<憑依>ダークドライブ~帰ってきた悪魔の車~

あの車が帰ってきた…!

悪霊宿るハンドルを握った人間は、
彼に憑依されー、
そして、意のままに爆走するー…!

※数年ぶりのダークドライブの新作デス!

⇒過去のダークドライブはこちらからどうぞ~!☆

※毎回、その時その時完結する系のお話なので、過去作を読んでなくても大丈夫デス!

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”最後に”
身体を乗っ取って、自由に爆走したのは、いつだっただろうかー。

”ハンドルの中に宿る悪霊”は、
そんなことを考えていたー。

長い間、闇に飲まれていた意識ー。
けれども、それが次第に明確になっていくー。

”また”
自分の宿るパーツが、”再利用”されて、
新たに車が生み出されたのだろうー。

今度は一体、どんな身体がこの俺の餌食になるのかー。
どんな爆走をー
どんな狂気を見せつけてくれるのか。

実に、楽しみだー。

意識がまた、明確になってきたー。

あとは、”乗っ取る身体”が、車に乗るのを、待つだけだー。

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人間の歴史は、流れ続けるー。
誰が生まれ、誰が死のうとも、
全滅しない限り、歴史は刻まれ、そして、過ぎ去っていくー。

現在もやがて過去になり、
未来もやがて現在となるー。

そんな、人間の歴史の鼓動は進みー、
既に、この世界では
”車は空を飛ぶ時代”が到来していたー。

車はタイヤを捨てて、上空に作られた”エア・レール”と呼ばれた
光路を通行することでー
人類は土地の有効活用ー、
そして”歩行者が巻き込まれることのない夢の世界”を
手にしていたー。

だがー

”チッー…”

ハンドルの中に宿る亡霊はー
そんな時代の流れを良しとはしなかったー

”ったく、何だよー”

前回、ハンドルに宿る亡霊が目を覚ました時には、
車は既に”オートドライブの時代”になっていたが、
眠っている間に、さらに時は流れたのだろうー。

現在は、オートドライブどころか、
車が空を飛ぶ時代になっていたー。

”確かにすげぇけど…”
亡霊はそう呟きながらも、
戸惑いの表情を浮かべるー

今までの”爆走”では人を巻き込んだこともあったし、
建物に激突したり、色々やらかしたー。

だが、車が空を飛ぶ時代になったということはー
事故のない時代に進みつつあるということはー
爆走のスリルを味わえるのだろうかー。

”ありがとうございました~!”

ここは、リサイクル車の販売店ー。
この時代では、事故などで破損した車のパーツや
古い車のパーツなどを再利用して生み出された車は
”リサイクル車”と呼ばれて安価で購入できるようだー。

そしてー
そのリサイクル車に、今回、”亡霊が宿るハンドル”パーツが
使われたらしいー

それで彼は、再び意識を、自我を取り戻したのだー。

前回ー
オートドライブが当たり前になっていた時代で目を覚ました彼は、
車に乗り込んでさえくれれば、簡単にその人間に憑依することが
可能になったー。

それは、今回も同じことだろうー。

「ーーわ~!…すごい~!リサイクルでも、十分綺麗だね」
可愛らしい子が、嬉しそうにそう呟くー。

「ー大学生でいられるのもあと1年だからなー。
 今のうちに色々な場所にドライブに行きたいしー」

この時代の車を購入した大学生カップルがそう呟くー。

”クククー今回の”身体”もなかなかいいじゃないか”
亡霊がそう呟くー。

”でも、彼氏の方はいらねぇなぁ”
久しぶりの”目覚め”ー

一緒に乗っている人間がいた方が面白いこともあるが、
今回は”一人で”楽しみたかったー。

しかしー、
彼氏が先に車に乗ってきてしまえば、どうすることもできないー。

亡霊はあくまでも車のハンドルー
いや、今の時代ではハンドルではなくレバーとなった
ハンドル代わりのものに宿っているだけで、
車に乗った人間に憑依する以外のことはできないー。

先に彼氏が乗ってきた場合、彼氏に憑依して車から
追い出すこともできなくはないがー
異変を察知されて、あの子が乗って来なくなると、
亡霊は楽しめないー。

この時代の車
”エア・カー”の説明を受ける大学生カップルの二人ー。

やがて、説明が終わると、
男の方が「じゃあ、優美(ゆみ)、早速乗ってみるか!」と
言いながら先にエア・カーに乗り込もうとしたー。

しかしー

「あ…!わ、わたしが先に乗ってみたい!」
優美が恥ずかしそうにそう呟くー

「ーえ?運転したくないって言ってなかったっけ?」
男の方が苦笑いしながら言うと、
優美は「う~ん…そうだったんだけど、実際に実物を見たら
何だか先に運転したくなっちゃってー」と、
顔を少し赤らめながら言うー。

