は~はははははははははははは!」

そこにー
行彦(香織)がやって来るー。

狂ったように笑い続ける行彦(香織)は
血走った目で「そうか、貴様かー」と、言いながら
行彦(香織)に向かって歩き出すー

「えっ!?」
行彦(香織)も、いつも通り”香織の身体を返して!”と
言いに来たのだったが、タイミングが最悪だったー。

目を血走らせた省吾が、
行彦(香織)の胸倉を掴んで叫ぶー

「貴様が、俺から香織を奪ったんだな!」

その言葉に、二人の様子を見ていた老人は
”関わらない方が良さそう”と判断して、そのまま立ち去っていったー

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「ーーやっぱ、平和っていいなー」

引っ越して北海道にやってきた香織(行彦)は、
”やっとあのバカップルから解放されたー”と、
穏やかな笑みを浮かべるのだったー

おわり

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コメント

”バカップルと俺”の後日談でした~!☆
ようやく、平穏な生活を取り戻すことができた行彦くん…!

これからは、身体は他人のものでも
平穏に生活できそうですネ~!笑

お読み下さりありがとうございました~!

コメント

  1. 匿名 より:

    省吾も香織も、本当に手に負えないバカップルですね。
    これじゃ、バカみたいにイチャついてるという意味でのバカップルではなく、
    バカ同士のカップルという意味で、バカップルですよ。
    頭の悪さも度し難いけど、人格の破綻ぶりも酷いです。

    逃げ出した行彦は正しいですね。とても手に負えませんから。

    省吾と元香織があの後、どうなったのか、気になりますねー。このシリーズはこの話で完全に完結なのでしょうか? 

    行彦が平穏な生活を取り戻したのは良かったですが、諦めの悪すぎる省吾が日本全国探し回って、いつか発見されなきゃいいんですけどね。もし見つかったら、頭のイカれちゃってる省吾なら無理心中でもしてきそうなので恐ろしいです。国内にいるのは甘いんじゃないですかね? 世界の果てまで逃げないと危険なような気が。

    • 無名 より:

      コメントありがとうございます~!☆

      とんでもないカップルと入れ替わってしまって
      行彦も大変ですネ~笑

      このシリーズはここで完結のつもりで書きましたが、
      このあとどうなるのかは、作者の私も気になります~笑

  2. 匿名 より:

    香織がバカ過ぎるせいなのと、愛してるという割に、省吾がいつまでも香織の中身の変化に気付かないせいで、結局、最後まで行彦と香織の入れ替わっているという事実に省吾が気付くことはなかったですが、もしどこかで省吾が入れ替わりに気づいていたらどうなってたんでしょうね?

    省吾は中身、香織の行彦を選ぶのか、それとも香織の身体の行彦の方を選ぶんですかね?
    何も知らなかったとはいえ、行彦の身体の香織にキスされた時の嫌がり方からしたら、男になった香織は省吾には受け入れられなさそうですけどね。

    • 無名 より:

      コメントありがとうございます~!

      入れ替わったことに気付いた場合は、
      香織(行彦)に対して「元に戻せ!」「香織の身体を返せ!」
      「俺の彼女の身体を盗んだな!」と詰め寄る省吾が、襲い掛かってきます~笑

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