「ーそっかー。いいよ!
 じゃあ、優美に運転してもらおう」

そう言いながら、彼氏の方が、
エア・カーの扉を開けて、優美に乗るように促すー

”良し!!!!”
ハンドルに宿る亡霊がそう心の中で叫ぶとー
車に乗った優美を早速”支配”したー

「ーひっ!?」
ビクンと震える優美ー

嬉しそうに微笑んでいた笑顔が突然消えて、
真顔になりー、
やがて、にやりと笑みを浮かべるー。

そんなこと知らずに、続けて助手席の方に乗り込もうとする彼氏ー

だがー
憑依されてしまった優美は
「久しぶりの爆走だぜぇ!」と、別人のような形相で
叫びながら、エア・カーを急発進させて、上空へと浮遊したー。

「う、うわっ!?!?!?!」
エア・カーに乗り込む途中だった彼氏が悲鳴を上げながら
エア・カーにしがみつくー。

操作方法も分からないまま優美に憑依した
ハンドルの亡霊は、上空の”エア・レール”にたどり着くと、
そのままアクセルと思われえるようなものを踏んだー

「ふぅ~!久しぶりの中身の身体での爆走ー
 やっぱりこのスリルがたまらないぜ!」

優美が嬉しそうにそう叫ぶー

「ゆ…優美…ちょ…!?優美!助けてくれ~!」
エア・カーに乗り込む直前だった彼氏は、
エア・カーに必死にしがみつきながら
振り落とされないようにもがいているー。

「ーあん?」
優美が不機嫌そうに反応すると
「何だよ…お前、ついてきたのかよ」と、
小声で呟いてから、
彼氏がしがみついているほうに向かって移動するー。

「ーーーえへへへへ… この女は爆走するために俺が使うからー」
優美がそう言うと、
彼氏は「な…何を言って…?」と、困惑の表情を浮かべたー。

「だから…」
優美はクスッと笑いながらー
そのままエア・カーにしがみつく彼氏を
上空から突き落としたー

「ばいば~い♡」
ゲラゲラと笑う優美ー。

優美本人が”大好きだった”はずの彼氏が、
上空から落下していくのを見つめながら
「へへ~未来の車ってアブねぇんだな」と、笑うー。

だが、エア・カーはハンドル代わりに見える
レバーのようなものをいじらなくても自動で移動しており、
”ドライブモード”という表示が表示されているー。

「この時代の人間なら分かるんだろうけどー
 俺には分かんねぇな…
 前に目覚めた時は、まだオートドライブになってるだけで
 地上を走ってたしー」

優美はそう呟きながらも
ふっ、と笑みを浮かべると、
「ーま、事故っても俺の身体じゃないしー
 たっぷり楽しむか」と、笑みを浮かべたー。

まずはアクセルのようなものを踏んで、スピードを上げていく優美ー。

その速度は軽く100キロを突破して、さらに200キロを突破するー

「うっ…うおおおおおおおおおおおおおっ!」
かつてない疾走感に、優美は髪をなびかせながら
激しく興奮するー

「す…すげぇ…すげぇ…これが…未来の…!すげぇ」
優美は興奮した様子で、さらにアクセルを踏むと、
時速はさらに上がっていき、
亡霊が生きていた時代では、あり得ないほどの
速度が出ているー

「ーーうっ…ふああああああ♡!」
興奮した様子で絶叫する優美ー。

”まさか、こんなに速度が出るなんてー”

身体中からアドレナリンが出て来るのを感じながら、
優美はさらに、加速しようとアクセルのようなものを踏むー。

しかしー

ピピっと、何か音がして
”セーフティモード起動”と、車内のモニターに
表示されたー。

「あん?」
嬉しそうにしていた優美は、途端に不愉快そうに
そのモニターを見つめるー。

アクセルを何度踏んでも、踏んでも
それ以上の速度は出ず、表情を歪める優美ー。

「チッ…まさか、安全装置みたいのがあるのか?」

よく見ると、”運転”もある程度は操作できるものの、
基本的に事故を起こさないようにするためか、
自動で、経路などが調節されているー

「なるほどなぁ…技術の進歩ってやつはすげえなぁ」
感心した様子でそう呟くと、
優美は「じゃあ…」と、
エア・カーを操作するためと思われるレバーに自分の身体を
押し付けて笑みを浮かべたー

「ー運転中にオナニーもできるってことだね!ふふっ♡」
優美みたいな口調で、嬉しそうにそう叫ぶと、
車のレバーで一人、快感を感じ始める優美ー。

セーフティモードが起動しているエア・カーは
優美の操作を受け付けず、
優美が車のレバーでゾクゾクを感じていても、
”外から見れば”問題なく運転してるように、
そう見えてしまう状態ー

「えへっ…えへへへへ♡
 運転中にわたしってばナニしてるのかなぁ~
 うふっ…ふふふふっふふ♡」

はぁはぁ言いながら、
普段、優美が浮かべそうにない笑顔を浮かべて
ご満悦の亡霊ー。

やがてー
エア・カーの運転はセーフティモードになって
どんどん穏やかになっていく中ー、
優美の行為は逆にどんどんエスカレートして、
過激になっていくー。

「ーーあ…どんな未来でもーー
 女の感じ方は…すげぇ…♡」

気持ち良さそうに笑いながら、優美が一人、楽しそうにしているー。

「ーーー…なんだあれ…?」

「ーーさぁ…?」

ちょうど、近くを走行していた”別のエア・カー”に
痴態を見られてしまってもお構いなしー

やがて、空中を走行しているエア・カーのレバーでイクと、
「空中でイク女とか… えへ…♡」と、乱れた格好で
笑みを浮かべたー。

その時だったー

ふと、エア・カーの後部座席に説明書らしきものが
置かれているのを見つめるー

「ーーーふ~ん」
服を半分以上脱ぎ捨てたままそれを見つめる優美ー。

「ーーーん?」

ふと、ある表記が目に入るー。

”オートモード解除方法”
と、書かれた内容ー。

”オートモードの許可ない解除は犯罪となり
 法律で罰せられます”とも書かれているそのページを
優美は興味深そうに見つめたー。

どうやら”何らかの緊急時用”だろうかー、
オート系統の機能を全てオフにし、
セーフティモードも解除できる機能が
エア・カーには備わっているらしいー

「ーーーへへへへ…どうやって解除すんのかなぁ~」

はぁはぁ言いながら、優美とは思えないような
乱れ切った姿で、説明書を読み始めるー

「危険?ふふー
 危険なんて今のわたしには関係ないもんね♡」

優美はそう呟くと、説明書を読みながら
ついには面倒臭くなったのかー
「いいや、ぶっ壊しちゃえ!」と、
緊急時に使用すると思われるボタンのようなもののカバーを
拳で何度も何度も叩いて破壊しー、
そのスイッチを押したー

エア・カーが制御を失い、暴走し始めるー

「うわっ!ははっ!あはははっ♡ すっげぇ~~~!」
可愛い声で、興奮した声を上げると、優美は
嬉しそうにエア・カーで爆走し始めるー

やがてー
あまりのスピードに制御を失い、
ものすごい姿で地上の方向に向かって行くのに気づくと、
優美は「ひいいいいいいいいいいいいいいいっ!?!?」と大声を
上げながら笑っていたー

「ーーじ…G…!遊園地の乗り物みたいなGを感じるぅうううううう!」

重力による、形容しがたい感覚を感じながら、
喜びと恐怖と快感に表情を歪めた優美は、
あり得ないほどの速度でそのまま地面に激突し、
一瞬にして、車共々スクラップになってしまったー

”ーーーー次は…”

亡霊は、車の大破と共に薄れゆく意識の中、笑みを浮かべたー。

”次はーーー…ワープする時代になっていたりしてな…?”

そして、亡霊の意識は再び闇に飲まれたー

またいつか、自分が宿る素材が再利用されて、
意識を取り戻すその日までー。

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

かなり久しぶりの「ダークドライブ」の最新作でした~!☆

初めての皆様にも、以前のダークドライブを読んだことがある皆様にも
楽しめる作品になっていれば、と思います~!

お読み下さりありがとうございました~!

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憑依<ダークドライブ>

コメント

  1. 匿名 より:

    優美ちゃん、可哀想に。仮に生き延びていても、大好きな彼氏を殺した犯罪者として、悲惨な人生を送ることになったでしょうから、何も知らずに死ねたのは、せめてもの救いですかね?

    • 無名 より:

      コメントありがとうございます~!☆
      どちらにしても苦しい結末しかありませんでしたネ~!